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“武漢感染者ゼロ”中国症状なければ数えず新型コロナウイルスの感染が集中する中国の武漢市では、5日連続で新たな感染者はゼロと発表されたが、発表を疑問視する声が挙がっており、当局が説明に追われている。武漢市では今月18日以降、新たな感染者はゼロと発表されているが、今月20日、市内の一つの地区が住民に対し感染者が発生したと通知した。感染者とされた男性は検査で陽性だったという。これを受けて武漢市当局は声明を出し、男性に症状はなく政府の基準に沿えば感染者には含まれないと説明した。中国政府は、検査で陽性が出ても症状がなければ隔離による観察対象にはするものの、感染者には計上しない手法をとってきた。ただ、ネット上では「政府のメンツを優先して実情を見ないようにしているのでは」と疑問視する声も出ている。また、香港メディアは22日、中国政府の内部文書から感染者4万3000人以上が「無症状」を理由に統計から除外されていたことが明らかになったと報じた。 --- 無症状の感染者は数えない、ということが批判的に報じられていますが、日本だって大して変わりません。日本でも、無症状の感染者は確認されている感染者よりずっと多いはずですが、海外からの帰国者と判明した感染者との濃厚接触者以外は、無症状の人は検査されないので、どこにどれだけ無症状の感染者がいるかはまったく分かりません。つまり中国→無症状の感染者は数えない(検査している・・・のか?)日本→無症状の感染者は数えられない(検査しないから)似たようなもんです。むしろ、この記事を信用するなら中国は無症状の感染者を統計に加えていないだけで、存在の把握と隔離はやっている、ということになります。存在の把握すら行われていない日本よりマシだ、ともいえます。実際には、もちろんすべての感染者を把握しているはずがないですけどね。以前の記事にも書きましたが、把握されている感染者の何倍も把握されていない感染者がいるのは、確実でしょう。PCR検査を拡大するな、絞れと叫んでいる人(言い換えれば、無症状の感染者は把握する必要はない、知らぬが仏で放置しておけということ)が、中国が無症状の感染者をカウントしないのはけしからん、というのは、ありていに言って矛盾です。PCR検査の困難さ、偽陰性の多さなど、PCR検査を拡大できない理由は散々宣伝されています。それは分からないことはありません。でも、PCR検査は拡大しないのが善、拡大を叫ぶ奴は反日、国賊、みたいなことを叫ぶ輩がネット上で増殖しているのを見ると、純技術的な面以外に、PCRを拡大できない方が彼らにとっては都合がいいんだろうな、と疑いたくなってきます。いずれにしても、もはや日本において、もちろん中国でも、いや、おそらく全世界のどこの国でも、新型コロナによる死亡者数は、概ね実態を反映した数字なのでしょうが、「感染者数」は実際の感染者の氷山の一角で、意味ある数字ではなくなってきているのだろうな、という気がします。
2020.03.25
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買い物パニックの防ぎ方:マスク、トイレットペーパー、紙製品、米、冷凍商品、カップ麺、お菓子まで!?店頭からマスクが消えてから、しばらく経ちます。この数日、トイレットペーパーもあまり見なくなりました。食料品は、当地新潟市は通常通り店頭に並んでいます。東京の一部の店舗では、食料品も品不足とも報道されています。大震災の被災地といった特殊な場合(これは本当に流通が滞った品不足)を除くと、品不足は大都会で起きてきました。何しろ人口密度が高いですし、「情報強者」が多いですし、便利な生活はわずかなバランスの乱れで、大きな混乱になりかねません。大震災後のペットボトルの水不足も、電池の品切れも、地方都市ではあまり起こりませんでした。けれども今回は、地方都市でも異常な大量買いによる品不足品切れが発生しています。 (以下略)---マスクの不足は早くから指摘されていましたし、こういう状況ではマスクの需要が急増することは容易に想像できることです。しかし、さらにトイレットペーパー、インスタント麺類、お米にまで品不足が拡大しているという話です。次はいったい何が不足するんでしょうか。ちょっと戦々恐々です。ただし、不足にも地域差はあるようです。我が家の近くのスーパーでは、インスタント麺の在庫は普通にありました。お米は確認しなかったけど(たまたま我が家には米の在庫が今20kgあるので、米に関しては危機感ゼロ)どこにも米がない、という状況ではなかろうと思います。しかし、マスクとティッシュについては、、本当にどこに行っても見当たりません。こういう事態は3.11以来ですが、東日本大震災は、生産設備や流通網が地震によって破壊された、物理的に供給が閉ざされたことが原因でした(消費者側のパニックが皆無だったわけではないけれど)。しかし今回の事態は、基本的には生産や流通は問題はなく※、消費者がパニックを起こして買いだめに走っているところから生じているものであることは明らかです。※実際には、中国からの商品、部品の供給が閉ざされたことで、いろいろな製品の生産が影響を受けつつあります。ただし、現在品不足が問題になっているものではありません。食品系の品不足き関しては、保存可能な食品ばかりで、生鮮食品はまったく影響を受けていないようです。そう報じられていますし、近所のスーパーでもそうです。推測するに、急に子どもが学校休校になり、給食がなくなったことが原因じゃないか、という気がします。共稼ぎで平日日中に両親不在なら、そうならざるを得ないでしょう。「在庫」は企業の経営を圧迫するので、スーパーやコンビニは極力在庫は持たない、毎日売れる分だけ毎日納品されるようになっています。したがって、ちょっとでも普段と違う売れ方をすると、たちどころに供給不足に陥ってしまうわけです。現代社会の物流システムは、効率化のために冗長性をそぎ落としているため、非常に繊細で壊れやすいものになっている、ということでしょう。もっとも、食品系については、缶詰を除けば何年も保存できるものではないので、買いだめにも限界があるでしょう。だから、生産や流通に滞りが生じなければ、遠からず解決していくだろうと思います。でも、マスクとティッシュはどうなんでしょうね。特にマスク。不足が解消されそうな見通しがまったくありません。これからどうなるのか、皆目見当がつきませんが、以前から書いているように、新型コロナは季節性インフルエンザよりは死亡率が高いものの、そこまで破滅的な病気とは言い難いものと思います。結局は人間社会に定着してしまうのだろう、つまりどこかの段階で病気と折り合いをつけて平常の生活に戻っていくしかないだろうと思います。今みたいな状況を、何ヶ月も、まして何年も続けることなんてできませんから。
2020.03.04
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「不要不急の外出は控えて」 政府、感染拡大防ぐため新型コロナウイルスの感染が広がりをみせるなか、熱やせきが続いたらどうすればいいのか。政府の専門家会議は17日にも受診や相談の目安を公表し、感染拡大を防ぐために不要不急の外出を控えることなどを呼びかける。(以下略)---政府が、主に感染症拡大防止の観点から、不要不急の外出を控えることを呼びかけること自体は、仕方のない部分はありますが、その一方である友人がこんなことを書いています。演奏イベントを行う店や主催者、さらに出演者にとってライブは「不要不急」ではない~聴きに来られる方が「不要不急」と判断するようでしたら、ご来場を避けるのが当然の流れでしょうし、どうしても聴きたい、ライブに参加したいというお気持ちを「不要不急」で片づけることも、私としては馴染まないところでございます。(ただ「少しでも体調が悪そうであれば無理しない」というのは、出演側・運営側・観客側問わず必要な判断かとは思います)そのとおりです。飲み会もライブイベントも旅行も、お金が動くありとあらゆる物事は、それで飯を食べている人にとっては、「不要不急」ではありません。生命線です。それで経済というものは回っています。(観光)旅行なんて、不要不急の代表みたいなものかもしれませんが、中国からの観光客が途絶えた今、日本は遠からず大きな不況に見舞われることは確実です。そして、それで飯を食べているわけでもない私にとっても、音楽は「不要不急」ではありません。精神的生命線です。山登りや鳥撮影もそうですけど、それらの中でも音楽(フォルクローレ)が最大の生命線。これから音楽を生涯絶たれて安全に生きるのと、音楽と現在程度に適度に付き合ってリスクを負い続けるのと、どちらを選ぶかと言われれば、一瞬の迷いもなく後者を選びます。(リスクを忌避するなら冬山なんか登らないし)というわけで、私もまた、今日も明日も明後日も出かけます。そして、音楽イベントの告知に対して、なんかそういう文句をつける人がいるんだということを友人の子の発言で知ってしまいました。問題があると思うなら自分が参加しなければいいだけなのに。
2020.02.22
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東京都内で新たに5人感染確認 愛知県内でもさらに1人東京都は16日、新型コロナウイルスの感染者5人が都内で新たに確認されたと発表した。このうち2人は、すでに感染が明らかになっている都内在住のタクシー運転手男性とともに、1月18日に屋形船で開かれた個人タクシー組合支部の新年会に出席していた。また、新年会に参加していた別の感染者と濃厚接触していた医療従事者男性の感染も判明した。新年会参加者の濃厚接触者をめぐっては、14日に男女2人、15日に7人の感染が確認されている。このうち屋形船従業員男性は中国・武漢市からの旅行者を接客したと話していた。これとは別に、都内に住む会社員男性と、埼玉県内に住むハイヤー運転手男性の感染も明らかになった。いずれも屋形船で開かれた新年会とは無関係で、参加者との接触もなく、発症前14日以内に中国・湖北省などでの滞在歴もないという。会社員男性は、15日に感染が明らかになった40代の会社員男性とともに、研修や食事をしていたという。愛知県は16日、尾張地方在住の男性が新型コロナウイルスに感染したと発表した。米ハワイから帰国後に新型コロナウイルス感染が確認された名古屋市の女性の友人で、帰国後に接触した。発熱などの症状が出たが軽症という。県内での感染確認は5例目。女性は7日にハワイから帰国し、13日に微熱や頭痛が生じた。県は、今回の男性といつ接触したかは調査中としている。---すでに中国に渡航歴もなくどこで感染したかも判然としない感染者が日本各地で続出しているようです。ということは、表面化していない感染者が背後にどのくらいいるかも、まったく分からない状態ということです。引用記事にハワイから帰国した女性がコロナウィルスに感染していたとあります。この方がハワイに行く前に感染したのか、ハワイで感染したのか、あるいは帰国後に感染したのかは分かりませんが、可能性としてはハワイでも感染が広がっていることは考えられます。もう世界中に広がっているといってよいのでしょう。中国もそうでしょうが、日本も、判明している感染者の10倍は感染が広がっている、と考えた方がよいのではないか、という気がします。おそらく、もう感染の拡大を食い止めるというのは困難なのではないか、という気がします。いや、日本だけではありません。香港での感染者が56人、台湾18人、フィリピン3人、いずれも、中国本土との人の行き来の多さを考えれば、感染者がこの人数で収まっているとは到底思えません。調べ切れていないので分かっていないだけで、氷山の一角でしかないことは明白です。そのこともさることながら、この新型コロナ騒動による経済への影響は、相当深刻なものがあることは明らかです。私の知っている範囲でも、具体的にどういう製品化は申し上げませんが、中国から部品が入ってこないので製品が作れません、という話を聞きます。多分、そういうことはいろいろな業界で山ほど起こっているものと思います。年末に硫黄岳に登った時は、赤岳鉱泉の山小屋には中国語を話す登山者(一番大きな集団は香港からと言っていました)をはじめ、外国人の登山者が少なからず泊まっていましたが、先週のヒュッテ黒百合には、外国人の宿泊者は誰もいなかったように思います。毎週土日に、日比谷公園など都心部で笛の練習をしていますが、そこでも見かける外国人旅行者の数はめっきり減ったように思います。中国人旅行者はもちろんですが、欧米系の旅行者も相当減ったのではないでしょうか。体感なので、統計上どうなのかは分かりませんが。奈良では観光客が10分の1に減ったとの話もあり、観光、交通運輸関係への打撃も明らかです。感染拡大を食い止めるためとはいえ、経済の維持を考えたら物流や人の行き来を完全に止めて鎖国状態にすることなど、できようはずもありません。短期間はともかく、そう長い期間は難しい。というわけで、私自身は、もうこれ以上気にしてもどうしようもないのかなという気がしています。私、相棒、うちの子どもは、おそらく万が一罹患しても死ぬ可能性は低い。80代の母だけはちょっと怖いですけど。なるようにしかならない、新型コロナウィルスの拡大を食い止めることは、多分もうできないのだろうと。10年前の新型インフルエンザ騒動と同じで、いわば「初期消火」に失敗してしまった状態で、拡大を止めることなんて、もうできないのだろうと思っています。
2020.02.16
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新型肺炎 「患者は中国発表の3~4倍の可能性も」厚労省新型のコロナウイルスによる肺炎をめぐり、野党側が厚生労働省などに行ったヒアリングで、出席した議員が「中国政府の発表よりも実際には患者数はもっと多いのではないか」と質問しました。これに対し、厚生労働省の担当者は「先週末に数理疫学の専門家から、海外での患者数などをもとに、中国の患者数を計算した数字の提供を受け、実際には発表の3倍から4倍程度の患者がいてもおかしくないという結果だった。それくらいの数を想定していないと、対応が後手に回ると考えている」と述べました。---現時点での中国の発表は「死者213人 患者数は9692人」とのことです。実数はその3~4倍かも、と厚労省は言っているわけですが、私はおそらくそんなものでは済まないだろうと思うのです。何故か。全日空のチャーター便で武漢から帰国した第1便の乗客200人あまりの中から、3人が新型コロナウィルスに感染していたと報じられています。200人中3人、つまり1.5%です。武漢では、地元の人たちより在留邦人の方が新型コロナへの罹患率が猛烈に高いのでしょうか?どう考えても、あり得なさそうです。ということは、在留邦人の間の罹患率は、現地での罹患率とかけ離れた数値ではないでしょう。武漢は1000万人ですから、罹患率1.5%ということは、15万人です。控えめに見ても、患者10万人はおそらくいるだろうと思います。ただし、帰国した3人の感染者のうち、2人は無症状とのこと。無症状でも感染が確認できたのは、おそらく日本への帰国者の第一便で念入りに検査できたからです。現地では、症状がない人はそもそも病院に行かないだろうし、行ったとしても患者が殺到している病院では診察などしてもらえず、帰されるだけでしょう。つまり、感染者としては認識されないであろうことは容易に想像できます。(日本も遠からずそうなるかもしれません)逆に言うと、10万人の感染者で死者が170人なら、死亡率はそう高くはなさそうです。死者や重症者は、中国でもかなりの程度把握されているでしょうから、軽度の患者に比べてはるかに実態に近い数字であろうことは容易に想像がつきます。もちろん、把握されていない死者がまったくいない、とは思えませんが(そもそも、今この瞬間も新たな死者が出ているのだろうし)、発表の何倍もいる、ということはない。つまり、死亡率は1%を大幅に下回るのではないか、と思います。もちろんこれも現時点では、です。先に書いたように、長期的(数十年単位)では、人間界に定着したウイルスの病原性は下がっていく傾向がありますが、数ヶ月の短期的傾向としては、必ずしもそうとは限らず、病原性が強まることもあり得ます。流行の今後の動向からは目が離せません。それにしても、ドラッグストアに行っても、マスクの在庫がまったくありません。先週風邪を引いてから、まだ完全には治っていないので、家の外ではマスクをしているのですが、今持っているものを使い切ったら、次のマスクは買えるのかな・・・・・。追記今朝の毎日新聞にある各国での新型コロナ患者数を合計すると、中国以外の患者数は、日本の13人(無症状の感染者は除く)を含めて合計140人ほどになりまが、死者はまだ一人もいません。各国政府が把握しきれていない患者が皆無ではないにしても、中国での状況に比べれば、これはかなり実態に近い数値だと思われます。死亡率2%なら、すでに3人くらいは亡くなっているはずですが、実際には死者が1人もいないんだから、現時点での死亡率は0%ということになります。この点も総合して考えると、残時点での暫定的な計算ながら、新型コロナの死亡率は1%を大幅に下回るのではないかと思います。もちろん、今後の数値の変動によって計算は変わるので(いつかは中国以外でも死者が出る可能性があります)、あくまでも現段階での暫定的な計算であることはお断りしておきます。
2020.01.31
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「新型コロナウイルスは人類史上最凶、致死率15%」は誤り。ネットで拡散、実際は…中国・武漢で発生した新型コロナウイルスによる肺炎の感染が拡大するなか、「致死率15%、感染率83%で人類史上最凶」という情報が拡散している。しかし、これは発生当初に武漢で入院した重症患者の致死率で、感染率についてもある家族の状況を調査したデータだ。現時点の致死率は3%程度とされており、「人類史上最凶」も含め、誤った情報だと言える。引用元となっている中国語ツイートのソースになっているのは、台湾のニュースサイト。たしかに、そのサイトには「中国と香港の最新の調査:武漢肺炎の死亡率15%、感染率83%」と書かれている。このニュースで言及されているのは、イギリスの医学誌「ランセット」に掲載された中国と香港チームの論文だ。しかし、いずれも前提条件があり、その数字を一般化できないことに留意が必要だ。「ランセット」の論文を見ると、「死亡率15%」とは武漢で2020年1月2日までに入院した重症患者41人の間での死亡率のことだ。感染者全体の死亡率ではない。41人は全員肺炎を発症しており、うち13人がICUに入り、そのうち6人が死亡したことから「致死率15%」という計算になる。また、「感染率83%」は、「ランセット」に掲載された、ある家族での親族間の感染率に関するデータをもとにしている。中国・深センの7人家族を調査し、武漢の患者を見舞いに行った6人のうち5人が感染し、さらに見舞いに行かなかった1人も後に感染。さらに感染者のうち1人は無症状患者だったことを報告している。この家族の状況を社会全体にそのまま一般化することはできない。---こういう時だからこそ、フェイクニュースには注意したいものです。致死率15%というのは、実際は上記記事のとおり、重症化して入院した人たちの中での脂肪率です。それでも、「実際は死亡率3%程度」と言われても、それも相当の高率と感じるかもしれません。ただし、それもいろいろな前提条件を考慮する必要があります。新型肺炎の死者6割に持病、平均年齢73歳…中国当局分析新型コロナウイルスによる肺炎で、22日までに死亡した感染者17人(48~89歳)のうち、全体の6割近くは感染前から心臓や腎臓などの持病が確認されたと、中国政府の国家衛生健康委員会がホームページに掲載した。平均年齢は73.3歳で、60歳未満は2人だった。死者17人のうち、持病を抱えていたのは10人で、慢性腎不全やパーキンソン病、糖尿病などだった。最も若い48歳の女性は、糖尿病と脳梗塞の病歴があった。2番目に若い53歳の男性は、持病が報告されていない。未成年の死亡はなかった。---死者が17人だった時点での分析ですが、死者の最年少が48歳かつ糖尿病と脳梗塞の既往ありなので、生命の危険があるのは、ほぼ高齢者と元々持病のある人に限られる、と言ってよいかと思います。つまり健康な現役世代は、命の危険を恐れる必要はあまりない、高齢者と基礎疾患のある人は注意する必要がある、ということになろうかと思います。加えて、死亡率3%というのは顕在化した患者数に対して、でしょう。当局も把握できていない発症者は、特に軽症者は他にも相当いるでしょうし、しかし死ねば大騒ぎになるので、当局が把握できていない死者はそう多くはないだろうと思われます。つまり、実際の死亡率は3%よりもっと低い可能性が高いのです。世の中の本当にヤバイ病気は、健康な若者にも命の危険があります。例えば、先の記事で紹介した、1918-19年に猛威を振るったスペイン風邪がそうです。この病気は、元々は米国が発生減とされ、第一次世界大戦に米国が参戦するとともにヨーロッパに伝播し、戦場で戦っていた敵味方の軍隊の間で急激に広まったと言われます。戦場で戦っている軍隊は、非常に非衛生的な状態だし、兵士たちは狭い空間で集団生活しているので、感染症などあっという間に広がるのです。兵隊がバタバタ死ぬくらいなので、スペイン風邪の死者は高齢者よりむしろ若者の方が多かったといわれます。Wikipediaに「スペイン風邪死亡者」というカテゴリーがありますが、20代30代で亡くなった人がゴロゴロいることがわかります。高齢者も少なくないですが、歴史に名が残る人物は、功成り名を遂げたある程度以上の年齢の人が多いでしょうから、歴史に名が残っていない死者は、もっと若者の比率が多かったであろうことは容易に想像がつきます。現在の新型肺炎は、そこまで剣呑なものではありません。感染力も、インフルエンザに比べれば低いようです。もちろん、だから何も警戒しなくてよいわけではありません。大流行の過程で感染力が上がったり、死亡率が上がったりする例は、スペイン風邪でもあったようですから、当然に警戒も対策も必要でしょう。ただ、何かこの機に乗じたかのように、中国人に対する悪口を垂れ流す、一部のネット上の言説(例によって例のごとく、ではあるでしょうけど)に対しては、違和感と嫌悪感しか感じません。武漢とその近辺から来た人はともかく、それ以外の地域、例えば上海や北京から来た旅行者から肺炎が感染することを恐れる必要はありません。
2020.01.28
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新型肺炎、中国での死者計41人に 感染者1千人超か中国で広がる新型コロナウイルスによる肺炎の問題で中部湖北省政府は25日、新たに15人の死者が確認されたと発表した。中国全土での死者は計41人となった。同省政府の発表によると、24日に確認された15人の死者は50代~80代の男女で、いずれも交通機関の閉鎖などが続く省都・武漢市で確認された。同省内の死者は計39人となった。同日には省内で新たに180人の感染も確認されたという。中国ではほかに河南省、黒竜江省でそれぞれ1人の死亡が確認されている。感染者数は湖北省での増加分を加えると、全土で1千人を上回ったとみられる。---なんというタイミング、私は昨日から風邪をひいてフラフラの状態でしてそういうタイミングでこういう報道に接するのは、なかなか心楽しいものがあります(笑)私は知らなかったのですが、武漢とは今は成田と関空に定期便が飛んでいるのですね。成田には全日空が毎日1便と春秋航空日本が週3便、中国南方航空が週2便。関空には春秋航空と中国南方航空が週2便ずつ。もちろん、今回の事態を受けていずれも運航停止になっているようですが。「コロナウィルス」自体は、世の中に履いて捨てるほどあるもので、いわゆる「風邪」の主要な原因の一つです(いわゆる風邪は、単一の病気ではなく、ライノウィルス、コロナウィルス、インフルエンザなど様々なウィルスによる類似した症状への総称)。しかし、ウィルスは簡単に変異を起こし、それによって劇的に危険性を増す例がよくあります。2003年に起きたSARSも、そのようなコロナウィルスの変形の一つでした。今回の新型肺炎は、目下のところSARSに比べれば死亡率は低いようですが。SARSウィルスは食用コウモリが感染源になったようですが、今回の新型肺炎は蛇が感染源と疑われているようです。これについては異論もあるようですが、少なくともヒト以外の動物が感染源であることは間違いなさそうです。思い返せば、発生が懸念されている新型インフルエンザも、鳥インフルエンザが起源だし、1918年から19年に猛威を振るったスペイン風邪も、鳥インフルエンザから来たものと今日では考えられているようです。このように、元々人間界にはなかったウィルスが、何かの経緯で人間に感染するようになり、更に何かの経緯で人間から人間へと感染するようになると、極めて危険な事態が起こる例が多いようです。ウィルスは、宿主が生きていないと生存することができません。宿主を殺してしまうと、その体内にいるウィルスも死滅します。だから、長く人間界で流行を繰り返してきたウィルスは、自らの繁栄のために次第に症状を緩和し、あまり死者を出さなくなります。まさしくスペイン風邪がその典型で、現在A型インフルエンザのH1N1亜型と言われるウィルスは、1918年のスペイン風邪が起源となっています。現在でもインフルエンザでの死者はありますが、もっぱら乳幼児と高齢者、あるいはほかに疾病を抱えている人に限られ、全世界で年間に5千万人もの死者を出すことはもはやありません。そういう意味で、他の動物から人間に伝染したばかりのウィルスというのは、非常に危険性が高いと言わざるを得ないでしょう。中国国内ではすでに武漢の空港も鉄道駅も閉鎖され、武漢の街自体が封鎖されたも同然の状態となっているようですが、それで新型肺炎の流行が食い止められているようには見えません。どうも手遅れ状態だったのではないか、という気がします。封鎖される以前に中国のほかの地域や、日本を含む諸外国で新型肺炎の発生が確認されているからです。逆に言うと、諸外国でこれほど飛び火が確認されているということは、武漢における感染者数は、公式発表の1000人などという人数では収まっていないのだろうと思われます。意図的に過少報告しているわけではなく、当局も把握しきれていないだけでしょうけれど。前述のとおり、北京や上海ではない、武漢との間でさえ、日本との定期便が毎日飛んでいる時代です。どこかの地域で病気の封じ込めに失敗して大流行に至ってしまったら、それが全世界的流行に結び付くのは、もうほとんど避けがたいことと言わざるを得ません。それにしても、以前から発生が危惧されてきたパンデミックは鳥起源の新型インフルエンザ、具体的にはH5かH7亜型です。しかし、封じ込めが成功しているおかげなのかもしれませんが、鳥起源の新型インフルエンザが人間界で世界的に大流行する気配はありません。そして、その間に流行しているのが、コロナウィルスのSARSであり、今回の新型肺炎。こういうことに対する予測って、なかなか上手くはいかないんだな、と思います。仕方のないことでしょうけど。
2020.01.25
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先日、都内のある駅を利用した際のことです。急にパラグアイ、いやハラグアイ危機が発生しまして(笑)トイレに駆け込みました。その駅は遠い遠いむかしは通学、通勤経路上だったことがあります。JRと地下鉄の乗換駅になっていて、JRのほうは今でも時々利用することがあるのですが、地下鉄駅の方はほとんど使っていませんでした。とりわけ、トイレを使ったのは、少なくとも十数年ぶり、ひょっとしたら20年ぶりだったかもしれません。そうしたら、入った瞬間慄然としました。3つほどの大きいブースが、全部和式なのです。一つだけ、使用中のブースあって、ひょっとしたらそこは洋式だったかもしれませんが、実際のところは分かりません。かりにそこが洋式便器だったとしても、和式3対洋式1です。下手をすると和式4対洋式0だったのかもしれません。えーーー!今時?って思いましたよ。(JR側の駅のトイレは、そんなことはありません、洋式がちゃんと整ってます)一昨年の足の怪我以降、トイレに入るとき、和式は切羽詰まったときしか使ってません。今でも覚えていますが、11月末に足を折って、その後初めて和式トイレに入ったのは翌年2月末頃でした。鳥の写真を撮りに行ったら、公衆トイレに和式しかなく、仕方がなく入りましたが、まだ「かがむ」という動作があまりできなかったので、片方の足だけでかがんで、折れたほうの足は前に出して、必死で配管にしがみついて何とか用を足した記憶があります。そのときから1年半経過し、足も治って山登りもしていますが、今でも和式トイレは苦手です。よほど切羽詰ったときしか使いません。このときは、まさに切羽詰まってたので、やむなく入りましたけど。足首の可動角度が怪我の前には戻っていないので、「かがむ」(座らすに)動作は、未だに苦手なのです。さすがに、折れたほうの足を前に出す必要はなくなりましたが、何かに掴まらずにかがむことは、いまだに難しいのです。短時間ならできますが、安定的ではありません。八ヶ岳の赤岳に登れるくらい回復しているように見えても、元には戻っていない部分もあるんです。というわけで、怪我の前は、和式トイレは障害者・高齢者に優しくないということは、知識としては知っていても、自分で体感したことはありませんでした。しかし、自分が当事者になってみると、これはものすごく切実。それにしても、今時、山小屋ですら洋式が増えているのに、地下鉄の駅構内で和式トイレが並んでいるとは、想像もしませんでしたよ。何とかならんものかねえ。もっとも、わたしの職場だって似たような状況です。さすがに、お客さんが利用するトイレは洋式の方が多くなりましたが、それでもまだ和式も少なくない。そして、お客さんが立ち入れない、職員専用のトイレはいまだ全部和式。ちなみに、勤務先全体の半分強を占める洋式トイレがすべて塞がっていて、半分弱の和式トイレがすべて空いている、ということもありました。まだ、松葉杖は取れたけどストックをついて出勤していた頃、洋式の空きを求めて職場の1階から最上階まで全部のトイレをめぐる旅(笑)に出ることを余儀なくされたことがあるのです。そのくらい、洋式と和式の需要の差はあります。
2019.09.10
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以前に、長谷川豊という元アナウンサーがブログで「自業自得の人工透析患者なんて、全員実費負担にさせよ、無理だと泣くならそのまま殺せ!」と暴言を吐く騒動があり、当ブログでも記事を書いたことがあります。自業自得の透析患者、ですかその言い分は、まったくロクでもないものでした。が、彼自身が実際に医師として透析患者に対して直接的な不利益を与えたわけではありません。また、その発言によって彼は出演していたすべてのテレビ番組を降板するという制裁を受けました(ただし、更にその後、長谷川は維新の会の選立候補予定者となり、もしも当選した場合は、国政の場において透析患者に直接的利益を与えかねない立場になるかもしれません)。さて、しかしその後、透析医療の現場で、透析治療を中止して死者も出る事態が起こっているとの報道がありました。長谷川の発言は(選挙に当選しないうちは)いちニュースキャスターの暴言に過ぎませんが、実際に病院でそのような事態が起こっているとなると、その深刻さは長谷川の暴言をはるかに上回ります。透析中止で患者死亡 説明記録確認できず 都が病院に改善指導東京の公立福生病院で、44歳の女性患者の人工透析が中止され、その後、死亡した問題で、東京都はこの女性への説明が十分に行われたかどうかを確認できる記録が残されていないなどとして、9日、病院に対し、文書で改善を指導しました。この問題は去年8月、東京 福生市の公立福生病院で、腎臓病を患っていた44歳の女性の人工透析の治療が中止され、女性がおよそ1週間後に死亡したものです。東京都は先月6日に病院に立ち入り検査を行い、人工透析の中止について、患者への説明が適切に行われていたかなどについて調べていました。都の調べで人工透析の中止を決めたあとでも、本人の希望で、いつでも撤回できることについて、この女性に説明を行った記録などが確認できなかったということです。また、この病院では人工透析を行わなかったり、中止したりして、その後、死亡した患者が、平成25年4月から立ち入り検査に入った日までに、44歳の女性を含めて24人いたことがわかりました。(以下略)---この事態が表面化したのは先月のことでしたが、どうもわたしに余裕がなくて(今も余裕はないけど)、その上楽しい沖縄旅行の記事と重なってしまい、後回しにしたままになっていました。わたしの個人的見解としては、本人の積極的な意思の元での延命治療中止は、ありえると思っています。ただ、引用記事に触れられている女性の場合は、そもそも末期状態ではなく、透析を続ければあと数年は生きられる状態だったとされています。また、いったん透析の中止を希望したあとで、「こんなに苦しいんだったら透析をやめなければ良かった」という趣旨の訴えがあった、とも報じられています。これらの点を総合して考えると、治療中止が本人の自発的な意思とは考えにくいし、いずれにしても治療再開の希望を示唆していたのにそのまま治療せずに死亡に至ったという点で、問題は大きいように思います。もちろん、それ以外の24人の中には、様々な例があったかも知れません。本人の自発的意向どおりの例も、少なからずあったかも知れません。ただ、透析治療は、基本的には通院で行われます。週に3日通い続けるのは結構大変で、時々通院をバッくれる患者がいて、放置すれば確実に死んでしまうので、病院から本人や関係者に必死で連絡を取る、ということは時々あると聞きます。1日遅れくらいなら、通常はさほど深刻な問題はありませんが(元々、透析が週3回ということは、毎週一回は中二日の時がある)2日遅れになると、命に関わってくるので、病院も慌てるようです。逆に、今回の報道で、透析を中止してからなくなるまで1週間という話には、案外長くて驚きました。もちろん、これはその人の病状や体力によりけりでしょう。別の疾患を持っている人が、何かの事情で気分を害して1日透析を拒絶し、翌日には気が変わって透析を受けたものの、数日後に様態急変して亡くなってしまった、という例を聞いたことがあります。本題に戻りますが、多くの透析患者は、通院で透析にかよっています。ということは、本気で自発的に延命治療中止を望むなら、本人が通院を放棄してしまえば済んでしまうのです。世の多くの良心的な医療機関は、必死で本人に連絡を取って翻意させようとするでしょうが、首に縄をつけて病院に引きずってくることはできませんから、本人の意志が変わらなければ、あるいは連絡が付かなければ、それまでのことです。具体的にそのような例は知りませんけど、おそらく実例は多数あるでしょう。したがって、透析治療の通院をちゃんと続けている時点で、本人には生き続けたいという意志はあるはずです。そのような状況下での治療中断は、多かれ少なかれ、本人の自発的意志というよりも医師あるいは医療機関の側が誘導したのではないかという疑いを抱かざるを得ません。その経緯や状況は人それぞれかもしれません。しかし、もう後は苦しむだけ、という末期的状況ではなく、適切な治療を行えば、あと何年か、寝たきりではなく生きられる人、本人の治療中断の意志も揺れ動いて明確ではない人の治療を中断して死に至ることは、私は医療の本道からは外れた選択であるように思えてなりません。
2019.04.10
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がん緩和ケア、充実図るが…患者4割、死の前に苦痛がん患者の約4割が、亡くなる前の1カ月間、身体の苦痛がある状態で過ごしていたとする調査結果を国立がん研究センターがまとめ発表した。2016年に亡くなった患者の遺族約4800人を、病気や亡くなった場所別に無作為で抽出し郵送で調査。亡くなる前の患者の苦痛の状況や家族の負担などを聞いた。有効回答は2295人で、がん患者の遺族はこのうち1630人。亡くなった場所は自宅38%、介護施設・老人ホーム29%、病院(緩和ケア病棟を除く)27%、ホスピス・緩和ケア病棟5%だった。亡くなる前の1カ月間、痛みや吐き気、呼吸の苦しさなどの苦痛があった割合は、どちらともいえないを含め約41%。亡くなる前1週間にひどい痛みがあったのは約27%だった。ひどい食欲不振、体重減少があった人はそれぞれ約半数に上った。がん患者の約8割が病院で亡くなっている現状と比べ、今回の調査では自宅や介護施設で亡くなった遺族の回答割合が高かった。病院では様々な治療の必要がある患者が多く、痛みも伴いやすいため、もっと多くの患者が苦痛を抱えている可能性も指摘されている。場所別の詳しい分析は、今回はできなかった。---父が膀胱ガンで亡くなってからまもなく10年になりますが、父の最後が、まさしくその4割に当たる状態でした。膀胱ガンは、発見が早ければ予後のそんなに悪いガンではないと思いますが、父は発見が遅れ、ガン細胞が膀胱の外側に達していました。その時点では転移は見られなかったのですが、そのままでは再発の可能性が高いということで、膀胱摘出(それによってストマになりました)の上、抗ガン剤治療を行ないました。しかし、これがまったく効かなかった。後から考えると、抗ガン剤治療を終えて退院して、一週間後には再発、つまりその自覚症状である痛みが顕在化していたのですが、たまたま運の悪いことに、脊柱管狭窄が発見されてしまったため、痛みの原因はそちらだと思われて、再発が見落とされてしまったのです。結局、最初にガンが分かってから1年3ヶ月ほど、再発が確認されてからは1ヶ月半くらいで、父は亡くなりました。死の直前1ヶ月の痛がり方は、尋常ではなかったし、せん妄(認知症にも似た精神錯乱)も出て、それは大変でした。再発が確認されたのが丁度今頃の時期で、年明けから再入院ということになったのですが、年も押し詰まった29日か30日になって、父の病状は急激に悪化したのですが、「年明けまで入院しない」と頑張っていました。父としては、何が何でも家で年を越したかったのでしょう。年を越したらそこで気力が尽きたのか、1月1日の朝に入院したいと言い出したようです。元旦の朝から、私も実家に駆けつけ、結局その年は我が家にお正月というものはありませんでした。それから亡くなるまでの1ヶ月、最初は痛みとせん妄で苦しみ、それから痛み止めの薬の力でしばらくの間だいぶ落ち着き、しかし最後は再び状態が悪化しました。緩和ケア病棟は申し込んだと母は言っていましたが、間に合いませんでした。母がその後言っていたことがあります。四十数年連れ添って、良いことも悪いこともいっぱいあったのに、思い出すのは最後の頃の苦しむ姿ばかり、と。そのくらい、あの苦しむ姿は、見ている側にも辛かった。死は誰にでも必ず公平に訪れますが、願わくばあんなに苦しまないで死にたい、と思います。ガンって怖い、とそのときは思いました。が、その一方で、先日紹介した瀬賀倫夫さんのように、死の直前までコンサートでギターが弾ける状態の人もいる(ガンの部位は存じ上げませんが)。ガンの進行と痛みは人それぞれなんですね。もっとも、父は73歳だったから、長生きとは言えないにしても、まずまず早死というほどではありませんでしたが、瀬賀さんは60にも届かずに亡くなりました。人間死に方は選べないし、どんな死に方がより幸せかも、分かりません。直前まで元気で痛みもなく、と言ったら、即死するくらいの事故死しかないわけで、それが良いかというと、それもあまり気が進まない(笑)。結局、なるようにしかならない、ということでしょうか。ただ、痛み止めなどで苦しみが多少なりとも緩和するなら、可能な限り活用してほしい、とは思います。
2018.12.26
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都議の教員批判、波紋 中学校の性教育「不適切」東京都足立区の中学校で行われた授業を巡り、都議が都議会で教員らを名指しして「不適切な性教育」と批判したことに、波紋が広がっている。~授業は3月5日、3年生を対象に総合学習の時間で行われた。「自らの性 行動を考える」という人権教育の一環で、教育関係者や保護者らにも公開された。授業では、若年層の望まない妊娠が貧困につながるなど社会問題化していることや、高校1年生の中絶件数は中学までの総数の3倍に跳ね上がる実態を紹介。「産み育てられる状況になるまでは性 交は避けるのがベスト」と強調した上で、避妊方法や中絶できる期間が法律で決まっていることなど、実用的な知識を教えたという。自民の古賀俊昭都議は同16日の文教委員会で、校名や校長名、教員名を挙げ「発達段階を無視」した「不適切な性教育」だと問題視。都教委の宇田剛指導推進担当部長は、性 交や避妊、人工妊娠中絶という言葉を使って説明した点に「課題があった」と答弁した。性 交の言葉は保健体育の学習指導要領に示されておらず、避妊と人工妊娠中絶は高校で扱う内容だとの認識を示した。学習指導要領や文部科学省の説明では、中学1年で「男子では射 精、女子では月経が見られ、妊娠が可能となること」を教えるが、性 交は取り扱わない。一方、学習指導要領解説などでは、3年時に「(エイズなどの)感染を予防するには性的接触をしないこと、コンドームを使うことなどが有効であることにも触れるようにする」としている。~古賀氏ら都議3人は2003年、都立養護学校の人形などを使った性教育の授業を「感覚がまひしている」などと批判したことがある。都教委から厳重注意を受けた教諭らは05年、都議3人や都教委などに対し、損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。地裁は「教育に対する不当な支配」と認め、都や都議3人に損害賠償を命じた。東京高裁も地裁判決を支持した上で「学習指導要領の内容は膨大で一言一句に法的拘束力があるとはいえず、教育者に広い裁量が委ねられている」とし、判決は確定している。---いささか旧聞に属する話ですが(記事を見落としていました)、かなり重大な問題と思われるので、今更ながら取り上げたいと思います。古賀俊昭都議というのは、知る人ぞ知る極右系議員で、引用記事にあるように、以前にも都立七生養護学校(現特別支援学校)の性教育を非難攻撃したことがあります。→七生養護学校事件そして、今回もまた、同じことを繰り返そうとしているようです。「学習指導要領に示されていない」というのは、話にならない言い分です。学習指導要領は、児童生徒に教えるべき内容を規定したものであって、そこに載っていないものを教えてはいけない、という規定じゃないでしょう。だからこそこの都議と都教委は裁判で負けたのです。学習指導要領に載っていようがいまいが、性 交は「子孫を残す」という生物としての本質に根ざす行動です。そして、人間社会においては、肉体的な成熟と精神的、社会的な成熟の間にはかなりの時間差があります。個人差はありますが、12~13歳になれば、肉体的能力の面では、男も女も子どもをつくることができるようになります。が、本当にその年齢で子どもをつくってしまったら、本人も周囲も不幸な結果につながります。そうならないためには、望まない妊娠を避けるための知識を伝えることは、子どもたちの将来のためにとても重要なことです。とりわけ、この授業が行われたのが足立区、というところに大きなポイントがあるように思います。東京23区の中では、もっとも低所得者が多く、子どもの貧困家庭も多い、と言われるのが足立区です。(ちなみに、東京23区の中で、生活保護受給者数が最も多い、就学援助を受ける中学生の割合が最も高いのは足立区です)だから、というわけではないかも知れませんが、それに付随して、若年層の性の知識不足から来るその種のトラブルが少なくないであろうことは想像できます。そういえば、元足立区の中学の教員だった知人がいます。だいぶ前に定年になっていますが。その方から、在職中に女子生徒の妊娠騒動に遭遇したことがある、という話を聞いたことがあります。その例も、典型的な貧困家庭だったそうです。つまり、この性教育授業は、理念がどうこうということよりも、足立区の状況がそれだけ深刻であることの反映なのだろうと思います。以前に騒動になった七生養護学校も同じです。知的障害者は、健常者以上に性の問題が生じやすく、また深刻な事態に陥りやすい傾向があります。知的な障害があっても、性的な欲求や身体機能は(多くの場合)健常者と変わらないからです。性教育の授業が行われるようになったきっかけは、在校生同士の性的関係が表面化したことだったそうです。にもかかわらず、この極右バカ都議は、それが怪しからんというのです。「発達段階を無視」した「不適切な性教育」とか、何を言っているのかと思います。発達段階を無視しているのは古賀都議のほうでしょう。それとも、何も知らせなければ「みだらなこと」をしても中学生にき子どもができないのでしょうか?そんなバカな話があるわけがありませんね。目を瞑らせて何も知らせなければ、問題が生じないのであれば、それでいいけれど、そうではない現実が存在します。問題の授業は中学3年の3月に行われたそうです、あと1ヶ月で高校生ですが、こちらのサイトによれば、高校生の性 交経験率は2005年の時点で男子26%、女子は3割を超えています。2011年には少し下がっていますが、それでもかなりの割合です。この数字を見れば、これから高校生になる子どもたちに、性に関する正しい知識を教えることがいかに重要か、分かろうというものです。「寝た子を起こすな」という馬鹿げた意見がありますが、中学生や高校生は「寝た子」ではないのです。※それにしても、楽天ブログも、管理者自身の投稿でさえ、「性 交」などの文字は弾かれてしまうのです。だから、間に半角スペースを入れてます。やむを得ない側面はあるでしょうが、ちょっと考えてしまいますね。
2018.04.26
