GOlaW(裏口)

2006/02/09
XML
カテゴリ: 西遊記


 心の隙間を、自覚させるものは。

 認めてしまえば、心が壊れてしまう。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 第五話の感想、最後は『悟空の順順に対する態度』について語らせていただきます。
 “子供に対して、全てを無条件で許し、受け入れる(受容する)存在が必要である”、とは『エンジン』の感想( 第一回 他)で散々述べましたね。
 『孤児の孤独』については繰り返しになるので、ここでは省略します。

 …ところで、例えば“悟浄が順順に「今日、先生のところに奴隷商人が来るぞ」と囁く”展開だったら面白かったのに、と思うのは私だけでしょうか。
 ほんとにそうなってたら、確実に悟浄が悟空にぶっ飛ばされていると思われますが。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 今回、すごく印象に残ったのは『悟空が順順を責めなかった』ことでした。
 ある掲示板で“今回の行動は、『第一話』や『第二話』で悟空が許す事を覚え、『第三話』で歪んだ夢にしがみ付く愚かさを覚えたから”という解釈の書き込みがありました。
 それを見たとき、すごく納得しました。


 でもそれ以上に大きな理由があるとも思いました。
 つまり『過去の自分』を順順の中に見、共感してしまったんでしょうね。
 共感できるからこそ、“相手(過去の自分)が水面下で望むどおりに行動しようと”としたのでしょう。

 共感は、カウンセリングでも基礎となります。そして自分の心の暗い部分に向き合わせるには、その苦しみを一緒に引き受ける覚悟が必要となります。
 かつて、同じ苦しみを乗り越えた悟空だからこそ、その苦しみを受け止めることが出来るんです。

 これまでの回(第三話除く)の悟空の説教には、“相手への共感”が全く感じられませんでした。それが台詞の長さと相俟って「痛いな…(汗)」と視聴者に感じさせます。
 でも今回は“相手への共感と受容”を感じさせ、それが説得の言葉に命を与えていました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 順順はこれまで、“他人が親を必要とする気持ちを、自分の痛みと共有させて”、なんとか支えていました。

 ところが突然現れた悟空に、順順は必死で抵抗します。
 『理論』や『自己欺瞞』、『相手への批判』を駆使し、必死に心の壁を築こうとします。

 何故なら、“悟空を受け入れることで、親を必要とする自分を認めてしまう”からです。

 順順もそのことには気づいていたのでしょう(順順役の少年の演技は、見事にその揺れを演じていましたね)。

 もともとの動機が“他人が困れば、自分の苦しみもましだ”という、非常に“幼い”ものなんですよね。ただ“被害は彼が存在する社会全体に波及している”ため、その罪を受け止めきれるかが問題です。
 不用意に自覚させれば、順順は自暴自棄になる恐れもありました。

 そんな二重苦を自覚し始めた順順に対し、悟空はその両方ごと受け止めます。
 その上で傍に居続けようとします。


 もちろん現実のカウンセリングには、こんなに急激で劇的な効果はありません。でも、今回に限って言えば正しい説得法だったといえるでしょう。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 今回は悟空の“瓢箪のあった場所を見つめる時の、辛そうな表情”や、“凛凛が真相を語る時の、沈んだ表情”などがすごく良かったです。
 過去の自分を語る時の、“過去の荒れ狂った様子”も窺わせる口調も、
「おめぇが作った仕来りだ。おめぇが壊せ」
という力強い言葉も、素直に受け入れられました。

 それらのすごく良いシーンがあっただけに、他の三人が冷やかし以外の行動を起こさなかったのが悔しかったです。
 悟空が順順を思う気持ちを、それぞれの考えから揺さぶる事も出来たはずなんです(特に悟浄…。涙)。そうやって根本的な考え方をぶつける事で、互いのキャラクターの描写を深め、更なる魅力を引き出すこともできたでしょう。
 そして数々の諌めを跳ね除けて、それでも順順を思う気持ちを描いて欲しかった。
 悟空への諌めが三人揃って「病は専門外」のワンパターンだけでは、あまりにつまらない。独断場だと言われても、反論しようがない。

 今回は悟空のキャラクターを立てる、という意味でも、主題を引き立てるという意味でも、もう少し練りこむ必要があったと思います(滝涙)。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 話は変わって。
 凛凛の正体について、あれからかなり悩んだんですよ。その挙句に『 凛凛は、南遊記(西遊記の亜流)に出てくる悟空の娘がタイムスリップしてきた !?』という可能性まで考えてしまいました。
 …そこまで妄想したら、 『ルナルサーガ』 シリーズの読みすぎですから、管理人。いくら『 血の因縁 』ネタが好きだからって…(をひっ)。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 次回は『鶏の国』。
 このタイトルと次回予告の“明らかに操られている様子の悟浄と三蔵”を見て、この管理人が思うことは一つ。
「幻翼大王、戻ってこーいっ!」
 第一話冒頭の悟空の啖呵と照らし合わせても、可能性は高いですよね。
 変則ダンジョンものの次回、密かに楽しみにしております。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2006/02/11 10:19:22 PM


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

Free Space

 こちらはSMAP、ケディ・ティン、チェヨン(ジニー・リー)ファンの管理人によるHP、
GOLAW の裏口になります。
 よろしければ正面玄関にも足をお運びください。

 なにかあれば、Web Crapでお知らせください。(ブログコメント欄は閉じています)

西遊記関連の記事一覧
その他のドラマ記事一覧



このブログおよびHPの画像は全て 素材サイト様 のものです。無断使用禁止。

Calendar


© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: