─ 灼熱 ─

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2005年12月20日
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アントニオ・ファツィオ総裁 が辞任したそうである。この問題では、既に8月頃からファツィオの辞任観測報道が流れていた。シルヴィオ・ベルルスコーニ首相もジュリオ・トレモンティ副首相もドメニコ・シニスカルロ経済相(当時)も、「ファツィオ総裁は辞任すべき」だと発言していた。



「辞任すべき」の声が大きくても、イタリア銀総裁の任期は終身なので解任できない。つまり、中央銀行の政府からの独立性が壁になり、事実上、手が出せないのである。






8月30日、イタリア中銀関係筋は、ファツィオ総裁辞任の観測報道を否定した。

9月2日、イタリア内閣は、総裁の任期を他のヨーロッパ諸国とほぼ同じ7年に短縮するなどを含むイタリア中央銀行の改革案を承認した。しかし、任期短縮はファツィオ総裁には適用できない。

9月22日、ドメニコ・シニスカルロ経済相が「ファツィオ中央銀行総裁のインサイダー取引疑惑」に言及しながら“抗議の”辞任をした。同22日、カルロ・アツェリオ・チャンピ大統領がドメニコ・シニスカルロ経済相の後任にジュリオ・トレモンティ副首相を任命。ロベルト・カステッリ法相は、「われわれの(ファツィオ総裁に対する)態度はずっと明らかだ」と述べ、一連の報道に不快感を示した。また、ファツィオ総裁が 政治的陰謀 にさらされているとの見方を示した。

9月29日、イタリア銀行総裁の任免を握る中央銀行最高会議は、 総裁信任 の結論を出した。中央銀行の独立性を保つために総裁の任免権は政府になく、辞任論に傾いているベルルスコーニ首相は「 やれることはない

10月にはECBが、11月には欧州委員会が、ファツィオ総裁の“疑惑”に関して重い腰を上げそれぞれ動きだした。

12月13日、欧州委員会は、外資によるイタリアの銀行買収を不当に妨害したとして、ファツィオ総裁を訴追する法的手続きに入った(と報じられた)。EU域内の自由な資本移動を認めた法令に違反した疑い。イタリア当局が適切な対応をしなければ、欧州司法裁判所に提訴するとした。

12月14日、イタリア国民銀行(BPI)の ジアンピエロ・フィオラニ CEOが株価操作の疑いで逮捕された。イタリアの捜査当局は14日、BPIによるアントンベネタ買収に関して、不正な相場捜査があったとして逮捕したフィオラニCEOなどBPI経営幹部や同銀行の家宅捜索を行った。

12月16日、ベルルスコーニ首相はファツィオ総裁が辞任することを望んでいるとし、来週の閣議でその旨討議すると述べた。同総裁が辞任すべきかとの問いに、ベルルスコーニ首相は「 辞任すべきだというのが首相としての意見だが、希望にすぎない 」と語った。イタリアの2大紙は、16日付で、ファツィオ総裁がインサイダー取引の容疑で司法当局の捜査対象となっていると報じた。フィナンシャル・タイムズによれば、捜査においてファツィオ総裁が長年にわたりフィオラニCEOから贈答品を受け取っていた事実が判明した。

そして12月19日、とうとうファツィオ総裁が辞任した。正確に言うなら「辞任に追い込まれた」。ファツィオを追い込み辞任が実現したのだから、これはベルルスコーニ首相側が勝利したと見てまず間違いないだろう。勝利した側からみれば、これでドメニコ・シニスカルロ前経済相の「抗議の辞任」も報われたことになるのだろう。

それにしても、ベルルスコーニ首相たちは、なぜここまでファツィオを追い込む必要があったのだろうか。日本でも 先日みられた ように、多くの政府が中央銀行とは対立する。ベルルスコーニは、 今年のフォーブス によると資産120億ドルを持つ世界で25位の富豪であり、さらにいえばイタリアの報道を牛耳る “メディア王” である。


12月16日、イタリアのベルルスコーニ首相(写真)は
同国中銀ファツィオ総裁の辞任を望んでいると表明




ベルルスコーニは、終身だった中央銀行総裁を辞任させることでなにを企んでいるのだろうか……。



※ 過去の関連記事をアップしておいた。

ファツィオ中銀総裁が辞任
http://blog.livedoor.jp/ayaka222a/archives/50262669.html

Banca d'Italia(Bank of Italy)
http://www.bancaditalia.it/



イタリアのファツィオ中銀総裁が辞任―権限めぐる刑事捜査は進行中 (ブルームバーグ)


12月19日(ブルームバーグ):イタリア銀行は19日、ファツィオ総裁(69)が辞任したと発表した。同国の銀行買収における同総裁の権限問題が刑事捜査に発展するなかでの辞任となった。

