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2006.11.29
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カテゴリ: 邦書

 名探偵御手洗潔が登場する小説。「占星術殺人事件」から3、4年後の1984年に起こった事件となっている。島田小説のシリーズキャラ牛越刑事が登場する。


粗筋

北海道の最北端に、奇妙な屋敷があった。建物全体が斜めになっている。内部も無論斜めで、しかも階段が至る箇所に設けられた複雑な構造だった。
 クリスマスに、屋敷のオーナー浜本は、客を招待してパーティーを開く。
 そんな中、殺人事件が発生した。ゲストの一人である菊岡という人物の運転手が殺されたのだ。刺殺だった。現場は、死体の周辺に犯人らしき人物の足跡がない、という雪の密室となっていた。ゲストの女性は、死亡時刻とほぼ同じ時に、3階の窓の外で誰かが歩いていた、と奇妙な証言をする。
 警察が直ちに現場へ到着し、捜査を開始するが、進展は全くなかった。辺鄙な場所とあって、警察はゲストと共に一晩過ごすこととなった。
 翌日、菊岡が死体となって発見される。また刺殺である。背中を刺されていたので、明らかに殺人だった。しかし、現場は密室だった……。
 自分らがいる中で殺人が起こったと知った警察は、驚く。外部からの犯行である可能性は低く、屋敷内の犯行としか思えない。しかし、菊岡は会社社長で、他のゲストは菊岡が死ぬと困る者が多く、殺す動機がない。
 オーナーの浜本は、西洋人形の収集を趣味としていた。ゲストの女性は、コレクションの一つであるゴーレムこそ、三階の窓の外で見た人物だと言い張った。
 行き詰まった警察は、警視庁から支援を頼む。すると、民間人の御手洗を寄こされた。
 御手洗は、到着早々、事件の真相を掴んだと宣言する。ゴーレムこそ犯人だと。ゲストは勿論、警察も呆れる。なぜこんな馬鹿を寄こしたのだと悩んだ。
 御手洗の奇妙な言動は、犯人をあぶり出すための罠だった。犯人はその罠にまんまと引っかかってしまう。
 犯人はオーナーの浜本だった。菊岡を殺す為、この屋敷を建設したのである。
 浜本は、終戦直後、死を目前にした知人から、菊岡の殺人を頼まれた。菊岡は戦時中に大罪を犯していたのである。しかし菊岡は何事もなかったかのように暮らすどころか、会社を興し、社長にまでなっていたのだ。
 菊岡の密室殺人では、ナイフをつららの先端部分に取り付け、四階から階段や通気口を経て菊岡の部屋に一気に滑り落とすことで菊岡を刺殺した。この際、菊岡は俯せに寝ていたので、ナイフは背中に刺さってしまった。
 運転手は、この計画を邪魔するだろうと予測された為、事前に殺されたのである。雪の密室は、ゴーレムの人形で足跡を隠すことで作られた。人形を回収する際、吊り上げたので、ゲストの女性は3階の窓の外で人が歩いているように錯覚したのだ。


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解説

最初読んだ時は面白いと思ったが、再読してみると粗が目立って仕方がなかった。
 何しろ名探偵御手洗が登場するのは200ページ目なのである。ペースが独特で、付いていければよいが、付いていけないとつまらなくてしょうがなくなる。
 容疑者を増やす為だろうか、登場人物が多い。が、その中で印象に残るのは特に誰もおらず、いたとしても殺されてしまうので、区別が付き難い。
 つららの滑り台トリックは面白いと言えば面白いが、現実性に乏しい上、「犯人はこの殺人の為だけに家を建てた」なっているので、ちょっと反則では、と思ってしまう。
 本作品には、作者から読者の挑戦状がある。賢い読者なら解けるはず、と。ただ、大抵の読者は仮につつらの滑り台トリックを思い付いたとしても、いくら何でも現実性に乏しいから、と除外してしまうのではないか。解答を読んで実はその現実性に乏しいトリックこそ正解だと知ったら白けるだろう。
 本作品は他の御手洗シリーズよりユーモアが散りばめられているが、登場人物全員が厚みに欠けることから、小説全体の品位を下げているだけの感じがした。
 本作品はトリック好きならそれなりに楽しめるだろうが、馬鹿長いパズルではなく「小説」を読みたいと考えている者だと不満が残るだろう。
 登場人物を減らして250ページ程度の作品にしていればもう少しタイトな読み易い本になっていただろう。



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Last updated  2006.11.29 13:59:08
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