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必ず発売直後に購入する米澤先生の新作!お盆休み中にじっくり読むつもりが、半日で爆読してしまいました。小説感想『可燃物』(2023年・米澤穂信先生・文藝春秋)彼らは葛(かつら)をよい上司だとは思っていないが、葛の捜査能力を疑う者は、一人もいない。群馬県警捜査第一課 葛警部の推理・5編の短編集。非常に面白かったです!葛警部カッコいい!*以下、発売直後のミステリー小説に関するネタバレあり感想です。未読の方は、お気をつけください*今回のシリーズは、終始「警察」の観点で様々な事件にアプローチしていく、という言葉で書き出すと、ものすごーくスタンダードな「事件モノ」だと思います。何が面白いかというと、これまでの米澤先生の作品への反転というか、逆説的なアプローチの部分かな、と感じました。米澤先生の従来の作品は、特に「犯人」が多いですが、『感情』をミステリーとして解き明かしていく部分が、一番の見どころになる作品が圧倒的に多い印象です。感情というか、人を追い込み、突き動かす『激情』ですね。激情が鮮やかになる・理解できる瞬間がクライマックスとして描かれて、ただ、起こった事象が「当然、刑事事件として捜査され、司法で裁かれるべき」出来事だったとしても、主人公が最終的に、気づかなかったふりをしたり、世間一般には事実と異なる筋書きで認知されたり、…といった帰結に収まるものも少なくない印象があります。激情が理解できれば、なんとなーく起こった出来事の全体像も想像できるのですが、『なんとなく想像』以上には立ち入らない、というか。また、『氷菓』・『追想五断章』に見て取れるような、何十年も前の文章の断片から、そこにある激情に触れに行く、といった「今更、どうにもならない」んですけど、残した意図を汲みとることに意義がありそうな気がする、そういった作品群の印象も強いです。こういった従来の米澤先生の作品を知っていると、本作は、「感情・激情」は二の次で、組織体・権力を用いた、極力短時間での「事実」解明のへ向けたアプローチが見どころなんだな、とよく分かります。葛警部が、部下たちを(恐らく非常に根気の必要な)情報収集に散らして、各所から上がってくる情報を頭の中で一気に組み立てます。その過程で引っかかる部分が出てきた場合には、そのままにせず、(周囲に顔をしかめられながらも)納得がいくまでとことん追求する。本当に細かい部分の情報収集をし始めると、自然と別の曖昧だった部分や、ほかにも考えられうる可能性が潰すことが出来ていく…その過程を楽しむ、という作品だったな、と受け取っています。以下、各編の簡単感想です。■崖の下雪山で、男女4名が遭難した。最初、崖の下で発見された男性2名のうち、1名は重症で病院に搬送された。しかし、一緒に居たもう1名は、頸動脈を刺され死亡していた。犯人は重症の男性と考えるのが自然で、調べを進めると動機となりうる事実も見えてきた。捜査が進み、別の可能性をどんどん潰していけているものの、どうしても見つからないものがある…凶器だ。上述してきたような「事実」解明へのアプローチ部分が、一番端的に表現されていた1編だったんじゃないかと思います。かなり地味で、どんでん返しが来そうでいて、最後までどんでんなく終わる…それが「事実」解明アプローチの一番凄いところ、という作品だと思います。1冊読み終わって、一番好きな短編と言われると、これかもしれないです。■ねむけ強盗傷害事件の容疑者が、交差点での交通事故を起こした。深夜にも関わらず目撃者が複数現れ、容疑者の信号無視を主張したため、県警は危険運転致傷罪で容疑者の身柄確保を画策するが…。これも、警察組織ならではの話回しが楽しめる作品でした。強盗傷害再犯防止のため、別件で容疑者の身柄確保をしたい気持ちはすごく分かるのですが、交通事故案件の釈然としない点について、細かい引っかかりにひたすら突っ込む葛警部が見ものです。■命の恩榛名山麓のきすげ回廊で、男性のバラバラ遺体が発見された。ほどなく歯形より被害者の身元は判明したが…何故、バラバラ遺体は、観光客にも目につきやすいきすげ回廊に放置されたのか?絵面が一番劇的な作品だったかと思います。従来の米澤先生の作品の主人公たちなら、最後気づかなかったふりをしちゃいそうな作りで、あえて淡々と「事実」への対処が羅列されるラスト、エピローグを含め、「情<事実」という構図が心に焼き付く作品でした。■可燃物住宅街で立て続けに起こる不審火。いずれも小規模ではあるが、放火事件の可能性があるとして、捜査第一課の葛班が捜査に当たり始める。しかし、捜査開始の夜から、不審火はぴったりと止まり…。表題作になっている作品です。やはり、一番まとまりの良い作品だったかな、と思います。消防管轄と捜査第一課管轄の価値観というか、観点の違いをあぶり出すような展開・犯人像が見どころでした。ラストの、結局何も進展・発展せずに凶悪犯罪だけが残るやるせなさは、流石な米澤先生の作品の醍醐味という印象でした。■本物かファミリーレストランで立てこもり事件が発生した。現場へ急行した葛班は、店内で犯人が拳銃らしきものを手にしているのを目撃する。「……本物か?」現在進行形の重大事件…下手を打てば、人命にかかわる重大被害が出てしまうという緊迫な状況下において、短期間での情報収集と、事実・全体像(仮)の組み立てを行い、冷静に対処する…緊迫場面を「平常」なメンタルで取り扱う、警察組織体へのリスペクトを感じられる作品でした。従来の米澤先生作品とは一風変わった読後感…のようでいて、やっぱり米澤先生の醍醐味!も存分に味わうことのできる短編集だったと思います。私は、今回の葛警部のシリーズ、大好きです。ゆっくりと書き溜めて、いつか続刊があると嬉しいな、と思っています。by姉
2023.08.16
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大好きな米澤穂信先生の新作!発売から少し時間が経っちゃいましたが、昨日ようやく読みました。簡単に感想を!『栞と嘘の季節』(米澤穂信先生、集英社、2022年)2月、高校の図書委員である堀川次郎は、独り、未返却者への催促状を作成していた。そこに現れたのは、同じ図書委員の松倉詩門だった。共に委員の仕事をしていた松倉詩門は、11月末から図書室に姿を見せていなかった。その理由を、堀川次郎は知っていた。彼は、彼自身が抱えていた問題に、どのような決着をつけたのだろうか。ふと、本棚に戻すべき返却本が溜まっていることに気づいた二人は、返却本に何か挟まっていないか確認を始めた。一番最後、顔は見なかったが、先ほど女生徒が返して行った本に、ラミネート加工の押し花の栞が挟まっていた。花を見た松倉詩門が硬直し、植物図鑑を持ち出し、該当ページを見せて来た。そこに書いて文字を見て、堀川も驚愕する。…「トリカブト」。*以下、発売直後のミステリー小説に関するネタバレあり感想です。未読の方は、お気をつけください*いやぁ…相変わらず、面白かったです!!本作は、2018年に発売された、「本と鍵の季節」の続編です。前作は、数編の連作短編集という形でしたが、本作は1冊通して一つの謎を追う長編です。本作は、米澤先生の作品としては、珍しいと感じるほど、「前作を踏襲した」作りになっていました。絶対に、前作「本と鍵の季節」を読んでからの鑑賞が良いと思います。本作で描かれる一つの事件は、それはそれできちんと描かれていますし、もちろんミステリー作品として楽しめるとは思います。最後、(犯人の誘う)真夜中の廃屋に乗り込んでいくシーンも、ザ・米澤穂信!なクライマックスシーンの作りで、ドキドキしました。ただ正直、最後に明かされる犯人像自体は結構とんでいて(これも米澤穂信作品ではよくありますが)、「???話は分かったんだけど、なんかしっくり来ない。」となるかなぁ、と感じました。本作に関しては、実は犯人とかは結構どうでも良くて…一番の見どころは、登場人物全員…特に、堀川次郎くん、松倉詩門くん、そして一緒に謎を追うことになる瀬野さんの3人が、仲間内に対して各々につく「嘘」の描写だと思います。「嘘」というか、「隠してること」ですかね。本作において、一番の嘘つきは誰か、と言ったら、間違いなく主人公であり、語り手(主観)をずっと手放さなかった堀川次郎くんを置いて他にないと思います。彼は、「トリカブトの栞」の謎を追うふりをしながら、超重要情報の切り札を、仲間内にずっと明かさなかったり…。様々な「嘘」を(読者にも)つきながら、危なそうな本案件に足を突っ込んでいきますが、その間ずっと、隣に居る松倉くんの動向・反応を「試してる」というか、観察してます。堀川くんのやりたかったことが、作品後半、瀬野さんと櫛塚さんの過去話、瀬野さんの動向と照らし合わせる形で、(なんとなく分かってはいたんですが)、より鮮明になっていく過程が、一番面白いところでした。友人への疑いの眼差しと、信じていてあげたいという感情の両方が入り混じって、「嘘」を生むんですが、…この感情が鮮明になるほど、「嘘」が嫌な感じがしないんですよ。クロかシロか…シロだと信じてあげたいけど、クロだったときに、気づかなかったふりもしてあげられるように…という、思いやりというのも適切かは分かりませんが、この友人のことが、大事なんだな、意志を尊重してあげたいんだな…と感じるというか。本作は、誰が何故使うのかよく分からない「猛毒・トリカブト」という、「なんか気持ち悪い」要素でずっと話が展開します。でもなんか最後、「嘘」が優しく感じられる場所に辿り着いている、不思議な感覚になる作品でした。本作があって一層、前作の「本と鍵の季節」も優しく輝くな、と思いました。いやぁ、じわじわとなんか…面白かったです!米澤先生、次回作も気長にお待ちしております。by姉
2022.12.18
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大好きな米澤穂信先生の新作!早速読みました!『黒牢城(こくろうじょう)』(米澤穂信先生、角川書店、2021年)天正6年、冬。織田信長に謀反し、有岡城に立て籠もった荒木村重の元に織田方の使者として使わされた黒田官兵衛は、村重の翻意を促すも叶わず、地下牢に幽閉されてしまう。堅城な有岡城は、簡単に落とせる城ではない。毛利の援軍が来ると信じ、籠城戦が始まるが、城内では、不可思議な事件が頻発する。人々の動揺を鎮めるため、村重は地下牢の囚人へ謎解きの相談を持ち掛けるが…。*以下、発売直後のミステリー小説に関するネタバレあり感想です。未読の方は、お気をつけください*米澤穂信作品としては、初…だと思います。本格的に、「史実」をベースにした歴史×ミステリ小説でした。これまでにも、「犬はどこだ」等、山城をモチーフにした作品があったり、歴史も当然お好きなんだろうな、とは思っていましたので、今回、ガッツリ籠城モノが出て来て、「おぉ!来た!」としっくり来ました。今回の作品は、史実を大事にした造りになっています。過去作では、「王とサーカス」も史実モチーフではありましたが、あの作品は、派手な史実をスケープゴートにして、そのサイドでオリジナルストーリーを展開する造りになっていました。それと比べ、今回の作品は、ガッツリ史実に沿っており、また主人公たちがサイドのオリジナルキャラではなく、史実上の人物ですので、かなり「歴史小説」という印象が強い作品でした。まず、実際の史実について、読者にどこまでの知識があるかで、全然見え方の違う作品だと思います。戦国モノを、特に秀吉方面からかじっている人なら、この有岡城の黒田官兵衛エピソードは、まず知っている有名エピソードです。秀吉の戦において、大きな役割を果たす「軍師」について、前任の竹中半兵衛から、非常に上手く「交代」したこと、秀吉陣営の温かみ・人情味を描くのに、この上なく適したエピソードだからです。私自身は、秀吉側・黒田官兵衛方面については、登場人物等も、最終的な結末も、おおよそ把握している状態で読み始めました。ですので、黒田官兵衛に関しては、人物像や行動の目的…等、意外性はほとんどなく、ラストまで読み進めました。ミステリとしては、知らない方が驚き・感動を大きく感じたと思います。ここの「驚き」が大きいほど、普段の「米澤穂信節」炸裂の作品だと感じるかな、と思います。最期に、「ドヤ~!」って、「これがやりたかったんだぞ~!」って、人物像・感情が鮮やかになるところですね。反面、私は城主・荒木村重やその家臣たち、有岡城に関して、「籠城戦をしていたが、陥落した」というざっくりとした流れ以外は、個々人がその後どうなったですとか、具体的な知識は全くありませんでした。そのため、個々のキャラクター描写について、「なるほど、だからこういう描き方だったのか」という新鮮さを感じることができました。荒木村重方面の知識が、もっとしっかりある方が読んだら、また印象が全然違っただろうと思います。↑上記のように、ミステリー作品としては、「意外性」「ひっくり返し」が仕掛けてはありますが、「読了の印象が、読者の知識に拠るところの大きな作品」であることは、間違いないと思います。が、そんなことは、作者は当然、百も承知のはずです。私が、本作を読んで一番面白いと思ったのは、「ひっくり返し」…もですが、それよりなにより、「ぐるぐる」です。本作ですが、下記の構成となっています。・序章 因・第一章 雪夜灯籠・第二章 花影手柄・第三章 遠雷念仏・第四章 落日孤影・終章 果「因」に始まった有岡城の籠城戦及び黒田官兵衛の幽閉が、冬→春→夏→秋 の1年間の季節をめぐり、「果」に結実します。第一章~第四章は、それぞれのタイトルからも想像がつくのですが、季節描写を非常に重視したつくりになっていました。また、(第四章は、謎明かしのニュアンスが大きかったですが、)基本的には、各章毎に一つの事件が起こります。各章毎に劇的な絵面、緊迫した場面が盛り込まれており、かなりの読み応えがあります。私は、特に第二章「花影手柄」がお気に入りです。籠城から撃って出る、戦国モノ独特の戦シーンが描写されていたこと、エピソード出だしで感じた不自然さが、ラストに鮮やかになる正当ミステリ感があり、満足度がとても高い章でした。このように、各章毎の「ぐるぐる」があり、また、当然ながら1冊を通し、筋だっている主な「因→果」があり、更に更に、各キャラクター毎に見いだせる「因→果」があります。個々人の価値観、思考に、宗教が色濃く影響を及ぼしており、「因果」自体が仏教概念?に寄ったものであることも匂わせていたかな、と思います。本作のラスト、黒田官兵衛が「因果」について思いを巡らすシーンがあります。個々人の、悪意も当然「因」であり、「罪」であり、ただ、それ自体も別の「因」の「果」であり、数えきれない諸因と、それを生み出し、巡り続けるのが、「戦乱の世」であり…。そこで、その「悪しき因果」から逃れられるような、光を見出すような出来事に行き着きます。光ある物語の結末に一瞬思えるのですが、いや、待て、…と。黒田官兵衛の見出した、竹中半兵衛の「善因」とは、武門の習いを逸脱しながらも行ったものであり、荒木村重が本作冒頭より貫いてきた「不殺」…「『武士の世の習いに従って殺すべきもの』を、『殺さない』」とほぼ同じ概念のものです。黒田官兵衛が「荒木村重の見栄」と言い切り、自身を地下牢内で突き動かした「悪因」だと認めた、まさにそれでした。ここで、本作の冒頭に舞い戻り、もう一度、荒木村重という人物の思考、行動・価値観を、その結果を、じっくり噛み砕きたくなります。「ぐるぐる」です。あっちでこっちで、とにかく「ぐるぐる」してます。「因果」のゲシュタルト崩壊が起こります。最高でした!!!超面白かったです!!!やはり、米澤穂信先生の小説は、本当にオモシロい!歴史に興味のない方も、純粋にミステリー作品として、歴史好きな方も、哲学ミステリ風味の新解釈版として楽しむことができる作品なんじゃないかと思います。私は、どちらとしても楽しめました。おススメです!!!!HPを見る限り、今年はもう1冊、刊行予定があるのでしょうか?そちらも楽しみにしています。by姉
