全23件 (23件中 1-23件目)
1
確定申告の季節ですね。源泉徴収ありの特定口座の場合、確定申告は不要ですが、申告することにより所得税等が還付される場合があります。悩ましいのは、所得税については申告した方が得なのはすぐにわかりますが、その結果住民税や国民健康保険税が高くなる可能性があるため、申告した方が得なのか、しない方が得なのか、なかなかわからないことです。これまでもずっと疑問に思っていたのですが、わからないまま申告していました。サブプライム危機以降の株価下落により、過去年度で大きな譲渡損失をかかえている人も多いと思います。「譲渡損失の繰越控除」を使えば、過去から繰り越した譲渡損失と昨年の利益を相殺することにより、源泉徴収済みの所得税が還付されます。しかしその結果、住民税や国民健康保険税はどうなるのでしょうか?例えば繰越譲渡損失が1億円あり、昨年の譲渡益が1000万円だったとします。住民税や国民健康保険税の算出基礎となる所得は、繰越分と相殺後の0円になるのか、相殺前の1000万円になるのか、どちらでしょう?インターネットで検索すると、たとえば国民健康保険についての質問では、繰越損失との相殺前だという回答と、相殺後だという正反対の回答がでてきます。証券会社などの確定申告コーナーを調べると、「社会保険などに影響する場合がある」という曖昧な説明になっています。今回少しまじめに調べた結果、ある程度わかってきましたので、まとめます。所得をもとに税額を計算しますが、その所得には何を含むのかが疑問でした。今回わかったことは、3種類の所得の定義があることがポイントです。・総所得金額・合計所得金額・総所得金額等それぞれの所得に何が含まれるのかの詳細は、こちら をご覧ください。自治体や用途によって、どの所得の定義を使うのか、異なっているようです。そのためネット検索した時に、正反対の回答が出てきたのだと推測します。株関係についての私の理解をまとめると、以下のようになります。・総所得金額 総合課税を選択した場合の配当所得のみを含む 分離課税分は含まない・合計所得金額 株の譲渡損失と申告分離課税を選択した配当との損益通算を適用後 譲渡損失の繰越控除の 適用前・総所得金額等 株の譲渡損失と申告分離課税を選択した配当との損益通算を適用後 譲渡損失の繰越控除の 適用後すなわち、総所得金額等を使用している自治体であれば、譲渡損失の繰越控除を申告しても、不利益はないと判断しています。一方、合計所得金額を使用している場合には、注意が必要です。合計所得金額は主に、扶養控除や各種給付などを受ける権利があるのかどうかの判定などに、使われることが多いようです。住民税で総所得金額を使っている場合、分離課税は分離課税分として、別途3%分の税金が加算されます。配当との損益通算や、譲渡損失の繰越控除も適用される ようです。 注.ここで書かれた内容を信じて不利益を被っても、責任はとれません。しくみの概要を理解するための材料にとどめ、必ずご自身で各自治体にご確認ください。
2011.02.27
コメント(2)
久しぶりの更新です。尖閣問題から一か月あまりは、中国への激しい憤りと嫌悪感、政府の対応の情けなさ、そして日本の将来への悲観などにより、何もやる気がおこらなくなってしまいました。自分では気分転換が得意な方だと思っていましたが、ずっと部屋にこもっていると、だめですね。日銀が、「短観の読み方 -主要項目の特徴とクセ-」 という日銀レビューを公表しました。統計のバイアスに関する、なかなか面白い資料です。要点を簡単にまとめます。詳細は日銀レビューをご覧ください。最近の業況判断DI・最近の業況判断DI(特に製造業大企業)は、景気循環との連関性が高い。・売上高経常利益率との相関が高い。・株価や為替レートとの相関は高くない。 株価の先行性の為、タイムラグがあるからだと思います。 為替については、為替予約によりある程度ヘッジできているためだそうです。先行きの業況判断DI・製造業大企業の先行き業況判断DIは、景気拡大局面では慎重な見方(3カ月後に発表される実績の方が良い)をし、景気後退局面では楽観的な(実績の方が悪い)傾向がある。・小売業大企業では、景気局面に関わらず常に楽観的な(実績の方が悪い)傾向がある。・建設業中小企業では、常に悲観的(実績はそこまで悪くない)である。 景気対策や公共工事の必要性をアピールしているのかな?設備投資計画の修正パターン・大企業では、初回調査の3月時点での次年度の設備投資計画から、6月調査で上方修正される。前年度の案件のずれ込み分が上乗せされるため。逆に翌年6月発表の実績では、下方修正される。工事の遅れや案件の先遅れなどで、翌年度にずれ込むため。・中小企業では、初回3月調査では弱気の計画で、その後時間の経過とともに上方修正されていく。かなり具体化しないと、計画値に計上しないため。上方修正されたからといって、投資意欲が改善されたとは判断できない。売上・収益計画・通期の売上や経常利益計画は、12月調査になるまで変更されない。したがって9月調査までは、上期が好調な場合、その分下期予想が下振れているように見える。逆に上期が計画よりも下振れた場合は、下期予想が上振れて見える。実際の下期計画は、12月調査で反映される。・欠測値補完処理の影響未回答企業については、前回の回答を代入しているため、誤差が発生する。3月調査では、新年度計画はまだ策定中などの理由で、回答を留保する企業が多い。3月調査と6月調査の変化率を見る場合には、注意。リーマンショック直後など、環境が急変動した場合には、欠測値補完処理の影響は大きくなる。その他・借入金利水準判断DIは、常に先行きDIの方が最近のDIよりも高い。・CP発行環境判断DI(発行企業ベース)は、CP発行金利と3ヶ月国債とのスプレッドに連動する。
2010.11.15
コメント(0)
今週号の日経ビジネスに出ていたアンケート調査によると、夏の参議院選の比例区で投票したい政党は、次のような結果になったそうです。1.民主党 27.5%2.みんなの党 16.0%3.自民党 14.9%4.公明党 1.1%4.共産党 1.1%4.社民党 1.1%7.国民新党 0.7%7.新党日本 0.7%9.改革クラブ 0.1%驚いたことに、みんなの党が自民党を上回り、第2位になっています。それにしても自民党はだらしないですね。非自民/反民主の私としては、数年前から政権再編により第3局ができることを期待していました。しかし現実には、みんなの党という弱小政党が1つできただけでした。期待できるかよくわからないみんなの党ではありましたが、言っていることはまともに思えましたし、やる気のない自民党や能力のない民主党よりはましだと考え、昨年の衆議院選挙では比例区はみんなの党に投票しました。昨秋には(私は失格だと考えているにも関わらず)異様に高い鳩山政権の支持率に 絶望感を覚えました が、今回のアンケート結果では、私と同様に自民党と民主党ではだめだと考えている人が増えているということがわかり、少し希望が持てました。日経ビジネスのアンケートですので、経済やビジネスに興味のある人に偏っていて、一般国民の意見とは異なるかとは思いますが、日本の将来を真剣に考えている人が多いとも言えます。全国民の先行指標になることを期待します。歴史が変わるときには、破壊者と創造者の2段階が必要なのだと思います。戦国時代には、信長が古い秩序を破壊し、秀吉と家康で新秩序を作り上げました。今の政治状況にあてはめると、民主党が腐った自民党政治を破壊し、次に躍進する政党が日本を再生することになるような気がします。それがみんなの党になるのかはわかりませんが。
2010.01.24
コメント(0)
先進国と新興国に分けた場合、投資対象としての新興国には、次のような特徴があると思います。・成長性がある。・景気変動(そして株価の変動)が大きい。・突然の政策変更があるなど、政治リスクが大きい。その他にも、海外資金への依存度が高い場合には、世界的な不況時に資金の逃避が起き、金融危機や通貨危機が起きやすくなりますが、これは各国の置かれている状況により異なります。投資対象としてみた場合の共通点を一言で表現すると、 「リスクは高いものの、うまくいけば高いリターンが期待できる」ということになるでしょう。これらの観点から今の日本を見ると、どうなるでしょうか?成長性については、全く期待できません。ただでさえ少子高齢化で国内市場が縮小していくのに、政府に成長させようという意欲は見られません。むしろ経済力を削ぐような政策が目につきます。景気変動については、昨年のリーマンショック後に、先進国中最大の落ち込みを見せたことでもわかるように、景気変動は大きいと考るべきかもしれません。これは日本の有力産業が輸出産業であり、しかも設備投資関連や耐久消費財関連など、景気変動の影響を受けやすい製品に偏っているためです。多くの新興国よりは安定感があるとはいえ、海外投資家から日本株は景気敏感株だと見られるのも、仕方のないところです。最後の政治リスクについては、ごく最近までは政治リスクの小さな国でした。しかし政権交代が起こり民主党政権になってからは、状況が一変しました。従来は暗黙の前提条件となっていた経営環境が、突然変更されてしまうリスクを感じます。政権交代があれば、ある程度政策が変わることも覚悟しなければいけませんが、その多くが経済や外交上マイナスの影響を与えることばかりです。現状では、政治リスクに敏感にならざるを得ません。民主党政権になったとたんに、日本の株価が世界株式市場の動向から乖離して下落し始めたことからも、明らかです。このように考えると、現在の日本は「成長性の期待できない新興国」となります。新興国と聞くと、「新たに勃興し始めた将来に期待できる国」というイメージがありますが、そこから成長性をとると、良いところがなくなってしまいます。単なる「将来の期待できないリスクの高い国」と言うべきかもしれません。世界の投資家が、こんな国に投資したいと思うわけありませんよね。同じリスクをとるならば、成長の期待できるBRICsなどに関心が向くのは当然のことです。その結果が、今年の世界の株式市場で、日本だけが独歩安になっていることに表れているのでしょう。この記事 から、世界の株価指数のところを抜粋し、記録として残しておきます。■2009年 G7の主要株価指数の年初来変化率(11月18日時点) アメリカ : +22.87%カナダ : +29.65%イギリス : +20.48%ドイツ : +20.32%フランス : +18.96%イタリア : +19.91%日本 : -1.07% 日本を除くG7諸国はいずれも今年すでに2割~3割程度株価が上昇中です。 ■2009年 アジアの主要株価指数の年初来変化率(11月18日時点) 中国 : +81.42%香港 : +58.75%韓国 : +42.64%台湾 : +69.16%タイ : +57.18%インド : +76.20%ベトナム : +75.47%フィリピン : +62.99%パキスタン : +55.92%スリランカ : +97.66%マレーシア : +45.43%シンガポール : +55.83%インドネシア : +83.28%バングラディシュ : +45.88%日本 : -1.07%
2009.11.23
コメント(0)
欧州委員会が、世界的な企業の研究開発投資額を発表しました。ベスト10は次のようになったそうです。1.マイクロソフト(米国) 5,5832.ゼネラル・モーターズ(米国) 5,5402.ファイザー(米国) 5,5324.トヨタ自動車(日本) 5,4535.ノキア(フィンランド) 5,2816.ジョンソン・エンド・ジョンソン(米国)5,2527.フォード・モーター(米国) 5,1298.ロシュ(スイス) 5,0109.フォルクスワーゲン(ドイツ) 4,92310.ダイムラー(ドイツ) 4,888(2007年。 単位:百万ユーロ)マイクロソフトが1位で、自動車会社と医薬品会社が上位に入るというのは、全体的には違和感がないのですが、GMが2位というのには、驚きました。GMというとキャッシュフローの流出が続き、政府支援が無ければすぐにでも破綻する企業です。そんな会社が研究開発投資を積極的にやる余裕があったとは、意外でした。2007年にはまだ余裕があったのかな?(既に債務超過だったような。)「今、自動車業界はどこも苦しいが、トヨタなど日本の自動車メーカーは、業績が悪くても研究開発投資を続けることができる。それが景気回復時に大きな差となって、現れてくるだろう。」 というような話を聞きました。しかし各社の研究開発投資額を見ると、日本車が有利だとは言えませんね。だけどGMは何の研究に投資していたんだろう?私は自動車業界のことは詳しくありませんが、環境対応では日本メーカーに遅れをとっているし、そもそも魅力的な車を提供できていないから、長期的に低迷しているのだと思っていました。まさか、昔研究開発に携わっていた、退職した元従業員の年金や医療費を、研究開発投資に分類してないでしょうね。
2008.12.27
コメント(0)
