ホスピスの日々を共に生きて～死を受容し、死が怖くないはずがない！

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August 31, 2017

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カテゴリ：ホスピスの日々を共に生きて～

ホスピス３３日目　

昨夜は一晩中痰の吸引で看護師さん達にお世話になった。痰と言うより胃からの逆流物であり

それが気管の口を塞ぐらしい。眠り薬が途絶え吸引時は激しく抵抗せり。酸素濃度も下がり、

90以下から90、92と上昇なれど酸素マスクを使用。眠り薬で再び眠る。

ＡＭ　10:00

院長不在のためＫ医師来室。鼻チューブを使うことを勧められる。今日の看護師はＹさん。

彼女は緩和ケア認定看護師、とても心強く信頼できる。

夫の最後までのプロセスについて色々聞かせてもらう。

全身倦怠、異物の逆流による誤嚥性肺炎のリスクなどについて話を聞く。

私としては苦しまずに逝って欲しいこと、スタッフの負担が過重にならないことを基本に

考えてほしい旨お願いする。セデーションについても話す。

ＡＭ　１１時少し前

寝息を立てて気持ちよさそうに眠っている。今日は何時に正気になるだろうか。

またまた眠り、正気の状態で目覚めたのは２時すぎ。

体を拭いてもらい、床ずれの薬を取り換えてもらう。今日は自分で痰を吐き出すがすべて

胃液のようだ。

ＰＭ　4:12

「今朝起きた時（といっても２時であるが）今日、死ぬのだな～と思った」と夫はいう。

どうりで「長いこと、ありがとう」と夫は言ってたな～・・・・。

「昨夜の話の続きだけれど」夫婦の年輪の事を話しながら二人とも眠ってしまったが

まだ続きがあるらしい。

だいぶ前に「いい逝き方、死に方ができればいい」と夫が言ったことがある。

その時に夫が何か言いかけて会話が途切れたことがあった、それを言いたかったらしいが

昨夜は二人とも途中で寝てしまったので、夫が私に言いたいことが昨夜も途切れてしまった

と言うわけである。

「先日、話そうとしてうまく言えなかったのはこのことだよ」と話しだした。

「いくら仲良く５０年連れ添った夫婦でも最後には憎みあう言葉を吐いてしまうこともある

のでそうならないうちに早く死にたいと思う」と言う。

「自分を失うことなく、自分らしく逝きたい」と夫はいつも話している。しかし、

死に至る肉体的な苦痛の激しさで自らを律することができなくなり人格崩壊となり、

自分らしさを維持できなくなるのではないかという恐れを話しレターに綴ることがあった。

夫のいう「人格崩壊」とは、この自分が自分でなくなってしまうことなのだからそれは

とても恐ろしく怖いことであるはず。しかし、夫は死が怖いとは口にしない。

「自身の死を恐れ、怯えるようになるのはおそらく身体的に決定的な変調が現れた時」と

言っていた夫、すでに決定的な変調が現れているのが夫の現実でありながら、

少しも死についての恐怖を表すことがない。「生死は天に任せるしかない」それを確固たる

諦観とし得たのだろうか。　死を受容できるが死に至るまでの生き方が彼にとって

重大事なのかもしれない。

いや、死を容易に受容し、死が怖くないはずがない！と私は思う。

「いい逝き方ができればいい」「そうね、苦しまないでね」などと

言って応じていた私だったが夫の「いい逝き方とはどのような死に方」という事なのだろうか、

「夫の望むいい逝き方？」？？？

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