つきあたりの陳列室

つきあたりの陳列室

2005.06.15
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カテゴリ: Book



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私はこれまでこの作品が好きなのか嫌いなのかはっきりしなかった.ちょっと青臭くこっぱずかしい所と,とても心やすらぐ所が入り混じっていて,なんだか複雑な気持ちになったのだ.

その好きな部分にしても,読んでいると,何だか羨ましいような切ないような気分がしてきて,居心地の悪さを覚えた.手に入るはずだった架空のものを懐かしみ,ないものねだりをし始めかねない気がしたのだ.

でも最近読み返してみると,青臭さもさほど感じず,素直に味わえた.たぶん最近の私は,この物語と程よい距離を保てるようになったのだろう.

そう思うと,年をとるのはやっぱ悪くない.いろいろなものを諦めるのではなく,受け入れたり,距離のとりかたを覚えていけばいいと思う.前に進みながら.

*

この作品には,この比較的平穏な時代にモラトリアムを過ごさせてもらった者には,ほとんど説明不能の心地よさが描かれている.そして,人間関係や自分自身へのえもいわれぬ不安や寂しさも.

そしてここでは,大学生の主人公と,その父母,祖父母世代の人々とのやり取りが,かなり丹念に描かれる.これは,若い作家としてはかなり珍しいことだと思う.上の世代の人との「さりげないやりとり」をさりげなく描くなんてことは.

さらには,学生同士の他愛ないやりとりも,恋愛も,死も,断絶も,おどろくほど同じ筆圧というか,おなじ体温で描かれている.そしてこれは単なる特徴というのではなく,はっきりとこの作品の「良さ」につながっていると思う.



ここらへんの感覚は多分,主人公とは違う世代,違う境遇の人びとにもちゃんと伝わる,普遍的なものかもしれない.





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Last updated  2007.01.13 22:31:23 コメント(3) | コメントを書く


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inalennon @ Re[1]:「記憶の中の源氏物語」 三田村雅子(09/19) フィンちさん >この世は なんてままなら…
フィンち@ Re:「記憶の中の源氏物語」 三田村雅子 「人生のままならなさ」への強烈な疑問と,…
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ハオ@ 4年はあっという間 バーチュー&モイヤー組見ました。 優雅…

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