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軽いかぜは患者の自己負担上乗せ 医療費など抑制へ提案先進国で最悪の水準の日本の財政を立て直すため、財務省は、医療費や介護費の膨張を抑える制度の見直し案をまとめました。~このうち医療の分野では、患者が病院などの窓口で支払う自己負担について、軽いかぜなど少額の外来受診の場合は、負担を上乗せするよう提案しました。また医療機関に支払われる「診療報酬」は、今は全国一律の水準になっていますが、地域によって医療費の伸びにばらつきがあり、住民が支払う保険料の負担にも格差が出ていることから、自治体の判断で引き下げることができるようにするべきだと提案しました。介護の分野では、掃除や調理などの身の回りの世話をする生活援助のサービスについて、ホームヘルパーの代わりに地域の住民やボランティアを活用できるようにして費用を抑えることを提案しています。~財務省は、日本は、ほかの国に比べて、かぜなど比較的軽い症状で診察を受ける頻度が高く、それが医療費の増加につながっていると指摘しています。このため軽い症状で外来受診する場合は、一定額を上乗せして自己負担を引き上げるべきだと提案しています。~---馬鹿馬鹿しいの極みだとわたしは思います。そもそも、軽い風邪か、インフルエンザか、あるいはもっと重大な疾患が隠れていないかは、診察しなきゃ分からないでしょう。それに、風邪の診察による医療費なんて、たかがしれてます。わたしの経験の範囲では、一回の自己負担が3000円を超えることなんて、まずありません。つまり、医療費の総額としては1万円にも満たない。100人が来ても100万円以内でしょう。しかし、重篤な病気で集中治療室にでも担ぎ込まれたら、月単位の医療費が500万円とか1000万円とかは、決してまれではないし、100万円超えくらいなら、ゴロゴロいると言っても過言ではありません。私が骨折したときの医療費ですら、9日間の入院手術で約6万3千点、つまり63万円にもなりました。(本人負担はその3割で、更に高額療養費が適用になるのの、入院期間が月をまたいだので、高くつきました)それなのに、軽い風邪の通院を抑制しても何も解決しません。むしろ、最初は軽い風邪が、放置して気管支炎や肺炎にでもなれば、1万円もかからなかったはずの医療費が何倍、何十倍にも膨らむことになります。また、インフルエンザ患者が医者に行かないことでインフルエンザの蔓延に手を貸したり、その他の重篤な病気の発見が遅れることでも、余計な医療費が発生する原因を作る結果になるとしか思えません。そういうのを「一文吝みの百知らず」というのです。介護分野で「生活援助のサービスについて、ホームヘルパーの代わりに地域の住民やボランティアを活用できるようにして費用を抑える」というのも、まったくの机上の空論と言わざるを得ません。そもそも介護保険制度が導入された一因は、そのような地域での相互扶助が機能しなくなり、家族内だけで高齢者を支えることが不可能になってきたから、ということもあるはずです。要介護の高齢者のために動いてくれる地域の住民やボランティアがいないからこそ、こうなっている、ということなのです。
2018.04.12
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大変申し訳ありませんが、筆者の気分の問題で、当該記事を削除させていただきます。読んでいただいた皆様にお詫び申し上げます。
2017.12.16
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読売新聞の大誤報「第五福竜丸」ビキニ環礁の核実験で被曝した第五福竜丸の久保山愛吉無線長の死因は肝炎である。放射線障害で肝炎になることはありえないので、彼の死因は「死の灰」ではなく、輸血で感染したウイルス性肝炎と推定される。~1954年3月に、この事件を読売新聞が「邦人漁夫 ビキニ原爆実験に遭遇 23名が原子病」というスクープで報じたため、久保山の死因が核実験の死の灰だという誤解が世界に広がった。~第五福竜丸の悲劇の原因は核実験ではなく、輸血を行なった東大病院の医療過誤である疑いが強いのだ。しかし輸血を行なった医師が、その後、放射線医学総合研究所の所長になったため、この経緯は明らかにされなかった。放医研の調査結果が公表されたのは2000年代になってからで、ここでは輸血が原因と報告している。この件については病理解剖の詳細なデータがあり、少なくとも久保山の死因が死の灰ではないことは100%確実である。したがって読売新聞の大スクープは誤報であり、専門家もそれを指摘してきた。しかし読売はそれに答えず、いまだに「語り継ぐ 福竜丸被曝60年」といったキャンペーンを張っている。慰安婦問題と同じく、いったん世界に広がった誤解を解くことは容易ではない。政府がやると「隠蔽工作」などと疑われて逆効果になることも、慰安婦で経験した。世界の誤解を解くには、まず読売がみずからの報道を検証し、第五福竜丸事件の真相を明らかにすべきだ。---「反・反原発派」の新自由主義礼賛者池田信夫が、相変わらずの主張を繰り返しています。背景を無視して現象の一断面のみを切り出して、「久保山の死因は放射能じゃない」と言い募るのは、「木を見て森を見ず」ということに尽きるのではないかと思います。確かに、久保山の直接的な死因は、輸血によって肝炎ウィルスの感染した頃による肝障害である可能性が高いと、現在では言われています。だけど、それを言うなら、癌だってインフルエンザだって、その他の多くに疾病だって、最後の最後、直接的死因は心不全だったり肺炎だったり、老衰だったりすることは多々あります。それと同様のことでしょう。池田は簡単に、「東大病院の過誤」と書いていますが、これは特定の医療機関の過誤責任に帰する問題ではありません。1950年代当時、輸血に使用する注射器はおろか、注射針ですら、使い捨てにはしていませんでした。殺菌はするものの、複数の患者で使い回しが普通でした。また、輸血用の血液も、現在のような献血ではなく、売血、つまり血を売ることが多かったのです。そのような医療環境の下で、輸血を通じて肝炎やその他のウィルスに感染することは、いわば不可避だったのです。それは、どこの医療機関でも同じです。強いて言えば、そのような状況を許してきた当時の厚生省の責任でしょうし、突き詰めれば注射器1つ使い捨てにするだけの医療費を投入できなかった当時の日本の貧しさ、無償の献血では輸血に必要な血を賄えず、金銭を対価に払わなければ血液が確保できなかったという当時の日本の状況の問題です。しかし、それでも、必要に応じて輸血は行われてきたし、それによって何らかの疾病に感染して、それですぐ死ぬ人が大勢いたわけではありません。にもかかわらず久保山は亡くなった。普通だったら死ほどではないのに、放射線障害によって免疫力が落ちていたことが原因であろうことは、容易に想像できるでしょう。では、輸血をしなければよかったか?もちろん、輸血をしなければ肝炎ウィルスに感染することはなかったでしょうが、放射線障害で造血機能に異常をきたしている状況で、輸血なしで生命を維持できたのでしょうか?それはそれで、死者が出たのではないでしょうか。ひょっとしたら久保山ではない別の人だったかもしれないけれど。私は医者じゃないし、もし医者だったとしても、その場で診察に立ち会ってでもいなければもし輸血をしなければどうだったか、何てことは分からないですが、(感染症のリスクがあっても)輸血が必要だ、と考えた当時の医師の判断を、誤っていると考える根拠は何もありません。結局、現在の医療水準だったら、久保山は命を取り留めたかもしれないけれど、当時の医療水準ではどうしようもなかった、ということに尽きるのではないでしょうか。大量の放射能で免疫力が失われていなければ、輸血で命が失われることもなかったし、そもそも輸血を受ける必要すらなかった、ということを考えれば、最後の直接的死因が肝炎だったとしても、そんなことは問題の本質ではなく、久保山は放射線障害で亡くなった、というのが本質でしょう。それにしても、「世界に広がった誤解」とは、どういうこっちゃ、と思います。第五福竜丸事件で、久保山は放射能を浴びたころが原因で亡くなった、そこに、何の誤解もありません。癌死だって、最後の死因は心不全だろ、みたいな屁理屈をこねて、「久保山の死因は放射線障害ではなく肝炎だ」などと主張する方が、よほど問題の本質を偽って、大きな誤解を招くことになります。もっとも、池田信夫がこの種の「木を見て森を見ず」の論法で本質を偽ろうとするのは、今回に限ったことではありませんが。
2017.08.02
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獣医師不足、悩む地方 四国は獣医系大学ゼロ加計学園の獣医学部新設をめぐる問題の背景にあるのは、獣医師の「偏在」だ。都市部はペットブームで小動物を診療する獣医師が増加する一方、畜産農家などを多数抱える地方自治体は獣医師確保に頭を悩ませており、過不足に対する感覚は地域によって温度差がある。農林水産省のまとめによると、平成26年時点で獣医師は全国に計約3万9000人。最多はペットの診療を行う小動物診療で約1万5200人(39%)、伝染病予防など公衆衛生に関わる公務員が約9500人(24%)、家畜の診療に携わる産業動物診療が約4300人(11%)と続く。20年前に比べると、小動物診療の獣医師が倍増した一方、公務員はほぼ変わらず、産業動物診療は約5700人から減少。都市圏では都府県の募集に対して応募数が上回る状況だが、地方では下回ることが少なくない。自治体は採用活動に力を入れるが、獣医学部があるのは全国16大学で、加計学園が設置を計画する四国地方など空白地域もある。---20年くらい前でしょうか、「動物のお医者さん」(佐々木倫子)という、北海道大学獣医学部をモデルにしたマンガがありました。すごく好きで、実家には全巻あったと思います。その中で、獣医の仕事の大変さ、資格をとっても、いわゆる獣医(臨床獣医師)にならない人もいることについても描かれていたような記憶が(かなり遠い記憶ですが)あります。加計学園の獣医学部新設騒動をめぐって獣医師の不足、という問題がクローズアップされています。一方で、日本獣医師会は、獣医は不足していない、としています。どちらが本当なのでしょうか。安倍応援団の産経新聞の記事を引用しましたが、その中でも獣医師が「不足」とは書かれていません。「偏在」と書かれています。引用記事はその理由を詳しくは書いていませんが、要するに激務の割りに給料が安いので獣医師が逃げてしまう、ということです。動物のお医者さん日記「獣医系大学の定員を増やすらしいけれど、ことはそう簡単なもんじゃないと…」~獣医学部の定員を増やし、世に出す獣医師を多くしたところで、私のように獣医師免許を持ちながら、獣医師の仕事をしていない者が増えるだけではないかと思う。実際、私がいた自治体の同期では獣医師は7人だったが、私を入れて既に6人辞めている。残っている一人も連絡を取り合っていないので分からないが、もしかしたら辞めているかも知れない。~---人もうらやむ(笑)はずの正規公務員の職についても、7人のうち6人が辞めてしまう、それほどきつい仕事ということです。激務といえば、人間相手の医師(勤務医)も激務です。ただ、医師は激務の見返り、と言ってはなんですが、収入はいい。しかし、同じ「医師」でも、獣医の給料は人間の医者よりはるかに低いようです。獣医師の給料・年収動物病院の初任給は、地域によっても異なりますが23万円前後からスタートします。院長クラスになると35万ほどとなり、技術と経験によって給与が上がっていきます。地方自治体で働く場合には地方公務員となるため、その地方の給与体系に従って、給与が支給されます。公務員としての手厚い待遇が得られる反面、とくに地方では民間より給与水準が低いケースも見受けられます。医薬・製薬関連企業へ就職した場合には、企業規模によりますが、一般的に公務員よりは良い給与を見込むことができます。待遇面は企業によってだいぶ異なります。平均年収は平成27年の調査では、40歳で639万ほどであり、一般的なサラリーマンと同じか若干高い水準となっています。---給料だけを見れば、世間一般的には大変な安月給ではありませんが動物病院では、週休1〜1.5日で1日平均12時間くらい働くことになります。手術などがあったりすれば、勤務時間は15時間ほどに及ぶこともあり、時給計算すると割がいいとはいえない部分もあります。という長時間勤務と引き換えでしかない、ということです。引用記事には、「都市部はペットブームで小動物を診療する獣医師が増加する一方」とありますが、その都市部の小動物を診察する獣医師の待遇も、なかなか厳しいものがあるようです。【職種】獣医師が明かす仕事の本音労働時間の短さが、平均2.1点という悲惨な数字になっています。しかも、個別に見ていくと、労働時間が短いといっているのは、アルバイトであったり、臨床獣医師以外の仕事をしていたり、いわゆる動物病院の獣医師に限れば、おそらくもっと悲惨な数字になりそうです。結局、保育士や介護職の不足と同根で、待遇があまりに悪いから人手不足になる、というわけです。その待遇面の改善がないまま、獣医学部を新設して獣医の資格を有する人を増やしても、獣医(臨床獣医師)になる人はほとんど増えないという結果になるのではないでしょうか。
2017.05.30
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白骨化遺体に結核蔓延…西成あいりん地区ホームレスの絶望(上)白骨化遺体に結核蔓延…西成あいりん地区ホームレスの絶望(下)長いので引用は避けますが、釜ヶ崎(大阪市西成区)の現状についてのルポです。聞きしにまさる、とはこのことでしょう。度々生活保護関係の情報を教えてくれる、福祉事務所関係者の知人も、東京の住人なので、さすがにここまでの状況は経験がないようです。ドヤ街と言えば、東の山谷、寿町、西の釜ヶ崎と言われますが、保護率(人口に占める受給者の割合)は、山谷のある東京都台東区が4%台(東京の中では最も保護率は高い)、寿町のある横浜市中区が6%台に対して、大阪市は全体で5%台。大阪市全体で東京の台東区より保護率が高いのだから驚きですが、西成区に限ると、25%にも達します。ところが、記事を読むと、人口の25%にも達する保護受給者※ですら、実は西成の中では比較的恵まれた立場であるようです。※統計上は人口の25%なのですが住民の25%が保護を受けているという表現は不正確でしょう。全国から要保護状態の人たちが集まった結果そのような数字になったので、分母である人口は住民の数なのに対して、分子である受給者の相当部分は住民ではない住所不定者ですから。路上生活者の多くは、病気や怪我になったら医者にかかるという発想がない、犯罪にあったら警察に届けるという発想がない、そして、生活の困ったから生活保護を受けるという発想もない、というわけです。もっとも、以前知人から聞いた話を総合すると、この話は全面的に真に受けてよいのかどうかは分かりません。知人によると、いわゆる住所不定者の大半は、たいていの場合、それまでの人生で、一度は生活保護を受けた経験がある(と思われる)のだそうです。ただ、それを簡単には認めない人も多いようですが。彼らはたいていは無償低額宿泊所とか、厚生施設などに入所することになります。しかし、そのような施設は集団生活であり、起床、就寝、食事時間など時間の決まりがあり、当然飲酒は禁じられています。その暮らしに耐えられないと感じる人は、すぐ出て行ってしまうようなのです。それで生活保護は打ち切りになり、「もう生活保護なんてこりごり」となっている人が、相当の割合を占めるようです。もちろん、程度は様々で、1度保護を受けてもう二度と、という人もいれば、普段は路上にいて、金がなくなったり健康を害したときだけ福祉事務所へ、という人もいれば、自称「路上生活」でも、実際はA市で失踪して保護打ち切りになると翌日にはB区の福祉事務所へ、なんて人も少なくないそうですが。おそらく、ですが、路上生活者、住所不定者の中には、知的障害か精神疾患、あるいはその両方を持っている人が相当の割合を占めるのだろうと思います。リンク先の記事には、路上生活者に高卒以上はほとんどいない、とあります。これは、知人の感触ともかなり一致するらしいです。路上生活者の学歴については聞いたことがありませんが、生活保護受給者全般に、中卒率がやたらと高い、4割か、下手すると5割超えるかも、という話を聞いたことがあります。路上生活者に限れば、その割合が更に上昇するであろうことは想像に難くありません。必ずしも西成に限らないですが、生活保護費をもらった途端、それをお酒に替えてしまう、パチンコ屋に走ってしまう、その他諸々の不摂生な生活を送る生活保護受給者の姿が、批判的に報じられることがあります。確かに、そのような生活保護受給者の姿は、納税者から見れば腹が立ちます。ただ、引用記事にあるような生活をしてきた住所不定者が何らかの事情で生活保護を受けたとしても、そういう暮らししかできないことは、ある意味当然です。モラルの問題というより、能力の問題です。病気なのです。それも、死に至るまで治らない不治の病です。比喩ではなく、アルコール依存症は癌より死亡率が高い、とも言われます。怠惰になりたいと思って怠惰になる人、依存症になりたいと思って依存症になる人、精神疾患になりたいと思って精神疾患になる人はいません。もって生まれた資質や環境(親や家族の生活)によってそうなってしまうのです。それを「けしからぬ」といっても、がんになった人を「けしからぬ」というのと同じくらい、言ってもどうしようもないことです。しかし、こういう状況になってしまった人を救うのは、非常に困難です。病院に行く発想がない、体調が悪ければ酒で治す、という人を、まともな社会生活が送れる状態に戻すことは不可能です。ごく若いうちならともかく、そのような生活で40代50代に至ってしまった人は、残念ながら社会生活能力が「ご臨終」になっています。末期がんがどうにも治せないのと同じように、こういう状況に至ってしまった人の社会生活能力を生き返らせることは、不可能です。前述のように、そのような状態に至った人が生活保護を受けたところで、施設の規則を守ることができないから、すぐに失踪したり指示違反で、保護は打ち切りになるか、死亡廃止になるか、いずれにせよ、こういう状態の人が安定的に、長期間生活保護を受け続けることは困難なようです。紹介記事にも、西成区の死亡率の突出した高さが示されていますが、多分それは、生活保護を受けている人に限っても同じでしょう。なお、程度の差はあっても、山谷や寿町も、状況はそう大きくは変わらないでしょう。私は、寿町は行ったことがないけれど、山谷は数回行ったことがあります。南千住の駅前や大通りは、再開発でとても綺麗になっていますが、住んでいる人の中身は同じですから、朝っぱらから路上でたむろして酒盛りをしている集団がいたりして、やはり異様な光景と思います。まことに残念ながら、このような状況を、すぐに改善する、というのは不可能なことのように思います。対症療法で何とかなることではない、大元から、つまり、路上生活者が路上生活者になる前、もっと言えば、子どもの頃からの支援体制を何とかしないと、社会生活能力がご臨終になった後では、何をどう変えることもできないのが現実でしょう。それにしても、西成での結核の蔓延ぶりも恐ろしいものを感じます。以前に比べると少し下がったのだそうですが、それでも383.7(元記事には単位がありませんが、人口10万人当たりの数字です)。2010年にはそれが600を越えていたとのことです。世界最悪の結核蔓延国ジンバブエとほぼ同水準、現在の数字でも、アフリカの、結核罹患率の非常に高い国々と互角の状態です。しかも、生地の様子から察するに、表面化しない潜在的な結核患者がそれ以外にも相当にいるのではないかと思われます。(もっとも、それはアジアアフリカの発展途上国も同様かもしれないですが)話は変わりますが、昔、「じゃりんこチエ」という漫画がありました。私は原作漫画は読んだことがなくて高畑勲監督の劇場アニメを見たことがあるだけですが。当時は何も知らずに面白いと思って見てましたけど、少し前にYouTubeに上がっているのを見て(もう削除されています)、ドキッとしてしまいました。これって、まさしく西成が舞台です。いやー、もう単純に笑えない。現実には、チエのような環境に育って、チエのようにまともで強く育つ子ばかりではない、というより、そうならない子の方が多いはずですが、チエはグレて不登校になり、家でを繰り返して万引きして児童相談所から児童養護施設に入所しました、では漫画にならない(別ジャンルの話にはなりそうですが)ですからね。
2017.03.02
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自業自得の人工透析患者なんて、全員実費負担にさせよ!無理だと泣くならそのまま殺せ!今のシステムは日本を亡ぼすだけだ!!私は「健康保険制度」と「年金」をすべて解体すべきだと考えています。それを実行できる政治家がいるのかどうか…結論から言うときっと現れないことでしょう。でも、私は考えています。それが日本を再生させる極めて有効な手段だと。今の日本には「不安」が広がっている、と多く報じられています。本当にそうでしょうか?「不安」なのでしょうか?~日本人は「気づいている」のだと思うのです。「不安」なのではなく「ちゃんと分かってしまった」のではないかと思うのです。ネットの普及によって。もう、年金のシステムなんて、とっくの昔に完全に崩壊していることを。もう、健康保険のシステムが、完全に時代に合わなくなってきていることを。先日、ある「人工透析」を担当しているお医者さんと話をする機会がありました。「はっきり言って大半の患者は自業自得」「患者さん?お金にしか見えないですね」「まー、人工透析を見てると、日本の未来はないってよくわかるwwww」腎機能の低下を招く原因とは一体何なのでしょう?あるお医者さんの話をよく聞くと、「遺伝的な疾患も確かにあります。しかし、私の見立てでは…8~9割ほどの患者さんの場合「自業自得」の食生活と生活習慣が原因と言わざるを得ません」(以下略)---長谷川豊というフリーアナウンサーのブログです。元フジテレビのアナウンサーですが、金銭がらみの不祥事で退職に追い込まれてフリーに転じた人物です。なかなかムチャクチャな発言が並んでいますが、正直なところ、透析患者の大半、かどうかはともかくとして、自業自得の例が少なからずある(おそらくは、実際の比率以上に目立つ)、という話自体は、事実であろうと私も思います。知り合いの医者とも、そんな話をしたことがあります。「暴飲暴食」という言葉があり(長谷川の文章でも使われている)、確かに脂っこいものをはじめとする栄養過多な食生活は様々な成人病の元になりますが、人工透析というレベルに至るのは、結構な割合で「暴飲」つまり飲酒のほうが原因であることが多いのではないか、という気がします。ただ、「自業自得」という言葉を安易に振りかざすことには、非常に大きな問題があるように思います。同じような暴飲暴食を繰り返しても、人工透析になる人ばかりではありません。否、透析にはならない人のほうがずっと多い。そこには、やはり単なる生活習慣の問題だけではなく、体質、内蔵の機能の差がおそらく存在するのです。たとえば、当ブログで何度か言及したことがありますが、中川昭一という政治家がいました。財務大臣在任中に記者会見で泥酔していて、そのことが原因で辞任に追い込まれた人物です。彼は、明らかにアルコール依存症、それも末期的な状態でありました。事実、その8ヵ月後には死亡してしまいました。酒を浴びるほど飲む生活を続けた挙句の急死ですから、これを自業自得と呼ばずしてなんと呼ぶ、と思いますけれど、それでも人工透析にはならなかったようです。そして、中川がアルコール依存に至った原因は、ストレスでしょう。中川に限らず、依存症や暴飲暴食の原因には、ストレスが大きく作用していることは明らかです。それをどこまで「自業自得」と指弾できるかは、なかなか難しいところです。もうひとつ、長谷川は莫大な医療費という側面から「自業自得」の人工透析患者を非難しているようですが、それはどうでしょう。荒れた食生活の挙句に人工透析に至ったような人間が、人工透析になった途端にまじめな人間になれるわけがありません。だからこそ、「自業自得」なんて思われてしまうわけですが、透析になってもなお荒れた食生活を続けていれば、どうなるかは火を見るより明らかですね。死んじゃいます。つまり、人工透析は確かに医療費がかかりますが、その人工透析患者の中では、「自業自得」な人たちは相対的にあまり医療費がかからないのです。そんな人たちはすぐに死んでしまうからです。人工透析を受けつつも5年10年と長生きできるのは、食生活についてある程度自らを律することができる人です。ということは、莫大な医療費を槍玉に挙げて人工透析患者を非難するなら、実は「自業自得ではない人」をこそ槍玉に挙げなければならない、ということになってしまいます。どうやって槍玉に挙げるんでしょうか。透析患者の分際で、つましく食生活を律して長生きなどするから医療費がかかる、暴飲暴食でもして、とっとと死ね - とでも言うのでしょうか。まさかねえ。それに、「自業自得」と指弾されるような行為が、一部の「ろくでなし」だけの占有物であるなどとは考えないほうがよいのです。前述のとおり、似たような過剰飲酒で依存症になっても、人工透析になる人もいればならない人もいる(ならない人のほうが多い)。私は、別に依存症ではありませんが、酔っ払って駅の階段で転んで腰を強打したことがあります。幸い、翌日腰が痛かった、というだけのことで済みましたが、似たような状況で転倒して、脚を骨折した知人がいます。私と知人の差は、運不運でしかない。私は山登りが大好きですが、これまでのところ遭難したことはありません。もし運悪く遭難すれば、自業自得と指弾されることになるのでしょう。そういう意味では、怪我のほとんどは「自業自得」と言えます。風邪だって、自己管理がなってないからだと指弾される場合があります。旅行先で、スポーツやそのほかの「生活のために絶対に必要ではない行為」の中で怪我、病気になったら、それはすべて「自業自得」と言えなくはありません。運動不足で成人病になったら自業自得だが、成人病にならないために運動による怪我や故障も自業自得だ、ということになったら、逃げ道はありません。結局、自業自得ではない病気や怪我ってあるのでしょうか。あるとしても、ごくわずかでしょうね。先天性の障害くらいでしょうか。それも、「産んだ親が悪い」などと言われかねませんが。だいたい、医療が、病気や怪我を治すことよりも、その原因が自業自得でないかどうかを追及することにエネルギーを費やすようになったら、世の中おしまいです。確かに、感情論のレベルで言えば、「自業自得」と思う透析患者はいますが、だからと言って、実費負担させろ、嫌なら殺せというのは、理論にも何もなっていない。実現性もなければ論理性もない暴言に過ぎないのです。相模原の障害者施設の大量殺人者の言い分とどこが違うのか。