FRBへの準備預金が、3ヶ月で14倍に急増しているそうです。8月までは400~500億ドル程度で安定していたのが、 8月445億ドル→9月1028億ドル→10月3155億ドル→11月6099億ドルと、ものすごい勢いで増加しています。貸し出しに回らず、安全資産であるFRBの準備預金に滞留しているようです。そういえば2~3日前にも、米3ヶ月国債の利回りが、一時マイナスになったというニュースがありましたね。マイナス金利ということは、預ければ損するということですので、異常事態です。通常時であれば、当面使い道が無ければ普通預金にでも入れておいた方が良さそうなものですが、銀行が倒産することを恐れて、短期国債(TB)を貸金庫代わりに使っているようです。マイナス金利分は、保管料ですね。どちらのニュースもリスクを避け、資金を安全資産に退避させたいという気持ちが伝わってきます。お金は余っているのに、循環していないという状況をよく表していると思います。運用担当者も、年末年始くらいは安心して休みたいでしょうから、この傾向は年内は続くのでしょうね。エクアドルがデフォルトしたようなので、国債ならどの国でも安全というわけでもないでしょうけど。年末に向け、安全資産として金(Gold)にもお金が向かいそうな気がして、昨日金のETFを買ってみました。 円高との綱引きですね。
2008.12.13
コメント(0)
7月18日にBNPパリバが、アーバンコーポレイションの株式の39.1%を保有したという、大量保有報告書を提出しました。 提出者EDINETコード:E11480 提出者名称:ビーエヌピーパリバセキュリティーズジャパンリミテッドこの大量保有報告書には疑問点だらけなのですが、とりあえず大量保有報告書のルールに関して、確認したことをまとめます。1.大量保有報告書のルールに関して・保有株式等にCBを含むか?6月26日にアーバンはBNPパリバに対して、300億円のCBを発行することを発表しました。(新株予約権の一部行使は不可)新株予約権を持っていて、まだ株式に転換していない場合に、大量保有報告書での扱いはどうなるのでしょうか?結論は、転換した場合の潜在株式数を、保有株式等に含めます。大量保有報告書の様式には、「新株予約権付社債権(株)」という欄があり、ここに記載されます。金融商品取引法第27条の23によると、新株予約権による株式に換算した株数も含めることになっています。・保有割合の計算方法上記金融商品取引法第27条の23の4項を見ると、保有割合の計算にあたっては、分子分母両方に、当該保有者による潜在株式数を含めるようです。それにしても法律の文章って、わかりにくいですね。東海財務局の説明の方がわかりやすいです。 株式等保有割合 =(自己保有分の株式数・潜在株式数+共同保有者分の株式数・潜在株式数) ÷ (発行済株式等総数+自己保有分及び共同保有者分の潜在株式数)となっています。・デリバティブ契約によるCBコールオプションの扱い大和証券のページにある2005年11月21日付け開示情報、「株式会社スクウェア・エニックス2010年満期円貨建転換社債型新株予約権付社債を対象としたデリバティブ契約に関するお知らせ~ SPSプログラムの活用によるファイナンスソリューション ~ 」が参考になります。この資料を見ると、以下のことがわかりました。-デリバティブ契約によりCBコールオプションを持つと、潜在株式として 大量保有報告を提出する義務が生じる。-CBコールオプションを買いと売りの両建てにすると、実質的には相殺されるが 大量保有報告では売りの分を差し引かず、買いの分だけが報告される。-CBコールオプションの所有者が(売り買い両建てなどの結果)複数存在する 場合には、売りが相殺されないため、買いによる潜在株式数がダブルカウント されることになる。2.疑問点まずは今回の大量保有報告書を、重要なところだけ簡単に整理しておきます。 提出者1:ビー・エヌ・ピー・パリバ・エス・ア 保有内容:新株予約権付社債権(株) 87,209,302 備考:共同保有者間で引渡請求権等の権利が存在するものとして控除。 提出者2:ビー・エヌ・ピー・パリバ・アービトラージ 保有内容:株券又は投資証券等(株・口) 87,209,302 備考:新株予約権付社債権には記載がない。<疑問1>ビー・エヌ・ピー・パリバ・アービトラージの保有株はCBの転換?提出者2のビー・エヌ・ピー・パリバ・アービトラージには、新株予約権付社債は記載されておらず、株券として報告されています。時価よりも高い、344円の行使価額で、CBを転換したのでしょうか?それともCBの転換ではなく、発行済みの株式を買い付けたものでしょうか?CBを転換したのであれば、発行済み株式数が増えているはずですが、増えていません。<疑問2>CBはどこに行った?アーバンからはビー・エヌ・ピー・パリバ・エス・アにCBが割り当てられたのですが、これは共同保有者間で引渡請求権等の権利が存在するものとして控除されています。共同保有者とはビー・エヌ・ピー・パリバ・アービトラージだと思いますが、こちらには記載がありません。CBはどこに行ったのですかね?なお、先ほど参考事例として書いた大和証券によるスクウェア・エニックスの件の大量保有報告書では、新株予約権付社債券として複数の保有者で、二重に記載されていました。<疑問3>保有割合の計算が変保有割合を計算する時には、分子と分母の両方に、潜在株式数を加算することになっています。しかし分母分子ともに、潜在株式数は加算されていません。もう転換されていて、潜在株式はないのですかね? 転換したのであれば発行済み株式数が増えていないとおかしいのですが。<疑問4>TOBしなくていいの?現在ビー・エヌ・ピー・パリバ・アービトラージは、株券を38.4%(共同保有で39.1%)持っていることになっています。3分の1以上の株式を買い付けるためには、TOBをしないといけないはずです。(さらに、所有割合が3分の2以上になる場合には、応募株式全株の買い付け義務があります。)TOBしなくても良かったのでしょうか?保有割合の計算が間違っているのかな?保有株式数87,209,302 ÷(発行済み株式数227,071,645 + 潜在または転換済み株式数87,209,302)= 28.1%これだと、3分の1以下なのでTOBは不要ですね。そのうち、追加の大量保有報告書や、もしも今回の報告書に誤りがあれば変更報告書が出てくると思います。その時になれば、疑問の一部は解けるかもしれませんね。
2008.07.21
コメント(0)
昨日金融庁は、国内金融機関の2008年3月末時点でのサブプライムローン関連損失が、2兆4360億円だったと発表しました。これに関して今朝の日経新聞に、以下のような記事がありました。”内訳をみると、減損処理や引当金の計上、売却損などを合計した「実減損」が1兆4530億円。評価損は9830億円だった。”私は漠然と、売却済みのものを実減損といい、まだ売却していないものについて、買値と時価の差を評価損というのだと思っていました。しかし新聞記事によると、減損処理や引当金の計上も、実現損に含むようです。先日書いたように、新聞記事にはたまに間違った記述がありますので、まずは金融庁の発表内容を確認してみました。表の右端の合計欄を見ると、評価損益 ▲947、実現損益(売却損益・減損等) ▲1453 となっています。日経新聞の記事は正しいようです。実現損益とは何かは、同じく金融庁が昨日発表したこちらの資料を見てわかりました。評価損益とは簿価と現時点での評価額との差であり、実現損益とは既に簿価に反映済みの損益のことだったんですね。減損処理したり引当金を積むと、簿価はその分小さくなりますので、実現損とみなすようです。知っている人にとっては当たり前のことでしょうが、私はこれまであまり気にしていませんでした。すでに実現損を計上している債権であっても、保有しているかぎり、更に減損や引き当て処理が必要になった場合には、実減損が膨らむ可能性があることになりますね。逆に実現損に計上済みでも、将来の値上がりや償還により、戻り益が発生する可能性も残っています。(その可能性が低いからこそ、減損処理をしたのでしょうけど。)
