GOlaW(裏口)

2006/03/15
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カテゴリ: 西遊記


──『我々よりも立派で優れた弟子』だって?
 悟浄は心の中で自嘲し…泣いた。


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 ということで、『展開へのツッコミ』第二弾行きます。
 今度は“受動的な三蔵一行”についてpart1。悟空と悟浄をメインに語ります。

『第五話のその三』 で散々突っ込んだ内容に、今回は思いっきり引っかかるんですよね。
 三蔵一行と、凛凛の結婚話があまりに絡まないため(悟空にしても、前半はただ“いる”だけ)、“彼らの感情の起伏や葛藤”をドラマとして楽しみ損なったのを感じます。

 “己が背負う星”という言葉に、凛凛サイドと八戒&悟浄サイドの二つの葛藤を掛けてはいるんです。
 しかし、それにしても『一行』と『宮廷劇』が絡まないために、二つの葛藤を掘り下げそこなった気がします。
 ここは脚本に頑張ってもらって、更なる相乗効果を狙って欲しかったところです。

 それでは、『第十話』の完成度を上げるには、“どこが『鍵』であり『分岐点』であった”のか?


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★1.宮廷陰謀劇と『また旅物』を絡める

 宮廷陰謀劇に『旅の一行』を絡めるのは、実はすごく難しいと思います。
 TRPGのゲームマスターが『宮廷陰謀物』のシナリオを作るとき、よく導入に頭を悩ませられますしね。
 今回、それに関しては『凛凛のコネ』で解決しています。

 賓客扱いなので、王城内を自由に行き来できるのもすごく良かったですね。これにより、“王城の人間と自由に接触して情報を引き出したり”、“陰謀を盗み聞きしたり”、“隠した毒物などを見つけたり”などの展開ができるようになります。
 しかし、その“賓客扱い”を上手く使えたのは『八戒の赤ちゃんの暴走後』だけなんですよね。それが惜しいです。

 悟空をはじめとした一行は『天竺に妖怪が行けない』という衝撃に打ちのめされ、確かに『他所の国のお家騒動』どころではありません(苦笑)。
 ですが、それならそれで物語と絡めようがあるのでは?

 鍵となるのは『悟浄の負傷』と『八戒の妊娠』、「婚礼の儀は三日後だから(by凛凛)」。
 それだけあれば、ちゃんと『宮廷陰謀劇』に一行は絡めます(キッパリ)!

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★2.悟空、媚薬に正気を失う

『第一話その七』 でも触れましたが、スタッフは『ルパン三世 カリオストロの城』を意識しまくっているのが良く分かります(苦笑)。
 でも自分はその『カリオストロ』の前に『怪盗ジャンヌ』とか『D・N・ANGEL』とかを連想しました。そして、
「『あなたの心、いただきます』の類って、怪盗アニメ物の定番台詞だよね…」
と思ってしまいました。
 …アニメオタク気質、未だに私の血の中に残っている模様(凹)。




 悟空の台詞として、最低限必要である「おめぇは泥棒女だ。その方が自由でもっともおめぇらしい」という台詞はあるんですよね。
 この台詞で『仲間だったお前は大切だ。そして、お姫様になる必要も無いだろ?』という想いを端的に示しています。
 ただ、もう一捻り欲しかったですね。


 媚薬の効果を『凛凛を見ていなければ、なんとか理性が保てる』ぐらいに減少させるべきだったと思います。
 その上で“止む無く婚礼の儀に参加”という風に持っていくべきだったかな。
 そして理性が吹っ飛んでいる間に『姫としての凛凛』の行動を三日間観察させ、理性が戻っている間にその意味を問い直させれば良かったと思うんです。

 悟空は最初から自分の中に答えがあるんですよ。だから葛藤も無いんです。
 しかし、『葛藤無しに導き出された啖呵』よりも、『葛藤の末に導き出された啖呵』の方が劇的ですよね。

 理想としては次のようになりますね。
 『中盤での説教シーン』や『婚約者出現シーン』をすっぱり切ります。
 『凛凛の姫君としての資質』や『滅法国の混沌さ』を悟空の目のあたりにさせ、悟空に考えるチャンスを与えます。
 その上でクライマックスの啖呵を切らせた方が良かったと思います。

 凛凛の姫君としての資質については、『風の谷のナウシカ』路線で行けばいいかと思います(←実も蓋も無い)。 
“粗暴にして因縁の深い臣下同士の乱闘に、身を持って割り込む。
 両方の剣を鉄扇で受け止め、睨みを利かせて収める”
などというシーンがあれば良かったと思います。

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★3.悟浄の皿

 …日本古来の伝承に曰く、『河童は皿が割れたら死ぬ』んじゃなかったかな(おひっ)。

 実際のところ、“老子にぶっ飛ばされるシーン”と『エロ河童モード』以外では活躍できなかった悟浄。
 しかし今回のような物語でこそ、彼は活躍すべきだったと思うんです。


A.皿の負傷

 今回のメインイベントである『凛凛母娘の復活』の複線にすべきである“皿の負傷”がギャグ扱いだったのは残念ですね。
 この辺りは 前回の記事 でも触れているので、ここでは省略します。

 また、悟浄が女医にしか手を出していないのはおかしいですよね。
 他の女官にも手を出しまくり、その結果としてたくさんの情報を手にして欲しかったです。
 やっぱり、情報を集めるには『社交的(単なる女好きともいう)』な悟浄に動いてもらわないとね。


B.傷心で中庭に。

 『天竺の真相』が明らかになった時点で、悟浄と八戒はそれぞれ別行動をしているんですよ(この二人の傷心が、ここでしか描写できないのは辛い)。
「老子様に頼んで、優れた弟子を遣わしてもらってください」
 これが彼らの精一杯の虚勢であり、三蔵に対する思い遣りなんですよね。その虚勢の反動で、血を吐くような嗚咽をする悟浄と八戒も観たかったです(遠い目)。

 彼らは中庭に行きます。
 これを単なる『場面からの退場』として扱うのではなく、『パーティの分離』として利用して欲しいのです。

 沙悟浄の性格から言うと、『犬魔将軍』と絡むのが一番良いと思われます。
 犬魔将軍の『見せ掛けの忠実さ』を強調するも良し。あるいは『根底にある人間侮蔑』を前面に出すも良し。
 どちらにしても、きな臭さを悟浄に嗅ぎ取らせると良かったと思われます。

 悟空のシーンでは、犬魔将軍をちら見せし。むしろ悟浄の立場から、『婚約者』を観察させると良かったのでは?
 悟空へ『犬魔将軍はきな臭い』と警告させる事で、より悟空の葛藤も深められたと思います。

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 八戒・三蔵については次の記事で語らせていただきます。
 悟空・悟浄の両方において、描写不足を感じました。
 もう少し頑張って欲しかったです。





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Last updated  2006/03/18 10:05:43 PM


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