2016.09.21
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誰もがその特性を持っている?「大人の発達障害」で注目された「自閉症」の基礎知識「大人の発達障害」という言葉は、みなさんも一度は見聞きしたことがありませんか?複雑なコミュニケーションが求められる社会になるなか、困り感を抱える当事者へのサポートや強みを生かす支援、職場など周囲の理解の重要性が指摘されています。生きづらさを抱えながらも診断されないまま大人になり、社会に出てから「発達障害」という診断に至るケースが増えているようです。これが「大人の発達障害」です。「発達」という語感から子どもの障害であるイメージが強いかもしれませんが、先天的な脳の機能障害です。成長とともに緩和するケースはありますが、治ることはありません。文部科学省が2012年に実施した調査では、発達障害の可能性のある児童が6.5%の割合で通常学級に在籍することが示されました。1クラスに2人程度いる計算になります。みなさんの職場にも、通勤電車の中にも、お子さんの学校のクラスにも、決して少なくない数の発達障害の人がいるということです。発達障害は、大きく「自閉症スペクトラム」「注意欠陥多動性障害(ADHD)」「学習障害(LD)」に分けられます。注意力や衝動性に障害があるADHDや、読み書きや計算に特異的に困難を示すLDに比べて、自閉症スペクトラムの人は、言葉の遅れや、他者の感情が分からない、パターン化した行動など障害特徴のあり方が複雑です。実際に接した感覚としても、一番特徴的に感じるかも知れません。「自閉症スペクトラム」というのは聞きなれない言葉だと思います。「スペクトラム」は「連続体」という意味で、「自閉症の人」と「自閉症ではない人」(=多くの読者のみなさん)の間に明確な境界線があるわけではないのです。健常者や軽度の自閉症傾向の人から、重度の自閉症の人まで、連続的につながっているという考え方が、この障害名の前提にあります。特性の強さや現れ方に程度の差こそあれ、誰もがその特性を持っているということです。(要旨)---今は、自閉症という言葉の認知度が高まったので、そういう誤解はかなり少なくなったと思いますが、自閉症と、いわゆる引きこもり状態を混同する人が、かつては少なくありませんでした。もちろん、両者は異なった概念です。自閉症は脳の機能障害(具体的にどこの部分がどう、というのは分かっていないけれど)であり、引きこもりというのは、原因がどうあれ、部屋に閉じこもっているという状態を指す言葉です。ただ、引きこもりの中に、発達障害が原因の一つ、という例はあるかもしれません。というか、けっこう多い可能性はあります。以前、知的障害者に関わることの多い立場だったことがあります(今も、かかわることはありますが)。で、そのとき、「自閉症の人」と「自閉症ではない人」の間に明確な境界線があるわけではないという、この引用記事の趣旨を、私は痛感しました。自閉症の人の、「ちょっと変」と思えるところを冷静に分析すると、人間なら誰もが持っている要素のある部分が、他人より強いだけなのです。要素って具体的に何か、具体的に説明するのは難しいのですが、たとえばこだわりの強さ、という表現がぴったりくる場合もあります。外面的な部分では、抑揚を欠いた独特の声のトーンがあります(知的障害を伴わないアスペルガーでは、あまり見ない気もしますが)。私が思ったのは、自閉症の人は、人が誰もが持っている特定の要素を強く持っているということと、もうひとつは、「私も、そういう要素を世の平均よりは若干強く持っているんじゃないか」ということです。彼らを見ていて、「私にもこういうところ、あるな」って、感じることが多々ありました。私は、多分自閉症でも発達障害でもないと思いますが、ただ健常者の中では、平均より自閉症や発達障害に近い位置にいるんじゃないか、とは思うのです。だから、自閉症の人と自閉症ではない人に明確な境界線があるわけではない、という話は、ものすごく腑に落ちるのです。なるほど、やっぱりそうか、と。
2016.06.23
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若狭町給食センター勤務時間中の排便禁止…食中毒受け福井県若狭町で先月下旬、ノロウイルスによる集団食中毒があり、食事を調理した同町給食センターが、調理員の勤務時間中の排便を今後禁止するよう「衛生管理マニュアル」を改定したことが分かった。再発防止に向けた衛生面での改善の一環だが、過剰ともいえる労働現場への規制に、専門家からは疑問の声が上がっている。センターは8校の小中学校の給食を調理しており、先月21日から給食を食べた教職員や児童生徒が相次いで食中毒を発症。今月4日までに計363人がノロウイルスに感染した。センターは業務停止となり、来月中旬の再開に向け、マニュアル改定を進めていた。新しいマニュアルでは、勤務時間(午前7時半〜午後4時45分)中の調理員について「保菌などの状況を確認することが難しく、センターでは原則排便しない」と規定した。センターの担当者は「緊急事態であり、規定を厳しくした。排便を我慢できない場合は、早退などの対応をとる」とし、「調理員が早退した場合に備え、予備調理員3人を確保した」と説明している。感染症に詳しいある男性医師は「聞いたことがない対策だ。手洗いの励行やトイレの消毒などが現実的だ」と指摘。文部科学省学校健康教育課も「調理員の生理現象への制約は、学校給食衛生管理基準になく、国として同様の対策は取ったことがない」としている。脇田滋・龍谷大教授(労働法)は「公共目的での緊急対策と理解したいが、働く人の権利にも配慮は必要だ」と話している。---何というか、絶句です。食中毒が危険だからトイレに行くな、と。これが「対策」として意味があるかどうかも問題ですが、そもそも実行可能なのか。勤務時間(午前7時半〜午後4時45分)中の調理員について「保菌などの状況を確認することが難しく、センターでは原則排便しない」7時半から4時45分までというと9時間15分ですが、それだけの長時間トイレに行かないことが可能なのか。どう考えたって、人間の生理現象の限界を超える事態です。だいたい、それを言うなら、出勤前に自宅でトイレに行くのは問題ないのか?それは調理開始前に手洗い、殺菌を行うから大丈夫なのだとすれば、給食センターにおいても、トイレに行った後は調理開始前と同様の手洗い・殺菌を行えば問題ないのでは?それでは不十分だとしたら、そもそも調理員は勤務時間外ですらトイレに行ってはならない、ということになってしまいます。「調理員が早退した場合に備え、予備調理員3人を確保した」のだそうですが、普通に考えれば、予備調理員だって9時間以上トイレに行くな、と言われてもそれは無理でしょう。もし、これを厳密に適用しようとしたら、勤務時間終了までに、予備調理員も含めて全員が早退しました、ということになるんじゃないでしょうか。小中学校の給食のみを調理するのであれば、調理自体は午前中に終わるでしょうが、そのあとも、回転釜等の調理器具や食器の洗浄などの後片付けがあるはずです。「全員が早退に追い込まれて、食器の洗浄ができませんでした。明日の給食は作れません。」ってことになる。まあ、実際のところは、直ちに形骸化、有名無実化して終わるだけのことでしょうけど、現実を見ないで空理空論だけで対策を考えるバカがマニュアルを作ったとしか思えない話です。
2016.06.10
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福島の子「数十倍」発見…放射線の影響否定的東京電力福島第1原発事故後、福島県が当時18歳以下の子供らを対象に実施している県民健康調査で、県の検討委員会は15日、甲状腺がんと確定した子どもが100人を超え、全国の甲状腺がんの罹患率に基づいた推計を大幅に上回ることから、「数十倍多い甲状腺がんが発見されている」との中間まとめの最終案を大筋で了承した。放射線の影響については「考えにくい」と評価しながらも、「現段階で完全に否定できない」としている。検討委は疫学やがんの専門医ら有識者で構成。最終案は、2011年10月から昨年4月末まで対象者約37万人のうち約30万人が受診した1巡目の検査結果に基づく。全国の患者の推計によると、検査で見つかる甲状腺がんは福島県の18歳以下で2人程度とされるが、1巡目では100人ががんと確定し、15人が「がんの疑い」とされた。最終案では「将来的に診断されたり、死に結びつかなかったりするがんを多数診断している可能性がある」と明記。放射線の影響を考えにくいと評価した理由について、チェルノブイリ事故に比べ被ばく線量が少ない▽当時5歳以下からの発見がない▽県内の地域別発見率に大きな差がない−−などを挙げた。ただし、放射線の影響の可能性は小さいとはいえ完全には否定できず、将来悪化しないがんを見つけて不安を患者に与えるリスクも受診者に説明した上で検査を継続して実施すべきだとした。中間まとめは3月中に正式に決める方針。14年4月から始まった2巡目の検査では、昨年末現在で1巡目で「がん」や「がんの疑い」と診断されなかった16人ががんと確定。35人ががんの疑いがあるという。一斉検診で多く検討委の星北斗座長は会議後の記者会見で、数十倍の甲状腺がんの子どもが発見されたことについて、「一斉検診したことで数として多く見つかった」と述べた。---福島で子どもに甲状腺がんが急激に増えていることは、もはや否定しようのない事実と思われますが、国はこれを原発事故が原因とはかたくなに認めないようです。その根拠は、引用記事にあるように、「チェルノブイリ事故に比べ被ばく線量が少ない▽当時5歳以下からの発見がない▽県内の地域別発見率に大きな差がない」という3点であるようです。「チェルノブイリに比べて被ばく線量が少ない」というのは、どの程度の根拠によるのかが判然としません。いろいろな記事を調べた限り、福島の事故直後に行われた甲状腺被爆調査は、2011年3月下旬に飯舘村、川俣町、いわき市の15歳以下の約1150人に対して行われたものしか見当たりません。甲状腺被曝の子「健康リスク評価できぬ」 原子力安全委福島県における小児甲状腺被ばく調査結果について 平成23年5月12日 原子力安全委員会事務局2つのソースで受診者数が若干違いますが、原子力安全委員会の文書にある「3月24日に川俣町で測定を行ったが、バックグラウンドが高かったことから測定結果に含めていない」というあたりが、その原因なのでしょう。いずれにしても、おおむね1100人前後についてしか被爆量調査が行われていないようです。放射性ヨウ素の半減期は8日間と短い(上記の調査が行われた時点でも、事故から2週間以上経過しており、放射性ヨウ素は事故時の1/4以下に減っています)ことから、これより後に調査をしたとしても、正確な被爆量を調べることは不可能でしょう。「チェルノブイリに比べて被ばく線量が少ない」と断言するには、調査対象者があまりに少なかったように思います。「当時5歳以下からの発見がない」という点についていえば、チェルノブイリでも、4歳以下の子どもの甲状腺がんが増加したのは事故から5年目以降だ、という指摘があります。「県内の地域別発見率に大きな差がない」という点についても、検討委員会は「地域別」を下図の上の表のようにまとめているのに対して、更に詳しく市町村別にまとめると、下の表のようになるとのことです。確かに、原発から近いのに甲状腺がんの発生が少ない、遠いのに発生が多い、市町村は散見されます。しかし、確実に言えることは、同じ福島県内でも、原発から非常に遠い会津地域では、一部例外を除いて甲状腺がんの発生はほとんどない、ということです。この1点だけで見ても、甲状腺がんの増加と福島の事故が無関係という主張には、強い疑念を感じます。また、放射線量が多く、避難区域となっている原発の北西側に、甲状腺がんの多発する市町村が比較的多い傾向もあるように見えます(もちろん、これも例外はあるが)。以前にも書いたことがありますが、児玉龍彦「内部被爆の真実」(幻冬舎新書2011年P76-)によれば、チェルノブイリ事故後の甲状腺がん増加についても、当初は事故との因果関係を否定する主張は強かったようです。つまり、それまでは見落とされていたような甲状腺がんが、検査によって発見されるようになっただけだ、と。奇しくも、その言い分は現在の福島で甲状腺がんの増加と自己の因果関係を否定する主張と同じです。しかし、この言い分は事故から十数年を経て、完全に否定されました。というのは、事故から15年経ったら、14歳以下の子どもの甲状腺がんの発生率はほぼゼロに戻ったからです。つまり、事故時に生まれても母親の胎内にもいなかった子どもには、検査しても甲状腺がんの増加は認められなかったのです。この前例に学べば、福島における甲状腺がんの増加も、福島第一原発の事故が原因である-と、断定はまだできないにしても、因果関係が強く疑われることは歴然としているように思えます。しかし、検討委員会はそうは考えないみたいですね。何故なのでしょうか。
2016.02.27
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昨日、生活保護をめぐる問題に触れた中で、生活保護費の半分以上が医療扶助である、という話に触れました。不思議なことに、介護保険は、生活保護でも介護については、介護保険制度に組み込まれているのです(65歳未満の3号被保険者と呼ばれる人たちは例外)。だから、生活保護受給者の介護費用は、9割が介護保険から出て、自己負担分の1割だけが生活保護費(介護扶助)になります。しかし、医療は国民健康保険に組み込まれていないので、生活保護費に占める医療扶助が異常に高額になるわけです。よく知られているように、医療費自己負担というごくわずかな例外を除いて、生活保護受給者の大部分は医療費の自己負担がありません。そのことを利用して、必要もない医療を受ける、挙句の果てに複数の医療機関で向精神薬の処方を受けて、それを売り捌くような輩も中にはいるわけです。聞くところによると、以前大阪でその種の事件が起きた後、厚労省は早速全国の福祉事務所に、向精神薬の重複処方がないかどうか調査を行ったそうですが、各福祉事務所で、そういう事例がいくつも出てきたらしいです。世の納税者の神経を逆なでする話ではあります。生活保護に限らず、かつて高齢者の医療費が無料だった時代にも、それについて、ずいぶん批判がありました。だから高齢者の医療費は無料ではなくなり、後期高齢医療という制度が始まったわけですが、今でも後期高齢者の医療費自己負担は1割なので、やはりいろいろと批判をいう人はいます。そういった批判が当を得ているか否かは、ひとまず措きます。(私も、生活保護受給者の医療費がまったく無料でよいのか、という点には、いささか疑問の余地があるようにも思いますが)ただ、そういった、連日医者にかかりまくっている生活保護受給者や後期高齢者にかかる医療費は、実はたかが知れています。薬価10点(100円)の向精神薬を100錠処方されたとしたって、1万円です。町医者に、毎日のようにかかったところで、かかる医療費はたかが知れています。ところが、入院すると、医療費はうなぎのぼりです。脳梗塞とか心筋梗塞のような重篤な病気でICUに担ぎ込まれたりすれば、1ヶ月(どころか、数日だけでも)の医療費が何百万なんて話はいくらでもあります。1千万だって珍しくはありません。危機を脱して、慢性期、回復期の、最低限の治療だけでも、1ヶ月入院すれば30万か40万かかります。100人の不届きな不正受給者が浪費する医療費より、1人の重篤な患者に要する医療費のほうが高かったりするわけです。医療扶助を不正にせしめるために入院してICUに担ぎ込まれよう、などと考える輩は、そうそういるものではありません。※このあたりは、一般的イメージと現実の落差はかなり大きいように思います。※もっとも、かつて関西で、生活保護受給者に対して、必要のない心臓の手術を行って、しかもその患者を死なせてしまったという、とんでもない医者がいました。発覚してこの医者は逮捕されましたが、発覚するまでに何人手術して、何人殺したのやら。心臓の手術では、さぞかし高額の医療費だったろうなあ。私の父も、もちろん生活保護ではありませんでしたが、癌の治療で通算100日以上も入院、手術3回(そのあたりについては、以前の記事で簡単に触れたことがあります)の挙句に亡くなりました。本人負担の医療費も非常に高額になりましたが、保険請求された狭い意味での医療費は、もっと高額だったに違いありません。父の診療報酬のレセプトを見たことはありませんが・・・・・・。もちろん、父の医療費が高額だったのは、保険外の個室代(差額ベット代)が高額だったためであり、健康保険対象の医療費の自己負担分は、高額療養費という制度のため、そこまで高額ではありませんでした。医療費自己負担は純然たる3割ではなく、負担の上限額があるのです。それがなかったら、集中治療室で生死の境をさまよってレセプトの診療報酬が100万点(1000万円)だったら、本人負担が300万円ということになってしまいます。高額療養費制度をやめれば、医療費は減るかもしれません。でも、そんなことが不可能であることは明らかであろうと思います。支払い不能の人が過半数を占めることになりかかねませんから。
2015.10.22
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<睡眠>そろそろ限界?眠らない日本人長時間労働、夜勤の増加、ストレスなどから日本人の睡眠時間は年々短くなり、世界でも1、2位を争う“眠らない国”になってきている。就寝時間について継続的な調査データがある国民生活時間調査(NHK放送文化研究所)によると、「90%以上の人が就寝する時間」は、1941年には午後10時50分だったのが、年々遅くなり2000年には、午前1時になっている。09年のOECDのデータでは日本人の平均睡眠時間は7時間50分で、韓国に次いで世界第2位の短さ。よく寝ているフランスに比べると1時間も短い。国立精神・神経医療研究センター三島和夫医師は「日本人全体が慢性的な睡眠不足に陥っている。そろそろ限界に近づいていると思う。社会全体の問題として考えなければならない」と言う。残業、深夜勤務増加、インターネット普及、過剰な夜間照明などにより、生活時間が夜型になっているのに対し、朝の活動時間は変化がなく、必然的に睡眠時間が短くなっている。「睡眠不足からくる集中力、パフォーマンスの低下、さらには交通事故や産業事故などにも関係しています」と三島さんは指摘する。経済的損失年間約3兆円超という推計もある。また、労働者の約3割が夜勤に就いているが、夜勤は頭痛、消化器系の不調、がん、糖尿病や高血圧などといった生活習慣病のリスクが高くなっている。睡眠習慣の夜型に加え、深刻な睡眠障害も増えている。製薬会社「MSD」が昨年夏行った「不眠に関する意識と実態調査」によると、約4割に不眠症の疑いがあったという。調査で不眠症疑いがあった人は、日中のパフォーマンスがそうでない人に比べ3割以上ダウン。そのうち6割が睡眠不足などの自覚がなく、自覚があっても7割が専門医を受診していなかった。不眠症の患者の多くは「ないものねだり」をしている。「8時間ぐっすり眠りたい」という呪縛があるが、これは無理。年齢が高くなるにつれ長時間眠れなくなる。60代後半では6時間眠れば十分。ポイントはこの睡眠をどの時間帯でとるのか。午後5~10時は覚醒しやすい時間帯で、「睡眠禁止ゾーン」。高齢者の多くは午後7~9時には布団に入って、眠れずもんもんとしている。こんな時間に寝たら、夜中に何度も起きたり、朝早く目が覚めたりするのは当たり前。このため、睡眠指導として3点を禁止している。(1)早寝(2)布団に長時間いること(3)昼寝。これを守るだけで6時間ぐっすり眠れる人は少なくない。これに対し、睡眠不足に陥っている働き盛りの日本人は、最低でも布団に7時間いるべき。---この記事を書いている私自身、今夜中の1時です。まあ、金曜日はどうしても夜更かししてしまいがちです。平日は、日によりますが12時から12時半の間には寝ていますが、たまに1時近くなることもあります。朝は6時40分に起きているので、つまり私の睡眠時間は平日は6時間から6時間半くらい、ということになります。正直言って、睡眠時間は足りていないと自覚しています。たまに、どうしても眠くなって(あるいは体調不良で)11時に寝たとしても、翌朝はやっぱり6時40分です。早く寝ても早く起きられないのは、本当は体がもっと眠りを欲しているからでしょう。その代わり、と言うか私は不眠症の傾向はありません。いつでもどこでも眠れます。そんな私でも、昼寝をしてしまうと夜眠れない、ということはあります。当然、平日は昼寝なんかできないので、そういうことが起こるのは休みの日だけですけど。8時間、寝たいですねえ。でも、それ以上長くは寝られないようです。休みの日などでも、だいたい8時間寝ると、それ以上は寝ていられなくて起きてしまいます。だから、引用記事の調査で、日本人の平均睡眠時間が7時間50分と言うのは、むしろ「みんなそんなに寝ているんだ」というほうにびっくりしました。7時間50分は、私にとってはそれ以上寝続けられない上限に近いですから。おそらく、今の自分自身が肉体的に欲しているもっとも適正な睡眠時間は7時間から7時間半くらいじゃないかと想像しています。それから、いつの頃からか、夜中に一度はトイレにおきるようになりました。年齢を実感しています(笑)。若い頃は、夜寝たら朝までノンストップで寝られましたから。ただ、夜中にトイレに起きるといっても、おおむね明け方近くが多いですけど。いずれにしても、この記事を見て、私ももう少し早く寝るようにしないとだめだな、と思いました。12時までには寝るようにしよう・・・・・・明日から。(守れるのかな?)
