Innerview-インナービュー 内側から見た世界

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2004/04/10
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カテゴリ: カテゴリ未分類
以前「性と呪殺の密教」という本を読んだ。
この本でチベット密教の光と闇が、ドルジェタクという実在した怪僧を軸に語られていく。
この本は今まで語られることの少なかった、闇の部分を暴いている。
何が闇なのかといえば、呪殺とその呪力を支える行法と考えだ。
手当たり次第とは言わないけれど、邪魔者は消す。ライバルになりそうな者はつぶしにかかる。行者同士で呪いあう。そして呪い殺すのに成功した方が、よりすぐれた法の持ち主ということになり、多大な恐怖と尊敬とお布施を得る。
将来大罪を犯すことがわかっている者を、事前に呪殺して罪を犯すのを防ぐことは、仏の慈悲であるというオウム真理教のポアと同じような論理がここですでに通用している。
ときには村ひとつを壊滅させることもある。皆殺しもする。
これを読むまで知らなかったけれど、十万歌で有名なミラレパも、子供の頃から復讐のために、母親に呪術を学ばされ、叔父一家を皆殺しにしたという経緯がある。
そしてドルジェタクはカギュー派の始祖マルパの長男であり、その後継者であるタルマ・ドデの挑戦を受け、彼を度脱、つまり呪殺してしまう。

御布施に強欲で有名だったマルパだが、それ以降多くの弟子たちに、惜しまず法を伝授したと言われている。その法を継いだのがミラレパだというのも何か因縁めいている。
さて、こうした呪力を得るために、行うのは生起次第や究竟次第といった必須のカリキュラムに加えて、性瑜伽(セックス・ヨーガ)を行う。
凄まじすぎる。ある意味では、意図的に禁忌を破る。つまり、普通ならやっちゃいけないようなことをやる。有名な肉、魚、酒、ドラッグ、セックスは言うに及ばないが、墓場で集団で交わったり、火葬の灰を全身に塗ったりする。さまざまな法があるようだが、その手順は緻密に順序立てられていて、真言を唱え、仏や諸尊あるいは、梵字や法具を観想(ヴィジュアライゼーション)しながら行う。灌頂の儀式の場合、そうした性瑜伽ののち、師匠が精液と経血の混ざったものを女性器から取り出し、頭蓋骨からつくった器に移し、弟子に飲ませる。(灌頂とは伝授の儀式。今で言うならトランスミッション?)
これを読んだだけでも、めまいがする。
でも、この本を読む限りでは、こうした儀式はそれほど特殊なことでもなく、わりとポピュラーだったようだ。たとえば、チベット仏教では現在でも灌頂において、愛液の混合物の代わりに、ヨーグルトにサフランで色を入れたものを飲み干す儀式が存在すると言う。現代では実際に性瑜伽を行うことがないにしても、観想の中で行うらしい。
こうして無敵の呪力を得ると言うのだが、こうした法は日本にも伝わっている。ドルジェタクが祀った本尊は、日本では大威徳明王として知られ、空海が五大明王の一つとして請来し、降魔調伏の神として京都は東寺に祀られている。水牛の化け物である。
頭蓋杯というのは、ちょくちょく日本史にも登場する。真言立川流は性瑜伽を実践して頭蓋杯を使っていたし、織田信長も思い出される。
何せチベットは鳥葬の国。骨や肉に対する感覚は自ずと違うのかもしれない。
今でもチベット密教には人骨製の法具はいくつかある。大腿骨で作った槌。頭骨を2枚張り合わせて作ったでんでん太鼓は、死者を甦らせるパワーがあると言う。赤ん坊の骨で作ったものが呪力は強いとされている。
そんなものが銀座のギャラリーで、13万円で売られている。
そんなもの売っていいの!?

叫び






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Last updated  2004/04/10 04:00:04 PM
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Re:霊的パワー 取り扱い注意!(1)(04/10)  
孤舵流  さん
精液と経血を混ぜて飲んでというのも、
結局はただの自己暗示だと思う。
物質としてのそれらにパワーがあるとは思えない。
ただ、マインドがそういった特殊事態を目にして思考が
非日常状態にとんでしまって普通じゃない集中力を
発揮するのだろう。

チベットの説話にも、不信心な息子がインドに行った時に犬の歯をブッダの骨と偽って持って帰って敬虔な老母に渡し、老母はそれから昼夜を問わずその骨に祈りを捧げ、彼女が死んだとき、死体は光の中に消えてなくなり虹が空にかかったというものがある。 (2004/04/11 10:27:01 PM)

Re[1]:霊的パワー 取り扱い注意!(1)(04/10)  
Aamin  さん
孤舵流さん
>精液と経血を混ぜて飲んでというのも、
>結局はただの自己暗示だと思う。
>物質としてのそれらにパワーがあるとは思えない。
孤舵流さん。書き込みありがとうございます。
もちろん物質としては、体液はたんぱく質に過ぎず、骨はカルシウムに過ぎないので、特定の物質自体に何らかのパワーが宿ると考えることのほうがおかしいのですが、やはり骨でつくった太鼓などは写真を見ただけで気持ちが重た~くなるし、アフリカの仮面の中にはやば~い感じのするもの(確実に何かがついていて、笑っているようなもの)もあります。
体液うんぬんに関しては、食人の習慣に通じるものがあると思っています。この本の中にもあるのですが、アフリカの食人族がヨーロッパ人は狂っていると言ったそうです。なぜなら白人たちは食べもしないのに、人を大量に殺すからで、スピリットを無駄にしていると言うわけです。
体液にしても、血の盟友関係にしても、三々九度にしても、感染呪術的な効果を狙っているのだと思いますが、あきらかにパワーを帯びたような物質もあるのではないかと思います。

>ただ、マインドがそういった特殊事態を目にして思考が
>非日常状態にとんでしまって普通じゃない集中力を
>発揮するのだろう。
う~ん。食人族にとってはそれほど非日常ではないんじゃないかなぁ。それよりも、儀式や意味付けのパワーというのはあるかもしれないと…

>チベットの説話にも、不信心な息子がインドに行った時に犬の歯をブッダの骨と偽って持って帰って敬虔な老母に渡し、老母はそれから昼夜を問わずその骨に祈りを捧げ、彼女が死んだとき、死体は光の中に消えてなくなり虹が空にかかったというものがある。
-----
それが現実に起こったとは思えませんが…
う~ん。すいません!ブラックな話題で。
世の中にはまぶしいような美しいものもたくさんあります。

(2004/04/12 12:14:46 AM)

きゃきゃきゃ!  
本文とかんけいないですが本文の最後にたまについてるおまけのアニメ、変に癒されます。ふふふ。 (2004/06/22 12:31:04 PM)

前世はチベット人?  
幸子@専務  さん
子供の頃から世界の不思議が大好きでした。中学生の時、どんな本だったか・・・?、その中に「チベットの尿診」について書かれていたものがあり、ずーっと思い続けていたら、2002年に「中・日・蔵医学学術交流会」に参加させて頂く機会を得ました。以来、親しいチベット人の友人も出来、チベットに千年を経て歌唱伝承される「ケサル叙事詩」にも出会い、年々はまる一方です。美しいチベットと共に、綺麗なばかりでは無いチベットも知りたいと考えています。
前世はチベットに住んでいたのではと思うくらい、懐かしいチベット・アムド地方です。 (2007/12/30 06:52:16 AM)

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幸子@専務 @ 前世はチベット人? 子供の頃から世界の不思議が大好きでした…

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