GOlaW(裏口)

2006/02/08
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カテゴリ: 西遊記
 信じること、それはただ待つことなのだろうか?

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 さて今回は『パーティの別行動』について語りたいと思います。

 “凛凛の説明口調が過去最大級に多かった”とか“三蔵と八戒と悟浄が全く何もせず”とか“仲間がテーマなのに、その重要性が一切感じられない”とか、それらの指摘はすべてここに集約されると思われます。

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『まるで、GM(ゲームで物語の基幹を定める役割の人)が、ネタを丸投げにしたため、プレイヤー(キャラクターを動かす役割の人)達が硬直しているみたいだ』
 某掲示板でのその書き込みを見たとき、今回の問題点が全て見えた気がしました。

 事件のネタがまずありき。でも解決法がまるで見えなかったのが伝わってくるんです。
 (『TV JAPAN』の坂元さんインタビューにもあったように、『三歳の愛娘に見てもらいたい!』というのが脚本家さんの執筆動機ですし。このネタは是非やりたかったんでしょうね。)
 もちろん、ネタに対して真摯に向きあい、妥協せずに解決策を探ったのも良く分かります。
 でもネタに向き合うのに精一杯で、悟空の取った手段以外の解決法を見出す事ができず、他の面子の背景や思考にまで思考が追いつかなかったのも伝わってきてしまいました。

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「だから、この時に○○を××させて…!」

 なぜなら複数のキャラクターを別行動させ、なおかつそれぞれに見せ場を作るのは大変だからです。
 それは『二つ以上の解決策を同時進行で走らせる』という、二本の話を考えるよりも難しい作業なんです。

 坂元さんは基本的に恋愛物のドラマが専門で、ミステリやホラーも数えるぐらいしか書かれたことがないのかな。せめて刑事物を書かれたことがあるなら、解決方のテンプレートがある程度まで応用できたのですが(残念)。

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 『パーティの一人一人に、物語に関わる動機を持たせ、なおかつそれぞれの立場から別々に行動させ、適度に情報交換させつつ、最終的に一つの収束へ走らせる』。
 “このスタイル”のドラマは過去にも沢山ありました。
 有名どころでは時代劇の『三匹が斬る!』(テレビ朝日系)シリーズがそうですね。他にも私の大好きな(そしてある意味では心の師匠でもある)『ハングマン』シリーズ(テレビ朝日・松竹芸能製作)もあります。変則的なところでは『ショムニ』(フジテレビ系)も入りますね。
 このパターンでは“それぞれの動機により衝突、そして和解”が繰り返され、その中で友情やプロ意識が垣間見えます。

 『仲間』というテーマを上げる『西遊記』では、“このスタイルを如何に使いこなすか”で命運が分かれるでしょう。
 ただ、このスタイルは難易度が高いです。自滅していったドラマも数多く観ました(…あえて名前は挙げませんが、私も泣く泣く途中脱落しましたっけ…)。
 坂元さんにとってはかなり高いハードルだと思われます。実際、現時点では『第二話』しか、このスタイルは成功していませんから。
 しかし、彼自身が掲げたハードルです。これからに頑張ってもらいましょう(←いや、死ぬ気で頑張ってください。全霊を掛けて懇願します)。


 しかし私が“分離スタイル”を意識するようになったのは、三年前ぐらいに 『ダブルクロス』 などの“シーン制”TRPGに出会ってからです。
 その後、WebにUPされたTRPGリプレイを500本ぐらい読んだり、改めて『ハングマン』の再放送を見たりして、ようやくその創作技術が理解できるようになりました)

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 まず、シナリオと事件を思いつきます。
 そしたらその事件に関わる全ての要素(事件の原因・起こった現象・当事者一人一人の設定・解決の糸口)を煮詰め、設定します。

 更に一人一人、ピックアップした要素と見比べ、起こす行動を予測していきます。

 そして全員の行動を、それぞれの視点や思考に基いて動かしていきます。
 平等にスポットを当てるには、“それぞれの立場のエピソードを、それだけで一つの物語ができるほどに掘り下げ、練りこむ”ことが重要です。

 ここで、こう言った世界での情報収集方法の知識や、妖術の使い慣れをいしていないと、まずきつい。結局推理と、解決法が思いつかず、結局メンバーが地蔵のように固まる事にもなりかねません(だから原作や関連書籍の読み込みは重要になります)。

 そして時間があるならともかく、限られた執筆時間でメンバーの行動を管理しようとすると…頭の中が多重人格になった気になりますね。
 (一人に一枚ずつ、徹底的に練りこんだ背景情報と技能の用紙を作り、それを見比べながらやると大分負担が減ります。…でもそこまで練ってなさそうですしね…。)
 一つ一つの発言を慎重に管理し、背景を込めた言葉を一つずつ言わせるだけでも、互いに個性が引き立ち始めます。

 …パーティ物の物語作りに慣れないうちは、死にます(経験者談)。

「一人動かすだけで死ぬ~!」という坂元さんの悲鳴が聞こえてきそうですね…(遠い目)。

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 また、今回の役回りで一番の被害者は、実は凛凛かもしれませんね。
「情報の渡し方とか、推測のさせ方が分からないから、とりあえず彼女にしゃべらせとけ」
という脚本家の思惑がはっきり分かるんですよ(頭痛)。
 …中華ファンタジーとか、ライトノベルとか、読み込んで自分の中に展開の雛形を作っておいてくださいよ(凹)。

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 それではどうすれば、メインの話を壊さずに残りのメンバーを活躍させられたのか。
 それは次の(その四)でまとめて突っ込んでおきたいと思います。





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Last updated  2006/02/11 08:53:06 AM


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