2015.03.13
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エボラ出血熱「あと60日が勝負。負ければ人類が敗北」 国連が悲壮な訴え国連のエボラ出血熱対策チーフ、アンソニー・バンバリー氏が14日、NYであった国連安全保障理事会に西アフリカからテレビ中継で参加し、「エボラ出血熱を今止められなかったら、世界は完全に未曽有の事態になる」と警告しました。「レース」の先を行くエボラエボラとの闘いをレースに例え、「(エボラは)我々より先を行き優勢だ」とし、12月までの60日間が闘いになると語りました。この60日間は、感染者の70%を療養施設に収容し、死亡者の70%を二次感染なく埋葬しなければ、感染拡大は止まらないとしています。このため西アフリカなどの現場では複雑なオペレーション(対策)が必要とされており、「そのうち一つにでも失敗すれば、我々は敗北する」と強調しました。死者数4493人に世界保健機関(WHO)は15日、西アフリカで、疑い例を含む感染者数が8997人、死者数が4493人に達したと発表。医療従事者の感染者数は427人で、236人が死亡したといいます。エボラ出血熱の感染率は下がってきており、一部地域では拡散が抑止できているものの、米では医療関係者で2人目の感染が確認されるなど予断を許さない状態が続いています。---一方では、ナイジェリアではエボラ出血熱の終息宣言が出たと報じられているし、スペインで二次感染した看護師が快方に向かっているとも報じられています。これらは歓迎すべき兆候ではありますが、「もう大丈夫」と言うにはまだ早いことも事実です。現時点で死者4500人程度(他に、把握されていない死者が多少いるのかもしれません)とされていますが、有効な対策が講じられなければ、この死者数がたちまち10倍になり100倍になり、下手をすると1000倍になるのは、あっという間でしょう。日本で今話題のデング熱は、重篤な症状に陥った場合でも、マトモな治療をすれば死ぬような病気ではないのだそうですが、エボラ出血熱はそれに比べるとはるかに剣呑な病気です。死亡率は5割から9割という数字を見れば、いかに危険な病気か分かるでしょう。ただ、エボラウィルスは空気感染はしないそうです。それにも関わらず急激に感染が拡大したのは、アフリカでは、死者を弔う際に、遺体に手を触れる風習があって、それが原因になったと報じられています。そのような風習がない、あるいは公衆衛生に関する注意事項が周知されている地域では、そこまでの感染拡大はないのかもしれません。しかし、その一方で、感染したスペイン人の看護師は、エボラ出血熱感染者の看護に当たった際、防護服を着ていたにもかかわらず、感染してしまったそうです。防護服を脱ぐ際に、患者に触れた手を誤って額に当ててしまったということが報じられています。その程度で感染してしまうとしたら、空気感染しないとはいえ相当の感染力です。このエボラ出血熱が日本に入ってくる可能性はあるか。西アフリカと日本は、飛行機の直行便はまったくないし、人の交流もそれほど多くはないので、入ってくる可能性が高いとは言えません。しかし、人の交流が皆無であるはずもなく、直行便がなくても乗り継ぎ便なら日本と西アフリカを結ぶ便はあるはずなので、エボラ出血熱が日本に入ってくる可能性がない、とも言えません。ただ、前述の遺体に手を触れる風習というのは、日本ではあまりないので、日本で感染が急拡大する可能性は低そうだ、という気はします。ただ、死者の5%が医療関係者である、というのも怖い話です。いくら西アフリカだって、エボラ出血熱に対しては、医師・看護師もある程度の防護策を講じていないはずがないと思うのですが、それでもこれだけの死者が出てしまう。こんなのが日本に入ってきたら、医療関係者は戦々恐々だろうなと思います。
2014.10.21
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昨日批判した堀義人の記事の中で、「後発医療品の使用を義務化せよ。」というものがありました。私も、ジェネリック医薬品の拡大は、事実上やむを得ないだろうと思っています。ただ、堀が「後発医療品の使用を事実上義務化すべきだ。」 と言っていることに関しては、冗談じゃないよ、と思いますけど。私自身は、過去に何回かジェネリック医薬品を購入したことがあります。薬屋で買う売薬でのことですが、「この薬と同じ成分で同じ効用ですが、こっちの方が安いですよ」と言われて、何回か購入したことがあります。薬屋の売薬は保険適用ではないから、安さは魅力に思えたのです。しかし、どうもその種の医薬品の品質、効果には、いささかの疑問を感じざるを得ないというのが正直なところです。漠然とした不審が確信に変わったのは、うがい薬を購入したときです。「イソジン」といううがい薬があります。私は風邪をひくとすぐにのどをやられるので、「イソジン」は使うことが多々あるのですが、やはり「イソジンと同じ成分で同じ効用だけど安いうがい薬がある」と言われて、ジェネリック品を買ってしまったのです。これはもう、はっきりと、本家のイソジンに比べて、液の濃度が薄いのです。イソジンは原液のままではなく水で希釈して使います。用法によれば、だいたい15倍から20倍くらいに薄める。しかし最初から原液が薄いジェネリック品は、何倍に薄めるのかな?そちらの用法は覚えていませんけど、たとえ値段が半額でも、薄める濃度が5倍だったら、結局は高価に付きます。なんか、すごく詐欺的な手段で値段を安くしているなと思い、それ以降ジェネリック品はあまり選ばないようにしています。たまたま、知り合いの医師からも、効果が低かったり副作用があったりなど、様々なトラブルが、ジェネリック医薬品は先発薬より多い、という話を聞いています。実際問題、先発薬とジェネリック品は、薬の成分は同じと言っても、添加物は同じではなかったり、製造法がも同じではなかったり(特許が切れたからと言って、先発薬の製造会社が製法まで公開する義理はないでしょうから)するわけです。同じ材料を使えば、誰でも同じ料理が作れたり、同じ楽器が作れたりするわけではないことは、いうまでもありません。薬だけが、同じ材料を使えば同じ薬になる、なんてことがあるはずがない。それでも、うがい薬だの風邪薬程度のものなら、たいした話ではありません。ジェネリック品の効き目が疑問だからと言って、それで死ぬようなことはないでしょうから。しかし、もっと重篤な病気の治療薬だと、そうも言っていられません。幸いにして、私自身はこれまでのところ、命に関わるような大きな病気にかかった経験はありませんけど、そういう病気に罹ったとき、ジェネリック医薬品に命を託そうとは思いません。少なくとも、自分自身がよほど困窮するか、あるいは完全に回復不能で「余命あと何ヶ月」という事態にでもならない限りはね。
2014.10.15
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またまたデング熱関係の話題になりますが、デング熱ウィルスを持つ蚊が発見されて以来、代々木公園やその他の公園(代々木以外は、まだウィルスキャリアの蚊自体は未発見だが)では盛んに殺虫剤の散布が行われています。ことここに至っては、そういう対策もやむを得ないのかな、という気もしないわけではないのですが、ただ殺虫剤散布には当然副作用もあります。当然のことながら蚊だけを選択的に殺す殺虫剤などあるわけがなく、すべての虫、あるいは虫以外の小動物も殺す能力があるわけです。もちろん、量によっては人間にとっても毒薬です。当然、蚊だけでなく、蚊やその他の害虫を食べるクモやトンボやカエルなども死んでしまう。いや、羽が生えていて空を飛べる動物に対しては、人間が手で撒く農薬の効果は限定的かもしれませんが、蚊も羽が生えていて飛べるからねえ。あまり効かないで、クモやカエルなど飛べない益虫、益獣ばかりが死んでしまう、ということになりかねません。ボウフラや蚊の卵には殺虫剤の効果があるでしょうが、デング熱ウィルスは成虫から卵には引き継がれないとの話なので、ボウフラや卵にはウィルスはいないはずです。そう考えると、農薬の散布は副作用ばかりが大きくて、効果の程はかなり怪しいと考えざるを得ません。田舎でやっているような、ヘリコプターからの農薬の空中散布なら、蚊も皆殺しにできるかも知れませんが、効果が巨大な代わりに副作用も巨大です。生態系が皆殺しになるし、だいたいあんな人口密集地でそんな危険なことはできないでしょう。ヒトスジシマカは、東京では成虫で越冬することはできないそうです。放っておけば、10月末には死滅します。そして、卵の状態で越冬して、来年の夏にまた出てくるわけですが、その卵にはウィルスは伝染していないわけです。実際には、蚊の寿命は1ヶ月程度なので、新たなウィルスの供給がなければ、もっと早く、今月中くらいでウィルスキャリアの蚊は死滅するかも知れません。そう考えると、効果より副作用の大きい殺虫剤の散布に頼る必要性がどこまであるのか、いささか疑問です。---話は変わりますが、今日の毎日新聞夕刊に、毎日新聞のバンコク特派員がデング熱にかかった経験の記事が載っています。特集ワイド:正しく恐れるデング熱 毎日新聞元特派員も重症体験「背中が紫色に…」 尿減少など悪化の兆しに注意残念ながら、ネット上のニュースでは、本文は会員登録しないと読めません。本紙の内容をかいつまんで説明すると、バンコク特派員だった毎日新聞記者が、3ヶ月のあいだに2度デング熱にかかった。一度目は高熱は発したけれど、それほどおおごとにはならなかった。しかし、二度目は出血熱、つまり全身で内出血が起こり、かなり危険な状態になったそうです。背中一面が内出血で紫色になったというからすごい。デング熱には4つの型があり、一度感染した人が、次に別の型に感染した場合、このような重症に陥る場合があるそうです。デング熱の感染者のうち、実際に発症するのは10~50%、重症化するのは1~5%だそうです。そして、重症化した場合、何の治療もしなければ死亡率が10~20%というから、すごく怖いように思いますが、「治療しなければ」というところがミソであるようです。「医療水準の劣悪な国ならともかく、今の日本で死亡するケースはまず考えられません」とのことです。西アフリカで流行しているエボラ出血熱みたいな、真性の超危険な病気に比べると、デング熱は、現在の医療水準の下では、それほど危険な病気とは言えないようです。
2014.09.08
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ちょうど1週間前にデング熱についての記事を書いたところですが、そのとき、「本当に代々木公園だけなのか」「本当に国内発生が70年ぶりなのか」という点について、疑問符をつけましたが、どうやらその疑問符が現実のものになってきているようです。新宿中央公園でもデング熱感染か 代々木公園以外で初約70年ぶりのデング熱の国内感染が、発症前に都立代々木公園周辺に行っていない埼玉県在住の30代の男性で初めて確認されたと、厚生労働省と埼玉県が5日、発表した。厚労省などは、東京・新宿中央公園で感染したとみている。新宿区は、公園内での蚊の発生状況を調べて駆除作業をするか検討する。埼玉県によると、男性は渡航歴がなく、8月30日に発熱や頭痛などの症状が出て、9月1日に埼玉県内の医療機関を受診、5日に国立感染症研究所の検査で感染が確認された。現在は外来治療中で、容体は安定しているという。発症する2週間前の男性の行動歴を調べたところ、代々木公園周辺に行っておらず、新宿中央公園に8月18~26日に訪れ、「蚊に刺されたと思う」と話しているという。---そしてもう一つデング熱の国内感染疑い例の報告について今般、ドイツ政府機関(ロベルト・コッホ研究所)より、昨年8月下旬に日本を周遊して帰国したドイツ人患者で、デング熱の感染が確認された旨、情報提供がありました。日本の専門家による検討の結果、当該患者が感染した場所の特定にはいたりませんでしたが、日本国内で感染した可能性は否定できないとの結論が得られました。これを受けて、厚生労働省では、都道府県等に本事案について情報提供を行うとともに、デング熱に対する適切な対応等について、あらためて協力を依頼したところです。デング熱は、現在、日本国内での感染は報告されていませんが、海外の流行地で感染し、帰国後発症する例は、年間200例前後報告されています。デング熱は、蚊を介して、ヒト(患者)-蚊-ヒトという経路で感染が成立することから、日本国内においても、蚊の活動期に、デング熱の感染が一過性に発生する可能性は皆無ではありません。厚生労働省では、引き続き、デング熱を含む感染症に関する注意喚起を行うとともに、本疾患に関する情報収集や調査研究を実施し、適切な対応を行ってまいります。---この発表は今年1月に行われています。別の記事によると、ドイツ人女性は昨年8月19~31日、長野県上田市、山梨県笛吹市、広島県、京都府、東京都を旅行して帰国。9月3日から40度の発熱や吐き気などを訴え、検査で感染が確認された。女性は「笛吹市で蚊に複数の箇所を刺された」と話している。現在は回復している。とのこと。もし、そのドイツ人が直行便で日本に来て、直行便でドイツに帰ったとするなら、ドイツで感染したか日本で感染したかのいずれかしかあり得ません。そして、ヒトスジシマカは、日本には元々自然分布していますが、ヨーロッパにはもともと自然分布はしていませんでした。現在は南欧を中心に人間が持ち込んだものが増殖しているようですが、ドイツにはほとんど分布していないようです。ということは、可能性としては日本で感染した可能性の方がずっと高い、ということになるでしょう。確率の問題として、旅行で来日した外国人だけがデング熱に感染していた、などということはありえないことです。どう考えたって、その背後にはその何十倍か何百倍か、日本在住者のデング熱感染者がいたはずです。ただ、問題のドイツ人はたまたま海外旅行から帰国して発熱したため、検査によってデング熱と診断されたけど、日本在住者の場合は、直近に海外渡航歴がなければ、医者もせいぜいインフルエンザを疑うくらいで、デング熱なんて疑いも抱かないから、検査で発覚したことがない、ということではないでしょうか。ただし、報道によると、デング熱ウイルスは、ヒトスジシマカのたまごを介して子孫が受け継ぐことはないそうです。ということは、日本では冬になれば蚊もいなくなり、今回のデング熱騒動は終息することははっきりしているわけです。もちろん、来年以降、また海外からデング熱ウイルスあるいはウイルスキャリアの蚊が持ち込まれて、同じことが起こる可能性はありますけど。デング熱の発症者はどんどん増えて、70人を超えたそうですが、これまでのところ、命に関わる症状に陥った人はいないようです。多分、他にも風邪と誤認されて表に出ない患者もいるだろうし、そもそも感染しても発症する人は半分以下だそうで、ということは症状がないので何も気がついていない感染者が、発病者より多くいる計算になります。何はともあれ、代々木公園の大部分が閉鎖になってしまったそうです。えーーーーー。明日と明後日、代々木公園で「おいしいペルー」というイベントが予定されています。いや、予定されていました。予定会場は、閉鎖された地区からは外れているのですが、しかしあえなく延期になってしまったようです。うーーーーん、残念です。他のイベントも、軒並み延期、中止。9月23日には脱原発集会が予定されているんだけど、どうなるんだろうか。9月24日の夜には、「アンデス村祭りコンサート」というのが、やはり予定されているのですが、これも果たして・・・・・・。結構影響が大きいなあ。私も、笛の練習に行けないし。
2014.09.05
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デング熱、代々木公園の蚊が媒介か…都が駆除約70年ぶりにデング熱で国内感染者が出た問題で、厚生労働省などは28日、新たに東京都内の20歳代男性と埼玉県の20歳代女性の感染を確認したと発表した。2人とも入院して治療を受けている。男性は発熱などの症状があるが、女性は快方に向かっているという。発表によると、2人は、最初に感染が判明した10歳代女性と同じ都内の学校に通う同級生。8月初旬~中旬にかけて、代々木公園で、学園祭に向けてダンスの練習をし、そこで蚊に刺された。いずれも海外渡航歴はなく、厚労省は「公園でウイルスを持つ特定の蚊を媒介して感染した可能性が高い」としている。3人は約30人のグループで行動していたが、ほかに発熱など感染の兆候のある学生は、現段階ではいない。都は26~27日、公園内で蚊を採集して調査。ウイルスを持った蚊は確認されなかったが、28日午後5時から、3人が蚊に刺されたとみられる同公園の渋谷門近くの広場を立ち入り禁止にし、殺虫剤を散布して蚊の駆除を行った。都は今後、調査箇所を増やし、監視を強化する方針。デング熱は東南アジアなど熱帯・亜熱帯地域で流行しており、これらの地域から帰国した日本人が毎年約200人感染している。国内での感染は戦後、確認されていなかった。東京医大病院渡航者医療センターの浜田篤郎教授は「今後、散発的に感染者が出る可能性もあるが、ウイルスを持った蚊に刺されなければ感染しないので、あまり心配する必要はない。肌の露出が少ない服装をしたり、虫よけスプレーなどを使ったりする対策を取ってほしい」と呼びかける。---デング熱とはびっくりですが、西アフリカで猛威を振るっているエボラ出血熱のように、命に関わるリスクはそれほど高くはない病気なので、そういう意味ではそれほど神経質になる必要はないかもしれません。ただ、それにしても代々木公園にウィルス・キャリアの蚊がいたとはびっくりです。私も、代々木公園には笛の練習や、あとは脱原発集会の会場になったりすることがあるので時々足を運ぶことがあります。もちろん、今後も足を運ぶでしょう。それにしても、代々木公園だけにそのような蚊がいると考えるのは不自然です。デング熱は外国から入ってくるわけですが、外国から直接代々木公園へ、という移動ルートが想定し難いからです。代々木公園には港も空港もないですからね。つまり、どこかの空港、あるいは港に到着した荷物にまぎれていたウィルスキャリアの蚊が発生源だとすれば、他の場所にもウィルスキャリアの蚊がいると考えるほうが自然です。とすると、デング熱の国内発生は、本当に70年ぶりだったのか、という点にやや疑問符がつきます。つまり、「日本にはない病気」という前提で考えるから、海外渡航経験がなければ医師もデング熱なんて疑わないのではないか、ということです。海外渡航経験がなければ、ただの風邪と思われておしまい、ではないかと。ということは、ちゃんと調べると、他にもデング熱の発症者は出てきたりして。そして、今回の最初の患者は、よく海外渡航歴がないのに、デング熱と診断されたなあと驚きます。
2014.08.29
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原発取材後に原因不明の鼻血描写 人気漫画「美味しんぼ」に批判相次ぐ小学館の漫画雑誌「週刊ビッグコミックスピリッツ」の5月12、19日合併号に掲載された人気漫画「美味しんぼ」で、東京電力福島第1原発を訪れた主人公らが原因不明の鼻血を出す場面が描かれ、「風評被害を助長する内容ではないか」などとする批判が相次いでいることが分かった。編集部は「鼻血や疲労感が放射線の影響によるものと断定する意図はありません」などとするコメントを同誌のサイトで発表した。掲載されたストーリーは、主人公の新聞記者らが同原発の取材後に鼻血を出したり疲労感に見舞われたりする描写の後、井戸川克隆・前福島県双葉町長が「福島では同じ症状の人が大勢いますよ」と明かすという設定。一方で、主人公を診察した医師は「福島の放射線とこの鼻血とは関連づける医学的知見がありません」と話す場面もある。同編集部は「鼻血や疲労感は綿密な取材に基づき、作者の表現を尊重して掲載した。取材先や作者の実体験について、医師に見解を問う展開となっている」とした上で、これまでの連載では、検査で安全と証明されている食材を無理解で買わない風評被害を批判してきたと説明している。(以下略)---原発事故で「美味しんぼ」表現に賛否 環境相と前首長が対立小学館の「週刊ビッグコミックスピリッツ」の漫画「美味しんぼ」に描かれた東京電力福島第1原発事故に関連する場面をめぐって9日、環境相と前福島県双葉町長の見解が分かれた。問題になっているのは、主人公の新聞記者が原発を取材後、原因不明の鼻血を出す場面。石原伸晃環境相は、閣議後の記者会見で「住民の被ばくと鼻血の因果関係はないという評価が既に出ている」と強調。「描写が何を意図し、何を訴えようとしているのか、私には全く理解できない」と批判し、風評被害への影響に懸念を示した。一方、原発事故当時に双葉町長だった井戸川克隆氏はこの日、都内で記者団に自らも同様の症状があると説明した上で「風評被害ではなく実害だ。被害を受けている人は、正々堂々と賠償請求するべきだ」と訴えた。漫画には、井戸川氏が「福島では同じ症状の人が大勢いますよ。言わないだけです」と発言する場面がある。---私自身は、震災以降2度ほど福島県の川俣町に行きまして、現地の食べ物などもいろいろ食べましたけど、健康被害というようなものは今のところないし、もちろん鼻血もでていません。2回とも日帰りの滞在でしたから、健康被害がないのも当たり前の話ではあります。現実問題として、取材のための一時的な滞在だけで健康被害がでるということは、考えにくいものがあります。そういう意味では、問題の作品は「盛り過ぎ」なきらいがある、ということは言えそうです。が、同時に主人公を診察した医師は「福島の放射線とこの鼻血とは関連づける医学的知見がありません」と話すという記述もあります。また、作品中に登場する井戸川克隆氏は、実際に「自らも同様の症状がある」「風評被害ではなく実害だ。」と言っている事実もあります。これらのこと、それに、もともと漫画という媒体での表現であることも考えあわせると、いささかオーバーな表現だとしても批判するほどのものでもない、というのが私の結論です。逆に、放射能による健康被害には、未解明の部分が多々あるにも関わらず「住民の被ばくと鼻血の因果関係はない」などと断定してしまった石原環境相の発言の方が問題じゃないのかと思います。そんなことが、いつ証明されたのですか?そもそも、問題の作品は因果関係があるとも断定していないのに、それを否定する側は平気で「因果関係はない」と断定してしまっている。批判すべきはむしろそちらだろうと思います。
2014.05.09
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「尊厳死」 法制化の動き 安楽死とどう違う? 賛否は?末期ガンなどに侵され、回復する可能性がない患者の意思に基づいて延命措置を施さない「尊厳死」を法制化する動きが出ています。超党派の国会議員でつくる「尊厳死法制化を考える議員連盟」は、患者が延命措置を望まない場合、医師が人工呼吸器を取り外すなど延命措置を中止しても法的責任を問わない「尊厳死法案」を、今の通常国会に議員立法で提出する方針です。尊厳死とは具体的にどのようなもので、どうして法制化する必要があるのでしょうか。尊厳死と似ている言葉に、「安楽死」があります。安楽死とは、肉体的・精神的苦痛から患者を解放するため、薬物投与などで人為的に死を早めることを言います。それに対し、尊厳死は、病などにより「不治かつ末期」になったときに、自分の意思で、死にゆく過程を引き延ばすだけに過ぎない延命措置を中止し、人間としての尊厳を保ちながら死を迎えることを指します。本人の意思に基づくのが「尊厳死」わかりやすく言えば、第三者の意思が介在するのが「安楽死」、本人の意思に基づくのが「尊厳死」です。現在、日本には尊厳死について明確に規定した法律が存在しません。患者本人や家族の意向を受けて延命治療を中止した医師は「殺人罪」に問われる可能性があるため、医療現場では患者らが尊厳死を望んでもやむなく延命措置を続ける傾向が強いとされています。こうした事態を解消するため、尊厳死を法制化する動きが出ているわけです。東京新聞(1/12付)によると、「尊厳死法制化を考える議員連盟」が提出を予定している法案では、末期ガンなどに侵され、適切に治療しても患者が回復する見込みがなく、死期が間近と判定された状態を「終末期」と定義。15歳以上の患者が延命措置を望まないと書面で意思表示し、2人以上の医師が終末期と判定すれば尊厳死を認め、医師は刑事、民事、行政上の法的責任を問われないと定めています。また、意思表示の撤回はいつでも可能とし、本人の意思が確認できない場合は「法律の適用外」としています。賛成・反対それぞれの理由は尊厳死は、死生観に直接関わる問題だけに、法制化の動きには賛否両論があります。中日新聞(2012/11/27付)は、「生きていれば年金が入る、と自分たちに都合のいい延命を患者に強いている家族もいる。尊厳死法案は、自己決定による終末期医療を支援するもの」という、尊厳死法案の実現を求めている日本尊厳死協会東海支部の青木仁子支部長の声を伝えています。一方で、反対論も少なくありません。北海道新聞(2012/10/24付)は、「法案は死ぬ権利を認めるもの。医療提供を受けなければ生きられない社会的弱者に、死の自己決定を迫る危険性がある」という、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者らでつくる「日本ALS協会」の反対意見を伝えています。ほかにも、「人の死に国家が介入すべきではない」「延命措置の中止は命の軽視につながる」といった批判も強く、法案の成立は見通せない状況です。---以前に、安楽死について記事を書いたことがあります。薬物投与などで積極的に「殺す」行為である安楽死は、現実的に日本で認められる可能性は少ないのだと思います。しかし、積極的な延命治療を行わない、という尊厳死の場合は、「本人の自発的な意志に基づくのなら」という前提の上ですが、一概に否定されるべきものではないように思います。以前の記事にも書きましたが。父の最期を見て、私は思いました。激しい痛みに耐えて、その病気から治る(完治とはいわないまでも、ある程度までは)ならば良いのですが、末期がんなどというものは治りません。確実に死ぬ。その死をちょっと先に延ばすためだけに、痛みに耐え続けるのは、現時点での感覚としては、私は嫌です。もちろん、本人の意思に反してとか、治る見込みがあるのに、ということはあってはなりません。けれども、治る見込みがない、あとは痛みに苦しむだけ、という状態で、「死ぬ権利は認めない」というのは、「もっと苦しめ」というのと同じことです。もっとも、現実には、あからさまな行為まではしないにしても、本人(意思表示ができれば)と家族の意向があれば、あまり波風が立たない程度のレベルでは、あまり必死な延命治療は行わない、という程度のことは、結構どこの病院もやっているのではないでしょうか。例えば、老衰や末期がんの人が心臓が止まったからといって、AEDを使うことはないし、呼吸が止まったからといって人工呼吸を施すこともないでしょう。(少なくとも私の父の場合はそうでした)ただ、おそらく本人と家族の意思が相反する場合、特に本人は延命措置を望まない、家族は延命措置を望んでいるという例の場合に、あとで問題が生じやすいのではないか、という気がします。そのあたりをきちんと整理して、本人の意思が優先というルールを確立することは必要でしょう。まあ、容易に結論の出ない問題であることは確かです。
