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科学の進化で医療の本質が変わろうとしているですか? 変えようとしているのか?
どうあろうとも、患者さん、医療を受ける人にとって、求めるものに答え、安心を得られのものであるはずですね。
M3医療ニュースからです。
医療・創薬・健康に関する情報や研究活動の場の提供などを行うNPO健康医療開発機構は6月14日、 アイリス株式会社
の代表取締役を務める沖山 翔氏を招き、健康医療ネットワークセミナーを開催した。「医療とAI・ロボティクス ― 未来の医療を考える」と題した講演で沖山氏は、今後、医師は患者が本当に求める「価値」を汲み取り、患者に寄り添う能力が必要になるだろうと語った。AI、ロボット、VRで医師の能力を拡張する.
AI、ロボット、VRで医師の能力を拡張する
沖山氏は、これからの医療を変えるテクノロジーとして、人工知能(AI)、ロボット、バーチャルリアリティ(VR)の三つを挙げた。AIは、文章や画像といった大量のデータを分析し、統計・推論によって“最善手”を選ぶことを得意とする。この長所によって、AIを医療に導入することで問診や画像診断の質が向上するだろうと沖山氏は述べる。例えば今、Googleは1万人もの健常者の全ゲノム情報を収集する 「Project baseline」
を進めている。集められたデータはAIを用いて解析することで、健康な人が病気になる可能性を予測したり、疾患の発症を遅らせたりすることに利用できる可能性があるという。
次に沖山氏は、手術支援ロボット「ダ・ヴィンチ」の例を挙げながら、ロボットの応用可能性について語った。人間はある一定の波長の光や音しか捉えることができない。しかしロボットは、超音波センサーやサーモカメラといった機器を搭載することで、「知覚能力の拡張」を行うことができる。また、3本目の手やズームカメラ、手振れ補正機能などによって「運動能力の拡張」も行うことができる。そうすることでロボットは、ただの道具ではない「人間の能力増強デバイス」になるだろうと沖山氏は述べる。
続けて沖山氏は、VRがもたらす価値として「時間や空間を操作することが可能になる」ことを挙げた。特にVRは、医療技術のトレーニングに効果が高いのではないかと語る。例えば注射のトレーニングを行う際、生身の腕に針を思い切り刺すことはできない。しかしVR上であれば、敢えて思い切り刺してみることができる。こういう経験を通して、どこまでがOKで、どこからが失敗なのか、その境界線を肌感覚として感じることができる。失敗経験こそが技術習得の近道だと沖山氏は語る。
ではこれらのテクノロジーの進歩によって、医療はどのように変化するのだろうか。沖山氏は「医療の目的は変わってきている」と語る。これまで医療は、病気を治すことに主眼が置かれていた。しかし、テクノロジーの発展によって多様なアプローチが可能となるこれからは、「価値に基づく医療(Value-based Medicine)」をはじめとする新たな医療パラダイムがより重視されるようになるだろう、と語る。価値に基づく医療とは、患者が本当に求めること(価値)を医療従事者が汲み取り、提供することを指す。
「病気を治すことは手段に過ぎず、本当の医療の目的は人を癒やすことです。医療の対象は『人』であって『病気』ではない。医師はただ治療するのではなく、患者の精神を支え、生活を支えるところまでサポートするのが本来あるべき姿です。また治療方針を納得してもらうためには、何を伝えるかではなく、どう伝えるか、が大切です。今後、医師は患者とどのような関係性を築くべきか、どのようにコミュニケーションを取るべきか、という課題に取り組むことが重要となってくるのではないでしょうか」と講演を締めくくった。