GOlaW(裏口)

2006/01/25
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カテゴリ: 西遊記



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 まずは『夢世界』と『隠れ里』ネタから話したいと思います。

 今回は認めます。スタッフ、ほんとに良く頑張りましたよね(感激)!
 ここまで頑張ったのだから、このまま主題に貪欲になって煮詰められたはず。そこが惜しいな~とは思うんですけどね。

 でも『舞台を一箇所に固定』『心理戦という地味な展開』というハンデを背負いながら、ここまでしっかり主題を煮詰められたという点は高く評価しています。
 初回も同じぐらい煮詰めてくれていたら、あそこまでぶち切れなかったと思います。

 まずは『隠れ里』と『獏』ネタから話したいと思います。

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 それでは隠れ里から。
 基本的には、『人目につかないところに築いた妖怪の住処』から『時間の流れさえ違う、亜空間』までを総称します。

 今回のドラマでは『現実と重なり合うように存在する亜空間』の分類になりますね。

 こういった場合、『内部の時間の経過は、外部からの干渉により決まる』(水野良さんの小説『魔法戦士リウイ』シリーズの中の一節)のかな。多分、外部と接触した時とかに、その両方にとって都合の良い時間になってしまうのかも。

 また『現実と重なり合うように存在する亜空間』が出てくるドラマには、 『世にも奇妙な物語 SMAPの特別編』 収録の『十三番目の客』(草なぎ君主演)もあります。
 こちらも『空間の法則』や『出入りの規制』など、しっかり作りこんであります。シュールな話が好きなら、オススメですね。

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 今回は『妖術発動・解除の鍵』や『隠れ里の法則』などがしっかりと作りこまれ、CGもそれをちゃんと補助していました。
 この設定や描写さえしっかりしていれば、後はキャラクターを自由に動かし、葛藤をぶつける事もできます。その安心感が今回はありました。
 作りこまれた設定を作り手の枷とするか、それとも道具とするかは、作家の技量次第です。今回はちゃんと後者に傾いていましたね。

 現実と異なる亜空間の場合、
“出入り口となるゲート”“亜空間を支える存在の許可なしには、自由な出入り不可”“その空間特有の物理法則(眠ればその中に取り込まれる、箱の中に現実が取り込まれる)”
がセオリーですね。
 これらの制約に翻弄されつつ、しかしちゃんとその中で状況を打破する展開になっていたのは良かったです。


“無理矢理突き破ると鏡に閉じ込められる”
という描写には舌を巻きましたね。
(これは、寺からの脱出者が外に真実を広めるのを防ぐためです)

 また、外に凛凛を残したのもGOOD。現実側から客観視できるキャラがいると、中の異常性がより分かりやすくなります。
 外と中の情報交換&アイテム取得の過程も上手くいきましたね。



 あえて贅沢を言うなら。
 これだけしっかりと設定を作ったのなら、説明をある程度は映像にまかせても良かったのでは?
 NHKの朝の連続ドラマならともかく(←これは『耳だけで状況が分からなくてはいけない』という制約が本当にある)、台詞に情報を詰めすぎると視聴者がパンクします。
(全体的に『映像による情報』と『台詞による情報』の量配分を捌き切れてないんですよね。それがこのドラマのウィーク・ポイントになってます)
 例えば…。

 凛凛による獏の解説に“山海経のような挿絵”を重ねてみたり。
 もっと三蔵の過去映像を挿入し(特に30分~45分の間)。
 八戒や悟浄にも少しだけ葛藤シーンを与え(完全に立ち直るのは三蔵だけでも良い)。
 三蔵が現実に目覚める過程に、自分の正否に葛藤する獏の映像を重ね。

 そういったところまで踏み込めたと思うんですよ。それがすっごく惜しい(描写については、また次の日記で解説)。後もうちょっとで、違ってくるのに…。

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 “夢に閉じ込められた人々を、その夢に入り込んで助ける”という展開もまた、実は黄金パターン。
 黄金パターンを用いるのに本当に大切な事は、“物語に組み込みつつ、その中で登場人物達の心をどこまで生き生きとリアルに描写できるか”です。その意味では初回・第二話に比べて、今回は抜きん出ていました。
 前回日記で触れた『神王伝説クリスタニア』も、夢世界に入り込む展開です(←こちらは アニメ化 しています。溶け合う深層心理の夢世界がなかなかグロテスクでした)。

 今回の話、人によっては 『鏡の国のアリス』 (ルイス・キャロル著、『不思議の国のアリス』の続編)のラスト(『これは自分の夢? それとも白のキングの夢の中に自分がいるの?』)を思い浮かべるのでしょうか。