2014.01.27
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ベルギー最高齢アスリートが安楽死、シャンパンで乾杯して旅立つベルギーで「最高齢アスリート」として親しまれてきたエミール・パウウェルスさん(95)が安楽死を選択し、家族や友人約100人とシャンパンで乾杯をした後に旅立った。7日のベルギーのメディアは、前日の6日に自宅で家族や友人、スポーツクラブの仲間たちに囲まれ、微笑みながら乾杯しているパウウェルスさんの姿を伝えた。フラマン語の現地日刊紙ヘット・ラーツテ・ニウスによると、パウウェルスさんは6日、「後悔はしていないし、死への恐怖感はまったくない。わたしの人生の中で最高のパーティーだ。友人全員に囲まれて、シャンパンと共に消えていくのが嫌だなんて人がいるかい? 」と語った。「注射薬を持って医師が来たとき、わたしは満たされた人生を送ったと思いながら、この世を去る」パウウェルスさんは末期の胃がんのため、この数か月間は寝たきりになっていた。昨年3月に行われた高齢者欧州選手権の屋内60メートル走で優勝したのが、アスリートとして残した最後の大きな成績だった。ベルギーでは2002年に安楽死が合法化され、12年には1432件が報告された。現在は安楽死の対象を、12歳を超える子供にも拡大することが検討されている。---私の父は、膀胱ガンが最後は全身に転移して、亡くなる前の1ヶ月あまりは、そりゃもう本当に大変でした。ガンもいろいろで、それほど苦しまずに亡くなる方もいるようで、医師には「死ぬならガンで死ぬのが良い」と言う方もいるそうですが、私の父の場合は、本当に苦しんで苦しんで、苦しみぬいて死んだ。いろいろな鎮痛剤や、おそらく麻薬の類の痛み止めも使ったはずです。でも、苦しみから解放されることはなかった。一時は利いても、だんだん利かなくなる。苦しみぬいて生還できるならともかく、末期がんの場合、苦しみぬいた挙句、その先には死しか待っていません。同じ死ぬなら、こんなに長く苦しみたくない、早く殺してくれ、と父が思ったかどうかは分かりませんが、口に出してそんなことをいうことはありませんでした。もっとも、最後は、譫妄(ガンによる、ある種の認知症的な状態)が出て、正常な判断力はなくなっていましたが。若い頃はとてつもなく頭の良かった父だけに、その最後の姿はなんとも・・・・・・。四十数年の結婚生活で、楽しいことも大変なことも随分いっぱいあったのに、母は、夫のことで何気なく思い出してしまうのは、いつも最後の苦しんでいた姿ばかり、と言っていたことがあります。父の闘病生活は1年ちょっとでしたが、本格的にどうにもならなくなったのは、再発が分かって以降の最後の1ヶ月でした。1ヶ月だったから、まだ何とかなったけれど、あの苦しみが更に何ヶ月も続いたとしたら、本人もさることながら、周りの負担も限界だったかもしれません。母は病院に何回も泊り込んだりしていましたが、そのとき70歳でしたから、よく体力が保ったものと思います。幸い、あれから約5年、母は今も元気ですけどね。安楽死は、日本ではまったく認められていません。医の倫理とか、「厄介な患者」に死を強要しかねない可能性とか、いろいろと問題があるのは分かります。ただ、私も父の死の直前の姿を見て、これほど苦しみぬいている父が、その状態のままで生きながらえてほしいとは、さすがに思いませんでした。それは生者の都合であって、死に行くものがどう考えているかは分からないけれど、いかに考えても、あの状態で生きていることが本人にとって苦痛以外のものであるとは思えませんでした。でも、日本ではまだまだ安楽死というのは社会的な合意が得られないのでしょうかね。引用記事のエミール・パウウェルスさんは、最近数ヶ月は寝たきりだったそうですが、昨年3月には60メートルそうで優勝だそうなので、その時点ではピンピンしていたわけです。94歳くらいまでピンピンしていて、最後の数ヶ月だけ寝たきり、そして自らの意思で人生に終止符を打つ、充実した人生だったんでしょうね。家族や友人約100人とシャンパンで乾杯というのは、事実上の生前葬でしょう。
2014.01.08
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個人的に、私はこれまでの人生で救急車に乗ったことが、何回かあります。119番で救急要請したことは、「何回か」では済まない回数ですね。大半は仕事上ですが、私生活でも救急車を呼んだことが2回あります。1回は私自身(呼んだのは私ではなく母ですが)、もう1回は父です。私自身に関していうと、どうも4~5年に1度、原因不明の激しい胃痛に苦しむことがあるのです。夜遅く苦しくなって、一晩中うなって、朝になると痛みが引く、というパターンです。そのうち1回だけ、救急搬送されてしまったことがあります(深夜に一度自力でタクシーで病院に行き、注射を打たれて帰宅したのですが、その1時間後に再び私が苦しみだしたため、母がうろたえて救急車を呼んじゃったのです。その当時は独身でしたから)。病名も正確にはわからない、原因不明の痛みですが、命にかかわるようなものでなかったことだけは確かです。その証拠に、翌朝痛みが引いたら、サッサと退院になりましたから。さすがにそれ以降(その後も2回おなじようなことがあった)は、2度と救急車なんか呼んでいませんけど。命に関わるような病気ではない、という意味では、結果的に安易な救急要請と言えるかもしれませんが、現実にそのときは耐えられない痛みだったのです。で、もう1回は父ですが、これは2009年の1月1日朝のことです。前年末にガンの再発が分かって、正月休み明けから再入院する予定になっていたのですが、12月25日すぎから、容態が急激に悪化していたらしいのです。(私は知らなかったので、年末に山登りに行ったりしていて、帰宅してから母から聞いてそのことを知った)病院からは、「じゃあ、今すぐ入院していいですよ」と言われていたのですが、本人はきっとお正月だけは自宅で迎えたかったのでしょう。最後の正月になる、という自覚はあったでしょうから。「俺は予定の日まで入院なんかしない」と言い張っていたのですが、年が明けたことで「もういい」と思ったのでしょうか。1月1日の未明に「もう入院する」と言い出したようです。で、1月1日の朝7時過ぎに、母に電話でたたき起こされて、「お父さんが入院することにしたから来て」と(笑)。だから、この年我が家にお正月というものはなかった。・・・・・さすがに、「朝飯食べ終わるまで待って」と言ってしまいました、我ながら親不孝者ですね。で、一応はおせち料理をかきこんでから駆けつけてみると、着替えその他の入院の準備はできているのですが、本人がもう起き上がれなくなっていて、タクシーでは連れて行けない状態。母が恐る恐る119番で「こういう状態なのですが、救急車を呼んでもいいのでしょうか」と(119番通報した時点で、もう呼んでいるわけですが)。もちろん、救急車は来てくれました。この例は、もちろん命に関わる状況(1ヶ月後に父は亡くなった)ではあるけれど、一刻をあらそうと言う意味での緊急性があるかと言われれば、どうでしょう。外形だけを見れば、入院の準備を整えて救急車を待ち構えている図というのは、変に見えなくもないし、当初はタクシーを呼ぼうとしていたわけだから、「救急車をタクシー代わりにした」と言えなくもない。鵜の目鷹の目で悪し様に言おうと思えば言える余地はあっただろうなと思います。何が緊急で何が安易な救急要請か、その境界線は、いざその場に立たされてみると、そんなに簡単に判別できるものではないのです。主観と他者からの見方では、緊急性が違って見えるということだってあるでしょう。特に痛みというのは最終的には本人しか分からないですから。しかし、父が亡くなった年は、元日が救急車で明けたと思ったら、その後4月に異動で今の部署に移って、仕事で何回も救急車に乗る羽目に陥りました。今は担当が少し変わったので、多分仕事で乗ることはもうないと思うんだけど。個人的に乗ることも、ない方がいいですよね。
2013.06.29
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H7N9型鳥インフル、北京で初の感染確認中国の北京市政府は13日午前、同市内で入院中の7歳の女児が鳥インフルエンザ(H7N9型)に感染したと発表した。これまで感染者は上海市周辺の中国東部に限られていたが、首都北京で初のケースとなった。中国の感染者は、死者11人を含む計44人となった。同日記者会見した北京市政府によると、女児は同市東北部・順義区在住で、両親は生きたニワトリなど鳥類を販売する仕事に就いていた。女児は11日に発熱などを訴え、12日午後に感染の疑いがあると診断されていた。容体は安定しているという。北京市当局はこの女児と接触のあった2人について調べているが、インフルエンザなどの症状はみられないという。ーーー今日は早朝に淡路島で震度6弱の地震があったそうで、負傷者は出ていますが、幸いなことに津波はなく、目下のところ死者は出ていないようです。震度6弱といえば、かなり大きな地震なのですが、東日本大震災以来地震の大きさの感覚がインフレ化しており、震度6弱くらいでは驚かなくなってしまっています。さて、少し前に、上海で発生したH7N9型の新型インフルエンザについての記事を書きましたが、このインフルエンザが上海から北京に飛び火したようです。先の記事には、目下のところ鳥から人への感染のみで、人から人への感染はない、と書きましたが、上海から北京という大都市から大都市へ、途中の地域をすっ飛ばして感染が拡大したということは、人から人への感染が始まった疑いが濃厚です。※追記朝日新聞夕刊によると、感染した女児の両親は、生きた鳥の販売を仕事にしていた、とのことです。とすると、人から人への感染ではなく、鳥から人への感染の可能性が高いと思われます。現時点では死亡率のかなり高い状況なので、注意を要するところです。上海と北京の距離は、1000kmあまりです。上海と西日本(広島あたり)も、それとほぼ同じ距離。もちろん、日中間には鉄道や道路はないけれど、航空路はある。調べたところ、本日4月13日の上海発(または上海経由)の便は、成田行13便、羽田行4便、関空行8便、中部7便があります。他の空港からもフライトがあるでしょう。現実問題として、ウィルスの流入を阻止することはまったく不可能と言うしかありません。H7N7インフルエンザは遅かれ早かれ日本に入ってくる(もう入っているかもしれない)という前提で対策を考えるしかなさそうです。
2013.04.13
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焦点:鳥インフル変異で「パンデミック」の恐れ、感染源なお不明中国で初めてヒトへの感染が確認されたH7N9型の鳥インフルエンザは、科学者らが遺伝子配列のデータ分析を行った結果、ヒトへのパンデミック(世界的大流行)を引き起こしやすいタイプに変異していることが分かった。しかし、中国で死者3人を出した同ウイルスがヒトからヒトへ感染している証拠は今のところ見つかっていない。中国の保健当局がH7N9型の感染確認を発表してからまだ数日しかたっていないが、世界各地の研究者は感染者から検出されたウイルスの遺伝子情報の提供を受けて、大流行の可能性について研究を進めている。オランダのエラスムス大医学センター教授で、インフルエンザ研究の世界的権威であるアブ・オステルハウス氏は、遺伝子の配列から変異していることが分かり、当局による警戒と動物やヒトへの監視を強化すべきだと指摘する。オステルハウス氏はロイターの電話取材に、「ウイルスは既にある程度までは哺乳類やヒトに適応しており、そうした観点から憂慮すべきだ」とし、「注意深く監視する必要がある」と述べた。中国の国家衛生計画生育委員会は1日、H7N9型鳥インフルエンザに3人が感染し、このうち上海の87歳と27歳の男性が3月初めに死亡したと発表。3日までに死者は3人、感染者は9人に増加した。世界保健機関(WHO)も同日、ヒト感染が初めて確認されたことから、同ウイルスの問題を「深刻に捉えている」との見解を示した。鳥インフルエンザをめぐっては、ここ数年でH5N1型などの流行が起きているが、これまでヒトからヒトへの感染は確認されていない。一方、H7N9型もこれまでのところ、ヒト同士の感染はないとみられている。研究はまだ初期段階だが、これまでの分析でH7N9型は、鳥が感染しても病気になりにくい低病原性(LPAI)だとされる。ただ、インペリアル・カレッジ・ロンドンのウェンディ・バークレー教授は、ヒトに対しても同様だとは必ずしも言えないと警鐘を鳴らす。(以下略)---現在私は風邪を引いていまして(今週末までに治さなくては)、そういうときにインフルエンザの話題は、あまり気分のいいものではないのですが・・・・・・。新型インフルエンザと言えば、数年前からH5N1型が危険だと言われ続け、実際東南アジアではかなりの死者が出てはいるものの、鳥から人への感染はあっても、人から人への感染は今のところ見られないため、とりあえずのところはパンデミックには至っていません。もちろん、今後も人から人への感染がないと断定はできないですけれど。そうこうするうちに、意外にもメキシコを基点として※、H1N1型から新型インフルエンザが登場し、世界的大流行になったのは4年ほど前の話です。※新型インフルエンザ発祥の地として、誰もが予測していたのは中国南部と東南アジアです。先のH5N1型の鳥インフルエンザの人への感染もこの地域で起こっているし、生きた家禽が人々の生活に深く入り込んでいるのがこの地域だからです。しかし、考えてみればメキシコや南米の先住民色の濃い地域も、家禽や家畜が人々の生活に深く入り込んでいます。さいわいな事に、メキシコ発の新型インフルエンザは、大流行はしたものの、強毒性ではなく、死亡率はそれほど高くはありませんでした。実は、その翌シーズンの2011年1月に、うちの子と私が相次いでインフルエンザにかかりました。記憶している限り、私はインフルエンザにかかったのは初めてだと思います。この年になると、よほどひどい風邪で「発熱している」と自覚していても、体温はせいぜい37度台程度なのですが、このときは何と39度台の熱が出た。39度なんて、中学生以来ですよ。それでも、発症した初日は、インフルエンザとは思わなかったので、仕事して残業までしていたんですけどね。まあきつかった。季節性インフルエンザは「たいしたことがない」といわれることがありますが、普通の風邪と比べたら、やっぱりとんでもなくキツイ病気だ、ということは、身をもって体験しました。おまけで、その1ヵ月後には子どもがB型インフルエンザにまでかかってしまいました。(そのときは、子どもだけしかかからなかった)そして、今度はH7N9型だそうです。この型は、ごく最近まで人に感染する例はなかったため、人には感染しない型と考えられてきました。ところが、何らかの変異によって、人に感染するようになってしまったわけです。とりあえず、現在のところは鳥から人への感染のみで、人から人への感染はないので、まだ慌てる必要はありませんけど、ただ、人に感染しない→人に感染するという変異があった以上は、次は、鳥から人にしか感染しない→人から人に感染する、という変異が起こっても不思議はないわけです。それに、弱毒性から強毒性へ、という変化も起こっています。考えてみれば、今では毎年流行する当たり前の季節性インフルエンザに過ぎないH1N1型だって、100年近く前にはスペイン風邪と呼ばれる、全世界で5千万人以上が亡くなったと推定されるパンデミックを引き起こしています。そのスペイン風邪の原因となったインフルエンザウィルスは、現在では鳥インフルエンザ起源であった可能性が高いと推定されています。もともと、人が感染するインフルエンザウィルスはすべて、鳥が起源ではないかとも言われます。ウィルスは、きわめて原始的な生物、あるいは生物未満の存在(定義上は生物ではないことになっている)です。そのため、短期間のうちに簡単に変異してしまうので、今後どんな変異をするかを予測することは困難です。ともかく、人から人への感染力を獲得しないことを祈るのみです。
2013.04.04
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延命治療「死にません、なかなか」=麻生副総理が発言、すぐに撤回麻生太郎副総理兼財務相は21日、首相官邸で開かれた社会保障制度改革国民会議で、終末期医療に関連し「チューブの人間だって、私は遺書を書いて『そういう必要はない。さっさと死ぬから』と手渡しているが、そういうことができないと死にませんもんね、なかなか」と述べた。延命治療の否定とも受け取られかねない発言で、麻生氏はこの後コメントを発表し、「適当でない面もあった」と撤回した。麻生氏は、同会議のメンバーである有識者が年金や医療に関する考えを述べた後、発言したもので「いいかげんに死にたいと思っても生きられる。しかも、政府のお金で(終末期医療を)やってもらうのは、ますます寝覚めが悪い。さっさと死ねるようにしないと」とも語った。(以下略)---この人は、前に首相だったときもそうだけど、どうしてこう、思ったことをオブラートに包むこともせず、何の配慮もなくぺらぺらと言ってしまうのかなって思います。正直なところ、本音の部分では、そういう問題意識を持っている人は少なからずいると思います。その限りにおいて、麻生の問題提起そのものは、結構奥の深い問題を含んでいて、そう単純に否定できる話でもないとは思います。が、しかし、大臣という立場、それも財務大臣という立場の人間が、安易にこういう言い方をすれば、財政のために医療を犠牲にするのかという受け取られ方をして、反発を招くのは当然の話です。せっかく奥の深い問題提起になりえたものを、こういう安易な物言いで底の浅い話にしてしまった罪は重いと言うしかありません。言い方と言う場所を考えて、反発を受けないように問題提起をする、という能力は、きっとないんでしょうね。私自身だって、植物状態で人工呼吸器で延命治療されることを望むかと言われれば、そりゃ嫌です。そんなことになったら死なせてくれって思います。多分、少なからぬ人がそう思っているはずです。家族が寝たきり状態になったとき、それが数日程度ならともかく、何週間何ヶ月という状況になって、しかも高齢者の場合は、心の底から一瞬の迷いもなく「この状態のまま少しでも長生きしてほしい」と願うことができる人が、どれだけいるでしょうか。4年前に父が亡くなったとき、最後のギリギリまで、一応は寝たきりではなく、かろうじて自力でトイレには行けましたが、末期がんの耐え難い痛みに苦しみぬきました。かなり強い痛み止めも使ったけど、ある程度までしか利かないんですね。家族だって大変でした。もしあの状況が何ヶ月も続いたら、本人も地獄の苦しみだったろうけど、家族がひっくり返ってしまいます。実際は再発の診断から1ヶ月ほどで亡くなりましたが。だけど、その状況であっても、赤の他人から「1ヶ月で亡くなって、良かったですね」と言われたとすれば、間違いなくムッとします。たとえそれが事実であっても、そういう言われ方はしたくない、それが人間の感情というものでしょう。まして、肉親の命というのは、そう単純に割り切れる話ではない。
2013.01.22
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このところ、かなり問題になっています。私もかなり注目してきたのですが、このブログではこの問題をこれまで取り上げてきませんでした。正直なところ、自分の中でも相反するふたつの考えがあって、まとまらないところがありました。経済面だけを見れば、多分TPP参加にはメリットがあるんだと思います。詳細は検討していないので分かりませんけれど、何もメリットがなかったら、経済界が参加を熱望したりはしないでしょうから。しかし、当然のことながらメリットがあれば必ずデメリットもあるものです。メリットとデメリットを天秤にかけて、どちらの方が大きいかという問題に尽きるでしょう。問題は、TPPがすべての品目から関税をなくすことを原則とし、例外が一切認められていない点です。つまり、デメリットを局限することができないのです。しかも、TPPの対象は、単に商品の輸出入だけではなく、広範囲に及びます。・工業製品、農産物、繊維・衣料品の関税撤廃・金融、電子取引、電気通信などのサービス・公共事業や物品などの政府調達方法・技術の特許、商標などの知的財産権・投資のルール・衛生・検疫・労働規制や環境規制の調和・貿易の技術的障害の解決・貿易紛争の解決TPPを巡る問題というと、農業分野が話題の中心になることが多いようです。それも、重要な問題ですが、それがすべてではないようです。上記はwikipediaからの引用ですが、「衛生・検疫」の分野には事実上医療が含まれる可能性が高いのです。少なくとも米国は、公的医療保険の自由化をTPP交渉で要求すると報じられています。よく知られているように、米国には公的保険制度がありません。そして、医療費は滅茶苦茶高い。従って、医療費の対GDP比も高い。これについては、以前に記事を書いたことがありますが、米国の医療費の対GDP比は17.4%(2009年)にも達しています。医療費の増大が問題になっている日本はどうかというと、8.5%。高齢化との見合いで考えると、日本はむしろかなり安い医療費で高い医療水準を維持していると言えます。それでも、大きな病気にかかると医療費はかなり高額ですけど。TPPに加盟して、医療分野も自由化ということになれば、公的医療保険制度はほとんど瓦解するでしょう。その代わりは、米国流の民間保険会社による医療保険ということになる。経済的には、確かにそうすることのメリットもあるでしょう。医療という新たなビジネスチャンスができるわけですから。だけど、健康と安心という面ではどうでしょう。米国では、無保険者(医療保険に加入していない者)が5000万人もいると言われます。経済的には儲かるけど、国民の健康にも安心にも寄与しない、そんなものが医療のあるべき姿でしょうか。とてもそうは思えません。労働分野にしても医療分野にしても、人間の生活の根源に関わる部分であり、競争原理主義にもっとも晒してはならないものを競争原理に晒せというのがTPPという劇薬の本質であると考えざるを得ません。
2011.11.03