2008.06.07
コメント(0)
これまで私は、東証のサイトでは「適時開示情報閲覧サービス」くらいしかあまり使っていませんでしたが、個々の会社の情報も結構よくまとまっていますね。便利だと思った情報を、いくつか紹介します。東証のホームページから、右側の部分の「上場会社検索」で、個別企業の情報を検索してみてください。「基本情報」を表示すると、決算発表予定日がわかります。各四半期決算発表日や、株主総会予定日も、決定され次第表示されます。次に、「適時開示情報・ファイリング情報」タブをクリックします。[決算に関する情報] では、過去の決算短信や業績予想の修正に関するお知らせが並んでいます。私は新規に投資する場合、過去の業績修正がどのようにされたかをチェックしますが、ここを見ると簡単に知ることができそうです。[決定事実・発生事実に関する情報] では、資金調達に関する情報などが掲載されています。会社のホームページにもこれらの情報は載っているのですが、東証サイトの方が情報の種類別に整理されているので、見やすいと感じました。「コーポレート・ガバナンス」タブでは、大株主の状況がわかります。例えば 8868アーバンコーポレイションを表示してみてください。最終更新日付4月14日のファイルを表示すると、その時点での大株主の状況がわかります。昨年12月13日のファイルと比較することにより、ゴールドマン・サックス・インターナショナルが大幅に保有比率を下げたことが一目瞭然です。大量保有報告書では全体像がわかりにくかったのですが、こちらの情報の方がまとまっていてわかりやすいです。あれっ? 房園さんの持ち株数が、4000株増えているぞ?
2008.04.28
コメント(0)
ひと頃100ドルを切っていた原油価格が、再び上昇してきました。原油価格の上昇要因としては、・新興国の経済成長による、原油需要の増大。・サブプライムローン問題に端を発した不安定な金融市場から、実物資産への 投機資金の流入。・インフレヘッジ目的での、商品市場への投資資金流入。・ドル安の影響。(原油などの商品市況は、一般的にドル相場と逆相関)などがあります。ここまでは私も認識していたのですが、それ以外に以下のような理由もあるそうです。(主にアメリカでの話です)・在庫の圧縮信用収縮の影響で金融機関の融資基準が厳格化され、資金調達コストが上昇しています。原油輸入に必要な貿易金融のコストは、1年前の1.7倍になったそうです。そのため製油所や石油会社は、余分な在庫を持たないよう、在庫圧縮に努めているようです。在庫の減少が需給逼迫の思惑を呼び、原油価格の上昇圧力になっています。・ヘッジ売りの減少製油所や石油会社は、在庫の値下がりリスクを回避するために、従来は先物をヘッジ売りしてきました。しかし上述のように在庫を圧縮したために、ヘッジ売りも減少しました。一部の会社では、昨年からの原油価格の高騰により、ヘッジ売りで損失を抱えたケースもあり、ヘッジ売り自体をやめてしまった石油会社もあるそうです。売り需要が減少した分、価格には上昇圧力がかかっています。いろいろな要因があるんですね。在庫圧縮の件がどの程度影響しているのかわかりませんが、信用収縮が収まれば、上述の動きは反転するのでしょうね。
2008.04.11
コメント(0)
東京都が4日金曜日に、2月の都内新設住宅着工戸数を発表しました。8ヶ月ぶりに前年同期比でプラスになったそうです。特にマンションと貸家の増加が目立ちます。地域別では、都心は減少傾向が続いていますが、郊外に行くほど増加に転じています。下げ止まったのか、しばらく注目したいと思います。改正建築基準法の影響は薄らいできたようですが、建築費の高騰の影響や買い控えなど、マンション業界にとって、事業環境の逆風はまだ続くのでしょうね。株価は既に、十分に織り込んでいると思いますけど。*** 以下発表内容を抜粋 ***1 利用関係別でみると持家は1,266戸(前年同月比4.3%減2か月ぶりの減少) 貸家は5,382戸(前年同月比9.4%増8か月ぶりの増加) 分譲住宅は6,697戸(前年同月比9.2%増2か月連続の増加) マンションは5,168戸(前年同月比9.9%増2か月連続の増加) 一戸建ては1,433戸(前年同月比0.8%増8か月ぶりの増加) 2 地域別でみると都心3区は302戸(前年同月比44.1%減2か月ぶりの減少) 都心10区は3,505戸(前年同月比28.1%減8か月連続の減少) 区部全体では10,214戸(前年同月比5.4%増8か月ぶりの増加) 市部では3,111戸(前年同月比12.1%増2か月連続の増加) ※都心3区:千代田区、中央区、港区 都心10区:千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、台東区、墨田区、江東区、渋谷区、豊島区
2008.04.07
コメント(0)
円高になると、不景気になると騒がしくなります。一般的に、有利になる人は黙っているのに対して、不利になる人や困っている人たちは声高に叫びますので、問題点ばかりが目立ちますが、実際には好影響と悪影響の両面があるはずです。日本は資源の多くを輸入に頼っていますが、輸入においては円高は有利になります。原油代金が高騰していることもあり、ドル建て取引だけを見ると、日本は輸入金額の方が輸出金額よりも大きいという話も、聞いたことがあります。そうであれば、日本全体では円高ドル安は、言われているほど悪いことではないようにも感じます。しかし人口減少下の成熟社会の日本において、輸出産業は数少ない成長エンジンですので、その輸出産業にとって悪影響を及ぼす円高は、無視できません。不利になると言われている輸出企業にとって、円高が及ぼす影響とその対応策について、まとめます。以下では便宜上ドル安を例として書きますが、他の通貨でも同様です。<業績への影響>企業業績への影響としては、2種類があります。ひとつは売上の減少というビジネス上の影響であり、もうひとつは決算数値の円評価での減少という会計上の影響です。