GOlaW(裏口)

2006/01/25
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カテゴリ: 西遊記



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「や、やっちまったのか! 坂元さん(噴く)!」

 というわけで、今回は獏の台詞や悟空の啖呵に出てきた“鬼”の定義についてお話したいと思います。
 …確信犯でこの言葉を使ったとは分かってますけどね…(汗)。

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 仏教伝来前の、そして中国人に深く馴染んだ死生観とは、
「人は死んで“幽鬼”という不可視の存在となり(←人の形をした魂)、陰界に下る。
 そして再び生活を開始する」
というものです。
 “あの世の裁き”や“地獄の悪鬼”、“天国(中国では天堂・ティェンタンと言う)”の概念は全て、仏教がもたらしました。
 しかし仏教が浸透した後も、もともとの死生観は消えません。
『中国妖怪伝-怪しきものたちの系譜』 のP164-194を参照)


 そして“鬼”という呼称も、現在でも“幽鬼”を指す言葉として用いられています。
 もちろん、日本人が考える“鬼”に近い存在は無いわけではありません。しかしそれも、あくまで仏教を介してインドの妖怪・羅刹(ラクーシャ)や夜叉(ヤクシャ)が伝来したものです。


 これらのことを併せると、ドラマの中の悟空の啖呵は、
「皆に本当の事を教えるのが羅刹だって言うなら、俺は羅刹でいい!」
が正しいのかもしれません。
 …でも、羅刹でぴんとくる日本人なんて少ないですし(汗)。だからあえて、間違った表記で通したんだと思います。(中国放送の時はちゃんと“羅刹”に訳し直しているんでしょうね)


 ちなみに現在、中国では度を越した執着を見せる人を「──鬼」というのだとか。
 沙悟浄の場合なら『色鬼(スーユエ)』ですね(微笑)。
(中国の鬼に関しては、 『中国妖怪伝-怪しきものたちの系譜』 のP33-38を参考にしました)

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『鬼・雷神・陰陽師 古典芸能でよみとく闇の世界』 のP194-を。

 日本語の『鬼』の訓読みは、もともとは“隠(おぬ)”から転じたもの。やはり最初は『不可視の存在』として表されました。
 そして陰陽師のみがその存在を卜占で見つけ出し、祓うことができたと言われています。

 しかしいつしか、その姿を描写しようという動きが始まるんです。そのときには日本でも、仏教の羅刹や夜叉の描写が加わりはじめます。そして鎌倉時代には今のような姿となったと言われます。


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 このように日本人が考える“鬼”と、『西遊記』が書かれた時代の人が考える“鬼”ではまったく定義が異なります。
 そういった文化の違いなども考えながら見るのも、やっぱり楽しみの一つだと思います。





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Last updated  2006/01/25 07:43:43 PM


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