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小宮山厚労相「将来はたばこ700円台」 増税求める小宮山洋子厚生労働相は5日の記者会見で、来年度の税制改正で、たばこ税の増税を求める考えを明らかにした。それ以降も段階的に増税したい考えで、将来の姿として「(1箱の価格が)700円台ぐらいまでは(値上がりしても)税収も減らない。そこまでは少なくともたどり着きたい」と強調した。たばこ税は昨年10月に、1本当たり3.5円引き上げられたばかり。主要な銘柄で1箱(20本)の価格が400円余りする。小宮山氏は、たばこ離れによる税収減を心配する財務省から「1年様子を見させて欲しい」と言われているとしたうえで、「(増税は)税収を上げるためでなく、健康を守るため。たばこ事業法で財源として財務省が持っているのが本当はおかしい。厚労省が持てるようになればいい」と持論を述べた。また、会社員の夫に扶養されている専業主婦らが国民年金の保険料を納めなくても年金をもらえる「第3号被保険者」制度について、報道各社のインタビューで「生き方に公平な制度になるよう努めたい」と強調。将来は廃止が望ましいとの考えを示した。 ------自慢ではありませんが、私は生まれてこの方、ただの1本たりともタバコを吸ったことがありません。管楽器を演奏し続ける限りは、今後も決して吸わないでしょう。ただし、ある時期までは他人のタバコの煙はずいぶん吸って(吸わされて)きました。12~3年前でしょうか、職場で指定の喫煙場所以外での喫煙が全面禁止になったので、それ以降は不快な思いをすることはまれになりました。今は飲み会の席でタバコを吸う人と相席になったときくらいでしょうか。どういうわけか、お酒を飲んでいる間はタバコの臭いはあまり気にならないんです。ただ、翌日服に染み付いたタバコの臭いは非常に嫌ですが。JRには、以前は禁煙車と喫煙車がありました。喫煙車が廃止され、車内が全面禁煙化されたのは、5年くらい前でしょうか。しかし、当時は「元喫煙車」だった車両は、車内にタバコの臭いが染みついていて、「これのどこが『全面禁煙』だよ!!」と思った記憶があります。これだったら、喫煙車を存続させておいて、こういうヤニ漬け車両は喫煙車専用にしておいてもらった方が、まだマシだと、当時は思いました。ただ、おそらくその後、元喫煙車は徹底的な洗浄が行われたのだと思います。近年はタバコの臭いで不快な思いをする車両に出会うことはなくなりました。そんなわけで、社会的に分煙が徹底されるようになったので、タバコで不快な思いをする機会は、最近ではほぼなくなりました。だから、喫煙者が他人に迷惑をかけない範囲で喫煙することについてまで目くじらを立てようとは思いません。ただ、タバコに健康面の問題があることは明らかで、それによって医療費をはじめとする社会的コストが増大していることも、おそらく事実だと思います。だから、タバコ700円という提案は、少なくとも反対ではありません。私は、お酒に関してはそこそこに飲む人間ですが(自宅で日常的に飲むことはありませんが、飲み会などではごく普通に飲みます)、酒税についても、値上げがあっても仕方がないと思っています。酒はタバコとは違い、適量までなら体によいとされますが、適量を超えれば健康に悪影響があることは明らかです。ところで、当ブログで過去散々批判してきた武田邦彦が、タバコを巡る問題でまた何か言っているようです。「タバコと肺がんはほぼ無関係」 武田邦彦教授発言は暴論なのか武田教授は、自らのブログで2011年9月6日、これまでの「先入観」を否定し、「タバコと肺がんはほぼ無関係」とまで言い切ったのだ。ブログでは、国の統計データから、この40年間で、男性の喫煙が8割から4割へと半減し、女性は2割弱で変化がないことを指摘。それにもかかわらず、男性は7倍に、女性は数倍に肺がんが増え、男女合わせれば5倍以上に増えていることから、タバコが肺がんの主要な原因とは言えないとした。これに対し、統計から、年齢が上がるほど発がん率が高くなることが分かっているとして、肺がんの増加は、高齢化が主な原因との見方を示した。武田教授は、100年前に比べ、平均寿命が40歳ぐらいから80歳前後にまで伸びていることが大きいとしている。そのうえで、武田教授は、タバコには、楽しみや精神的安定などのメリットもあると指摘。酒なども健康に害があるのに、タバコだけ社会的に制限して、値段を上げたり、喫煙者を追放したりするのは誤りだと断じている。(以下略)------武田邦彦は、放射能の問題に関しては案外まともなことも言っていますが、それ以外のことについては相変わらずのトンデモぶりです。念のため、原文はこちらにあります。実は、個々のデータ、個々の分析では間違ったことを言っているわけではありません。しかし、そこから導き出された最終結論が頓珍漢なのです。原文には、まずタバコが健康に悪いということは臨床的には明らかで、肺がん、気管支障害、血液障害などを誘発することがよく知られています。とあります。よく分かっているじゃないですか、まったくそのとおりなのです。そこからどうして、「タバコと肺がんはほぼ無関係」などという無茶苦茶な結論が導き出されるのか。武田の言い分を要約すると、こうです。喫煙率は下がっているのに肺ガンは増えている。日本人の平均寿命は伸びている。だから肺ガンの増加は高齢化が主因であるこれも事実です。ただし、人間が年を取ることは絶対に避けようがないことも事実です。年を取るとガンになりやすいから、年を取るのをやめようと言ったって、どうにもなりません。だから、少なくとも「健康への悪影響を減らすにはどうしたらいいか」という文脈で考えるとき、年を取るとガンになりやすいなどという話は持ち出すべきではないのです。一方、喫煙するしないというのは人間の意志と決定の問題です。確かに、肺ガン発生率への影響度は、喫煙より高齢化の方が大きいのかもしれません。けれども、高齢化という変数は人間の力でどうにも動かしようがありません。そうである以上、喫煙という変数を動かすしかないのです。だから、癌の死亡率を云々する場合は、単純な死亡率を比較するのではなく、年齢調整をした上で比較しなければ、意味ある結論は出てこないのです。ところが、武田邦彦は、年齢調整をしない単純な死亡率の比較だけで「肺ガンが増えている」と言ってしまっているのです。年齢調整後の癌死亡率の推移は、がん研究振興財団が公表しています。主要死因別年齢調整死亡率年次推移年齢調整をすれば、肺ガンは1995年をピークにして、以降減少していることが分かります。喫煙率の減少と肺ガンの死亡率(年齢調整後)の減少にはタイムラグがありますが、喫煙を止めればただちに健康リスクが消滅するわけではないので、タイムラグがあるのは当たり前です。統計的に見て、喫煙者の発ガンリスクは、タバコを吸わない人の5倍ですから、タバコと肺ガンに因果関係があるのは間違いありません。
2011.09.08
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http://www.asahi.com/national/update/0209/SEB201102090021.html「山口県、ハクチョウなど358羽殺処分へ 鳥インフル」山口県は9日、宇部市の常盤公園で飼育していたコクチョウが死に、遺伝子検査で高病原性の鳥インフルエンザウイルス(H5亜型)が検出されたと発表した。宇部市はコクチョウと同じ湖内で、切り羽して放鳥飼育しているハクチョウ類358羽と、ガン41羽の殺処分作業を始めた。コクチョウは9日朝、死んだ状態で見つかった。そこから約100メートル離れ、コクチョウが見つかった湖と網で仕切られた湖内では6日、衰弱した野鳥のキンクロハジロが見つかった。死後、鳥インフルエンザウイルス(A型)が検出されており、高病原性かどうか鳥取大で遺伝子検査をしている。常盤公園は、近くの幼稚園まで空を飛んで通うようになり、園児たちと遊ぶ姿が話題となったモモイロペリカンの「カッタ君」がいた場所。ペリカン45羽はキンクロハジロ側の湖で放鳥飼育しており、市は異常がないかどうか監視を続ける。-----------口蹄疫騒動のときにも疑問を感じたのですが、鳥インフルエンザでも、感染症の流行を阻止するための殺処分というのに、どうも違和感を感じるのです。少し前の記事にも書きましたが、高病原性の鳥インフルエンザが最近各地で続々と発見されていますけれど、これが、鳥の世界で強毒性鳥インフルエンザが大流行しているという意味なのかどうかはかなり疑問の余地があると思っています。鳥インフルエンザが問題視される前は、鳥の死体があるからといって、いちいちウィルス検査などやっていなかったでしょう。だから当然高病原性鳥インフルエンザのウィルスも発見されることがなかった。それだけのことであるような気がするのです。なぜなら、野外で鳥インフルエンザによる野鳥の大量死のような事態は日本では特に報告されていないからです。野鳥とはいえ、越冬中のガンカモ類は多数が密集して生活していますから、感染症が流行していれば、大量死が観測されていないはずがありません。私の推測が正しいとすれば、このくらいの頻度で強毒性鳥インフルエンザが存在することが「あたりまえ」なのであり、それを完全に撲滅するなんてことは無理な相談だと思うのです。日本中から野鳥(特に水鳥)を完全撲滅するなら、鳥インフルエンザも完全撲滅可能かも知れませんが、そんなことは不可能だし、やって良いことでもありません。それでも、家畜や家禽は、もともと人間が利用するためのものですから、ある面では殺すの仕方がないとも言えます。しかし、この記事の場合は、殺処分の対象は、飼育されているとはいえ、家禽ではなく野生種であるように読めます。野生種の鳥は、人間が利用するために存在しているわけではないのです。それを、鳥インフルエンザが出たから全部殺処分というのは、どうも違和感がぬぐえません。
2011.02.09
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110126-00000081-mai-soci<鳥インフル>野鳥に感染疑い 簡易検査で陽性…高知、滋賀高知、滋賀の両県で26日、高病原性鳥インフルエンザに感染した疑いがある野鳥が見つかり、簡易検査で陽性反応が出た。高知県では仁淀川(によどがわ)町の町民運動場で25日夜、弱って飛べないオシドリ1羽が見つかり、26日捕獲して検査した。同県は半径10キロ圏内の養鶏場6カ所(計520羽)に立ち入り検査した。滋賀県では大津市におの浜3の川で死んでいたオカヨシガモを26日に回収、検査して分かった。---------最近、水鳥の名前がやたらと新聞に出てきますね。元野鳥の会会員の私としては、なんとも複雑な心境ですけれど。この記事で報じられているのはオシドリとオカヨシガモ、その前に松江と福島でキンクロハジロ、北海道でオオハクチョウ、鳥取ではコハクチョウ、兵庫でカイツブリ、出水でマナヅルなどがH5N1亜型トリインフルエンザに感染して死亡しているのが見つかっています。これだけあちこちで見つかっているのは、最近になって野鳥の間で急激に強毒型トリインフルエンザが大流行し始めたのか、それとも、我々人間が気がつかなかっただけで、元々野鳥はこの程度にはトリインフルエンザに感染しているものだったのか、果たしてどちらでしょう。私は、何となく後者ではないかという気がするのです。なぜなら、トリインフルエンザの感染例は報告されているけれど、それによって野鳥が大量死している、というような事実は報告されていないからです。出水のマナヅルがトリインフルエンザで死んだときにはこのブログでもそのことを取り上げましたが、その後、出水のツルの間でトリインフルエンザが大流行とか、大量死している、というような事実は伝わっていません。もし、私の推測のとおりだとすると、これからも野鳥からは強毒性トリインフルエンザウィルスが次々と検出されるでしょうし、それを撲滅することなんてできない相談でしょう。そうだとしたら、これはもう諦めるしかない。野鳥とはそういうものだ、ということです。あとはせめて家禽への感染を防ぐしかないけれど、それも限界はあります。水鳥は大型だからまだしも、スズメくらいの小鳥が鶏舎などに侵入することを完全に防ぐなんて、事実上出来ない相談です。つまり、対策が非常に難しい、ということです。だから、トリインフルエンザの発生自体は、半ば不可抗力というしかないのではないかと思います。もちろん、発生した後に、どう対処するかという部分は、不可抗力ではないですけれど。で、怖いのはこのH5N1トリインフルエンザが、人にも普通に感染するようになる事態です。今のところ、H5N1は普通の状態では人に感染しません。ただし、まったく感染しないわけではなく、主に東南アジアで、家禽との接触の多い人が、時々感染することがあります。鳥から人への感染例はありますが、人から人への感染は、目下のところインドネシアできわめて特殊な例が一例あるだけです。しかし、H5N1は、ひとたび感染してしまうと、その毒性は人間にとってもすさまじいものがあります。知られている限り、H5N1トリインフルエンザに人間が感染した例は全部で300件くらいありますが、そのうち200人くらいが亡くなっています。恐るべき死亡率です。(幸い、日本ではまだ人への感染例はない)だから、何らかの突然変異によって、H5N1が人から人に感染するようになったら、非常に恐ろしい事態になる。※ただし、そう警告されて何年にもなり、感染者が累計300人にもなっているけれど、まだ人-人感染を起こすような突然変異は起こっていません。H5N1亜型は、そういう突然変異はできないウィルスなんじゃないか、という意見もあることはあるようです。そうかも知れないけれど、まさか今の時点でそう決めつけるわけにもいきません。もともと、インフルエンザという病気そのものが、鳥から人間に広がってきた病気ではないか、という説があります。少なくとも、1917年に大流行したスペイン風邪(現在流行している季節性のインフルエンザや新型インフルエンザも、スペイン風邪の末裔です)は、その当時のトリインフルエンザが突然変異したものであることは確からしいです。
2011.01.26
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http://www.asahi.com/national/update/0121/TKY201101210414.htmlインフルエンザ、全国的に注意報レベル 感染研発表インフルエンザの流行が全国的に注意報レベルに達したことが21日分かった。国立感染症研究所が最新の1週間(1月10~16日)に全国約5千の定点医療機関のインフルエンザ患者数が、1医療機関あたり12.09人だったと発表した。前週(5.06)から倍増、注意報発令レベルの10を超えた。年齢別では20代以上が6割近くを占め、厚生労働省は2月上旬ごろのピークに備え、手洗い・せきエチケットと予防接種を改めて呼びかけている。全国の患者は78万人と推計される。今季は累計で165万人になり、感染が急速に広がっている。18日現在、22人が死亡、72人が重症との報告がある。都道府県別では、沖縄が警戒レベルを超えて55.26(前週25.90)になった。このほか佐賀27.87(同11.41)、福岡24.81(同11.53)、宮崎24.08(同7.25)、長崎20.43(同9.29)と続く。今季は昨季に比べて20~50代に患者が多い。感染研感染症情報センターの安井良則主任研究官は「こうした働き盛りの世代は、予防接種を済ませていない人が多いので注意を。重症化が心配な妊婦や呼吸器の持病などがある人は急いでワクチン接種を受けて欲しい」と話している。-----------皆様くれぐれもお気をつけください。東京も、現在急激に流行しているようです。というか、我が家はすでに手遅れで、子どもと私がインフルエンザになりました。やっと治ったところですけれど。子どもは今日から学校に。私は4日も休んでしまったので、明日は休日出勤。本当は、今日は出勤しようと思えば可能だったのですが、うつしちゃいけないですからね。仕事が・・・・・・と思いつつも自重しました。さすがに明日は大丈夫。というか、休日出勤なら同僚にうつす心配はない(こともないか、多分来ている人が他にもいるから)。月曜日に発熱して、夜帰宅したら子どもが「インフルエンザ陽性だった」というので、あわてて私も火曜日に医者に行ったら、やはり陽性。そのときにも、他にも「インフルエンザ」と診断されている人がいましたし、実は職場でも私の前に一人、私の後に2人インフルエンザが出ているので、かなり大流行モードかも知れません。簡易検査では季節性か新型かは分からないと言っていましたが、今は新型の方が主流とも言っていましたので、多分新型なのでしょう。我が家は、私と子どもの他、その前に、我が相棒も風邪を引いていました。相棒は医者に行かずに治ってしまったので、本人は「インフルエンザではない」と主張していますが、多分あれもインフルエンザだっただろうと思われます。子どもはリレンザを、私はタミフルを処方されました(「どっちがいいですか」と聞かれて、分からないので「どちらでも良いです、よく利く方を」と言ったらタミフルにされました)が、その後で新聞報道を見たら、数パーセントの割合でタミフル耐性ウィルスが出現しているようですね。リレンザは耐性ウィルスはまだないらしい(今後出てくるかも知れませんが)。そうか、しまったと思ったのですが、とりあえず私にはタミフルは効果があったみたいです。記憶する限り、私はインフルエンザにかかったことがなかったのです。子どもの頃のことは正確には覚えていませんけれど、少なくとも高校生以降の二十数年間では初めてのインフルエンザです。-----で、こういうときに読むと、なかなか心楽しくなれるSF小説があります。小松左京「復活の日」インフルエンザ(正確に言うと、インフルエンザウィルスを隠れ蓑にするMM-88という超猛毒生物兵器)によって、南極観測隊を残して人類が絶滅する話です。そういえば、この本を初めて読んだのは中学生か高校生の頃だったのですが、やっぱり風邪(インフルエンザではなかったけど)を引いているときだったので、すごく怖かった記憶があります。何しろ死屍累々の話ですからね。で、せっかくだからインフルエンザ記念に(何じゃ、そりゃ)、またあの本をと思ったら、どこかに行ってしまいました。うーーーん、残念。ところが、この小説は映画化されているんですが、この映画がほぼ全編YouTubeにアップされているんですよ。(URLは紹介しません。そのうち削除される可能性もありますから)映画版は見たことがなかったので、今回初めて見てみました。原作の時代設定は1960年代後半(発表されたのが1964年だから)ですが、映画は15年後の1980年公開なので、時代設定は1982年に変えられています。映画も、原作同様に死屍累々の描写がいっぱい。繁華街で自衛隊が遺体を次々とトラックに積み込んだり、遺体の山に火炎放射器で火を放つシーンは、骸骨があちこちに散乱するシーンなど、かなり強烈です。ただ、やっぱり中高生の時読んだ原作の方が、そのシーンのインパクトは遙かに強烈に感じました。(さすがにこの年にもなると、中高生の頃とは人生経験が違うから)それに、もし鳥インフルエンザのH5N1が人間の新型インフルエンザ化したら、この映画に出てきた死屍累々の表現、医療機関の修羅場の表現が、現実になる可能性だってないとは言えません。(もちろん、人類が滅亡するわけではないけど)そういう意味では、大きく時代を先取りした作品とも言えます。もっとも、1917年のスペイン風邪大流行にヒントを得て作られていると思われるので(作中でも、度々「スペイン風邪の時は」という話が出てきます。原作が書かれた時点では、まだスペイン風邪から50年経っていなかった)、そういう意味では、これは古くて新しい問題なのでしょう。それにしても、とにかくすごく金をかけている映画で、南極で撮影しているんです。しかも、チリ海軍の本物の潜水艦を使っている。この潜水艦は、ソ連とイギリスの潜水艦を一隻二役で演じています。ソ連潜水艦として「出演」しているときは、浮上時にソ連の国旗を掲げているんですけど、当時のチリは、ピノチェト独裁政権。国内の左翼勢力を大弾圧して、中国以外の社会主義国全部と断交したあのピノチェトの海軍が、外国映画のためにお金をもらえば潜水艦にソ連国旗を掲げた撮影に応じるんだなあ、と。私が初めてチリに行ったとき(ピノチェト政権時)は、港で軍艦にカメラを向けるのが見つかるとカメラが没収されるから、撮っちゃダメって言われてたんですけどねえ。ま、惜しいことに、設定では原子力潜水艦役なのですが、問題の潜水艦は第二次大戦時の米軍潜水艦の中古なので、どこからどう見ても原子力潜水艦には見えないんです。艦首が涙滴型じゃないし、そもそも甲板に大砲を備えているし。で、YouTubeを検索したら、この潜水艦の艦長だったトレド・デ・ラ・マサ提督という人物の、映画撮影の思い出みたいな番組がありました。(チリの番組でしょう、スペイン語です)http://www.youtube.com/watch?v=MrQmpSoW45s
2011.01.21
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文藝春秋の最新号車内吊り広告を眺めていたら、「抗ガン剤は効かない」という記事があることに気がつき、書店で斜め読みしてみました。趣旨としては、抗ガン剤は急性白血病やリンパ腫など血液のガンには効果があるけれど、通常のガンにはたいした効果がない、現場の医者はみんなそのことを知っている。それなのに抗ガン剤が使われるのは高価な薬の利権のため・・・・というような内容でした。うーーーーん、と思いました。昨年亡くなった父も、抗ガン剤治療をしました。父は膀胱ガンだったのですが、摘出したら、すでにガンは膀胱の外側に達していたのです。その時点では転移はまだなかったのですが、ガン細胞はすでに体内に拡散しているので、このままでは転移の可能性が高い、ということで抗ガン剤治療になりました。確かに、その時の医師の説明で、このまま放置しておけば再発の可能性は8割だけど、抗ガン剤治療によって再発の可能性を6割まで下げることができる、ということだったと思います。あれっ、たったその程度の効果なの?と思った記憶があります。そして、事実私の父には抗ガン剤はまったく効かなかった。本当に、まったくです。後から計算すると、3クールの抗ガン剤が終わって退院して、たった1ヶ月後には再発の自覚症状があったと思われます。そのときは、同時に脊柱狭窄が発見されたため、ガンの再発が見落とされてしまったのですが。結局、父は膀胱ガンの検査手術(膀胱のどこまでガンが広がっているのかを、内側から膀胱を削って調べる)、膀胱摘出手術、脊柱狭窄の手術と、1年間で3回も手術を受け、抗ガン剤治療も3クール、延べ入院期間が約140日に達して、それでも結局助かりませんでした。その間、健康保険の3割負担分と差額ベット代その他、退院していた間の通院交通費(タクシーじゃないと通院できなかった)、その他諸々の全費用が、相当の金額になりました(ゴールドフルートが買えるくらい)。母からその金額を聞いて、医療費、特にガン治療がいかにお金がかかるものなのか、このときに初めて痛感しました。記事に添付されている生存率のグラフを見ると、治療しない場合の生存曲線より抗ガン剤治療を行った場合の生存曲線の方が多少上側に位置しているので、抗ガン剤に多少の延命効果はあるようです。でも、結局のところ時間の経過とともに生存率は急激に低下していき、最後は無治療も抗ガン剤治療も生存率の差はほとんどなくなる。それも、よく5年生存率なんて言いますが、5年どころか2年くらいでも生存率は非常に小さい。つまり抗ガン剤治療の延命効果は、何もしなければ3ヶ月の命であるところを6ヶ月保たせますよ、6ヶ月の命を1年も足せますよ、ということであるようです。しかも、記事によるとこの生存率の数字にもトリックがあるらしいのです。ただし、斜め読みだったので具体的にどこにトリックがあるのかはよく分かりませんでしたけれど。3ヶ月の命が6ヶ月に延びるのは、決して無意味なことではありません。しかし、そのために辛い抗ガン剤治療の副作用に耐えて、と言われたらどうでしょうか。抗ガン剤は、髪の毛は抜け、起きあがることもできないくらい辛いものです。3ヶ月の命が5年に延びると言われれば、どんなに辛い副作用でも耐える価値はあるでしょうけれど、余命がほんの数ヶ月延びるだけのために、耐える価値があるかどうかは、果たして・・・・・・・・。追記 上記の記事と同じ執筆者による別の記事(やはり「抗がん剤は効かない」というタイトル)をネット上で読むことが出来ます。おおむね、文春の記事と同じ趣旨のようです。
2010.12.14
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今日は、神奈川県の某所にて演奏してきました。「キラ・ウィルカ」のケーナ奏者いとうさんの地元自治会の夏まつり。演奏は日が暮れてからだったので、気温はそんなに高くなかったのですが、やけに湿気があって、蒸し風呂の中で演奏しているような感じでした。先週の長野県鹿教湯温泉も真夏の屋外演奏でしたが、日中は暑かったけれど、やはり山の中だけあって日が暮れると涼しく、特に湿気がなくて非常に快適だったのですが、やはり長野の山の中と東京近郊では差が大きいです。正直言って、楽器にあまりよいコンディションとは言えませんが、でもそんなときでも演奏は楽しいものです。さて、しかし今日の東京は朝方は曇り気味でそれほど気温が上がらず、「これはついに涼しくなるか」と一瞬思ったのですが、それもぬか喜びで、10時過ぎからは晴天、気温もうなぎ登りになってしまいました。そして、京都ではなんと気温39.9度が記録されたと報じられています。もう、本当にどうなっちゃっているのか・・・・・・。それに従って、熱中症が各所で問題となっています。高齢者や病人が熱中症の被害にあいやすいことは容易に想像がつくのですが、今年の状況はそういうレベルを超えています。プロ野球オリックス-ソフトバンク戦http://hochi.yomiuri.co.jp/osaka/baseball/npb/news/20100905-OHO1T00114.htmオリックス大引選手とソフトバンク山崎選手が熱中症と脱水症状で途中交代(もちろん観客も熱中続出)http://mainichi.jp/area/ishikawa/news/20100904ddlk17040610000c.html陸上自衛隊金沢駐屯地の3等陸曹(44)が戦闘服やヘルメットを着用して1周約2・5キロの山道を2周走る訓練をしていて死亡、死因は熱中症と思われる。プロ野球選手にしろ自衛隊員にしろ、体力は人並み以上のものがあるはずですが、熱中症とは無縁ではいられなかったようです。別報道によると、上記のオリックス-ソフトバンク戦では、途中交代に至ったのは2人だけですが、他の選手も全員「気分が悪い」と言っていたようです。自衛隊の例は、2.5kmを2週ということは、たった5kmのランニングで倒れてしまっているのです。うーーーん、私、昨日の朝6km走っているんですけれど(もちろん、私はヘルメットも戦闘服もありません(爆)し、山道ではなく平坦地という条件の違いはあります)、年齢的にも私より2歳年上なだけですし、私も少し気をつけなくてはいけないなと思ってしまいました。実際、この夏は全然走れていません。8月の月間走行距離はたった25kmです。例年は、夏とだからといって走行距離はまったく減少しないのですが、今年は全然ダメ。この暑さでは仕方がないと思っています。ただ、私の場合平日は夜間走りますが、土日は朝走ることも多いのです。朝と言っても、あまり早起きできないので時半頃走り始めるので、走り終えると8時を回っています。すでに充分暑いです。少し気温が下がってくるまで、朝はランニングを控えた方がいいかな、なんて思ってしまいました。でも、どうにもならないのは仕事。仕事上、自転車で外回りをしなければならないのですが、これは暑いからと言って止めるわけにいきません。(ある程度は調整して減らしていますが)高齢のお客さんに「熱中症に気をつけてくださいね」と、言っている自分が熱中症になりそう。皆様も、熱中症にはくれぐれも気をつけてください。
2010.09.05