2021.06.07
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米澤穂信先生の新作刊行!早速読みました。『Iの悲劇』(米澤穂信・文藝春秋・2019年)9年前に4つの自治体が合併し、誕生した南はかま市。人口6万人強のこの町には、左端に飛び出している「蓑石(みのいし)」地区がある。山あいの小さな集落は、老齢住人の他界や転居が相次ぎ、6年前に無人となった。この「蓑石」に外部より人を呼び、再生させようというIターン推進プロジェクトが、南はかま市の市長肝入り政策として始まった。プロジェクトを執り行うのは、新たに作られた部署・「甦り課」。やる気を見せない上司と学生気分の抜けない女性部下に挟まれ、自身が出世コースから外れた(?)ことを気にしながらも仕事に邁進する万願寺邦和は、新天地を求めやって来る住人たちの間で頻発する様々な問題に直面する。*以下、発売直後のミステリー小説の、ネタバレあり感想です。未読の方はお気を付けください!*本当に悲劇でした。市町村合併して人口6万人強の市の、更にハズレの超山奥集落・・・題材からして、地方の土着文化大好き、過疎大好きな米澤穂信節爆発の1冊です。米澤穂信先生の作品は、とにかく出て来る題材や場所がいちいち私好みというか、先生の文章力、描写力あってこそのものではあるのですが、それにしても、私の生まれ育った土壌に見事にフィットしてくるので、本当にすっと頭に落ちて来ます。私はよくよくこの状態に近い土地を知っているつもりです・・・この地方都市の規模感や、蓑石地区がいか様な存在であるかを・・・。今回の単行本の、第1章にあたる短編「軽い雨」だけは、アニメ・「氷菓」を観て、そこから米澤穂信先生の作品を漁りまくっていた時期に、ブックオフで掲載雑誌を見つけ、購入&ざっと読んでいました。ものすごく地味な話で、ただ、おそらく何かをやろうとしているんだろうな…とは思いましたが、なるほど、こうやって1冊の本になると・・・なるほど。プロジェクトの始まりから終わりまでを追いかけることが出来て、「Iの悲劇」という集約の仕方も、非常に納得のいくところに収まって来ました。うーんと・・・各話で言うと、登場人物たちが一番まともだった分、一番可哀想だった「第三章 重い本」と、主人公と、都会で働く弟の電話越しの会話を描いた「第五章 深い沼」が心に残ったかなぁ・・・。「撤退戦と消耗戦」の喩えは、なるほど、上手いな!と思いました。どちらも不毛で、でも必要な戦いなんですよ。うーんと・・・うまいこと感想が書けないなぁ。米澤穂信先生節爆発!の、今までの要素がギュッ!!っと凝縮するラストがいつものように用意されていて、ちゃんとミステリーなんですが・・・先ほどから書いてきたように、描かれている土地の雰囲気が、あまりに私自身の生まれ育った環境にフィットするというか、嫌と言うほどその土壌が理解できてしまうので、驚きというより、「だよね!!」というしっくり感のが断然強かったです。先が読めてたとか言うわけではなく、ただただしっくり。組織の迷走っぷりも、着地点も。比較的「都会」と言われるような土壌で生まれ育った方には、「驚き」になるのかな・・・?この辺も分からないのですが。まぁ・・・でもどこも同じか。もうずいぶんと前から、この国は「撤退戦」をやってるじゃないか、ってだけの話なので。今まで描かれてきたものを、「贅沢品」という一言でまとめ上げたところはグッと来ましたよ。この話は本当に悲劇であり、そして滑稽な、ブラックジョークのような喜劇でした。理想と現実の間で観た、一瞬の白昼夢だったのか、それとも、撤退戦の最中で観た走馬燈だったのか・・・。一介のサラリーマンには、「そんなもんだよ」と目頭が熱くなるところもありました。1冊としての読み応え抜群!後味のビターさは折り紙付き!繰り返しになりますが、米澤穂信先生の作品に期待するものが凝縮された1冊だったと思います。面白かったです!!今回は、前作からの発刊ペースが約9カ月という超短期間でしたので、ご無理はなさらず・・・と言いたいところなのですが、出来れば、次回作もなるべく早めに!期待しております!!by姉
2019.09.30
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2年ぶりの新巻刊行!『本と鍵の季節』(米澤穂信先生・集英社・2018年)あまり利用者の多くない学校の図書室。高校二年生の堀川次郎は、同学年の松倉詩門(しもん)と図書委員の当番を務めている。松倉詩門は、背が高くて顔も良く、学年内でも目立つ存在だ。話してみると、ほどよく皮肉屋で、いいやつだった。この2人の図書室には、なぜか奇妙な「頼みごと」が持ち込まれて来る…。*以下、新巻小説のネタばれアリ感想です。ご注意ください!*全6編から成る短編集。ラスト2編は、前・後編のような作りでした。奇妙な「頼まれごと」をしぶしぶと引き受け、首を突っ込んでいくうちに、この出来事の根本にあるであろう、事実の輪郭がぼんやりと見えてきます。しかし、「何が起こっているのか」の推測までしたところで、「何故、この人はこんなことをしているのか」「何を考えているのか」…ここに踏み入る直前で、一気に主人公たちが立ち退きます。頭が良くて、器用なタイプの二人ですが、所詮、高校生ですから。他人の本質に興味本位でズカズカと立ち入ったところで、何も出来ません。そこに踏み入ったことに対して、責任がとれない。今回の作品は、主人公たちのこのスタンス↑がすごく印象的でした。このスタンスのことを指して、タイトルに「本」「鍵」「季節」というモチーフがあるのかな?主体的に関わっていくわけではない受動的な疑似体験・「本」モチーフの中で、ふと他人の本質に踏み込むことが可能になるような「鍵」が手の中にある。・・・さて、どうするか。ここに、「一過性」というか、巡るものという意味合いでの「季節」という単語が来ているのも面白いな~、絶妙だな~、と思いました。各短編の簡単感想↓。〇913図書委員を引退した、3年生の先輩が頼み事を持ち込んで来た。「亡くなった祖父の金庫を開けて欲しい」静まり返った古い日本家屋の描写が、不気味で印象的でした。〇ロックオンロッカーある日なりゆきで、連れだって美容室へ散髪に行った2人。しかし、どうも美容院の様子がおかしい。2人は、あえて「傍観者」であることを選んだ。ラストの緊迫感が焼き付く1編でした。なんとも「高校生」な関わり方も印象的でした。〇金曜に彼は何をしたのか金曜日に、職員室で窓ガラスが割られ、テスト用紙が盗まれる事件が発生した。後輩の図書委員から、「素行不良の兄が疑われている。兄は否定しているが、金曜日に何をしていたか固くなに言わない」という相談を受け、2人はその推測に乗り出した。仕掛けが沢山してあって、今のところ短編単体としては一番気に入ってる1編です。タイトルからいろいろ引っ掛けてますね。アリバイ探しの結末が、モヤモヤしている状態で切り上げになったところからの展開がザ・米澤穂信!って感じでした。〇ない本3年生の一人が、受験ノイローゼで自殺したらしい。他人事のように聴いていた噂は、その彼の「同級生」と会うことで現実味を帯びて来た。「死んだ彼が、最後に借りた本を探して欲しい」という依頼を受け、2人は図書委員としての腕を発揮しようと試みる。次の展開に向けての1編だと思います。これまでになく最初からドキッとする題材です。「回想シーン」の、逆光の中に居る人物の表情をなんとか見て取ろうとするような、モネの「日傘の女」の絵に求めるような感情の動きがありました。〇昔話を聞かせておくれよ〇友よ知るなかれ「物語の基本は、復讐と宝探しだそうだ」ある日突然、松倉詩門は「昔話」をし始めた。題材は、「宝探し」…?ラスト2編は、ミステリアスな松倉詩門の本質に突っ込んでいくお話しでした。どこまでも「本」と「鍵」をぐるぐるするお話し回しが面白かったです。余談ですが、小道具として、松本清張の『ゼロの焦点』が出てきた…!今年読んだ小説が登場して、嬉しい…!「満願」と「王とサーカス」の、1冊としての完成度・読みやすさが高次元過ぎた…のもあると思うのですが、この2冊以降は読者の期待値も上がっており、なかなか出し手としては大変になってるんじゃないかな…と思っていました。執筆スピードも落ちていましたし・・・。ただ、正直今回の作品は、そもそも「あっさり読んでね」っていうパッケージで出てますので、「楽に執筆出来るように、自分で仕掛けたんだな」と受け取り、安心しました。まぁでも・・・いつも通り、1回目はスルスルと読むんですけど、2回目はさり気ない前振りのオンパレードに打ちのめされます。2回目の方が、ぐるぐるするかな・・・。とても面白かったです!米澤先生、次作も(ゆるゆると)楽しみにしております!!by姉
2018.12.30
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何年ぶりだ?な米澤穂信先生・古典部の新作刊行!早速読みました!*以下、先日発売されたばかりのミステリー作品の(かなり)ネタバレあり感想です。未読の方は、絶対に先に本編を鑑賞してからお読みください。!*『いまさら翼といわれても』(米澤穂信・角川書店・2016年)市が主催する合唱祭の当日、ソロパートの大役を任されていた千反田えるが居なくなってしまった。折木奉太郎は、目撃者の証言やここ数日の彼女の様子から、その居場所、そして内の心情について推測を始める。表題作のほか、5編が収録された短編集。1編1編は、主に登場人物一人の主観で切り取られる、それほど大きなアクションもない物語です。読んでると、「うん、分かった。」「うん、分かった。」って、結構するするっと読めて行けちゃう感じ。・・・なんですが、だんだんだんだん来るんです。というのも、だんだん、6編の物語が、なんて言うか・・・「視点の光が乱反射」し出して、主要人物:奉太郎くん、えるちゃん、里志くん、摩耶花ちゃんの4人を多角面から照らして、浮かび上がらせて来るんです。本人が最初の作品で、「おれはこういう人間だから~」と主観で語っていて、読者はその通り受け取って、「ふーん」と思って読んでいるんですが、その次の短編の、違う人物が主観の物語で語られる実際の行動では、「あれ?こいつ全然、自分の定義してるような人間じゃないじゃん」ってなる。とにかく、6編とも主要4キャラクターのための物語でした。「満願」や「王とサーカス」などとは違い、この単行本を読んだだけでは、この一冊のやっていることはよくわからないと思います。(シリーズ連作だから当然ですが。)やっぱり・・・「古典部シリーズ」は、アニメ化もして、米澤穂信先生の作品の中でも、キャラクター人気が、他作品とは全然違う作品だと思います。そこに対して、責任を取ろうとしている一冊というか。4人の古典部員に対する、愛情をすごく感じました。きっちり幸せにしてあげたいんだよ、未来に向かわせてあげたいんだよ、という。以下、各短編について簡単感想↓●箱の中の欠落ある夜、里志から突如散歩に誘われた奉太郎。なにやら相談事がありそうだが・・・。ひたすら奉太郎くん目線で、里志くんをじっくり観ている話でした。とにかく奉太郎くんは、里志くんのことを尊敬してるんだな、大好きなんだな、って感じる一編だったなと思います。里志くんは、奉太郎くんに対して少々劣等感があるような描写が散見されますが、奉太郎くんはそれがうっすら分かった上で、「里志のこういうところは俺には出来ない」っていう言い方をよくしてます。夜の町を練り歩く空気感がオモシロかったです。●鏡には映らない中学の卒業制作で、折木がとった謎の行動。高校に入り、古典部の活動を通して彼を観てきた伊原摩耶花は思った。「おかしい」。今回の単行本でやっていることがストレートに表現されている短編だなと思います。ラストの、「鏡には映らない」締めがグッと来ます。●連邦は晴れているか神山高校の上空を、ヘリコプターが飛んでいた。折木奉太郎は、ふと中学時代の英語教師を思い出す。単行本未収録のまま、アニメ化されていた一編です。たしか、私はこの話からアニメを見始めたんじゃなかったかな。「すごく面白い!」と思ったんです。かなり短い短編なんですが、アニメがこれが素晴らしくって。神垣内連峰の描写、そして夕焼けの空気感がなんとも心を揺さぶって来るんです。過去の、特に親しいわけでもない人物の、何気ない行動の中に隠れていた強い強い激情に触れる・・・という、「氷菓」の根本に立ち戻るような短編だと思います。●わたしたちの伝説の一冊漫研で続いている、「描きたい派」と「読むだけ派」の派閥はもうどうにもならない状況まで来てしまっていた。ある日、分裂を決定的にする出来事が起こる。「クドリャフカの順番」から要素として出てきていた、漫研のドロドロに、決着がつくというか、摩耶花ちゃんが決着をつけるという話ですね。こういうドロドロは、まぁ・・・読んでても楽しくもないですし、どこをどう読んでも「くだらねぇ」としか思えないんですが、ラスト、スカッとするところに摩耶花ちゃんが行きついてくれてホッとしました。私みたいな淡白な人間だったら、人付き合いで悩み巡ってここに行きつくことはないと思うんですが。摩耶花ちゃんは優しい子なんだなー、と思って読みました。●長い休日何故か体の調子がいい。家の掃除も早々に済ませ、奉太郎は外へ出た。「折木奉太郎」という人物像の、核心に迫るような話でした。核心とか言うと、かなり大げさですけど。ただ、なんだろ・・・米澤先生のエピソード作りの上手さ・・・かな。この出来事が、小学生にとって本当にショックな出来事だったって、すごく分かるんですよ。特に、かばんを一緒に探してあげていた奉太郎くんには、思いやりの善意しかなかったわけですから。神社の描写も美しいだろうな・・・と思うので、これはまた是非、機会があればアニメ映像化したものが観てみたいな、と思って読みました。●いまさら翼といわれてもそして、ラストにぶっこまれる千反田えるの「ボトルネック」。あ、ここでの「ボトルネック」は、米澤穂信先生の別作品・「ボトルネック」のラストシーンを意味してます。ちくしょう・・・ここまで盛り上げてきておいて・・・天の岩戸モチーフのシチュエーションにまで持ち込んでおいて・・・これかよ・・・ちくしょう・・・やられた・・・すごく・・・イイ・・・。古典部シリーズ、これで完結?え?なのかな?え?続きが・・・読みたいんだけども。ここで締めでも悪くはない気がしないでもないんですが・・・何年先でも気長に待ちますので、米澤先生、続きが読みたいです!というわけで、繰り返しになりますが、キャラクターへの愛情をすごくすごく感じる単行本でした!米澤穂信作品。毎年1冊は新巻が読めるので嬉しい限りです。米澤先生の新巻を読んでいるときだけ、私はひょっとしたら活字が好きなのではないかとか勘違いをすることができます。まったく活字が読めない私が、「活字おもしろい」って思う、それくらい、いつもいつも面白いです。次回作も、気長にお待ちしてます!by姉
