GOlaW(裏口)

2006/01/12
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カテゴリ: 西遊記



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 さて、今度は幻翼大王登場部分についての考察、行きますね。
 出演者に対する私的感想、演出としての難点の指摘、『こうやって演出して欲しかった』という妄想を中心に描いていこうと思います。

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 開始二分にして。
「脚本家とこれを了承したスタッフと役者、全員“特撮”を理解してない?」
と思わず目が点になりました。

 こう言ったファンタジーでは、
“作者(この場合は番組スタッフ)が、何にも考えてないんじゃないか?”
と『受け手(この場合は視聴者)』に思われてはダメです。その時点で『受け手』の大多数は引きます。


 私が感じた、『ここがまずいだろ、さすがに』と思ったポイントは6つ。



 幻覚系や傀儡系の能力を持つボスが、投げやりにしゃべらないでください。口語を使わないでください。
 人をたぶらかし、幻を見せる妖怪なんですから、人の希望を玩具にするような猫なで声と、着飾ったような古風なしゃべりで雰囲気を出してくださいよ。

 これでは、肉食系動物出身の妖怪や粗暴な戦士系の邪仙のしゃべり方です。
 木村君の“月9でのいつもの演技”を要求するなら、最初からそういう衣装と設定を用意してください。


★2つ目に。
 木村君、やろうと思えば“月9でのいつもの演技”を封印して、幻術使いの演技ができます。
 『鳥に変化する幻術・傀儡術使い』のキャラで、それを証明して見せたのはついこの前です(アニメ映画『ハウルの動く城』ハウル役)。そして映画で、魔術の仕草や魅せ方を自分の中に蓄積してくれているはずです(映画での演出は素晴らしかった)。
 “幻翼大王”はまさに“ハウル”を下書きにした設定でした。
 なのに映画で培った木村君の遺産は、封印されていたんです。…期待していた私は、泣いていいですか?


★3つ目に。
 色んな方が指摘されていましたが、『純白衣装とノーマルメイクの木村君とは、相性がよくない』ということ。

 多分、特殊メイクをする時間が無かったんでしょうね(ただ今、木村君は映画撮影中。スケジュールが厳しい)。

 以前に見た特殊メイクで印象に残っているのは、 『劇場版・仮面ライダー555 パラダイス・ロスト』 に出てくる、『顔半分を白く細い羽に覆われた女性』。
 あれは女性の役柄も相俟って、“異様だけど、美し”かったです。木村君がやったら、鳥肌立つくらいにはまったと思われます(…観たかったです。涙)。
 …ただ確かに、その特殊メイクもすっごく時間が掛かってました(DVD収録のメイキング映像より)。

 …やっぱり不敵な態度は、『白い鳥』じゃなくって『一匹狼』にこそ似合うんですよ…)


★4つ目に。
『鳥なのに。傀儡使いなのに。なんで黒服を呼ぶんですか(涙)?』
 これの詳細は 『感想その三』 で力説させていただいています。
 でも村人に一行を襲わせる外道っぷりとか、美しい姑獲鳥の群れを使役する王様っぷりとか、そういった演出が欲しかったなぁ。
 そうすれば、後でぶっ飛ばす時のカタルシスに繋がったはずです。


★5つ目に。
 幻術って、戦闘でもすごく役に立ちます。
 人をたぶらかすほどの、最強の幻術使いなら、戦闘で何故使わないんでしょうか?
 ちゃんと悪事と戦闘スタイルを直結させてこそ、物語の一貫性が出せ、視聴者を引き込み、悟空の口上に説得力を生み出すと思われます。

 あれだけ羽毛が舞っているのに、幻術による『羽毛隠れ』をやらないのは惜しいです。
 『羽毛隠れ』のパターンとしても、『視界を塞ぐ』『視界をぶれさせる』『幻を映す(分身や、味方を敵に見せるのもこの中に入る)』『姿を消す』という四種類の効果がすぐに考えられます。

 また熟練したゲーマーの方とか、ファンタジーをたくさん読んでいる人なら、他にも多くの“幻による攻撃補助の方法”を思いつかれるでしょう。幻術使いが単なる肉弾戦馬鹿では困るんです(涙)。


★6つ目に。
 幻術&傀儡術使いを、“視聴者の掴み”で使い捨てないでください。

『自分を危険に晒さず、他人を動かし、自白させ、戦闘で自滅させることができる』
 それこそが幻術使いの恐ろしさであり、TRPGゲーマーの皆さんを魅了してきた秘密なのです。
 彼らが牙を剥けば、一行をどん底まで陥れることは容易であり、深いトラウマを引き出してそれをピンポイント攻撃することも可能なのです。
 どれだけ物語的にも、演出的にも、そして複線を張るのにも重宝するか、知っていますか?