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100325-00000019-cnn-int米民主党議員に脅迫や暴言、医療保険改革法通過で急増ワシントン(CNN) 米国の世論を二分する医療保険改革法案が米下院本会議を通過した21日以降、民主党議員が脅迫されたり事務所が破壊される事件が相次いでいる。下院民主党指導部は24日に記者会見して暴力行為を非難、共和党にも同調を促した。下院民主党のホイヤー院内総務によると、これまでに同党の議員10人以上から脅迫や器物損壊などの被害の届け出があった。警察は民主党下院議員に対し「議員本人や家族が危害を加えられる恐れがある」として、身辺に注意するよう促したという。少なくとも3州で事務所などの窓ガラスが壊される事件があったといい、ルイーズ・スローター議員の地元ニューヨーク州の事務所は窓ガラスにれんがが投げ込まれ、「狙撃」の文字が入った脅迫文が届いたため、地元警察と米連邦捜査局(FBI)が捜査に乗り出した。アフリカ系米国人のジェイムズ・クライバーン議員には首つり縄の写真が入ったファクスが届き、自宅には脅迫電話がかかってきたという。バージニア州選出の下院議員の親類宅は、保守系運動のウェブサイトで住所が暴露された後、ガス供給管が切断される事件があり、FBIが関連を調べている。アフリカ系アメリカ人の民主党議員3人は先の週末、首都ワシントンで抗議活動をしていたグループから人種差別的な暴言を浴びてつばを吐きかけられたと報告。同性愛者であることを公言している別の民主党議員も差別的な暴言を吐かれたと訴えている。ホイヤー院内総務は記者会見で、民主主義と暴力は相容れないと強調、「このような行為に対して沈黙を貫けば、こうした行為を容認しているような印象を与えてしまう」と話した。共和党のベイナー下院院内総務は記者団に対し、「国民の怒りは分かるが、暴力や脅迫は不適切であり無責任だ。怒っているなら選挙登録し、選挙運動に参加してほしい」と述べている。---------------------先進国の中で、国民皆保険制度のなかった唯一の国米国で、やっと国民皆保険に向けた制度がスタートする運びとなりましたが、保守派の反発が大きいようです。それにしても、日本のウヨクもろくでなしですが、米国のウヨクも、やっぱりやることがろくでもないようですね。よく知られているように、米国には高齢者と低所得者を除いて公的健康保険制度がなく、大部分の国民が民間保険会社の医療保険に加入しています。ところが、低所得者向けの医療保険(メディケイド)の適用条件が非常に厳しく(もの凄~~~く低所得でないと加入できない)、一方で民間保険会社の保険料が高価であるために、無保険者が全米に5千万人近くもいると言われています。つまり、医療の分野に競争原理を全面的に持ち込んで、弱者が切り捨てられているのが米国の医療保険制度であるわけです。そのこと自体が大問題ですが、そのことに加えて、民間保険に加入していても、保険会社が支払いを安くあげるため医療の内容に介入して、必要な医療も支払いを拒否しようとする、保険の給付を受けるたびに保険料が上がるために、おいそれと医者にかかれないという問題があって、何のための保険か分からないような状態であるようです。ところがそれとは裏腹に、米国の医療費は高い。日本に比べると、とてつもなく高い。医療に競争原理を持ち込めば、価格競争で医療費は安くなる、と市場原理主義者は言うかもしれませんが、そんなのは明らかに嘘であることは、米国の現状を見れば分かります。米国の医療費はどのくらい高いのか。たとえば、日本でも出産は(正常分娩なら)健康保険の対象になりませんが、10割自己負担でも分娩費用は30~40万円くらいでしょうか(帝王切開だと、保険の対象になるため、逆に本人負担は安くなる)。一方、米国ではだいたい百数十万円かかるようです。検索した限りは、盲腸の1泊手術で200万とか、子宮筋腫の日帰り手術で100万円とか、もの凄い例が数多くあります。こういった個別の体験談ばかりではなく、米国の医療費の異常な高額さは、統計資料に明白に現れています。主要国の医療費対GDP比較http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/1900.html米国の医療費はGDP比16%(2007年)。日本は8.1%なので、ほぼその倍です。高齢化率は日本よりずっと低いのに、です。よく、日本の医療費の増大が問題だ、という話がありますが、それはウソです。日本は、主要先進国の中でもっとも高齢化率が高いのに、医療費の対GDP比は、韓国(日本より遙かに高齢化率が低い)を除くと、もっとも低いのです。米国の医療費はとんでもなく高いと書きましたが、日本の医療費は逆にとんでもなく低いのかもしれません。まあ、よく言えば日本では医療が良質で安価に維持されている、ということも出来ますが、諸外国との比較で言うと、もう少し医療にお金を投じるべきではないかと思います。実は、かつて医療費を日本より遙かに低い水準に押さえていた国がありました。サッチャー時代のイギリスです。サッチャー政権の市場原理主義でしたが、イギリスには米国と違って確固とした公的医療保険制度があります。サッチャーはそれを廃止するようなことはしなかったけれど、その代わり、「小さな政府」を体現して、医療費を厳しく抑制する政策をとっていたのです。でも、その結果起こったのは医療崩壊です。医療の水準は極端に落ち、優秀な医者の多くが米国に渡ってしまいました。同じ市場原理主義の国でも、米国は医療費がバカ高く、その反映として医者の収入もバカ高いからです。もっとも、この状態に対する反省から、労働党政権になって医療費を増大する政策がとられ、現在では日本より医療費の対GDP比は高くなっています。日本でも、医療崩壊の危機が言われるようになって久しい。医療費は低ければよい、とばかり、安易に医療費を抑制すれば、医療崩壊は進む一方でしょう。
2010.03.25
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100321-00000013-mai-soci貧困で歯医者にも行けない、というのは大問題です。以前、ある掲示板で、虫歯でも歯医者なんか行かなくてよい、虫歯で人間は死なない、痛いのくらいは我慢せよというような趣旨(ログが残っていないので、文面はうろ覚えですが)の発言をする人物と論争したことがあります。まあ、あまりの言い分にかなりあっけにとられました。わたしは笛を趣味にしている人間ですから、歯、とくに前歯は非常に大切です。これがなくなったら笛が吹けません。ところが、それなのに、これまであまり歯を大切にしてきませんでした。何年か前からは定期的に歯医者に行って歯垢をとってもらうようにしていますが、いささかそうするのが遅かったかなと思っています。虫歯で人間は死にます。人類社会に虫歯が劇的に増えたのは、比較的近年、穀物や甘いものを食べる機会が増えたからだと言われます(上記の議論をした当時は、そう思っていました)。でも、最近知ったのは、縄文時代においても、日本人にはかなり虫歯が多かったという事実です。発掘された縄文時代の人骨のうち、虫歯の占める割合は15%前後にも達すると言います。もちろん、当時虫歯の治療なんてありません。その結果、縄文時代の人骨には、あごの骨が変形したり、ものすごい状態になった虫歯が数多く見られるようです。当然、ものすごい激痛であったことは想像に難くありませんし、骨が変形するほどでは、それによって命を落とす可能性も高かったでしょう。しかも、忘れてはならないのは、縄文時代人の平均寿命はとても短かったという事実です。よく知られているのは、縄文時代の15歳時の平均余命は15年という話です。つまり、乳幼児死亡率は計算外として、運良く大人になることのできた人だけに限定しても、その平均寿命は30歳そこそこということです。ひょっとしたら、虫歯率15%前後というのも、平均寿命がそれだけしかなかったからかもしれません。平均寿命がもっと長かったら、虫歯率は上がることはあっても下がることはないでしょう。治療しない虫歯は、決して治ることはないのですから。縄文時代ですらそうなのですから、現代の食生活において、歯のケアは必要不可欠と思います。もちろん、出来ることなら歯医者になどかからないで済むように歯磨きをきちんとすることが大切ですが、ただ、現在の人間の平均寿命より、歯の寿命の方が短いことも事実なので、どうしても歯医者で歯のケアをすることは必要だろうなあと、そう思います。
2010.03.21
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いよいよ新型インフルエンザが大流行に突入しているようです。私の職場でも新型インフルエンザの感染者が出ていますし、実は大阪在住の親戚がかかりました。(何ヶ月か前の話ですが)ところで、少し前ですが毎日新聞にこんな記事が出たことがあります。-------------------------------http://mainichi.jp/select/today/news/20090930k0000m040149000c.html新型インフル:致死率「季節性」並み 米チーム解析新型インフルエンザの致死率は毎年流行する季節性インフルエンザと同程度の0.045%とする分析を、米ハーバード大などの研究チームがまとめ、米医学サイト「PLoS Currents」に発表した。これまでは、1957年から流行した「アジアかぜ」並みの0.5%程度とみられていた。研究チームは、4~7月、米ミルウォーキーなど2市で入院した感染者、入院していない感染者のデータをもとに、通院しなかった人も含めた発症者を推計した。従来の解析では、確定診断を受けた患者に対する死者の割合を致死率として計算していた。-------------------------------これを読むと、「何だ新型インフルエンザなんて、そんなに危険じゃないんだ」と思えるかも知れません。実際、季節性インフルエンザでも、日本で多い年には年に1万人も死者が出ているとされるのに、新型インフルエンザの死者はまだ28人、圧倒的に少ないのです。が、だからといって新型インフルエンザは大したことはないと即断することはできません。季節性インフルエンザで1万人の死者が出ていると言っても、これは実は統計上インフルエンザの大流行した年と流行しなかった年の死亡率の差から、1万人くらいの死者が出ているようだ、と計算されているだけです。インフルエンザが死因と実際に特定される死者ははるかに少数と言われます。(せいぜい数百人程度)しかも、季節性インフルエンザによる死者は、ほとんどが高齢者です。それに対して、新型インフルエンザによる死者(疑い例も含まれますが)は、比較的若い人が少なくない。喘息や糖尿などの基礎疾患のある人が多いですが、特に基礎疾患がない若者にも、若干死者が出ているようです。それに、今はまだ10月です。例年の季節性インフルエンザの流行は、1月頃にピークを迎えています。ということは、新型インフルエンザもこれから更に流行が拡大していくと考えた方が自然です。実は、日本は今のところ確認された患者数は世界でも最も多い国です。ところが死者28人というのは、世界の中でもそう多い方ではありません。感染者数に比べて死者が少ないのは喜ばしいことです。その理由は、日本は世界最大のタミフル備蓄国で、インフルエンザの患者にはどんどんタミフルを処方しているからではないかと思われます。どんどんタミフルを使っているので、ほとんどの人が重症化に至らず治っている。しかし、新型インフルエンザウィルスの中には、タミフルに耐性をもつものもあるようです。今はごくわずかしかありませんが、場合によっては今後タミフル耐性ウィルスが拡大してくる可能性もあります。そうなると、タミフルが効かなくなるわけで、かなり怖い事態と思えます。そう考えると、上記の引用記事が、今の段階で早々に死亡率は季節性インフルエンザと変わらない、と報じているのは、いささか時期尚早ではないかという気がします。流行が終わった後でなければ正確な死亡率なんて計算できませんから。とは言え、新型インフルエンザは、かつてのスペイン風邪ほどの死亡率ではないことも確かなのです。かつてのスペイン風邪並に死者がバタバタ出るような大流行なら、非常事態であることは明らかですが、季節性インフルエンザの流行を非常事態としてしまうと、対策のための経済面の損失が想定される被害の大きさを上回ってしまいます。今回の新型インフルエンザは、かつてのスペイン風邪ほどには危険ではなく、毎年の季節性インフルエンザよりは危険という、非常に微妙な位置にあるため、対策の取り方の舵取りが非常に難しいものになりそうです。かくいう私は、先々週風邪をひいたので、通勤時にはマスクをして、人に移さないようにしていたのですが、風邪が治ったらマスクもやめてしまいました。しかし、そろそろマスクした方がいいのかな。とりあえず、24日の演奏まではインフルエンザにかかるわけにいかないので、明日から金曜まではマスクしようと思います。ただ、その先は・・・・・・マスクの在庫が足りません。
2009.10.19
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私の周囲(職場関係)で新型インフルエンザの罹患者が出ています。ふと気が付くと、いまとてつもない勢いで新型インフルエンザ大流行中です。こんなに暑くて湿気のある時期、しかも学校が夏休み中にインフルエンザなんて、常識では考えられないのですが、それが新型の新型たる所以でしょう。新学期が始まったら、そして冬場になったらいったいどういうことになるのだろうか、ちょっと怖いものがあります。それに、今は死亡率などはそれほど深刻ではないけれど、もしウィルスが変異して強毒化したらどうなるのか、これも怖いです。強毒化の可能性がどの程度あるのかは分かりませんが、そういう事態を想定した場合は、むしろ今のうちにどんどんインフルエンザが大流行して、多くの人が抗体を獲得している方が良いのかも知れません。わが家は一応マスクをある程度ストックしているのですが、50枚のマスクがあっても、家族3人なら17日分にしかなりません。インフルエンザの流行がそんな短期間で終息するとは思えませんが、かといってマスクを500枚も600枚もため込むのも難しいし、だいたい、今マスクはどこの薬屋でも品薄です。なかなか個人では対策を見いだしにくいです。家に立て籠もって外出しなければいいのかも知れませんが、仕事があるからそういうわけにもいきません。ワクチンは増産しているのでしょうが、どうなっているんでしょうね。とりあえず、この秋冬は、きっと玉子が品薄になるんじゃないかという気がします。(ワクチンの培養地として、玉子が大量に必要になるので)
2009.08.20
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本日、泣く泣く大阪行きの新幹線の切符を払い戻してきました。しかし、ついでに今日の新幹線の空席情報を見たら、東海道新幹線は全列車みんな空席が充分にあるのです。東北・上越新幹線は満席の列車がチラホラとあるのに。やはり大阪までの旅客は激減しているのかな。http://www.asahi.com/national/update/0520/TKY200905200297.html新型インフル、都内の女子高生感染 首都圏で初の確認東京都内で20日、新型の豚インフルエンザの感染者が初めて確認された。都庁関係者によると、都内に住む女子高生で、米国への渡航歴があるという。都は女性と接触した家族らの健康調査を行う見通し。首都圏での感染者確認は初めてとなる。---------------------------とうとう東京でも新型インフルエンザ罹患者が出ました。一人出たということは、これから次々とあっちでもこっちでも発生する可能性が高いということです。うーーーん、それならもう東京でも大阪でもリスクは変わらないような気がします。今までマスクはつけていなかったけど、明日からはマスクを付けて通勤しようかな。だけど、今はどこの薬局にもマスクの在庫がほとんどありません。マスクを多少は買い置きしてあるけれど、毎日使い続けたら、1ヶ月も保たないです。さて、どうしたものか。
2009.05.20
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090514-00000641-san-soci謝れ!バカヤロー! 寝屋川の学校などに中傷殺到5月14日22時22分配信 産経新聞新型インフルエンザで、国内初の感染が確認された高校生ら4人に対する「隔離」と、周囲にいた人たち48人の「停留」措置が、15日夕から次々と解かれる。これまでの厳しい行動制限がなくなり、日常生活が可能になる。だが、生徒らの高校がある大阪府寝屋川市などには、誤解にもとづく誹謗(ひぼう)や中傷が殺到。関係者らは、いわれのない偏見などを危惧(きぐ)している。隔離の4人と停留の48人のうち32人が、短期留学の関係者。寝屋川市によると、生徒らが帰国した8日以降、52件の電話が全国から寄せられた。府や学校にも計100件超の電話が寄せられ、多くが行政や生徒らを批判する内容だったという。「成田から帰ってくるな」「どうしてあんな学校がカナダ留学にいくのか」といった理不尽な電話や、「なぜマスクをしなかったのか」「早く帰国させるべきだった」といった留学中の行動にも批判が寄せられた。「謝れ」「賠償しろ」「バカヤロー」といった罵声(ばせい)を一方的に浴びせたり、生徒や教員を個人的に中傷したりする内容の電話もかかっているという。(以下略)------------------------産経新聞にしては珍しくまともな記事です。問題の高校の生徒がカナダに出発したのは、4月24日です。朝日新聞の記事を検索した限り、新型インフルエンザの問題が最初に報じられたのも、同じ4月24日のことです。何時発の飛行機かは知りませんが、常識的に考えて、当日の当日で中止なんてできるはずがありません。しかも、当初報じられていたのはメキシコと米国のカリフォルニアです。なおさら、カナダ行きを中止する必然性など(その時点では)考え及ばなくて当然です。本当に恐ろしいのはインフルエンザより人間だと思います。こういう中傷電話や、ネット上で攻撃を仕掛けている連中の心の貧しさといったら、目も当てられない。
2009.05.17
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水も漏らさぬ(?)検疫体勢にも関わらず日本でも新型インフルエンザの感染者が続出しています。国境を越えた人の移動が盛んな現在、それも世界一の大国、米国との間を行き来する全ての旅客の発熱をチェックするなんて、そんなことがいつまでも続けられるはずがありません。まじめな話、新型インフルエンザの死者が出る前に検疫担当官に過労死者が出ます。もちろん、流行を完全にシャットアウトできるなら、それに越したことはありませんが、無理と考えざるを得ません。幸いにして、新型インフルエンザの死亡率はそれほど高いものではないようです。しかし、恐れられているのは人から人への感染を繰り返している間に強毒化してしまうことです。そうすると、むしろ今のうちに新型インフルエンザが国内で適度に流行して、多くの人が抗体を持っている状態になった方が、あとあと危険なことになった場合の被害が軽減されるのではないかと思えます。
2009.05.12
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http://www.asahi.com/special/09015/TKY200905030177.htmlメキシコ保健相「安定期に」 新型インフル感染メキシコのコルドバ保健相は2日、記者会見し、「最も困難な時を乗り越えたと言うのはまだ早過ぎるが、安定期に入ったと言えるだけの十分な要素はある」と述べ、国内で新型の豚インフルエンザ感染が一段落しつつあるとの認識を示した。保健省によると、国内の「疑い例」を含む死者数は1日に176人だったが、2日には101人に減った。検体検査の結果、感染していなかったことが確認されたためとみられ、保健相はこうした状況を意識したと考えられる。これまで19人の死者が確認された同国では、一部の政府機関や一般企業の業務が停止されている。首都メキシコ市では、レストランでの食事が禁止されるなどの厳しい措置が続く。エブラール・メキシコ市長は4月29日の会見で「この10日間が勝負どころだ」としている。一方、子どもやお年寄りではなく働き盛りに死者が多いとの特徴もはっきりしてきた。AP通信が伝えたメキシコの疫学研究者の話によると、1日までの死者16人のうち、9人が21~39歳で、60歳以上は4人、9~13歳は3人だった。-------------------------http://www.asahi.com/international/update/0505/TKY200905050148.htmlメキシコ、官民で業務再開へ 大統領「平常に戻る時」メキシコのカルデロン大統領は4日、メキシコ市長や各州知事らと協議し、新型の豚インフルエンザの感染拡大を防ぐために実施していた官公庁や企業の一部の業務停止などを6日から順次、解除することを決めた。大統領は「状況は落ち着いている。平常に戻る時が来た」と述べた。感染者の増加が鈍っている現状などを考慮し、国内の警戒レベルを最高の「赤」から1段階下げるとともに、6日からの官公庁、民間企業の業務再開を決めた。7日からは大学や高校、図書館、博物館、教会などの閉鎖も解かれる。小・中学校の再開は11日からで、ナイトクラブや映画館、劇場などの閉鎖解除は未定としている。メキシコでは、コルドバ保健相が3日に「国内の感染は下降の段階に入った」と語るなど流行のピークは過ぎたとの認識が広がりつつある。一方、感染者がメキシコに次いで多い米国では、ナポリターノ国土安全保障長官が4日の会見で「(国内では)まもなく終息し、秋に再燃する可能性があるとみている」と述べ、「第1波」の終わりが近づいているとの認識を示した。また、大半の感染者が入院することなく回復していることを挙げ、「通常の季節性インフルエンザに比べ、重症度は高くない」とも述べた。-------------------------政府の公式発表ですから多少割り引いて聞く必要はあるかも知れませんが、とりあえず状況は落ち着きつつあるようです。メキシコも日本もこれから夏に向かい、メキシコは雨期、日本も梅雨を迎えて湿度が高くなるので、インフルエンザが流行しやすい環境ではなくなります。ただ、南半球ではこれから冬を迎えるので南米やオーストラリアなどの状況は気になります。目下のところ、メキシコ以外では季節的なインフルエンザに比べて特に死亡率が高いということはなさそうです。米国で2人目の死者が出ましたが、報道によるともともと持病をもっていた方のようです。メキシコと米国以外では死者も、特別に重症化した例もまだないようです。ただし、メキシコに限っては、老人や幼児より青壮年に死者が多いという点が非常に気になります。これは、かつてのスペイン風邪に見られた特徴ですから。いったんは危機が遠のいても、これで全て解決したわけではなく、秋以降、気温が下がり湿度が下がってくると、北半球でもまた流行してくる可能性があります。そのときにどうなるかが問題です。そして、もう一つ注意すべき記事がhttp://mainichi.jp/select/science/swineinfluenza/news/20090505k0000m040115000c.html新型インフル:東京の病院、過剰反応 発熱患者の診察拒否新型インフルエンザへの警戒が強まる中、東京都内の病院で、発熱などの症状がある患者が診察を拒否される例が相次いでいることが分かった。都によると、2日朝~4日朝だけで計63件に上る。新型への感染を恐れたためとみられるが、感染者が出た国への渡航歴などがない患者ばかりで、診察拒否は医師法違反の可能性がある。大学病院が拒否したケースもあり、過剰反応する医療機関の姿勢が問われそうだ。(以下略)-------------------------医者自身も感染したくない、という気持ちも分からないわけではないけれど、病院として、医者としての職業上の使命はどうなってしまうのでしょう。もちろん、こんな病院は全体に中のごく一部とは思いますけれど。
2009.05.06
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http://www.asahi.com/international/update/0429/TKY200904290146.html豚インフル、米国内で初の死者 1歳11カ月の幼児米政府は29日、新型の豚インフルエンザに感染したテキサス州の1歳11カ月の幼児が死亡したと明らかにした。米国で初の死者で、メキシコ以外で死亡が確認されたのは初めて。ドイツとオーストリア、中米コスタリカでも感染を確認。世界各地への感染拡大に歯止めがかからない状況だ。(以下略)----------------------------とうとうメキシコ以外でも死者が出てしまいました。ただし、1歳11ヶ月の幼児とのことです。通常の季節的インフルエンザでも幼児と老人は命に関わる場合が稀ではないので、この事例をもってただちに「猛烈に危険」と断定できるかどうかは分かりません。もっとも、昨日の日記で紹介したBBCへの当初によると、メキシコ政府の公式発表(現在死者150人あまり)なんてうそっぱちで、実際はそれより遙かに多くの犠牲者が出ているらしいこと、既存のワクチンはもちろん、抗インフルエンザ薬(タミフルなど)も全然効かないらしいことが伺えます。どうなるんだろうか・・・・・・。ところで、新型インフルエンザの猛威と言えば、1918年のスペイン風邪が有名です。全世界で5000万人以上といわれる犠牲者を出し、日本でも40万人の犠牲者が出ています。普通、病気による死亡率がもっとも高いのは老人と幼児です。季節的なインフルエンザの流行でも同様です。ところが、スペイン風邪は健康な青壮年がバタバタ倒れ、死亡率が老人や子どもより高かったことで知られています。もともと大流行のきっかけも、第一次世界大戦の戦場で、交戦中の双方の軍隊での流行でした。軍隊は集団生活をしているし、戦時中で衛生的にも劣悪なため、感染症が流行しやすいのです。それにしても、兵士の多くは屈強な若者たちですが、それがスペイン風邪によって次々と亡くなった。第一次世界大戦終結の本当の理由はこのスペイン風邪だ、とも言われています。今回の新型インフルエンザも、メキシコでは若者に犠牲者が相次いでいると報じられています。このような傾向は、スペイン風邪と類似しており、非常に危険な臭いがします。ただ、これまでのところメキシコ以外では軽症の例が多いようなのですが。スペイン風邪の流行は大きく3つの波があったとされています。第1波は1918年春に米国で発生し、米国の第一次大戦参戦によって、軍とともにヨーロッパに広がり、続いて第2波はその年の秋全世界に広がり、更に翌1919年には第3波の流行がありました。世界的に見て、もっとも犠牲者が多かったのは第2波の流行だったようです。もしも、今回の新型インフルエンザがスペイン風邪と同様の流行のしかたになるとすると、今の時点で(メキシコ以外での)重症化の例が少ないからといって、安心するのは早すぎるということになりそうです。
2009.04.29
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