2016.12.03
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わーい当選♪米澤穂信先生オリジナル図書カードいただきました♪ フリージャーナリスト・太刀洗万智シリーズの2冊を購入すると応募できるものでした。 姉が2冊購入→実家に置いておく→妹が勝手に読んで勝手に応募という双子の見事なる連携プレーにより頂戴いたしました(*`V’)b ドヤッ!!(↑妹は別に威張れない) 主役の太刀洗万智さんの名詞も入ってました・・・いいなぁコレ! 大切にします♪ 米澤先生の次回作も楽しみにしております^^ by妹
2016.05.23
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「本」と書いて「漫画」と読む・・・こんな私でも、唯一活字の物語を楽しむことができる作家様です。 米澤穂信先生 太刀洗万智シリーズ 「さよなら妖精」「王とサーカス」「真実の10メートル手前」3作続けて読みました。 *以下ネタバレ感想含みます。未読の方はご注意ください* 「さよなら妖精」は2004年の作品ですが、さわりしか読んだことがなく・・・最新作の「王とサーカス」「真実の10メートル手前」の主人公・太刀洗万智が登場するということで、勢いで読み進めました!う~ん・・・どれもやはり最後にこう・・・感情の琴線に触れてくるんです。すごく面白かったです。特に「王とサーカス」は今までで一番好みでした。(何か良い記事を書こう!)と異国に取材に来たジャーナリストの目線が読みやすくて最後の最後に・・・ひとりの異国の少年の言葉が胸に刺さる。そこで初めて、どこか掴みきれずにフワフワしていた異郷の地・カトマンズが鮮やかに見えてきた気がしました。目を凝らして耳を澄まして見て・聴いていたはずなのに、あたりまえのように無視してることって・・・よくよくあると思います。太刀洗万智シリーズは、一貫してとにかく読みやすかったです。多分ジャーナリストという職業が、米澤先生の世界観にマッチしていたのではないかと。職業柄ぐいぐい事件に突っ込んでいかなければいけないし、最終的にどこをかいつまんで記事にしていくのか、という人間性の話になってくるので。どこかミステリアスで一見人に興味がなさそうな太刀洗万智という女性が、実は人一倍愛情深く・自分よりも他人に興味津々なのが魅力的でした^^。 この作家様はとにかく「感情」を描かれる方だと思っています。ミステリーと言っても「どうやったか」というトリックを暴くのではなく、起こった事柄の裏に潜む、人の愛情や激情・時には悪意に迫っていく・・・というか。理解してはいけない感情を理解してしまう時の非日常感が堪りません。だからかな?どの作品も本当に小説としての満足感が高いんです。まだ「折れた竜骨」「リカーシブル」辺りを読んでないのですが・・・今のところ個人的には「犬はどこだ」「追想五断章」「満願」「王とサーカス」あたりが好きでした。「ボトルネック」「インシテミル」「儚い羊たちの祝宴」あたりはちょっとやるせなさすぎたかなw;;。アニメになった「氷菓」も勿論大好きです。by妹
2016.02.03
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おかしいな・・・年末に実家でゆっくり読もうと思ってたのに、気づいたら速攻で読み切ってたぞ・・・。1年に2冊も新作が読めると思いませんでした!『真実の10メートル手前』(米澤穂信先生・2015年)事実を知ること、それを報道すること。切れ者のフリージャーナリスト・太刀洗万智が向き合う、6つの出来事をまとめた短編集。*以下、新作ミステリー小説の内容に触れる感想です。未読の方はお気を付けください!* 今夏に完全書き下ろしで発売された長編、『王とサーカス』と同一主人公の短編集です。『王とサーカス』以前の話が、1話。後日譚が残りの5話。以前より書き溜められていたものに、『王とサーカス』を意識した作品や、書き下ろしのまとめ?的な作品が加えられている印象でした。1篇1篇としてももちろん面白いんですが、6作読むと、一気にグンッと面白くなる。更に、『王とサーカス』も含めると、手が付けられなくなる。『王とサーカス』の副読本がこの『真実の10メートル手前』であり、この『真実の10メートル手前』の副読本が、『王とサーカス』と、さらに『さよなら妖精』だな、って感じでした。面白かったです!! 以下、各話簡単感想。●真実の10メートル手前めちゃくちゃ面白かったです。・・・というのも、舞台が完全に私の土地勘ばっちり範疇でして。名古屋から山梨まで乗り継ぐ、中央本線の旅ってお前・・・。距離感が分かるからこそ、一人の女性を探すため山梨まで行く道のりがもどかしくもあり、山々を越えていく少しの冒険であり、いざ見つけた!というときの、「ここまで来た」という感慨が入ってきて、すごくドキドキしました。この作品、リニアが出来たら情緒なくなっちゃうだろうな・・・とか、いらんことを少し考えちゃいました。この1篇は、塩尻の乗り継ぎがあるから・・・そこがいいんだ!●正義漢太刀洗万智さんが主人公の作品の中では、一番古いものみたいです。出だし数行のインパクトに一気に引き込まれる、米澤穂信節全開の1話でした。この作品が、「こういう」仕掛けの作品だったから、主人公・「太刀洗万智」さん像が、ここまでミステリアスなものになったのかな、と感じました。●恋累心中「フリージャーナリスト」という設定ならではの、正統ミステリー作品でした。高校生の男女の心中という、インパクトのある事件の解明過程に乗っかれるので、1篇としての満足感もすごくありました。ただ・・・混乱の中で、週刊誌なんていかにもなところが、教師個人(しかも重要人物っぽい立ち位置の人)とアポ獲れるとか大丈夫かな、いや大丈夫じゃないだろ、意識低すぎるだろ、この高校の校長・教頭(&教育委員会)・・・という、そこが気がかりで気がかりでしょうがなかったです;●名を刻む死老人の孤独死。口で説明しようとすると、本当にいかんともしがたい題材なんですが、これが面白い。若々しい少年の主観がそれを捉えようとするのが・・・面白い。『さよなら妖精』に通じる魅力のあった作品だと思います。個人的には、本短編集の中で一番気に入った作品でした。●ナイフを失われた思い出の中に『さよなら妖精』を読んでいないとちょっと読みづらい作品だったかな、と思います。町全体のバランスを使った力作ミステリー作品であり、『さよなら妖精』→本作品→『王とサーカス』という、制作過程がなんとなく見て取れるなぁ、と思いました。●綱渡りの成功例太刀洗万智シリーズの総括・・・のような印象を受ける1作でした。これ1作だけじゃ、「なんじゃこりゃ」って感じですが。人が隠しておきたいことって、言いたいことでもあり、勘づいて欲しいことでもあり、周囲が「知りたい」ことでもある。彼女は記者として、その中での綱渡りをしてる・・・ってことでしょうか。それにしても・・・よくこんな題材をぽっと持って来れるなぁ;はぁ~~、やっぱり米澤穂信先生の作品は・・・いいなぁ。自分が活字好きかもしれない、なんて勘違いしそうになるほどに毎回毎回、染み入ってくるものがあります。興味のある方は、『王とサーカス』とセットで是非是非!『王とサーカス』を既読の方は、読まないと損ですよ!by姉
2015.12.23
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新作!読みました!『王とサーカス』(米澤穂信先生・東京創元社・2015年)2001年。新聞社を辞め、フリーとなって異邦の地・ネパールを訪れた太刀洗万智(28)。現地で幾人かと知り合いになり、首都・カトマンズの散策をのんびり行おうとしていた矢先、王宮で、皇太子による国王を含む王族の殺害事件が起こる。 今回の作品は、完全書き下ろし作なのかな?前作・『満願』は短編集でしたが、今回はまるまる1冊がっつりの長編です。ザ・米・澤・穂・信!!!!って感じの作品でした。・・・めちゃめちゃ面白かったです。 *以下、本編の内容に触れる部分のある感想です。未読の方はご注意ください!妹へ。本編読むまで、これは読むな。* そして、『満願』から感じているのですが、とにかく、読みやすくなった。今作は、またさらにそれを感じました。『満願』までの・・・特に『折れた竜骨』と『リカーシブル』は、かなり読みづらい作品だったんです。いや、モノ好きにはたまらない、癖ある2作品だと思っていて、私なんかはもう本当に大好きなんですが、いかんせん・・・あれは、他の人にはお勧めできません;『王とサーカス』は、本編通してずっとネパール・カトマンズが舞台なので、土地勘もありませんし、なかなか読みづらいかと思いましたが・・・ジャーナリストが、その目に映るものを「日本人」の感覚で丁寧に説明してくれるので、すごく読み易いんですよ・・・!実は、本編の大部分が、かなりまったり、カトマンズ市街を見て回る内容になっています。ここでひっくり返して来ました。ここです。最後の最後に、「来た来た来たーーー!米澤節ーーー!」という、本題による作品の串刺しがあります。事件自体は、わりと犯人も分かりやすいんですが・・・「犯人分かりやすい」とか言った時点で、すでに罠にはまってます。米澤穂信先生の真骨頂。「バランス」のミステリーです。「バランス」です。本編で描写されてきた、要素に対する「バランス」です。違和感に隠れているのは、毎度のことながら、「感情」です。どこに、一番の激情が隠れてますか。タイトルも引っ掛けにかかってきます。はぁ・・・「してやられた感」が・・・心地いい。とにかくとにかく、米澤穂信先生のファンなら、絶対に外さない面白さがあり、それでいて、どんな方にもお勧めできる「読み易さ」のある作品でした!興味のある方は是非是非!しかしまぁ・・・本当に活字の読めない私が、毎度毎度、新刊発売を何ヶ月も前から心待ちにしてるなんて;すごい事態だと思います;次作も・・・1年以上先かもしれませんが、気長にお待ちしております^^。 <蛇足>私的な見解。白泉社・花とゆめ連載中のファンタジー『暁のヨナ』(草凪みずほ先生)。この少女漫画作品を本当に読まなければならないのは、米澤穂信先生のミステリー作品が大っっ好きな人です。・・・と、今作『王とサーカス』を読んで、ひしひしと感じました。すいません。大好きなんで、どうしても叫びたくなりました。バランスと感情のミステリー、最高です。by姉
2015.08.02