1.売上高および利益の減少 (ビジネス上の影響)輸出代金は、ドルで受け取ることが多いです。ドル建ての販売価格が同じであれば、ドル安=円での売上減少 となります。費用が変わらずに、売上高が減少するわけですから、利益も減少します。なお、売上高の減少率以上に、利益の減少率の方が大きくなることに、注意が必要です。すなわち、利益率が大幅に悪化する可能性があります。円での売上高を維持するために、ドル建ての販売価格を値上げする方策もありますが、そうすると価格競争力が失われ、販売量の減少をもたらす可能性が高いです。結局売上高の減少という結果になります。2.決算数値の円評価額の減少 (会計上の影響)海外子会社がある場合、その子会社のドルでの決算数値が同じだったとしても、円評価にすると数値が小さくなってしまいます。例えば、1億ドルの純利益を上げている海外子会社を連結する時、1ドル110円なら110億円になりますが、1ドル100円だと100億円にしかなりません。企業実態は何も変わっていないのに、見かけ上9%減益になってしまいます。<対応策>主に業績への影響の「1.売上および利益の減少」に対して、企業は様々な対応を考えています。「2.決算数値の円評価での減少」については、あまり気にしても仕方がないと思います。1.売上と費用の同一通貨化費用は変わらずに、売上高だけが減ってしまうから、大きな問題になります。費用と売上の双方が為替変動の影響を同様に受ければ、その影響を大幅に縮小できます。そこで、売上と費用を同一通貨で行うことを、試みています。この実現方法にはいくつかありますが、以下で3つの手段をご紹介します。・現地生産一番わかりやすいのは、販売先で生産することです。現地に工場を作り、材料の調達から製造,販売まですべてを現地で行えば、為替変動の影響を最小限にできます。・費用のドル化必ずしも現地に工場を建設して、すべてを販売先の国で行わなくても、費用が販売先と同じ通貨であれば、現地化と同様の効果が得られます。例えば海運会社では、船員として外国人を大量に採用しており、給料をドルで支払っています。また、商社など日本国内の取引先への支払い代金を、ドル建てで行っている会社もあるようです。・為替マリー上記「費用のドル化」とも関連しますが、輸出で得た債権と輸入で発生した債務を、どちらも円に転換せずに、そのまま同一通貨内で相殺する為替リスクヘッジ手法を、為替マリーと言うそうです。これを実施するためには、全社レベルでの管理が必要になります。各通貨での支払いと受け取り金額が、できるだけ均等になるように調整します。2.競合との競争条件を保つ最初の対応策は販売と費用の関係でしたが、2番目の対応策は競合との関係に着目します。製品に競争力があり、為替変動の影響を販売価格に転嫁できれば、問題はないわけです。この場合には、競合との関係が重要になります。数社で市場を占有していて新規参入が困難な場合に、あてはまるでしょう。・競合との費用の同一通貨化為替に関して競合との条件を同じにできれば、あとは製品力の勝負になります。例えばコマツは、超大型油圧ショベルではドイツと日本のライバル企業と戦っており、ドル圏に輸出する場合には、ドルに対するユーロと円の為替レートが競争を左右します。そこでコマツでは、ドイツと日本の2箇所に、超大型油圧ショベルの生産体制を用意しているそうです。生産拠点という競争の前提条件をライバル企業と同一にすることにより、品質や低コスト生産を武器に戦うことができます。3.通貨分散ポートフォリオを組んで、分散投資するのと同じ考え方です。・販売先通貨の多様化円の独歩高ならいざしらず、実際にはドルに対しては円高だが、ユーロに対しては円安、なんていうことが多いと思います。グローバル化を進め、販売先の通貨を多様化することにより、為替変動の影響を縮小できます。4.その他の短期的な対応・為替予約一般的に輸出企業は、為替変動により計画が大幅に狂わないように、為替予約をします。詳しく知りませんが、あまり長期に渡る予約をすることは無いと思いますので、為替の短期的な急変動の影響を和らげる効果にとどまります。・円建て取引円建てで輸出すれば、円ベースでの受け取り金額は、為替変動の影響を受けません。しかし輸出先企業にとっては、仕入れ値が上昇することを意味します。いずれは現地通貨での、値上げを検討せざるを得なくなるでしょう。これは製品の競争力が落ちることを意味しますので、いずれ日本の輸出企業にも影響がでてきます。なお円建て取引は、輸出の販売契約時と入金時の間の為替変動リスクを、輸出企業側がとるのではなく、輸出先企業側にとらせるという効果はあります。余計な管理の手間が省けると思います。このように、企業は様々な対策をとっており、かつてほど為替変動の影響は受けにくくなっています。ドル安を理由に過剰に株価が下がる場面があったら、買うチャンスかもしれませんね。
2008.04.04
コメント(2)
金価格は$900を超えました。数年前と比べると、銅やニッケルなどの金属市況も高騰しています。天然資源の国家管理の動きも強まっており、天然資源に乏しい日本にとっては、きびしい環境になってきました。しかし日本は世界有数の資源国になりうることをご存知ですか?製造済みの製品に使用した資源、いわゆる「都市鉱山」が豊富にあります。独立行政法人「物質・材料研究機構」の調査によると、日本の都市鉱山に含まれる金属で、世界の埋蔵量に対する比率で大きいものには、以下の金属があるそうです。 インジウム 61.05% 銀 22.42% アンチモン 19.13% 金 16.36% スズ 10.85% タンタル 10.41%このうち、インジウム/金/銀/鉛 は、世界一だそうです。特にインジウムの61%というのは、すごいですね。インジウムは、液晶の電極や太陽光発電で使われています。日本の製造シェアの高い製品ですね。長年に渡り輸入してきたものが、蓄積された結果なのだと思います。この試算は、1970-2003年の輸入量から、製品に使われて出荷した輸出量を差し引いて、国内蓄積量を算出しています。あくまでも蓄積している ”はず” なだけあり、今後はこれらをリサイクルして、有効利用していくことが重要になります。リサイクルするためには、「資源回収のしくみ」と、「再利用のための技術」が必要になります。再利用のための技術開発については、アサヒプリテックや松田産業, DOWA HD など、既に多くの企業がリサイクルの取り組みを始めています。しかし資源回収のしくみについては、国策として進める必要があると思います。製品に少量づつ使われているため、効率的な回収が難しいことと、回収したPCなどは、廃棄物処理として安値で海外に引き取られているものも多そうです。たとえ特定分野だけでも、日本が資源大国といわれる日が、いつかやってくるのでしょうか?
