GOlaW(裏口)

2006/02/08
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カテゴリ: 西遊記
 人の体もまた、陰陽五行の支配下にある。

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 ということでまず最初は、『中医学』(中国古来からの医療)について考えることにします。


 毎回、一長一短の『西遊記』。
 今回は演出家さんが澤田さんから成田岳さんに代わり、シーンの挿入の仕方がすごく良かったです(過去のドラマでは『恋におちたら』の 第三話 第七話 担当。やはり専門家からは『トンデモ設定』と言われるドラマの中で、主人公の“ダークサイド堕ち”を見事に演出しきってくださった方でもあります。この方なら、ファンタジーにも向いてる!)。
 坂元さんの脚本では30-45分までが硬直状態に陥りやすいのですが、今回は演出家さんがその硬直を上手く支えていたと思います。
 また、今回は悟空の生まれと今回の主題を上手く絡めたため、比較的落ち着いて見れた気がします。

 とはいえ、『脚本を練る時間が無い』ことが露骨に分かってしまった(全員の出番配分や、台詞の配分)のはマイナスですね(頭痛)。
 次の月9『トップキャスター』に脚本スタッフが連投、そちらの検討と同時作業になってしまっているのでしょうね。


 …だだでさえ『異世界物』は捌くべき情報量が多いんですよ。連投だけは控えてください、フジテレビ編成部様…(汗)。 

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>「病原菌よ(by凛凛)」

 …………………机に突っ伏しました(虚ろ)。

「『病原菌』の概念を発見したのは近年、それも西洋のパスツールだって!」
 そんな一般教養レベルで突っ込まれる表現をしますか!?
 …もう『なんちゃって中華ファンタジーですから』と開き直るスタッフの声が聞こえましたよ…(泣笑)。

「じゃあ…中国風ファンタジーではこの状況をどう描写するのかな」
 突っ込みの後に、私はそう思いました。
“疫病がはやるのは、妖怪が撒き散らすから”
“巫蠱の邪仙が『疫病を引き起こしたり、同じ症状をもたらす』蠱毒を作り出し、瓢箪などの仙宝に詰める”
 という二つのパターンでしょうか。


 まぁ、現実でも『高熱・発汗・吐き気や腹下し・眩暈…etc』の症状を出す毒はいくらでもありますしね。


 中華風の世界観を壊しても、それでも『病原菌』という言葉にしなくてはいけなかったのか。
 その理由は分からないわけでは無いんですよ。
 “『毒で病気と同じ症状を…』などというと、模倣犯が出るんでは?”、“疫病や伝染病という言葉、今はNGワードだし”という風潮も、確かに存在しますから。

 でも、それらのリスクを恐れたら、こう言った『事件解決物』や『中世中国の世界』なんて描けないとも思います。

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 一般の人間はどの程度まで“疫病の概念”を持っていたのでしょうか?
 漢方学の基礎講座を受けたり、東西の薬学の歴史を調べたのはかなり昔なので、記憶もあやふやなのですが…(←これのおかげで『鬼塊術局』のネタを思いついたともいう)。

 中医学は『陰陽五行思想』に基いて、その理論を組み立てました(正確かつ詳しくは 漢方医学概説 ウィキペディア を参照ください)。
 つまり『魔術的な背景』を持つ医療ともいえるでしょう(それを言うと、西洋医学も医療の神ヘルメスや、その娘である薬の女神を崇めながら発達したわけですが)。
 『仙術』に通じるならば、それを心得ている悟空や悟浄も、ある程度まで理解できるのでしょう。

 しかし当時の中国では『疫病は感染するもの』というよりも『妖怪が巻き散らかすもの』という認識の方が強かったのでは? 昔の中国の妖怪話などを聞いている限りでは、そんな印象を受けました。

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>「原因を究明してくださるから!」
 漢方医学とは概念的な部分が先行し過ぎ、あまり原因解明には向いていません。

 いや、むしろ漢方医学と西洋医学の決定的な違いは、病気に対するスタンスといえます。

西洋医学 → 宗教的な束縛を逃れた後、『原因究明と病気の理論』を解明することに特化。
漢方医学 → 何よりも『個々の患者の症状』に向き合い、それを緩和する事に特化。

 このため現在の『患者一人一人の尊重』の風潮により、漢方医学の見直しが始まっています。

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 薬関係、として『乳迦果(チチカカ)』もあげて置きましょう。
 昔、中国では『桃』が尊重され、特殊な桃は天界の食べ物と言われていました。『西遊記』の原作にも、寿命を延ばす桃が出てきますよね。
 今回の『乳迦果』も、原作に出てくる特殊な果物の数々を参考に作られたんでしょうね。色も桃にそっくりです。

 磨り潰して絞る過程には、
「昔の中国の医者も、こんな風に薬を作っていたのかな?」
なんて想像しながら魅入ってしまいました。

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 半妖怪的な薬や、幻の果物の伝承は世界各地にあります。
 また古今東西の薬や医術史にも、意外な発見があるかもしれません。
 お暇だったら調べてみるといいかもしれませんね。





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Last updated  2006/02/08 10:29:44 PM


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