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明日から、想像したくもない地獄の連勤です。今日中に読み切れてよかった! 新作♪ 新作♪ 新作♪『満願』(米澤穂信先生・新潮社・2013年)それは果たして罪と呼べるのだろうか?男が女が、善悪を超えて守ろうとしたものは何か?↑オビのあおり文句です。6作の短編で構成される1冊ですが、「儚い羊たち~」のようなシリーズ?ほどではないにしても、1冊読み切った時に、「あぁ・・・」と納得の筋がありました。大・満・足!!です。 *以下、ミステリー作のネタばれあり感想です。お気を付けください*アオリ文には、「罪と呼べるのか?」とありましたが、これは・・・即、回答可能です。「呼べます。」6作中、思いっきり殺人事件が3件。殺人事件ではないにしても、それを引き起こしかねないような悪意が・・・残りの3件、かな。間違いなく、「罪」は「罪」です。ただ、そんなことは登場人物たちも重々承知で、アオリの後半の1文にもあるように、この連作、共通しているのは、どうしても、その人のその人たる根源があって、譲れないんですよ。それが、「人を殺さない」ということよりも優先される。それは、その人の「願い」という言い方もできるから・・・『満願』というタイトルの1冊として、スッと頭に入って来ました。 上記のものが、真っ先に思いつく共通項かな?と思うのですが、それともう一つ、米澤先生節全開なのが、今回の本に収録された短編には、どの作品にも、地方土着の伝承というか、民族誌学的なモチーフが入っていました。これは・・・米澤先生の癖・・・かな;他の作品でもとにかく出まくって来るので、この『満願』だけではないのですが、ただ、今回の作りの短編集では、その作り方がどれだけ物語に影響を与えるか・・・浮き彫りになっていたと思います。基本的に、地域に・・・特に地方の田舎ですが、そういった場所で、倫理に反する思考回路をする際に、土着民話が、それを後押ししてるんです。また、後からその物事を他者が「納得」する為にも使われます。既存ストーリーや、そのものの持つ概念は、人が理解や納得をする時に使われる・・・というか、コレ自体がツールですね。分かってはいたのですが、特に今回の短編集が、「当然こうだろう」という常識をなぎ倒す思考回路に、ついて行かせてしまう・・・そういう作品ばかりだったため、なるほどなぁ・・・と。正直、神話にしても伝承にしても、特に今日までうっすら残っている物語というのは、これまで、何かしらで使い道のあった話ばかりでしょうから。多分・・・現実の出来事を投影しやすいというか。超好きです。こういうの。 下記、1作1作についてちょっとずつ感想。↓●夜警とある交番の若い巡査が命を落とした。数日が経ち、上司はこうつぶやく。「あいつは所詮、警官には向かない男だったよ。」すごくお気に入りの1話です。なんとも小説~~な出だし。全編通しての1人称も立っていましたし、キャラクターの人物像もしっくりきました。それと、アクションシーン・・・派手なシーンがクライマックスに描写されてすごくドキドキしました。●死人宿疾走した元恋人の居場所を知り、いてもたってもいられず、山奥の旅館まで来たビジネスマン。しかしそこは、自殺志願者が後を絶たない「死人宿」だった。今短編集の中では、わりと浮いていたお話だな~と思います。ただ、最後の方の「あたり前」の概念の辺りは、なるほど、この短編集にあってもおかしくないな・・・と思いました。●柘榴私は美人だった。しかし、競争の末手にした旦那は働かなかった。二人の娘が居るから頑張れるが、彼女たちの為にも、そろそろ離婚しなければならない。そう決断した。いちばん悪意っちゃ悪意のある作品だったかな、と思います。儚い羊~と似た作りの作品でした。動機が、生まれ持ったモノに起因している(だろう)ので、そこはやりきれなさ(っていうか、ちょっと納得できなさ)の残る話でした。●万灯商社に入社し、海外勤務も10年を超えた。天然ガス資源を目指し、バングラデシュに派遣されたのは2年前。しかしそこで、開発の妨げとなる存在と対峙する。今短編集の中では、一番ボリュームのある話でした。そのボリュームを裏切らない内容の作品だと思います。仕事人間の主観で、ず~っと物語が語られますが、全部・・・ついていけます。ただ一つ。この主人公が、少しでも「自分を大事にできる思考回路」をもっていれば。そう感じさせる要素も、エピソードにきちんと織り込まれていました。ものの見事に「殺人」につき合わされたのは初めて(かな?)でした;;ラスト・・・それか!!という「裁き」も、「異国の地」という舞台や地方民話がすごく活きてて、素晴らしかったです。おもしろかった。●関守伊豆半島の桂谷峠。ここで近年、奇妙なほど交通事故死が起きているらしい。うさんくさい都市伝説の記事をでっちあげるため、一人のライターがその峠を訪れた。なんとも米澤先生~!な1話でした。筋書き自体は(米澤先生にしては)わりと分かり易い話でしたが、ですが・・・です。最後に一気に明かされる動機は、その「人」の印象に寸分たがわず入ってくるものでした。特に・・・「旦那さんへの思い」が鮮やかに焼きついたのには驚きました。●満願こちらの作品に関しては、以前につらつら~と書いたことがあるので省きます。ただ、コンパクトなのにものすごい内容のあるお話で、最後にざぁああ!!っと出てくる鮮やかな人物像、そしてそれに、自分(主観)は感謝するしかないという状況、この辺りのやるせなさ&してやられた感は、ラストにふさわしいお話だと思います。 いやいや・・・うん。やっぱり米澤穂信先生の作品は、満足します!!!5月には、米澤先生がセレクトした海外短編小説集?が出るようで。また、発売日は分かりませんが、今年中にもう1冊出るのかな?発売ラッシュ、嬉しいです!!さてさて。これを活力に、明日から・・・はぁ・・・明日からの連勤、頑張らねば。by姉
2014.03.30
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秋になると・・・小説が読みたくなります。前々から気になっていた1冊を読み切りました。『Story Seller3』(新潮社ストーリーセラー編集部編・2011年)7人の人気作家さまの短編を集めた1冊。「面白いお話、売ります。」というインパクトのあるアオリがついていて、読んでみたかったんですよ。一番の目当てはもちろん、大好きな米澤穂信先生の短編・『満願』です。ですが、やっぱり他の作品も見所満載ですごく面白かった。以下、気になった作品のちょっとずつ感想。*ネタばれアリです。お気をつけて。*★『満願』 米澤穂信 60P今日、一人の女性が刑務所から出所してくる。弁護士・藤井は、彼女の起こした事件、そしてそれよりずっと前からの、彼女との思い出を回想する。・・・米澤先生の既刊本は読みつくしてしまい、もはやオムニバスなどに寄稿した作品を漁っていくほかなくなってしまいました;;しかし、正直・・・この短編1作の為だけに、この本を購入したとしてもなんら不満はありません!!・・・ってくらい、面白かったです><!!米澤穂信先生の作品に求める「満足」が、存分に詰め込まれていました。何が問題なのか、何が明らかになると期待して読めばいいのか、最初は、具体的なことは分からないんです。ですけど、出だしの●弁護士の先生が、出所してくる女性を待っている●どうやらその女性と主人公の弁護士は、事件発生以前より旧知の仲だったらしい↑これだけで・・・気になって気になって、ぐいぐい読んでいっちゃいました。知り合いの女性・・・しかも、上品そうな女性の描写から、主人公にとっては憧れの対象だったこと、そんな旧知の女性が事件を起こし、主役は、新米弁護士だった頃にその弁護を引き受け・・・でも、刑期の長さから、弁護しきれなかったんだろうこと、出だしの2ページ半の中で、↑これらの要素が一気に提示されるので、主役がどんな気持ちで、必死の弁護を行ったのか、そんな憧れるような女性が、何で事件など起こしたのか、二人の関係、二人の人物像・・・とにかく・・・気になるんです!!読み切った後には、タイトルの『満願』が深々~と染みいってきて、なるほどなぁ~・・・と。「ボトルネック」的な、投げかけ風のラスト・・・かな?主人公以外知ることのない『満願成就』は、やるせなさを伴った「納得」として染みいってきます。・・・面白かった!!! ★『片恋』 さだまさし 154P「シモダヒロヒコさまが亡くなられました」ジャーナリストの石橋南は、聞いたことのない名前を告げられ、困惑する。それは、警察署からの連絡だった。・・・誰それ??なんで私に連絡が来る??この文庫のメインかも?という、さだまさしさんの力作短編。アーティストさまの小説を読むのは初めてでしたが、・・・面白かったです!大阪の小学校の事件や、秋葉原の通り魔事件など、ジャーナリストの苦悩を、実際の事件に絡めて描きながら、もう一方で、交通事故死した全く覚えのない男性がミステリーの形式・・・かな?徐叙に正体を現してきます。サバサバとした、「仕事の出来る女」の南さんの素直な言葉で、ジャーナリストの生きがいとやるせなさが目いっぱい書かれ、パニックシーンのドライブ感も凄かったです。ラストも、感情が激しく上下して・・・こうあって欲しいところにストーンと収まったなぁ・・・と思います。内容に関しては、本当に満足感があって凄いと思いました。・・・ひとつ、個人的に「ココ」を求めたい!と感じたのが、書き方・・・というか、文章の鋭さ。言い回しなど、もう少し削って、表現が尖ってたら、もっと・・・心に切り込んで来た・・・ように感じて。感情・中身が本当にイイので、もちろん伝わっては来ているのですが、切れ味・・・と言いますか、もっと鋭くなる!!!・・・と、なんか思っちゃいまして;;求めても求めても、切りがないのですが;;ですが、求めたくなるくらい、中身がよかったんです。さだまさしさんの他の著作品も、読んでみようかな・・・。 ★『ゴールよりももっと遠く』 近藤史恵 36P自転車のロードレースという、ちょっととっつきにくい題材でしたが、ミステリアスな登場人物の可愛らしさが落ちて来る・・・読み終わった後に、なんかイイ気分になる作品でした。 ★『555のコッペン』 佐藤友哉 93P 一言で言うと、「わけが分からない」・・・んですが、面白かった!「THE・毒」って作品でした。文章だから・・・なのかな?分からなくても面白い・・・って。 他にも、湊かなえ先生、有川浩先生の作品も、「なるほど、ファンが居るわけだ」と納得出来る面白さだったのですが、・・・ちょっと、毒気が強い作品の方が個人的には気に入ったかな・・・と。こういうオムニバス・・・面白いですね。読み易いですし。またぼちぼち手を出していきたいと思います。・・・米澤先生、新作プリーズ!!!(米澤穂信欠乏症;;)by姉
2013.10.23
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アニメになっていない古典部シリーズ。『ふたりの距離の概算』(米澤穂信先生・2010年)春を迎え、高校2年生になった古典部面々。そんな古典部に、新入生の大日向友子が仮入部する。他メンバーともすぐに打ち解け、誰もがこのまま本入部するものと思っていた矢先、彼女は入部しないと言い出した。どうやら、千反田えるにその原因があるようだが・・・。腑に落ちない奉太郎は、入部届けの〆切り日・マラソン大会の間を使い、大日向友子の心変わりの原因を推測する。 *以下、ネタばれあり感想です。お気を付けください。*我慢してたんですよぉ。・・・これを読んじゃうと、当分古典部の新作に触れることはできそうにありませんし;なんですが、折れた竜骨を読んだら・・・そのままノンストップでこちらも爆読してしまいました;あぁぁ・・・;;・・・そしておもしろかったです!!!マラソン大会を通して、ここ1カ月の間の出来事を思い起こしながら、奉太郎くんがえるちゃんと大日向さんの「距離」を概算する話で、概要は間違っていません。・・・が、彼は、証言を集めるため、後ろから追い付いてくるであろう古典部の各メンバーと自分の現在地との「距離」を概算し、それぞれに聞きたいことをまとめようとします。さらに、裏「概算」として・・・と言いますか、読者へのお楽しみ・・・むしろこれがメインというのが、前作・遠回りする雛より一段階関係が進展・・・した??ような奉太郎くんとえるちゃん、一段階関係が進展した里志くんと摩耶花ちゃん、このカップルズ各々の距離を、読者が必死に「概算」してしまうような絶妙なエピソード・会話です。・・・作中、「ふたりの距離の概算」だらけという、なんとも小憎い作品でした。相変わらず、奉太郎くんが推測を始める動機には必ずえるちゃんが居ますし、ぶれない「青春」ミステリ小説だなぁ・・・。安心して読めますし、ですが、主人公たちの気持ちの動きは、概要を聞いて想像していたものより、何段階も深く強い、真剣なものなんです。・・・大満足です。各見出しが、「○.○Km地点」で統一されているのも、マラソンっぽさが凄く立ちます。ずっと規定のコースを走ってきたからこそ、後半、コース脇の神社境内で話すシーンの静寂がとても印象的でしたし、クライマックス、コースを外れて路地裏に入っただけで、なんかすごいアクションシーンのようなドキドキがありました。う~ん・・・とにかく「構成」好きがキャッホー!ってなるそんな作品でした。私のことなんですが。キャッホー!!でした。う~ん・・・古典部シリーズでしたら、今まで『クドリャフカの順番』が一番好みだったんですが、(アニメであのエピソードを拝見してから、米澤先生の小説を漁りだしたくらいですし;)う~ん・・・でも、『概算』もやばいくらい好きだなぁ;この2作は、個人的には甲乙つけがたいです^^。古典部シリーズの続きも・・・気長~に待たせていただきます。by姉
2013.03.01
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小説の単行本を、発売直後にいそいそと購入するなんて初めての経験です;『リカーシブル』(米澤穂信先生・2013年)訳ありで、ママの地元・坂牧市に越してきたハルカと弟のサトル。さびれていくばかりの一地方都市に伝わる古い民話・タマナヒメ伝説。サトルの予知能力の眼ざめ。友達になったリンカ。ママの真意。そこで立て続けに感じる違和感は、何を意味しているのか。大好きな米澤先生の新作。相変わらず、面白かったです!!*以下、ネタばれあり感想。お気を付けください。* 前回のファンタジーとは打って変わって、米澤先生お得意?の、日本現代・(くたびれた)地方都市が舞台。作品全体に、じめ~っとしたぬぐえない湿気がありました。今回の作品は、主役が社会的な力も経済力もない中学1年生の女の子。ただ、お話の要素全てがこの女の子の「精神」に乗っかって来る・・・そういうお話だったと思います。こう考えると、『ボトルネック』と似た部分のあるお話だったかな?と思うのですが、主役に、なんらかの判断・思考をさせたいんです。そのために、主役のバックボーンをいじり倒して、事件を構成して、他のキャラクターを動かして、で、最終的に主役にそれらの要素をプレッシャーとしてかけたり、思考の一要素として与えるという形で返す・・・多分、こういう作り方なんだと思います。ボトルネックでは、ラストシーンに極限の2択があるんですが、(答えの明記はないというおもしろさ・・・;)この『リカーシブル』はきちんと書いてありました。ボトルネックよりも、リカーシブルの方が、やっぱり要素の掛け合わせが多いと思うんです。米澤先生の作品って、「やりたかったこと」を考えると、作品毎にどんどん難しくなっていってる気がするんです。この作品の場合ですと、『リカーシブルー再帰的な・自分自身に戻って来るような』という概念と同じ流れの小さな渦が町・個人・エピソードの中にいくつもいくつもいくつも出てきて、最終的に、「なるほど、これが一番描きたかったものか」という「再帰」があるのですが、これが個人の気持ちの行きつく先にしかない出て来た中で一番絶妙~~~な、一番説明しにくい「再帰」なんですよ。主役本人も、これが「再帰」だとは思っていないでしょうし、そもそも「再帰」なのか、自分の気持ちが動いた結果として、「再帰」になっているのか、絶妙過ぎて、設定が先なのか、町の設定・事件が先なのか、主役のこの心情が先なのか、分かりません。・・・多分、全部をぐるぐるする過程の中でしか繋がったり、整えたり出来ないものだと思いますが、・・・よくこんなものが形になるなぁ;;;(しかも読み易い形式で)というのが、とにかく第一の感想です。どうやったら、「これをやろう」に行きつくんでしょうか;「これをやろう」の「これ」自体が、ぐるぐる思考した先にしか出てこないものだと思うんです。 負の慣習は、盲目の「希望」を生み、今を支えます。失望と同時に、人の限界と誠意ある愛を見出せます。ぐるぐるになります。おもしろいです!!!>< 実は、ずっと我慢していた古典部シリーズ・『二人の距離の概算』も読んでしまいました。(感想はまた書きますが。)これで、米澤先生の既刊本は、ほぼ完読してしまったことに;;ああぁ・・・新作はまだですかぁ・・・><!!中毒です。この感じだと、新作には1年2年かかりますでしょうか・・・つらいです・・・が、イイものが読みたいです!米澤先生、次回作も気長にお待ちしております。by姉