2008.02.08
コメント(2)
今日の日経新聞朝刊1面に、公的年金運用を中小型株に拡大するという記事が掲載されています。この話題自体は数ヶ月前から言われていたことですので、目新しさはありませんが、中小型株を手がけている個人投資家は多いと思いますので、良いニュースであることに違いはありませんね。以前の情報では、秋口から運用開始と聞いていましたが、来年からにずれこんだようです。**** 日経ネット より (太字は私がつけています) ****公的年金運用、中小型株に拡大 公的年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(年金運用法人)は、2008年初めに中小型株に特化して投資する新しい資金枠をつくる。規模は1000億円程度で、新興市場に上場するベンチャー企業株も購入する。投資先を中長期的に成長を期待できる中小型株に広げ、運用利回りの向上を目指す。 年金運用法人は厚生労働省の委託を受け、150兆円の公的年金積立金のうち90兆円を国内外の株式・債券で運用している。国内株の運用額は全体の2割強の20兆円で、ここから1000億円を新しい資金枠に振り向ける。(07:02) ********日経新聞では、このあとにも記事が続いています。「東京証券取引所に上場する中型株からジャスダック、東証マザーズ、大証ヘラクレスなどの新興市場まで幅広く投資対象とする。 中略保守的な運用で知られる年金運用法人の方針転換で、今後は企業年金の間でも新興市場株などへの投資が広がる可能性がある。」最近やっと新興市場が底入れした観があります。今後に期待したいですね。(世界の金融市場の波乱は、まだ続きそうな気もしますが)
2007.10.19
コメント(0)
10月1日から日本郵政公社が民営化されますが、7月末までの4ヶ月間で、保有する日本株を約1兆1000億円売却したそうです。*** 日経ネットより *** 日本郵政公社が7月末までの4カ月で、保有する日本株を約1兆1000億円売却したことが明らかになった。10月1日の民営化を控え、公社としての最後の決算で利益を確保するのが狙いとみられる。郵政公社の大量の売却は株式相場の上値を抑える要因になってきた。ただ人材や組織など運用体制が整う民営化後は、一転して「買いが見込めそう」との見方が強まっている。 郵政公社の資金量は郵貯部門が約180兆円、簡保部門が約110兆円で、合わせて約300兆円。個人金融資産の5分の1を占める。大半をリスクの少ない国債で運用しているが、信託銀行や投資顧問会社に委託する「金銭の信託」という勘定で、株式も運用している。(07:01) ******300兆円ですか。すごい資金量だと改めて感じます。郵政公社の資金運用動向からは、目が離せませんね。そこで、少し調べてみました。民営化前に集めた資金は、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構に引き継がれます。「独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法案要綱」の 3.業務 (1)業務の範囲 には、次のように書かれています。 1 機構は、その目的を達成するため、次の業務を行うものとする。 イ 廃止前の郵便貯金法等の規定により郵便貯金の業務を行うこと。 ロ 廃止前の簡易生命保険法等の規定により簡易生命保険の業務を行うこと。 ハ イ及びロの附帯業務を行うこと。その運用方針ですが、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法(平成十七年十月二十一日法律第百一号) の28条と29条に、運用可能な資産が記載されています。株式での運用は含まれていません。すなわち民営化前までに、従来株式で運用していた資産は、売却しなければいけないことになります。これが冒頭のニュースにつながるのだと考えます。(「最後の決算で利益を確保するのが狙い」という部分は、腑に落ちませんが)8月以降も売りが継続していると推測されます。今年の日本の株式市場は、海外と比べて低迷していますが、郵政公社による売却も一因になっていた可能性があります。しかしそれも9月末で終了します。10月からは需給が改善されると思います。次に、民営化後の新会社の運用方針はどうなるのか興味があります。上記の独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法の適用は受けずに、自由な運用ができるようです。上記日経ネットの記事にあるように、「民営化後は、一転して買いが見込めそう」に期待したいところですね。
2007.09.23
コメント(0)