 またこの事件は『盗まれた街』(ジャック・フィニィ原作)というSF小説を古典にした、“気が付いたら村人全員の様子が変だった”という黄金パターンを踏襲しています。これも使い潰すのはもったいないですよ。
 “変な村に迷い込んでおろおろする一行”&“子供を見つけて保護する”シーンが見たかった(←本音)。


 ただし『6つ目』については、まだ希望があります。
 禁錮児の有無から考えて、この『幻翼大王事件』は牛魔王の事件よりも前に発生した、と考えるのが通常でしょう。回想以外では触れられないと思われます。
 しかし、『月刊テレビジョン 2月号』(1月のテレビ欄が載っている方)のインタビュー記事の中に、
「都合上、一話と七話は同時に撮っている」
という一文があるんです。

 万が一の確率ですが、第七話で
「追い詰められて自害したように見えたが、実はそれも幻。
 ひっそりと復讐の機会を狙い、一行を調べつくしてから罠に掛ける」
という、やはり黄金パターンが来るかもしれません。
 もしやってくれたら、泣いて喜びます(トドメをさすシーンが無かったから、可能性は0で無いですよね)。

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 ここまで突っ込みを入れてきましたが、それらを差っ引いても、このシーンは好きです。

 『幻翼大王VS.三妖怪』の対戦が始まった途端、完全に魂を持っていかれちゃいましたから(惚)。
 八戒の突撃&へたれぶりも、幻翼大王に負けないだけの沙悟浄の気迫も、どちらにも惚れました。
 『サイ構え→ブルース・リーもどきの挑発→刺突剣の二刀流』という動作の組み立てと流れは、木村君の本領発揮。
(一本の剣を二本に、という演出は『幻覚使い』らしくて良かった)

 鵺のような木村君の叫び声はちょびっと怖かったです(笑)。
 でも木村君の剣舞も、香取君の棒術も、二人一組の演舞として完成されていて素晴らしかった。
 これが見れただけでも、本当に嬉しい。

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“冒頭にクライマックスもどきを持ってきて、視聴者に「こう言った番組です」と説明する。”
 これ自身は古典的手法として確立されたものです。
(例:ドラマ『フードファイト』の第一話、アニメ『名探偵コナン』の第一話)

 今回もちゃんと悟空の口上や決め台詞、三人の動きを紹介し、シーンの役目をちゃんと全うしていました。

 でも願わくば、『幻翼大王』の再出演を心より願っております(本音)。

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 おまけ1。
 私が連想するSMAPの仙人イメージの記述は こちら にあります(香取君のみ、孫悟空ですが)。
 この中での『器物・鳥獣への蔑視』は、『封神演技』などに色濃く見られます。当時では当たり前だったようです(原著の『西遊記』でも多少残っていますが、かなり薄まっている)。ここでは逆手に取らせていただいています。

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 おまけ2。
 “鳥による幻覚&村乗っ取り”で、私は迷わずこのお話を連想しました。
『亡者の村に潜む闇―ソード・ワールドRPGリプレイ集 バブリーズ編〈3〉』 収録、第9話『デーモン!デーモン!』。

 『バブリーズ編』は数多いTRPGリプレイでも高い人気を誇り、かく言う私も大好きなシリーズです。
 その中でも『デーモン!…』に出てくるボスキャラの外道能力と、それを上回る主人公達の策士ぶりは印象に残ります。

 いっそ沙悟浄をスイフリー(主人公パーティの一人。ダーティで人間じみた思考を持つエルフ)並みの策士にしちゃうと、キャラが引き立つ気がしてきましたよ(笑)。
 水野良(スイフリーのプレイヤー)先生、ドラマ制作陣に参加してくださいませんでしょうか(半分以上本気)。





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Last updated  2006/01/14 05:41:33 PM


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