2013.02.26
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実家にパソコンを置き忘れていたため、記事が書けずに悶々とした数週間を過ごしました。マンガ、小説、アニメ、CD・・・感想が溜まっています。吐き出さねば・・・! 文庫になるまで待っていようと思っていたのですが、我慢できずに買ってしまいました。 『折れた竜骨』(米澤穂信・2010年)12世紀・北海に浮かぶソロン諸島。領主の娘・アミーナは、聖アンブロジウス病院兄弟団の騎士・ファルク・フィッツジョンとその弟子・ニコラ・バゴと出会う。彼らは、アミーナの父・諸島の領主ローレント・エイルウィンに魔術を用いる暗黒騎士が命を狙っていると告げる。ローレントは、その忠告とは別に、「呪われたデーン人」の襲来に備え、傭兵を募っていた。とにかく、今までの米澤穂信さんの作品とはかなり違った印象を受ける作品でした。そして・・・おもしろい!これは・・・いいですぞ。うん。 *以下、ネタばれあり?感想です。お気を付け下さい。*中世ヨーロッパファンタジー?過疎真っただ中の農村や小じんまりとした地方都市大好きな米澤先生が??(←偏見)出だしから、どう読んでいいか分からない小説でした。まず、どれだけ風景描写があっても・・・馴染みのある舞台でないと、文章読解能力の少ない私にはキツク、西洋のキャラクター名で混乱し・・・魔術、ゾンビ・・・これが本当にあるものなのか、それともトリックなのか・・・どういうスタンスの作品なのか分からず・・・9割読み終えた段階でもどう「期待」していいか分からないという、なかなか読むのが辛い作品でした。ですが、ここで効いてくるのが、米澤穂信先生の作品への信頼感!「絶対になんかある!!!」です。米澤先生の作品ですもん。絶対に「なんか」ありますよ。「これがこの作品でやりたかった『面白さ』か!」って、ガッツーンと入って来る瞬間が絶対にあるはずなんです。そう信じて、読み進めました。次々と散りばめられる鵜呑みに出来ない不審要素たち、中盤のまさかの超展開・・・そうしてたどり着いたラストの・・・・キターーーーー!!!!って快感です。たまりません><!なるほど・・・これか。ここか。ちゃんと個々の要素を解き明かすエピソードは、読んできた文章中に書いてあるはずです・・・それぞれに心に留まる人物像で武装していましたし、デーンの件に関しては、相当インパクトのある超展開・絵ヅラで読み手の「期待」を大いに翻弄しました・・・ところからの、他要素を一気に串刺す「おもしろさ」!一作品として、一気に締る快感。き・・・気持ちイイ・・・;;やられました・・・;;デーンの件を一要素に落とすというのは本当に大変なことだと思います。他の要素と釣り合っていませんし・・・ですが、これがないと先が詠み易くなってしまうのも事実で。うーん、でも普通・・・作品として「このバランス」で読ませることが出来るのかな?その「要素のバランス遊び」がこの作品最大の魅せどころ・・・だと思います。うん。不可思議な「魔術」が、「こういう作品」と認識させる串刺しになくてはならないものとなっています。要は・・・活きてる。「魔術設定」という飲み込みづらいモノを活かす、活きていると読者を押し切る、そのために、他のいろーんなごちゃごちゃ要素を同じ鍋に突っ込んで、読者の不安をあおりにあおって・・・最後に串刺すインパクトで・・・納得に無理やり落とす。わけ分からん感想ですが;語彙力が希薄なもので;いや・・・言いたいことは一言だけです。これ・・・面白いですよ。要素のバランスで押し切るって・・・お話って・・・面白いもんだな!!ってなります。『ボトルネック』は完全に、あとは『儚い羊たちの祝宴』なんかも・・・かな?要素バランス必見の作品だったと思うので、この『折れた竜骨』もどれもこれも大好きな米澤先生の作品・・・中でも、私ドツボという作品でした。気に入りました><!!!うん。もっかい・・・「彼」の視点を想像しながら、その後にもっかい、今度は「彼」の思考を想像しながら、読み直したいです。by姉
2013.02.13
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おはようございます。古典部シリーズ以外は、文庫になっているものはこれで終わりでしょうか。「春期限定いちごタルト事件」(米澤穂信先生・年 創元推理文庫)小鳩くんと小山内さんの小市民シリーズ・第一弾。ようやく読みました^^。第2弾、第3弾から先に読んでいたので、だいたいキャラクターを掴んでいた・・・つもりだったのですが、導入部分ということで・・・なるほど、この少々説明しづらい二人のキャラクター・二人の関係が、こういう風に登場していたんですね・・・!お・・・おもしろいな、これ;;やっぱり、米澤先生の作品の中では、軍を抜いてキャラクターに寄ったシリーズだなぁ・・・と思います。そしてじわじわ来る!小山内さんの描写がやっぱり見どころでした。小鳩くんの一人称でずっと語られるストーリーは、どうでもいい物事を謎にすり替えて(病的なほど)いきながら進みますが、最終的に・・・とにかく彼女を魅力的に言い表しちゃうんですよ;一見では、小さい、ふるふるした小動物のような印象と、その裏に隠された「行動力抜群の復讐魔」というミステリアスな本性。可愛くない・・・本当に;関わりたくないです。こんな娘。まぁ・・・小鳩くんも小鳩くんであんなんですし;自分たちが分かっているから、「小市民」なんて目指しているんですけど。小鳩くんにも小山内さんにも共感が出来るわけではないのですが・・・このシニカルな子たちが、じわじわと落ちてくるんですよ;いちごタルトの印象は、トロピカルパフェと似てました。お話筋の感じとか。栗きんとんだけ、かなり違う作品でしたが。でも、小市民を目指しているうちに、こう・・・焦ってがむしゃらに走らなければならない場面が出て来るという、面白さですね。これは共通してました。それが、小鳩くんにとって小山内さん関連ばかりです。気づいたらがむしゃらで。小鳩くんは・・・私的には何にも共感できない子なんですが、このテンション筋にだけはついていけちゃう;でもやっぱり彼になっているわけではなくて、横で観てる感覚です。焦ってるのを観ると・・・可愛く見えてくるんですよ。そんな感じです。小山内さんは見えてこないけど。うん・・・なんか上手いこと感想が書けません;正直なところ、最初は「微妙だなこのシリーズ」と思っていた節はあったのですが、気づいたら・・・あれ?結構好き・・・?みたいな;気づいたら・・・いいじゃんコレ。みたいな;;そんなじわじわシリーズです。 春・夏・秋と・・・どんどん関わる事件が 重くシリアスになってきているのも気になるところ。冬期限定は・・・まだ当分先になりそうな気がしますが。気長に待たせていただきます。by姉
2012.11.06
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一晩で読み切る気はなかったのに・・・やっぱり一気読みになっちゃいました;『さよなら妖精』(米澤穂信先生・創元推理文庫・2004年)1992年7月。大学1年生の守屋路行は、1年前に出会った少女・マーヤの現在の状況を推し量るべく、彼女との出会いから別れまでの2カ月間を回想する。彼女は、ユーゴスラビア紛争の最中、6つの共和国のどこかに帰っていったのだ。米澤先生の出世作・・・といろんなところに書いてあったので、読むのを楽しみにしていた作品でした。 *以下、ネタばれアリ感想です。お気を付け下さい!*納得です。米澤先生色ガッッツリの、推測モノでした。「日本に居ながら、ユーゴスラビア紛争に思いを馳せる」という、通常、国際ニュースを観た時に何気にやってしまう行為自体を、「触れられる次元の」エピソード・キャラクターで肉付けして、1作の小説に落としている・・・そんな印象の作品でした。「ユーゴスラビア紛争」を描いているわけじゃありません。「ユーゴスラビア紛争に思いを馳せる行為」を描いているんです。 これは・・・ミステリーなのかな?ミステリーに詳しくないので、定義がいまいち分からないのですが、事件モノではないんですよ。ただ、作中で最後解き明かす事象は、マーヤが意図的に隠していたことを言葉の端々から推測するものでした。更に言うと、この作品自体が、わずかな知識とマーヤのあらゆる物事に対する反応の全てから、ユーゴスラビアをつたなく推し量るものでした。言葉の裏に意味を隠すことが謎ならやっぱりこの作品はミステリー作品なんだと思います。しかし・・・おもしろい!第三者の、なんとも無責任で、どうにも無力な、謎ときの物語です。ユーゴスラビア紛争それ自体に対しては、この謎ときは本当に無意味なものです。・・・ですが、主人公側から観て・・・揺れる青春を謳歌している若者にとって、この謎が、180度物事の観方を変えるような、非常に大きな出来事である・・・というのが分かるんですよ。主人公にとってこの謎は、突如現れた異世界への興味だったり、恋愛感情でもありますし、心の底で焦がれていたような気がする非日常でもあります。この気恥ずかしくなるくらい若々しい捉え方、それを一人称で描ききることがこの作品です。やろうとしたことが強烈に、きっちり落ちてくるから・・・面白いんです。 タイトルの「妖精」という表現は、作中のどこにも出てきません。 でも・・・このしっくり感。マーヤがどんな存在だったか・・・見事に言い表している単語だなぁ、と。うーん・・・米澤先生色100%の、間違うことなき代表作・出世作・・・納得です! 以下蛇足ですが、弓道のシーンが出て来ました。お墓を眺めるシーンが出て来ました。「犬はどこだ」の感想でも少しふれていましたが、このあたりの2冊、出てくる要素が私の好みドストライク過ぎて・・・怖いです;これほど見事にはまってくるって;;弓道高校3年夏の地区予選って;主役の「そんなに高校生活を捧げて頑張ってきたわけじゃないしな」というこのテンション!八射四中、上手く打てた矢は的の少し上方にそれて・・・とか;なんだこのものすごいデジャブ感は;お前は○年前の私か!!と突っ込みながら読んでいました;by姉
2012.10.31
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これも・・・面白かったです><『追想五断章』(2009年・米澤穂信先生・集英社) 伯父の古書店で働く菅生芳光は、ある日奇妙な依頼を受ける。『亡くなった父の書いた5本の「リドルストーリー(結末のない物語)」を探し出して欲しい』1本、2本とみつかっていく少々不気味な短編小説と、見えてくる作者・叶黒白の抱えていた一つの事件。二十数年前の不可思議な事件・「アントワープの銃声」の真実とは・・・。*以下、完全にネタばれアリ感想です。お気を付けください。* 渋味と苦味が濃厚になった『氷菓』!・・・って作品かな?と思って読みました。古書を追っていくうちに、非常に個人的な、しかしドラマチックな真実と、それを受けた一つの「激情」が色鮮やかに現れてきます。米澤先生のとにかく凄いところは、構成・お話のおもしろさから入ってきておいて、それをキャラクターの意志に結びつけてしまう手腕だと思います。おそらく、構成をキャラクターの行動に落とし込む為の作者の行為自体こそ・・・古典部の奉太郎くんの得意とする「推論」なんじゃないかなぁと思うんですよ。「氷菓」や「犬はどこだ?」なんかでは、これが書きたかったのか!という事象があって、それを構成で詰めているのかな?・・・という印象でしたが、「愚者のエンドロール」、「儚い羊たちの祝宴」、この「追想五断章」なんかは、お話構成の面白さから出発している作品だと思います。「ボトルネック」「インシテミル」なんかは、まず設定ありき・・・かな?今回の追想五断章では、複数のリドルストーリーに、ある事件の真実が・・・!更に二段構え!結末の1文のとっかえで、嘘の真実のでっち上げが・・・!というのが、作品自体のとっかかりですじゃあ、こんなこと仕掛ける状況ってどんなだ?何を隠したくて、何を明らかにしたくて、こんなことをするんだ??これが・・・こじつけですよ!こじつけですし、お話です。それをドラマチックに、けれども納得のいく形・さらにわくわくさせる形で落とせるというのが、・・・落とそうとするというのが、お話から出発するという小説の面白さの真髄だな・・・と。リドルストーリーを使う意味が・・・ちゃんとあるんですよ><ここのところ、米澤先生の著作を読み漁っていますが、今まで、小説というものをこんなテンションで読んできたことがなかったんです。・・・そうかっ・・・これが「お話」か!やっぱり漫画・アニメ・映画なんかって、お話っておもしろさの要素の一つに過ぎなくって。絵から出発しないと・・・漫画は描き切れるものではないと思います。お話から入った方に、絵で表現するという行為は・・・ハードルが高すぎます。アニメ・『氷菓』は・・・衝撃だったんですよ。お話から出発するって・・・こういうことか!って。空知先生みたいな例(天才)は別にして考えると、漫画には求めきれないところがやっぱりありますので・・・・・・・・・面白~~~~い><!! 追想五断章・・・お話って・・・イイナ!とつくづく思いました。こ・・・好み・・・;さてさて、買い溜めした米澤先生の著作品がまだまだあります。読むぞ。by姉
2012.10.22