7月29日の参議院選挙が終わると、徐々に税制変更論議が始まると思います。世間では消費税率に関心が集まるかもしれませんが、投資家としては譲渡益税の動向が気になります。現在の株式譲渡益税は、2008年末までに売却すると税率は10%ですが、2009年以降の売却だと20%になる予定です。昨年の税制論議のように、これが延長されることを希望しますが、税率がアップされる場合には、現在含み益を抱えた株式を一旦売却すべきか、悩ましいところです。私は基本的には、節税目的の売買は禁止しているのですが、大きな含み益がある場合には、無視できない金額になります。そこで、どのような場合に、一旦売却したほうがいいのか、考えてみました。前提条件:・一旦売却する場合には、同じ株価で買い戻すものとする。(クロス取引)・譲渡益税は、売却時に源泉徴収されるものとする。・買戻し時の株数に、端株が出ることは無視する。 (すなわち、源泉徴収後の手取り額=買い戻す金額 とする)・売買手数料は無視する。・初期投資額:I・税率10%で売却時の株価上昇率:A(初期投資額Iが、A倍に値上がりした)・税率20%で売却時の株価上昇率:A*B(税率10%で売買後、更にB倍になる)<ケース1:通常の譲渡益計算の場合>(1)クロス取引せず、最後に20%税率で売却する場合の手取り額売却金額 = I * A * B譲渡益 = I * (A*B) - I = I *(A*B - 1)譲渡益税 = I * (A*B - 1) * 0.2手取り額 = I * A * B - I * (A*B - 1) * 0.2 = 0.8 * IAB + 0.2 * I(2)クロス取引した場合の、手取り額税率10% での売却金額 = I * A譲渡益 = I * A - I = I * (A - 1)譲渡益税 = I * (A - 1) * 0.1税率10%での手取り額 = I * A - I * (A - 1) * 0.1 = 0.9 * IA + 0.1 * I (この金額が、クロス取引での再投資額になる)税率20% での売却金額 = (0.9 * IA + 0.1 * I) * B (再投資後B倍になった)譲渡益 = (0.9 * IA + 0.1 * I) * (B - 1)譲渡益税 = (0.9 * IA + 0.1 * I) * (B - 1) * 0.2最終手取り額 = (0.9 * IA + 0.1 * I) * B - (0.9 * IA + 0.1 * I) * (B - 1) * 0.2 = I * (0.72 * AB + 0.08 * B + 0.18 * A + 0.02)(3)クロスしたほうが良い条件上記(2)の最終手取り額 > 上記(1)の手取り額となる条件は、I * (0.72 * AB + 0.08 * B + 0.18 * A + 0.02) > 0.8 * IAB + 0.2 * I0.72 * AB + 0.08 * B + 0.18 * A + 0.02 > 0.8 * AB + 0.24 * B + 9 * A > 4 * AB + 99 * (A - 1) > 4 * B * (A - 1) (注.含み益があるので、A > 1 です) 9 / 4 > Bすなわち、クロス取引後の上昇率が、2.25倍以下であれば、クロス取引したほうが得で、2.25倍以上になるなら、クロス取引しない方が得をすることになります。<ケース2:買値5%ルールを採用した場合>買値が不明な場合には、売値の5%を買値とみなす、というルールがあります。買値がわかっている場合にも、売値の5%を買値とみなしても良いか、税務署に確認したところ、構わないとの回答でした。ここでのポイントは、株価が上昇すれば、みなし買値も上昇する点です。そこでケース2では、売値の5%を買値とした場合(すなわち、20倍以上に値上がりしている場合)について、検討します。前提条件の追加:税率10%で売却する時の株価上昇率:A > 20 とする。(1)クロス取引せず、最後に20%税率で売却する場合の手取り額売却金額 = I * A * B譲渡益 = I * (A*B) * 0.95譲渡益税 = I * (A*B) * 0.95 * 0.2 = I * (A*B) * 0.19手取り額 = I * A * B - I * (A*B) * 0.19 = 0.81 * IAB(2)クロス取引した場合の、手取り額税率10% での売却金額 = I * A譲渡益 = I * A * 0.95譲渡益税 = I * A * 0.95 * 0.1 = I * A * 0.095税率10%での手取り額 = I * A - I * A * 0.095 = 0.905 * IA (この金額が、クロス取引での再投資額になる)税率20% での売却金額 = 0.905 * IA * B (再投資後B倍になった)譲渡益 = 0.905 * IA * (B - 1)譲渡益税 = 0.905 * IA * (B - 1) * 0.2最終手取り額 = 0.905 * IA * B - 0.905 * IA * (B - 1) * 0.2 = 0.724 * IAB + 0.181 * IA = (0.724 * B + 0.181) * IA(3)クロスしたほうが良い条件上記(2)の最終手取り額 > 上記(1)の手取り額となる条件は、(0.724 * B + 0.181) * IA > 0.81 * IAB0.181 / 0.086 > Bすなわち、クロス取引後の上昇率が、2.1046511倍以下であれば、クロス取引したほうが得で、それ以上上昇するなら、クロス取引しない方が得ということになります。どちらのケースでも、将来売却するまでに、さらに2倍強値上がりする場合には、クロス取引の必要性はないことになります。毎年2割株価が上昇すると仮定すると、4~5年かかりますね。過去の保有期間はそれくらいありますが、あと4~5年安泰でいてくれるかなあ?