 また、手元にある小説なら、シェアードワールドノベル 『百鬼夜翔 真夜中の道化師』 表題作(救いと信じて、人間を夢に閉じ込める妖怪の話)、同 『百鬼夜翔 白昼の冥路』 表題作(白昼夢に取り込まれた人間の物語)が近いかもしれません。
 ちなみに 『ガープス・妖魔夜行リプレイ 戦慄のチェスゲーム』 の第二話『悪夢の化け物屋敷』では“クトゥルフ神話のガグVS.善玉の獏”という展開が見れます(夢に取り込まれた妖怪達が人間になる展開もあり)。


 でもやっぱり、私が一番近いと思うのは、 『はてしない物語』 (ミヒャエル・エンデ)の後半ですね。
 『主人公の少年が亜空間に飲み込まれ、安易に夢を叶えるうちに自分を見失う』姿と辿りつく結末に、当時の私も号泣しました。今回の話が気に入った方は、ぜひ読んでみてください。
 そして、この物語を読んだ人なら“このドラマもまた『自戒』を込めて作ったんだ”と気がつくと思います。

 ドラマもまた、一歩間違えれば『夢現寺』と同じ存在に成り下がり、現実の人々を取り込んでしまうのですから。

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 今回、何が嬉しかったといって、
「中国原産妖怪が来た!」
に尽きると思われます。ドラマのオリジナルもいいのですが、中華ファンタジー好きとしては、やっぱり有名な中国妖怪も見たいところ。
 日本でも獏はすごく有名ですよね。また、伝承の獏にそっくりな事から名づけられた“バク”という動物もいますしね。

 獏は基本的には、白と黒に塗り分けられ、『象のような鼻、サイのような目、牛のような尾、虎のような足を持つ』たずんぐりとした幻獣というイメージで統一されていますね。ドラマでも、役者さんのメイクにそれが反映されていて、すごく良かったです。

 昔は竹を食べるといわれていたそうです。でも悪夢を退ける「バクキ」と言う神の伝承と混同されて、それ以降は『悪夢を食べる妖怪』といわれるようになったとか。
 『夢を見ているとき、人間の魂は乖離する』と、昔の中国や日本で考えられていたのは本当です(この辺りの描写もドラマに反映してましたね)。そのため、悪夢に魂を脅かされないよう、枕の下に獏の絵を敷く習慣があったそうです。

 現代の創作には悪役の獏もいるようですが、善玉として描かれることの方が圧倒的に多い妖怪です。

 ちなみに検索などで調べては見ましたが、『現実を食べる獏』『夢を食べる獏』の種類は、ドラマのオリジナル設定で間違いないでしょう。

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 今回は敵妖怪の行動原理が『自分の欲』なのか、『慈善』なのかちょっと曖昧でしたね。でも自滅を狙う辺り、そんなに悪い妖怪ではないのかもしれません。
 (間違った慈善行為もまた、事件の発端として用いられることが多いです)
 この逮捕劇なら、後半に“罪償いとして力を貸すため”に再登場させやすいですね(…というか、再登場させて普段の性格の描写を増やしたい…)。
 確かに能力的には使いづらいけれども(笑)、“誰かが死ぬ間際に、いい夢を見させてあげたり”とかはできると思います。

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 追記。
 『月刊テレビジョン』3月号(1/26-2/28のテレビ欄が乗っている号)には、“龍が出る”らしき表記があります(香取君インタビューより)。それが本当なら、すっごく嬉しい!
 個人的には“蛇or鯉が昇龍→白龍”の過程が見たいけれど…それは無理かもしれないな(遠い目)。


 それと同雑誌には、草なぎ君より「敵役で出たい!」とのコールがありました(それを読んだ途端、惚れ直した)。いや香取君もさすがに「休め」とは言ってましたが…。

 草なぎ君ならガンガンに殺陣をやって欲しいですね。
 悪役も『黒島男』(『恋におちたら』の主人公が、暗黒面に落ちた状態)か、あるいは感情を全て削ぎ落とした戦闘マシーンのような演技がいいかな?
 かって『井原満』(『フードファイト』(日テレ系)の主人公)を演じた彼に、怖い設定は無い(←言い切るなっ!)。

 『SMAP×SMAP』では稲垣君から「出たい」コールがありましたね。やっぱり巫蠱(仙薬を調じる術)術師か、天孤の役で人間を誘惑する役が似合うかな。
 誇り高く、人間を侮蔑するぐらい突き抜けるといいかな。そして人間を尊敬する悟空と思いっきり対決して欲しいですね。

 後は中居君、あなただけです!





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Last updated  2006/01/25 04:59:28 PM


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