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夏のトロピカルパフェ事件が、結構ざわざわしたところで終っていたので、続きが気になってたんですよ!『秋期限定栗きんとん事件 上・下』(米澤穂信先生・2009年・創元推理文庫) *以下、ネタばれあり感想です。お気を付けください。*さてさて。・・・あらすじをちらっと書こうと思ったのですが、主役二人の説明がめんどくさそうだったので、やめました;米澤先生の著作品を読んで行く中で、この「小市民シリーズ」は・・・なんか浮いてるなぁ、印象が違うなぁと思います。多分、主役の2人が可愛げのない喰えないタイプだから・・・というのもあるかな?あとは・・・シリーズもの・・・連作という雰囲気が強く、1つのエピソード内で、事件自体は解決しますが、主役・その他の人々の心情やらなんやらまで、しっかり完結しません。主役たち、登場人物をいちばん中心に据えて考えてあるシリーズだと思います。ここが多分、他作品といちばん印象の違う部分でしょうか。古典部シリーズは、エピソード内で全員の気持ちが完結します。もちろん繋がってはいますが。なので、他作品に比べて・・・1エピソードを読み終わったとき満足感・・・というか、しっくり感は、落ちます。当然です。・・・しかし、続けて読んでると来る!じわじわと!当然です。主人公の小鳩くんとヒロインの小佐内さんは、恋愛関係ではない「互恵関係」だと言い張っていますが、栗きんとん事件を読むと、あぁ、これもこれで恋愛関係なんだなぁ・・・と思ってしまいます。そういうお話でした;うーんと・・・謎が大好きな小鳩くんにとって、幼い小学生のような外見とは裏腹に、いつまで経っても読み切れないミステリアスな本性を持つ小佐内さんは、・・・魅力的なんですよね;他の人たちからしたら、絶対に関わりたくない子なんですけど。キャラクターに寄ってるシリーズで、喰えない子たちというのが・・・面白いんですよ。最初は、「なんだこの可愛げのないキャラクターたち;」と思ったのに、だんだん・・・その喰えなさ・もどかしさが癖になってくるというか;味が出てくるというか;シリーズもの・・・イイな!ってなります。トロピカルパフェ事件は、高校2年生の夏休みのお話でしたが、栗きんとん事件は、2年生の秋~3年生の秋までのスパン1年間というお話です。毎月同じ第二金曜日に、ある法則に則って起こる放火事件と、小鳩くんと小佐内さんがそれぞれ別の人と付き合う過程が交互に淡々語られていきます。小鳩くんの一人称では、専らデートの実況中継!そして、本作のもう一人の主役・新聞部の瓜野くんの一人称で、放火事件は語られていきます。小鳩くんと小佐内さん、全然しゃべんないです。・・・で、この淡々とした1年間を見守ると、二人の関係が「これもこれ」としっくり落ちてくるようになる不思議。お・・・面白い><このシリーズは・・・続くのかな?どうかな?ここで終っても良さそうっちゃ良さそうなまとまりでしたが、やっぱり、冬期限定も読んでみたいです。雪見だいふく事件?とか?分かりませんが。甘アマなスイーツで作品自体を彩りまくっといて、キャラクター、キャラクターの関係が全く甘くない。・・・そこが本シリーズのおもしろさなわけですが、折角紆余曲折を経た後なので、ちょっとは「甘い展開」も・・・読んでみたいです^^。by姉
2012.10.17
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ブログ記事の侵食っぷりが凄い;というか、私に・・・このテンションで活字を読ませるということ自体が・・・凄い;米澤穂信先生の文庫・・・ハマっております!昨日は久しぶりの丸一日休みでしたが、やったことといえば・・・散歩と文庫本の3冊爆読。いや、どれも250ページ以下の薄い文庫本ですが。もうちょっと大切に、じっくり読みたいとも思うのですが読みだすと、どんどん加速してしまいまして;『愚者のエンドローエル』(米澤穂信先生・2002年・角川文庫)古典部シリーズから入ったのに、原作鑑賞はようやく1冊目です。だから、シリーズものに入るのに、なんで私は2番目の話から読むかな;手に入ったものから順に読んで行ってるからなんですが。アニメで観ていたので、当然概要は知っておりました。なので、真実が知りたい!というより、アニメとの印象の違いを楽しんだ・・・という感じです。いくつかの点が印象的だったので、列記します。●若干読みづらいこれは・・・前半を読みながら特に感じた部分だったのですが、今まで読んだ米澤先生の著作品では感じたことのない部分でした。古典部シリーズが、なのかは分かりませんが、わりと小難しい言いまわしなんかがあって、1度目を通しただけではすんなり頭に入ってこず、もう一度その1文を読み直すことが必要な部分がいくつもありました。ただ、これはデビュー2作目だった米澤先生が、読みやすさの次元を、それほど低く設定していなかっただけなんじゃないかなぁ・・・と思います。と、すれば、やっぱり今まで読んだ作品で感じて来た「読みやすい!これなら読める!」という部分は、米澤先生が意図的にそうしている部分なんでしょう。当然のことですが、プロってすごい・・・;●自主製作映画の描写これは・・・アニメ万歳!です。やっぱり、「主役たちが観ている映像」の描写は、映像に越したことはありません。アニメで観ていたからありありと想像できましたが、たぶん・・・この小説だけでは、どんな風に「素人っぽい」のか分からなかったと思います。もちろん必要な要素は説明してあるのですが、百聞は一見にしかず・・・というのはこういうことなんでしょう。●7、8章の印象原作では、「結局2-Fの企画は最後までこぎつけたわけで、俺は失敗・・・したのか?」というところまで思考が行きついていて、「いや、千反田は納得していない」という部分から、事態の真実を再考し始めていまして・・・正直なところ、アニメで↑このニュアンスは感じなかったんです。これが、今回原作とアニメを見比べていちばん驚いた部分でした。こういうニュアンスだったのか・・・これ・・・大切なところだよなぁ・・・;古典部シリーズとして、奉太郎くんのインセンティブが、結局えるちゃんに起因する・・・というのは、シリーズ一番の見どころというか、お約束・・・というか、萌えポイントだと思うので、うん。こっちの方がすごくしっくりきました。ただ、このエピソード一つでまとまらせる原作と違い、アニメは4冊分のエピソードを1作品として捉えていたと思いますので、ここで奉太郎くんや里志くんのざわざわを、わざと強調していたのだと思います。結論:原作にしかないものもあり、アニメにしかないものもある!どちらも超高級なので、どちらも鑑賞するのが一番!!古典部シリーズ・・・次は、クドリャフカだな。by姉
2012.10.15
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出てくる要素が、私の興味分野・土台に見事にはまってくる作品でした。す・・・好きです!これ><『犬はどこだ』(米澤穂信先生・2005年・創元推理文庫)東京へ出て銀行に就職し、顕実な人生設計を描いていた主人公・紺屋長一郎は、アトピー性皮膚炎を患い、2年で退職。地元・八保市に戻り、引きこもること半年。知人の勧めもあり、社会復帰のリハビリを兼ねて始めたのは、犬探し専門の調査事務所・「紺屋S&R」だった。しかし、開業直後に舞い込んだ2件の依頼は、それとは大きくかけ離れた「人探し」と「古文書の解読」。高校時代の後輩で探偵志望のフリーター・半田平吉も加わり、調査を進めるうち、この2件が微妙にリンクし始める・・・。 *以下、ガッツリネタばれあり感想です!ご注意を!*とにかく、設定や出てくる要素が・・・たいへん私好みというか。好み・・・?うーん・・・生きて来た、その土台になってる部分がたくさん出て来たというか。まずはとにかく舞台!舞台は架空の町や村・・・なんですが、なんかもう、思いっきり地元やら、私自身が10年以上前に住んでいた場所やらを想像しながら読んでいました。知ってる・・・知ってるぞ・・・この山々とど田舎感!ぐねっぐねの峠道だろ!父の車に乗ってる時も、自分で運転し始めてからも・・・そんな道ばっかりドライブしてますよ!主人公や登場人物たちの年齢も、今の私とかなり近い年齢で。これまで読んだ米澤先生の著作品は、どれも高校生や大学生が主役だったので、・・・なんか、主人公への入っていけ方が違いました。凄い入って行けます;あぁ、「若者」にカテゴライズされる時は過ぎたんだな・・・と思い知りました;2件の依頼を、主役が「人探し」、ハンペー君が「古文書解読」という割り振りで、交互に各々の一人称で進めていきます。この2件は繋がるのか・・・?繋がりそう・・・なのは初っ端から出ているのに、最後の最後まで、どう繋がるかが分からなくって。・・・で、まさかの山城ですかぁ!!こう繋がるのか!なるほど!「山城」とその解釈・・・だからこその、お話のひっくり返しとか!!どこまで私の好み!?いやいやいや・・・好みだ好みだと思って読んで来ましが、これほどまでにドストライクだとは;;興奮と納得で駈けつける、クライマックスの舞台も、ありありと想像することができました。8月の超人気のない山の中・・・午前中・・・分かりますとも・・・ですが、これは・・・怖い!!そして新鮮!ラスト、主人公と一緒に山城に足を踏み入れてつくづく感じたのが、城って・・・こういうものなのか、ということ。「自衛」の為の城って、こういうものなのか・・・と。その城に踏み入るって、こういうことなのか・・・と。城の使用方法が間違ってないんですよ。それがこのお話のいちばん面白いところだと思うんですけど。去年くらいからの俄か「城ファン」な私です。しかも、山城最高!・・・という。城萌え!掘り萌え!土塁萌え!とかさんざん言っておいて・・・何カ所も山城に訪れておいて・・・本気の本気では、「城」が活きている状況を想像したことはなかったな、と思い知りました。そうだ・・・城が活きるって・・・こういうことだ;・・・怖っっっ!!いやいやいや、とにかく面白かったです!これしか今は言葉が出て来ません。好み過ぎ。たぶん・・・今まで読んだ米澤先生の文庫の中では個人的にNo.1・・・かな?うーん・・・でも他のもそれぞれ面白いからなぁ><紺屋S&Rの文庫本は今のところこれ1冊のようですが、シリーズ化はしないのかな・・・?やる気はないけどキレ者の紺屋部長と、意外と頭を使う調査も出来そうなハンペーくんの二人のバランスも好きなので、是非・・・10年に1冊くらいのペースで続編が細々と出ると嬉しいなあ・・・と思っております。by姉
2012.10.14
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ああぁ・・・止まらない;一昨夜も、深夜2時過ぎまでかけてラストまで読み切ってしまいました;「Day-3」くらいまでは仕事終り、数日に分けてちょくちょく読み進めてたんですが;「Day-4」までくると、途中で手を止めることは不可能でした;『インシテミル』(米澤穂信先生・文春文庫・2007年)自給11万2000円。拘束時間は7日間×24時間。超高額バイトに、おかしいと思いつつも、興味半分で応募した大学生・結城理久彦。彼は、彼同様集められた11人の男女とともに、人文科学的実験のモニターとして、地下施設ー「暗鬼館」へ入ることに。そこで行われたのは、被験者12人による殺し合いと犯人当てのゲームだった。 *以下、ミステリー作品のネタばれアリ(?)感想です。ご注意を!*映画になってた作品ですね!そういえば・・・藤原竜也さんだ!・・・だけど、まーたこんな映画作ってもう・・・観たくないよこんなのと、映画館で予告を観て思った覚えがあった・・ような;当然のことながら、好みじゃありません!文章だから読めたものの・・・多分映画は無理だと思います。今回のような・・・「この作家様のは何読んでも面白い!」と思わなければ、一生手を出すことがなかった作品だと思います。本文に入る手前、こちら警告文があります。<警告この先では、不穏当かつ非倫理的な出来事が発生し得ます。それでも良いという方のみ、この先にお進みください。>いいというわけではないんですが・・・本を手にしている状態で、この警告で引き返す人はいないでしょう。・・・これと同文のものが、本文中、暗鬼館へ入る時の、被験者たちへの警告です。読んじゃってる手前、ここで暗鬼館へ入って行ってしまう主人公たちのことを「分からない」とは言えない!これがこの作品の恐ろしいところで・・・暗鬼館や、その運営主体に関しては、全く非現実的・非倫理的な「いかにもな狂った舞台」なのですが、そこでこう動く主人公や他の被験者たちには、ついていけてしまいます。米澤先生の作品は、・・・まだ4冊目(&アニメ『氷菓』)しか鑑賞していませんが、一体どうしてこんなに面白いのかなぁ・・・と思った時、今回の「インシテミル」を観て、なるほど、と思った部分があります。ミステリー作品なので、まず特徴的な舞台・設定があって、その舞台が立つような、練りに練った「起きること」の構成ががっちりあって、そっから一人称に落としながら、更に面白く練って行ってるからだ。インシテミルの場合、特徴的な「暗鬼館」の舞台設定、運営主体の様々な条件があって、12人の被験者(&割り振られる武器)×7日間24時間の行動があって、で、最終的に主人公・結城くんの一人称で物語を語った時、いちばんおもしろくなるように、気持ちよく読めるように前の2段階を何度も往復しつつ・・・作ってあるんだろうなぁ、と。要は、お話作りの段階が・・・違う!当然のことっちゃ当然のことなんですが、ホント、それがよくよく観てとれる作品でした。あとは、読後感が印象的で。米澤先生の作品って、読んだ後・・・気分がいいんですよ。すっごく気持ち悪い、グロイ話も、とんでもないところで終る話も、今回のような非倫理的な話も・・・後味が嫌じゃない。というより、後味の苦みがたまらない。インシテミルの場合は・・・主役の心情がこうだったからなのかな。最初の2~3日は、本当に大人しい行動しかしなくって。周りの発言権のありそうな方々に流されるまま行動していた主役が、後半は全体を回す行動主体に躍り出ます。実はミステリー好きで、かなり詳しい・・・という設定が後半に露呈し、「慣れて来た」後半は、この状況を一番楽しめている人物でした。↑この結城くんの一人称だから、嫌な読後感にならない・・・というか。さらに、主役に突然置いていかれる快感があり、 (↑なんやかんやで主役がカッコいい)非倫理的な事象なのに、運営主体の思惑や人物配置を理解したとき、 出来事を納得できてしまう不思議さがあり、痛快です。とにかく・・・面白かった><!!繰り返しになりますが、あらすじだけじゃ私が手を出すはずのない・・・猟奇的な印象の作品です。・・・が、まったくもって面白かった><!!米澤先生は・・・これ・・・お話中毒の方なんだなぁとひしひしと感じます。作品によって、強調所が全然違いますし・・・でも何読んでもそれぞれにそれぞれの感動があって、全部面白いですし><次の1冊ももう買ってありますので、今夜あたりでも読み始めようと思います。by姉