イタリア中銀は発表文で、「潔白な心の下で行われた同決意は、イタリアとイタリア銀行のため、静穏を取り戻すことを目的としている」とした。

ファツィオ総裁に対しては、アントンベネタ銀行をめぐる国内銀と外国銀による買収合戦で同国のバンカ・ポポラーレ・イタリアーナに肩入れした容疑で、ローマとミラノの検察当局が捜査を進めている。

http://money.www.infoseek.co.jp/MnJbn/jbntext.html?id=20bloomberg12aDO.H3rrP2wc



ファツィオ伊中銀総裁が辞任、職務権限めぐり刑事捜査進む(2) (ブルームバーグ)
2005年12月20日(火)04時25分

12月19日(ブルームバーグ):イタリア銀行は19日、ファツィオ総裁(69)が辞任したと発表した。銀行買収案件での同総裁の職務権限問題をめぐり刑事捜査が進む中で、ファツィオ総裁の辞任を求める圧力が増していた。

イタリア中銀は発表文で、「良心に基づく決断には、イタリアとイタリア銀行のため安定を取り戻す狙いがある」とした。ファツィオ総裁は1993年に、終身制の同職に就いていた。

ファツィオ総裁に対しては、アントンベネタ銀行をめぐる国内銀と外国銀による買収合戦の関連で、ローマとミラノの検察当局が捜査を進めている。同総裁は、蘭ABNアムロと同国のバンカ・ポポラーレ・イタリアーナとの買収合戦で後者に肩入れしたことが疑われている。

この発表を受け、イタリアのS&P/MIB指数は上昇。同総裁の辞任により、銀行間の買収が増え、投資家の信頼感も回復するとの期待から、銀行株を中心に買われた。

ジュリアス・ベア(チューリヒ)のチーフエコノミスト、ヤンウィレム・アケット氏は、「ファツィオ総裁は中立性を保つという黄金律を破った」とし、「イタリア中銀は汚点のない後任を就けることにより、同中銀の信頼性回復の機会を得た」と述べた。

後任総裁

エコノミストや政治家らはこれまでに、伊中銀総裁の後任候補として、欧州連合(EU)の行政執行機関、欧州委員会で競争政策担当委員を務めた マリオ・モンティ 氏や欧州中央銀行(ECB)理事を務めた経験を持つ パドアスキオッパ 氏、米ゴールドマン・サックス・グループの副会長を務めた マリオ・ドラギ 氏などを挙げている。

イタリア中銀の委員会によると、同委員会は20日に会合を開き、後任選定の協議を始める。

ベルルスコーニ首相は9月から、ファツィオ総裁がイタリアの信頼性を傷付けているとして、同総裁に辞任を要求していた。また、政府がファツィオ総裁を辞任に追いやれないことを不満として、シニスカルコ経済・財務相(当時)は9月22日に辞任。後任に就いたトレモンティ経済・財務相は、中銀総裁の終身制を撤廃し、次期中銀総裁から任期制を採用することに尽力した。

2001-2003年にわたりイタリアの経済財務次官を務めたビト・タンジ氏は、ファツイオ総裁が「辞任しなければならなかったことについて、何の疑問もない」とし、「同氏が有罪かどうかの問題ではない。同氏のイメージそのものがイタリアに対し大きな打撃を与えていた」と述べた。

http://money.www.infoseek.co.jp/MnJbn/jbntext.html?id=20bloomberg34asNmmkKS9qF8



イタリア中銀、ファツィオ総裁辞任を発表


12月19日、イタリア中銀はファツィオ総裁(写真)の辞任を発表した。
15日撮影(2005年 ロイター/Alex Grimm)


[ローマ 19日 ロイター] イタリア銀行(中央銀行)は、ファツィオ総裁が19日に辞任したと発表した。
ファツィオ総裁がインサイダー取引でミラノ検察当局の調査対象になっていることが明らかになったことから、同総裁の立場は危うくなっていた。
ファツィオ氏は1993年にイタリア銀行総裁に就任。イタリアの銀行バンカ・アントンベネタの買収合戦で、オランダの銀行ABNアムロより伊銀バンカ・ポポラーレ・イタリアーナに肩入れしたという疑惑をめぐり、7月に警察が同氏の会話を盗聴して以降も、総裁の座にとどまりつづけてきた。
(ロイター) - 12月20日7時5分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051220-00000494-reu-bus_all




前列、ファツィオとグリーンスパンFRB議長



ウィム・ドイセンベルク
http://plaza.rakuten.co.jp/HEAT666/diary/200509100000/

ユーロタワー
http://plaza.rakuten.co.jp/HEAT666/diary/200509140000/



※ 21日0時半、追加

トマソ・パドア=スキオッパ
http://plaza.rakuten.co.jp/HEAT666/diary/200512210000/







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最終更新日  2005年12月20日 08時01分43秒
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