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プログレッシヴ・ロックを初めとして(我が国に於いては)比較的マイナーなヨーロッパのロック・ミュージックの紹介者として登場した音楽雑誌『フールズ・メイト』の初代編集長、北村昌士率いる YBO2 の 1st アルバム。実際は Kyon2 と同じく末尾の「2」が、べき乗のように小さく表記されており、「イボイボ」、乃至は「ワイ・ビー・オー・ツー」と呼んでいましたが、正確なところは不明。まるで調和することを DNA が拒絶しているとでも言いた気な程に神経を逆撫でするヒステリックで不安定なヴォーカル、これでもかと言うぐらいに手数の多い吉田達也のドラムス、あたかも King Crimson のカヴァーを演奏する This Heat とでも言った趣のノイズとメロトロンが織り成すアグレッシヴなサウンド、或いは病的なメイクに女装といった倒錯的な北村昌士の外見などは勿論のこと、1985 年に登場するや否やわずか数年の間に 12 インチを含むシングル 5 枚、2 枚組を含むアルバム 5 枚にヴィデオ 2 本をリリースすると言う常軌を逸した過剰な露出戦略(?)など、話題には事欠きませんでした。ある意味インディーズ・シーンが生み出した稀有なトリック・スターとでも言った存在だったのかもしれません。CD をスタートさせると、小さなヴォリュームでなにやらほのぼのとしたメロディーが耳に飛び込んできます。確か、これは "Mickey Mouse Club March"。と思うまもなく突然ギター、ベース、ドラム、それにメロトロンが渾然一体となった怒号のような音の奔流に飲み込まれてしまいます。これは単に静と動を極端に対比することで我々を驚かそうとするハッタリなのか。もしくは、エンターテイメント界において今なお隠然たる影響力を持ちながら無垢な仮面で真実の姿を覆い隠すディズニーに、"Amerika" と言う「正義」の国家を表象させているのでしょうか。そして、北村昌士が口にしているのはアメリカの「良識」、Simon & Garfunkel の "Scarborough Fair"、、、などと深読みしている時点で彼らのトリックに引っ掛かっているのか。彼らの 1st シングル "ドグラ・マグラ" は、夢野久作の同名作から阿呆陀羅経の部分をそのまま引用したものでしたが、本作における 2 曲目もそれと同じく久作の『猟奇歌』からの引用。4 曲目 "To Be (帝国の逆襲)" では Steppen Wolf の "Born To Be Wild" の歌詞が切れ切れに聴き取れます。ポスト・パンク/オルタナティヴのうねりが北村昌士のプログレ趣味と奇妙に交差したその刹那、引用と剽窃の上に産み落とされたノイズの伽藍。1988 年にリリースされた 2 枚組大作 "Pale Face,Pale Skin" は YBO2 の「音楽」的ピークだったのかもしれませんが、私自身は本作に代表される、どこかしらまがい物めいた雰囲気を漂わせていた初期が一番好きです。【Track Listings】01. Amerika02. 猟奇歌03. Boys Of Bedlam04. To Be (帝国の逆襲)05. Heavy Waters06. Ural
2013.01.14
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2013.01.12
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元チャクラのリード・シンガー小川美潮の 2nd ソロ・アルバム。なんだろうな、この安心感は。身も心も解きほぐされて、全身を何の躊躇いもなく音に委ねられる感覚。1 曲目の "デンキ" からそのたおやかな歌声に魅了されます。チャクラの頃からそうなんですが、特にテクニック的に優れているとは思えなくて、いや、実はスゴイんだけどそうは思わせないと言うか。坂田明や細野晴臣、はたまた仙波清彦に乞われたぐらいですから下手なワケはないんですが。彼女だけではなくチャクラと言うバンド自体にそう言うところがあったように思います。80 年代の初頭において少なくとも私の中では「陰」の戸川純、「陽」の小川美潮と言った構図があって、勿論戸川純も大好きだったんですが、小川美潮の「天然」なところ、まっすぐ進んでるつもりで自然に捩れ行くようなところにすごく惹かれていました。バンドとしてのチャクラも随分実験的というか奇矯な部分を持っていたのですが、それ以上にチャーミングとでも表現したくなるようなポップさがあって、難解さをそうとは気付かせずにサラリと聴かせてしまうある種の技巧(と言ってしまって良いのか)が魅力でした。そんなチャクラの良い意味での軽さと、当時小川美潮がいくつかの関西ローカルのテレビ番組にアシスタント的な役回りで出演したことと相俟って、私はかなり長い間彼女たちを関西出身だと勘違いしていたのですが。前置きが長くなりましたが、この "4 to 3" もチャクラからの良い部分を引き継いでいるように感じられるのです。時代の最先端を行こうと言う気負いも、奇を衒ったり異端を気取るような小賢しさもなく、極々自然に人間「小川美潮」が表現されています。初めて聴いた時よりも 10 年後、更には 20 年経った今の方がしっくりと馴染んで来てるような気がします。バックを支えるチャクラ時代からの朋友板倉文、Ma*To、近藤達郎、川島バナナ等腕利きのメンバーたちも目立たず出しゃばらず、それでいて随所でキラリと小技が光る好演振り。僅か 10 曲とは言え全曲お薦めの佳曲揃い。オリコン的価値観とは相容れないところがあるのかもしれませんが、これほどの作品が今現在廃盤であると言う事実はレコード会社の怠慢を物語っているとしか思えません。ストリングスを絡めて壮大に盛り上がるバラッド "窓" は、「名曲」と評してなんら問題ない作品だと未だに思いますが、更にそれで大団円にするのではなく、不審な男を追跡する少年探偵団の歌?もしくは、何の前触れも無くいきなり恋に落ちてしまった少女の歌?中味はともかく "窓" とは真逆とでも言いたいほどにほのぼのとした "おかしな午後" をフィナーレに持ってくるセンス。まいっちゃうなぁ。素敵過ぎる。【Track Listings】01. デンキ02. Four to Three03. 夜店の男04. 野ばら05. On the Road06. 記憶07. ほほえみ08. 天国と地獄09. 窓10. おかしな午後
2013.01.03
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