2012.10.11
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困りました・・・おもしろいです。ボトルネックもそうでしたが、そこそこの・・・300Pほどある文庫本ですが・・・一夜だけで一気に読み切れちゃいます。・・・読み切らざるを得ません。一度読みだすと、ページをめくる手が止まらないんです;20数年で初めて「読書(活字)の秋」を送れている気がします。『儚い羊たちの祝宴』(米澤穂信先生・2008年・新潮文庫)*以下、ネタばれアリ感想です。お気を付け下さい!*カバー裏の紹介に「米澤流暗黒ミステリの真骨頂」とありましたが、読んで納得。・・・怖っっっ!!!お嬢様たちの大学読書サークル「バベルの会」に関連する5つの事件のオムニバス短編集。どれもこれも凄惨な殺人事件です。アニメで鑑賞した古典部シリーズ、少しかじった小市民シリーズ、そしてボトルネックの「ミステリ」とは、かなり印象の違う作品でした。なんですけどね・・・もう・・・どれもこれも面白いんですよぉ><インパクトが凄い;基本的には、他作品と同様の一人称の語り口で物語が語られます。ただ、1本1本切り口が違いまして、手記・・・手紙?形式のものや、最後一気に語り手が変わってお話を締めるものや、読まれることを意識した日記形式のものや・・・5本並ぶと、もう圧巻です。とにかく要素出しの上手さ、入って行きやすさ、ついていけるような気がしてしまう絶妙な狂気・・・なんでいちいちこんなにおもしろいんだ!・・・と。なんでも何も、おもしろさが本当に明確で。一人称の語り口だからこそ、他の登場人物の真実を「推測するように」誘導させられますし、更には一人称それ自体が要素を絞って出すミステリーです。個人的に一番のお気に入りは、3作目の『山荘秘聞』。一人称マジ怖ぇ・・・!淡々とした物事の説明が、途中から明らかにおかしくなる怖さ;ちょっと待てお前ぇ!・・・でも怖くて聞けねェよ!という面白さ。なんですかコレ><(ただ、バベルの会とは一番縁薄い話でしたので、このオムニバスの中でベストに挙げるのはあんまり良くないかもです。)うーんでもな・・・4作目の『玉野五十鈴の誉れ』も無視できない!おもしろいんですよこれがまた・・・。これも「一人称ってこんなに面白いのか!」という作品でした。ラストが凄いんです;でもそんなこと言ったら、1作目の『身内に不幸がありまして』も、一人称の語りだからこそのひっくり返しでしたし、2作目の『北の館の罪人』も、「知る」「気づく」という視点が本当に面白い作品でした。どちらもやっぱり・・・ラストが凄まじいです。「あぁ(納得)」と「あっ(気づき)」です。5作目の『儚い羊たちの晩餐』は、オムニバスの総括にふさわしい日記形式のお話でした。バベルの会の概要を説明しつつ・・・一人称の面白さを存分に詰めこみ・・・そして破滅。そして過ぎる歳月・・・と、単行本それ自体の「締め」として、必要に迫られた要素の非常に多い作品でしたが、絶妙な登場人物配置でそれをやりきっちゃうから・・・凄いです;繰り返しになりますが・・・圧巻の5作でした。グロイ怖いが苦手な方にはおススメできません。ですが、どちらかと言えば私自身も苦手な方です。どうしようもなく面白い!!構成で魅せる物語大好き!受け手のことをよくよく考えた、読みやすい文章大好き!・・・な方は、グロイ怖いが「無理」でなければ、手を出して絶対損のない1冊だと思います><by姉
2012.10.04
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*ネタばれになっている(かもしれません)。ご注意を!* 米澤先生の著作品・・・ハマります;時間軸を丁寧に、淡々と出来事を消化していくうちに・・・気づいたら妙~なハイテンションにさせられてしまうという恐ろしさ。驚愕な事実が待ち受けている!ラストの大どんでん返しに定評あり!・・・というわけではないのに、待ち構えていたよりも、ちょっとドラマチックな真実があるんです。クライマックスに「あぁ」という納得と、事実への動揺でぐちゃぐちゃになるんです。↑これが・・・爽快なんですよ;読んだ~~って気がしますし、「感動」した~~って思います。『夏期限定トロピカルパフェ事件』(米澤穂信先生・2006年)「古典部シリーズ」と並んで、「小市民シリーズ」があるとのことで・・・手を出したのはいいのですが、何故これから読むんだ私は;シリーズ第2弾の夏モノ。本当はこの前に、第一弾である『春期限定いちごタルト事件』があります。ただ、もちろんキャラクターや、「小市民」の概念に入って行きにくい部分はありましたが(↑当たり前)やっぱり読みやすい!この1冊に描かれた「面白さ」というのは、すっすと頭に入って来ました。これだけ活字の読めない私に分からせるんですから、しかも「読みたい!」と思わせるんですから・・・凄いことです;小市民シリーズは、古典部よりも一般に言う「事件」に寄ってました。あとは・・・主役二人が、古典部の面々より喰えない系かな?主役にも・・・嫌なことやらせますし、ずるい感情を駆り立てますし・・・その辺りの後味の悪さというか、苦みというか渋みというか・・・それが印象的でした。で、その苦み渋みをどっさり詰め込んでおいて、こんな甘アマスイーツで彩りまくるとこが・・・憎い;ヒロインの小佐内さんが大のスイーツ好きということで、タイトルのインパクトのみならず、作中がもうスイーツだらけでした。夏休み中、「小佐内スイーツセレクション」の食べ歩きに付き合わされる中で、膨らむ不信感と、突如起こる事件。スイーツセレクション・ベスト1のトロピカルパフェにたどり着いたときの、あの妙~な・・・冷や汗だらだら出るような・・・緊張感とハイテンションがたまりませんでした。とりあえず「いちごタルト事件」からちゃんと読まないと。っていうか、続き気になるんですけど。3作目は・・・「秋期限定栗きんとん事件」か!おぉ・・・こちらは上下巻なのか。これも即刻手に入れねば。米澤先生の著作品は・・・この感じだと、全部集まることになりそうです。私が活字の作品で作者さまのコンプリートを目指すなんて、・・・前代未聞!これでちょっとは小説に手を出しやすくなるかもですし・・・嬉しい限りです。by姉
2012.10.03
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読書感想。たまには活字も読まねば。です。『ボトルネック』(米澤穂信先生・2006年)崖から落ちた・・・はずだったのに、気づいたら地元の公園に居た主人公・リョウ。とりあえず自宅に帰ったところ、出迎えたのは「サキ」と名乗る見知らぬ女性。どうやらここは、「彼女ー死産だった姉」が生きていて、「僕」が生まれなかったパラレルワールドのようだ。アニメ『氷菓』を鑑賞しまして・・・これはっ・・・もう・・・原作絶対に好き!というか、この作家様の小説、絶対に好き!・・・という確信の元、米澤穂信先生の著作品に手を出し始めました。実は、アニメ原作はライトノベル!という思いこみで、米澤先生もライトノベル作家さまだと思い込んでいたのですが・・・ライトノベル色が強いのは古典部シリーズのみで、こんな新潮文庫(お堅いイメージ;)から本を出されるような作家様だったんですね;本屋でこの方の著作品がみつけられなくって苦労しました;とりあえず完結モノで読みやすそうなこの作品から。*以下、ミステリー要素のある作品のネタばれアリ感想です。お気を付け下さい!* とにかく・・・読んでよかった!おもしろかった><この方の作品は・・・まだ古典部シリーズと、この「ボトルネック」しか知りませんが、基本、「地味目のミステリー」+「何か(作品の主題・主人公軸)」って感じ・・・なのかな?主人公のタイプは、あだち充先生の作品のように、基本は「同じ子」・・・って感じ何でしょうか?で、作品の主題に沿って、微妙~に個性が違うんです。(あだち先生の作品も、よく「キャラ同じ」と言われますが、熱烈ファンとして主張しますと、全然違います。お話に必要な要素がきちんとキャラクターに反映されてます!)ボトルネックのリョウくんは、古典部の奉太郎くんととても似ている、基本的には自分から多くのことに関わろうとせず、何もかもに寛容的というか、無関心というか・・・そういう子でした。でも、超ネガティブ。その子の一人称単数の語り口調で、物事を説明する感じでしょうか。特に、美しい詩的な言い回しだ!とかそういう文章の印象ではないんです。ただ、主人公の目線での語りはとにかく読みやすいですし、要素出しと、要素の「程度」が上手なんだと思います。主人公・リョウくんのテンションで 謎を追っかけられるんです。この「謎」が、この子にとってどれだけ大事なことか・・・それが分かるんです。シチュエーションが分かりやすいので、リアクションの大きくないリョウくんですが、その心情をきちんと「間違わず」追っかけることが出来ます。だからこその・・・ラストシーンのインパクト。絶望しかなかった世界に、自分の存在の否定を焼き付けた状態で・・・「好きだった女の子が亡くなった崖」に戻って来るという・・・このシチュエーション。凄いコレ・・・;崖下も地獄。家に帰るも地獄。でも、パラレルワールドで「好きだった女の子の死の真相」が分かったことで、彼女の本当の本当の心の内が見える気がして。自分との日々が虚構めいていたという絶望と一緒に分かったのが、彼女が「自殺ではなかった」という事実と、 きっとあるであろう彼女の「生への嫉妬」で、加えて、本当は生まれなかったお姉さんの強烈な思いがあって・・・どっちに行くんだ?!!・・・の答えは、読者各々が、ここまで読んできたテンションで描き切れ!という;凄いコレ・・・;;また読み直したら違う「ラスト以後」を思い描くのかもしれませんが、これは・・・生ある地獄の方でしょう。「そんなに主人公の気を滅入らせて楽しいか!」・・・という、本編全体が主人公いじめみたいなお話で、元々の世界に本当にまったく光がなくって、それどころか大切にしたかった彼女との想い出まで崩れ去って、最後のダメ押し・母親からのメールで読者と主人公がアクセス不可になるラスト。・・・それでもこう思わせる!!!が、この作品の一番面白いところ・・・なんだと思います。こんな微妙な・・・本人にしか絶対に分からないはずの感情が、明確ですもん・・・。おもしろ~~い><!!!私はこんな感想ですが、多分全然ちがう感想な方も大勢いらっしゃると思います。私には「明確」な感情だったんですけど;え・・・そういうお話だと思ったんですけど・・・;だってここまでリョウくんに感情移入して読んできて、死のうと思いませんもん;・・・作者に踊らされてます;;ああぁ><面白かったぁ!!とにかく読みやすくって、数時間で一気読みしちゃいました。次はどれ読もうかな。by姉
2012.09.30
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ラストです。テレビアニメ『氷菓』全エピソード感想-その3○『心あたりのある者は』(19話)文句なしに面白い!このエピソードで掴まれた方、大勢いらっしゃるんじゃないでしょうか・・・。・・・まぁ、私なんですけど。短い教頭先生の校内放送から、その背景について大胆な推論を立てる折木くん。しかし妥当!突拍子もないのに、言われると「そうかも」と思ってしまう説得力。「あの放送を聴いて、生徒Xが名乗り出る可能性があると思うとは、どんな状況だ?」・・・ここの展開にこそ、唯一絶対の犯人を暴くのではない、「推論」の面白味が凄く出ていると思います!ちなみに、妹に氷菓をゴリ押しする際、真っ先に見せたのがこの19話でした。明らかに視聴に乗り気でなかった妹に、落書きを描かせるに至らしめるパワーはあったと思われます。 ○『あきましておめでとう』(20話)ザ・ラブコメ。私が初めて観た氷菓が、この回でした。・・・なんて地味な話なんだ・・・がしかし、なんでこんなに面白いんだ??が最初の印象です。映像美・・・というか、一人ひとりの演技だなぁ・・・と。もう、一人ひとり、一個一個の動作が桁違いで;お年始の挨拶をまったりやり合ってるだけで、なんでああも人を釘づけにしますか・・・。「描いてる」からなんだなぁ・・・。動作が一番入ってきたのは、全編通してやっぱりこの話だったかなぁと思います。あとは、ハプニングを扱った・・・話をまとめる「主観」のない、これも群像劇な印象が強い話だったかなぁ・・・と。そうすると、個々の主体の「意識の向き方」の為の要素だしというのが本当に繊細で。・・・クドリャフカに近い面白さがあったと思います。っていうか、古典部のダブルカップルカワイイ。最終話まで観たあと、この20話を観返すと、面白さの濃厚さが変わります。○『手作りチョコレート事件』(21話)里志くん超めんどくせぇ!!!な回でした。しかし・・・個人的に一番の共感キャラでもあります。この・・・「いろんなモノに興味がある~」と言っておいて、自分の関心度の浅さにがっかりしてる感じとか;好きなモノを好きでいられる自信がない感じとか;;うわぁ・・・分かる;ちなみに、妹の「何言ってるんだコイツよくわからん!」って意見もすごく分かります。だって本人だって説明出来ないもん!だから、本人も「何やってんだ」と思うようなことをやっちゃうというか;折木くん・摩耶花ちゃんが(里志くんが行動しやすいように)部室を空けてあげとく感じとか・・・なんか気を使わせてすみません!・・・と思ってしまったり;とにかく、観てて心が痛む回でした;でも・・・1~2年かければ・・・こんな子にも「大事なモノ」を作ることが出来ると、信じたいです。○『遠回りする雛』(22話)最終話です。多分寒い地域じゃ、3月3日に花は咲かないからだと思いますが、私の実家も4月3日に雛まつりをやる地域でした。「狂い咲きの桜」が登場しますが、4月3日に咲いてるって、そんなに変な話じゃない気が・・・と思わせておいて、登場する人々の服装がまだ明らかに冬の格好だったり、祭りの控室で、折木くんがずーっと暖房にあたっていたりという描写が素敵です!あ、そうか・・・ここ高山か。桜咲いてたら早いわ、と。細かいんですけど、間違いなく意図的に描かれている部分です。たまらん・・・!さてさて。とにかくまぁ・・・このエピソードの一番の見どころは・・・祭りの控室のおっさんたちの描写でしょう!土着閉鎖的な「めんどくささ」を印象付けつつ、そこに、その人たちを組織的に動かせる人が一人いたりする、なんとも実際にありそうな説得力。さらに、「めんどくさそう」なのに、その中で折木くんがそこそこやっていけそうと思わせる感じとか。↑ここの描写がとにかく洗練されているので、(付けくわえて、20話なんかの描写も気を使って作ってあったので)ラストシーンがグッとくるんですよぉ><たまらん・・・!!個人的に次点の見どころとして、「生雛まつり」の夢心地シーンで流れていた、雅楽器主体の素敵BGMを上げたいと思います!神社でよく聴く「プア~ン」って音が、ちょっとおちゃめなサウンドに乗ってて。本当に素敵でした・・・このシーン!田中公平さんの無敵さを改めて思い知らされました。はぁ・・・書きたりない;また繰り返し観る度に、「ここちゃんとこうなってんのか!すげぇ!」ってところにたくさん気が付くんだろうなぁ・・・と思います。とりあえず今回はここで打ち止め。それにしても・・・「アニメ」から観た作品で、これほどハマるのは個人的に珍しいことでした;ブルーレイ・・・やっぱり欲しっ・・・いやいやいや・・・。by姉
2012.09.20
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テレビアニメ『氷菓』全エピソード感想-その2折り返し・・・かな?前半も面白かったのですが、特に12話以降は・・・ノッテきたとしか言い表せない「しっくり感」があると思います。感想が1話1話長くなりそうです・・・;○『クドリャフカの順番』(12~17話)作中で最も長いエピソード・文化祭編。全部で6話もある長いお話です。ある意味で、アニメ・氷菓の一番の見せ場だったと思います。さすがさすが・・・圧巻の内容です!これはまいった・・・おもしろい;;これまでのエピソードと打って変わって、古典部の4名がそれぞれ好き勝手文化祭を動き回る、主体が4つという、完全な群像劇です。そこに、「刷り過ぎてしまった文集の完売」という古典部の主目的があり、そして徐叙に、様々な部活から物が盗まれる「十文字事件」が明るみに出始めます。4人全員が強固なインセンティブをお互いに持ち合い、それでいて、それぞれの行動や感情が「文集の完売」と「十文字事件」のどちらをも彩ります。考えても考えても・・・上手いこと出来てる話です・・・!各キャラについて。えるちゃん:部長として、文集完売のために走り回ります。 彼女が不慣れで不毛な交渉を延々と続けたからこそ! 折木くんはあんなに頑張ることが出来ました。 里志くん:ここに来て、一気に「主観」が解放される自称「データベース」。 見ごたえありましたとも。 後半は「劣等感と憧れ:期待」という、苦しい気持ちで動くことになりますが、 前半3話では、彼にしかない良さが存分に表現されています。 14話で折木くんが叫んだのは、 里志くんが「魅力的だ」と定義しているようなものだと思います。 本人はなかなかそういうのに気付けませんが。 摩耶花ちゃん:重要小道具・「夕べには骸に」の付加価値向上、 文化祭を彩るコスプレ・・・と、 エピソードの「面白さ」への貢献がすごく大きかった摩耶花ちゃん。 また、いずれも「説明・彩り」という要素の方に 主きを置いていたにも関わらず、 彼女の趣味嗜好(古い漫画が好きなのか、とか)や、 ホントにこの子イイ子だな!というのが垣間見えて、 彼女の魅力が何十倍にもなるエピソードにしちゃってます。 神業だと思います。折木くん:本気で文化祭3日間、ずーっと売り子として部室に居た主人公。 本当に動かない子だなぁ; しかし・・・おいしい;主役だから当然かもですが; 前半のクライマックス(14話)で、インパクトを一気にかっさらい、 後半はとんとん拍子に十文字事件を解決する独壇場。 十文字事件を氷菓の販売に結び付ける鮮やかな手腕。 だけど頑張ったのは結局えるちゃんのためか! この子が頑張れば頑張るほど、作品がラブコメになるんですね・・・。 しかし・・・おいしい!!十文字事件も本当に良かったです。これ、起こしたのが原作者のアンジョウハルナさんだったら、違うニュアンスになると思うんですよ。この「ほろ苦」な激情って、なかなか他にない・・・と思います。最後、里志くんの想いや、摩耶花ちゃん方面のざわざわをひっくるめて、感情を一気に定義して終る・・・と。見事です。大満足な群像劇です。○『連峰は晴れているか?』(18話)この先は、最終話まで全て一話完結の短編です。めちゃめちゃ地味な話なんですが、もう大好きなんです。このエピソード;季節は秋深まってまいりまして・・・日が落ちるのも早くなって来ました。ヘリコプターが通り過ぎるのを観て、ふと思い出した中学時代の英語教師の奇妙な発言の、その背景を推測し、裏付けの為の資料を探します。これは「アニメーション」に一番感動した回でした。もう空気が、よく知っている間違うことなき「秋の放課後」なんです。山に当たる日の感じとか・・・こう、こうですよ!って感じ。図書館が出てくるのですが、これがもうそのまま入って行けちゃいそうな空気感で。また、図書館の中に居ながら、時間が経つうちに外の夕陽が強くなっていくのが・・・凄い。「自然な時間感覚」です。帰りがけ、えるちゃんとの会話の為に1回分青信号を見逃す描写が・・・憎い。確かに、「青信号1回分の遠回り」から見えてくる、日常の奥深さ・・・って話だったのかも。ここまで、時間軸を丁寧に丁寧に描いてきたからこそ、「千反田が家に着くのは完全に夜だな」ってまとめが、この重み!きれいな映像や空気感は、無論、他のエピソードでも凄すぎるのですが、飛びぬけてこのエピソードで入ってきたのは、お話の要素に、山や空に目をやってしまう視点の要素があり、そこを強調して描いているからだと思います。京都アニメーション恐るべし;これ以上、映像作品に何を求められるんだ・・・という感動でした。 その3に続くby姉
2012.09.20
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テレビアニメ『氷菓』全エピソード感想-その1 最終22話まで観ました。・・・正直なところ、ブルーレイの購入を検討しています。ツボったあぁああ!!いや、一回目はそんなにテンション高くなく見たんですよ。ただ、どのエピソードも最後の瞬間に・・・犯人(というか仕掛け人)の「もうどうしようもない激情」がパッと色鮮やかに現れる・・・その快感というか苦みというか・・・それが忘れられなくて、まず観返しちゃいます。で・・・そうすると・・・二回目の視聴がやばい。流石は(日常)推理小説原作の作品;事件の要素出しのための前ふりとまったり日常会話で見せる「キャラクター観」の 絡みの繊細さといったら!細かい・・・本当に細かい・・・!は・・・ハマるぅ・・・・!!何が凄いかって、事件より、キャラクター観の方が先に立っているところ。ミステリーなんですけど、主役たちのテンション筋の方が先に練り込まれている・・・と思います。事件を、いかにキャラクター筋に絡めるか・・・そこの繊細さがもう・・・見たことがありません!ガッツリミステリーが、事件が見たいんだ!という人向けのミステリーではないとは思いますが、特に、微細な感情で練り込んだ構成少女漫画が好きな方なんかには、すごく気持ちよく入って来る作品だと思います。・・・私のことです!たまりませんこのアニメ!!テンションが収まりませんので、とりあえず各エピソードについての感想を・・・。キャラクターについてもふまえながら。★バリバリネタばれですので、未鑑賞の方はお気を付け下さい!★○『氷菓』(1~5話)作品の要素として、やっぱりこれが一番ハマっていると思います!原作を読んでいないので、変わっているところがあるとか分からないのですが、とにかく、「古典部」「氷菓」という、鑑賞前に???となっていた語感要素が、作品の主魅力と共にし~~っくり落ちて来ます。キャラクターについて、「省エネ主義」をモットーとする主役の折木くんが、「古典」から時効となったはずの出来事や感情を読み解くという、一般的に観たら、無駄この上ないことを一生懸命やるというそこの面白さも、一番立っていると思います。あとは、最後に鮮明になる感情という面白さが、お話の段階を経て、一番明確に立っている部分でしょうか。謎解明が、事実と感情の二段構えというのがなんとも。感情については、「そこまで大げさにもったいぶらなくても、なんとなくは想像つくよ」という次元のものなのですが、やっぱりそこに来て、文集名という「古典」に、本人が古典部の後輩に残した強烈なメッセージが・・・というのが、どこまでも妥当で・・・締まります!名作・・・! ○『大罪を犯す』(6話) キャラクターに寄ったお話です。とにかく地味。えるちゃんというヒロインは、名前の通り・・・神秘性があると言いますか、やっぱり浮世離れした子で、作品を通して、主観が使われない子です。折木くんをメインとして、他の古典部面々は出てくるんですけど、えるちゃんだけはどこまでも「観られる」側。そういった作品の色が凄く出ている一話だと思います。締めが好き。 ○『正体見たり』(7話)古典部4人で温泉付きの民宿へ。・・・サービス回・・・かな。キャラクター全員が可愛く動いてくれて大満足な一話。最後・・・「ほろ苦」な感情を打ち消す、えるちゃんの「ほらっ!」という笑顔で、世界はバラ色。折木くんは天才型で、正直彼になって観れているわけではないのですが、彼目線で・・・折木くんのテンションで受け手のテンションは操作されてしまうわけで・・・なんか・・・不思議な感覚です。○『愚者のエンドロール』(8~11話)始まった時は、まさか4話も引っ張る話だとは思いませんでした;とにかく、これは・・・説得力万歳!ハイクオリティアニメーションブラボー!2年生の文化祭用自主製作映像の稚拙さがあまりに見事に描写されて・・・そこの要素を立ててひっくり返す、「天才・折木くん」の推論の斬新さが凄く伝わって来ます。折木くんにとっては、やりたかったことが出来なかったお話ですが、傍から観てると・・・彼の天才性が「女帝・入須」によって存分に引き出されている状況なわけで、そんなにバッドエンドでもないんです。↑これは・・・多分里志くんの目線ですけど。このお話は、折木くんのテンションで魅せるこの作品に取って、心の穏やかさを脅かす・・・嵐のようなお話・・・だと思います。里志くんの方面もざわざわし始めますし。このエピソードがあるから・・・折木くんが魅力的なんだなぁ、と思います。○『持つべきものは』(11.5話・OVA)本編の補足エピソード。愚者~直後の夏休みの一日のお話でした。愚者~で、とにかくへこみまくった折木くんを、古典部が元気づけようとしてあげる・・・というお話。元気のなくなった折木くんを観て、普段のあのテンションって元気のある状態だったのか・・・!と;最後、折木くんの声のテンションが戻った時に凄くうれしくなりました。古典部イイナぁ・・・。そのエピソードを、「女の子の水着!!!」というサービス精神でソテーしてあって。太陽サンサンの海!ではなく、山間部の市民?プールというのがまたいいんですよ・・・;私も入ってました・・・ああいうプール;何が灰色だばかやろう・・・。 その2に続く。by姉
2012.09.19
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おはようございます。 ここ数日で、アニメ『氷菓』・・・を観てます。どうも私の行動を思い起こすと、たまに・・・半年に一回くらい、うぉぉおお!(萌え系の)アニメが観てぇええ!!女の子の可愛さが際立ってるやつーーー!!基本ラブコメで、それでいてライトノベル原作特有?のよくわからない理論的っぽい言葉で飾られてる感じのーーー!!ってなるみたいです。今回この微熱的な欲求に満面の笑みで答えてくれたのが、この作品・『氷菓』でした。最初、まだ手を出したことのなかった同京都アニメーションさん製作の『けいおん』に行こうと思っていたのですが、ついうっかりこちらのOP(ver2)を観てしまい、あんまりに好みだったため・・・;本当に1カット1カットアーティスティックなのに、それだけじゃない・・・「エンタメ」の掴みがあって・・・。OPだけでめちゃめちゃ感動してしまいまして;そして本編。印象としては「けいおんのノリ?(よく知らないけど)でやったハルヒ?」でした。しかしまぁ・・・観ちゃう観ちゃう;止まりません。全ての物事に対し「省エネ」をモットーとする主人公の折木くんが、全ての物事に対し興味津々のお嬢様・千反田さんと出逢います。彼女の納得するように、些細な出来事に大胆な「推論」をくっつけて場をやり過ごそうとしていくうちに、いろんな出来事の意外な真実が見えてきて・・・。次第に折木くんは、天才的な推理力を発揮し始めます。些細な日常の「ミステリー」に隠された、 ほろ苦い真実を、ドラマティックに描く・・・という、不思議なテンションのアニメでした。原作の部類としては・・・「推理モノ」なんでしょう。どうでもいい出来事なんですけど、「謎とき」があるから・・・気になって観ちゃう;他人のどうでもいい出来事なんですけど、ドラマティックだから・・・結構心が揺さぶられちゃう。一話まるまる二人の会話(推論)を延々とするお話が、なぜこれほど魅せるのか・・・;圧倒的な映像の美しさと、世界に誇るアニメーター様渾身のキャラクター演技が、話しているだけのシーンをこれほど魅力的にするんだなぁ・・・と。そもそも、「そこ」に自身があるからこその題材を扱ったアニメだなぁ、と思いました。いまのところお気に入りは、一話完結モノです。18話・連峰は晴れているか19話・心あたりのある者はのあたりかな。この作品の魅力がコンパクトに詰まってると思います。でも・・・ここまで観てきて、一番感動したシーンは、14話・ワイルドファイアの、折木くんが叫ぶシーン。主役のこれだけのアクションで、これだけ印象深いシーンになるのが面白い・・・。このシーンを観た時に、この主役の魅力が活きるようなハイクオリティアニメ-ションなんて、そうそう拝めるものではないな;と改めて思いました。いやいやいや、面白かった!!大満足です♪基本的には漫画オンリーラブの人間なので・・・アニメはよっぽど好きな作品でないと続けて観れませんし、疎いんですが・・・やっぱり凄いな;きれいすぎますよ・・・今のアニメーション;;もうちょっと頑張っていろんな作品に手をだしていきたいなぁ・・・。by姉
2012.09.07
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