2007.07.03
コメント(7)
住宅ローンの貸し倒れ損失をカバーする、住宅ローン信用保険という商品に対して、銀行からの引き合いが急増しているそうです。今春から銀行に対して導入される、新しい自己資本比率規制では、貸出債権のリスク評価が厳しくなりますが、保険をかければ信用リスクの量を減らせるため、「自前で資本を積み上げるより安く済む。自己資本比率を下げたくない地銀や信金から問い合わせが相次いでいる。」(ジェンワース・モーゲージ・インシュアランス)とのことです。昨年終盤から我が軍の中核部隊に昇格した、フィンテックグローバルにとっては、現在はまだ手がけていませんが、新たなビジネスチャンスになるかもしれないと、期待しています。フィンテックでは既に、子会社のイントラストを通じて、滞納家賃保障システムを提供しています。顧客も賃貸管理会社と銀行では全く違うし、滞納家賃保障と住宅ローンではノウハウも違うかもしれませんが、規制など事業環境に変化があるところには、ビジネスチャンスが転がっています。玉井社長なら、そのような環境変化を、有効利用してくれると思います。そういえば家賃保障も、顧客からこんなサービスを提供してくれと請われて、始めたと言っていたような記憶があります。(火災保険の再保険の話だったかな?)フィンテックは銀行とは付き合いが深いので、住宅ローン信用保険も既に依頼されているかもしれませんね。だけど、今でも人手が足りずに仕事を断っている(選んでいる)ようなので、そこまで手が回らないかな?新たな商品開発に力を入れているとは言っていましたけど。
2007.01.14
コメント(0)
現在の不動産価格は、収益還元法に基づいて取引されることが、一般的になっています。収益還元法とは、賃料収入に応じて不動産の価値が定まり、物件価格をつける方法です。この結果、賃料収入が大きくなれば、不動産の評価が高まり、高い価格で取引されることになります。このような環境においては、賃料収入と物件価格が正比例することは、容易に予測できます。実際に現在の日本のオフィス市場においては、 空室率の低下 → 賃料の上昇 → 物件価格の上昇という順番で、不動産価格の上昇につながっています。余談ですが、不動産流動化銘柄の利益の源は、高い賃料収入をとれるようにバリューアップする能力にあります。さて、話をアメリカの住宅市場に移します。ご存知のように、アメリカの住宅バブルがはじけるのではないかと、懸念されてきました。実際に住宅価格は下落しています。当然家賃も下がっていると思いましたが、実は家賃は上がっているそうです。住宅価格が下がっているので、様子見で買い控えが起こっているようです。そのため住宅価格の下落に拍車がかかります。しかし買い控えしている人たちにも、住むところが必要です。必然的に、賃貸住宅への需要が増えることになり、その結果賃貸住宅の需給が逼迫し、賃料が上昇しているとのことです。説明されれば、理解できますが、意外でした。でもこれは、人口が増加している、アメリカならではの現象かもしれませんね。
2006.12.18
コメント(0)
先日、平成17年度の消費者物価指数が発表されましたが、今回は5年に1度の調査品目の改訂がさなれました。新たに34品目が追加され、48品目が整理統合されました。改定された品目を見ると、世の中の流れがわかりますね。例えば、新たに追加されたものには、次のようなものがあります。回転寿司:たしかに最近5年で、増えたと思います。 私も以前くらコーポレーションに投資していたことを思い出します。錠: ピッキング被害が増えましたね。サプリメント:昨日富士写真フィルムまで、サプリメントに参入しましたね。カーナビゲーション:今では当たり前になってきました。 次回の改定ではETCが入るでしょうね。移動電話機:携帯電話の用途が広がりましたね。 私は首輪をつけられるのが嫌いなので、持っていないけど。補習教育: ゆとり教育の反動で、塾通いが増えたのかな?テレビ(薄型):だいぶ安くなってきましたね。DVDレコーダー:テープの時代と比べると、便利ですよね。フィットネスクラブ使用料:フィットネスに行く元気なシニアが増えているのかな?エステティック料金:はやっていたんだ。知りませんでした。除外されたものは、ミシン:裁縫しなくなったのかな? うちにもありません。ビデオテープレコーダー:DVDレコーダーが普及したので、当然ですね。ワープロ:5年前までワープロが残っていたこと自体、不思議です。麻雀遊技料:私は麻雀が好きなので、残念です。 愛好家の皆様。5年後の改定で、復活させましょう。
2006.09.13
コメント(0)
昨日の日経新聞朝刊に、2005年度のゴルフ場の入場者数が増加し、黒字のゴルフコースが増えているという記事がでていました。高齢者と女性の利用者が増えているようです。それをはやして、昨日はゴルフ関連株が活況だったようですが、私はアーバンコーポレイションの1Q決算を思い出しました。アーバンの1Q決算で私が注目したのは、「その他事業」の業績が順調に伸びていることが、確認できたことでした。先般発表された新たな中期経営計画では、新たな取り組みのひとつとして、ゴルフ事業があげられていました。その他事業に、ゴルフ場をはじめとする新規事業が含まれます。その他事業は、2006.3期の売上総利益では4番手の事業でしたが、2007.3の計画では2番手になっています。(37ページ参照)本当に計画通りに伸びるのか、その他事業の動向に注目していましたが、1Q決算では既に不動産流動化事業に次ぐ、収益の柱に育っていることが確認できました。(説明資料の4ページの売上高総利益を参照)あっさりと第2の収益の柱を育てるとは、房園さんはさすがです。ゴルフ人口が増加するなどの事業環境の変化を見込んでいたのでしょうね。事業環境を的確に把握し、それを確実にビジネスチャンスにつなげる計画力・実行力は、房園さんの本領発揮だと感じました。主力の流動化事業でも、国有資産の流動化など、着実にビジネスチャンスを活かしてくれることでしょう。
2006.08.30
コメント(0)
昨日の日経新聞夕刊に、昨年度の公的年金の運用益が 8兆6811億円と過去最高になったという記事が載っていました。これ自体は喜ばしいニュースなのですが、株式市場にはネガティブな影響を与える可能性があります。まずは記事をご覧ください。http://www.nikkei.co.jp/news/main/20060720AT3S1902I20072006.html*** 以下抜粋 ***「公的年金資金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(旧年金資金運用基金)は20日、2005年度の公的年金(厚生年金と国民年金)積立金の運用結果を発表した。株価の上昇などを背景に、運用損益は8兆6811億円の黒字になり、過去最高を更新。運用益のうち基準額を超えた1兆9611億円分は年金特別会計に納付し、将来の年金給付に充てる。 05年度の時価ベースの収益額(運用手数料控除前)は8兆6795億円。運用利回りは14.37%だった。株式相場が堅調で、収益額のほぼ4分の3を国内株式の上昇分が占めた。外国株式と外国債券の価格も円安傾向などを背景にそれぞれ上昇。国内債券だけは金利が上昇したため下落した。 厚生労働省が旧年金資金運用基金に運用を任せた寄託金は、総額の1%を超える収益が発生すると、超過分を翌年度に年金特別会計に納付することになっている。05年度は前年度に引き続きこの基準額を超えた。年金財政は株価の下落などで悪化したが、03年度ころから改善傾向が続いている。 (10:20) 」*** 抜粋終わり ***今年度に 1兆9611億円納付しなければいけないようです。全額日本株を売却して資金を捻出するわけではないでしょうが、大きな売り圧力が発生する可能性があります。今は新興市場が売られていますが、今年度後半は年金資金が買っていそうな東証1部大企業は、避けた方が無難かもしれませんね。
2006.07.21
コメント(0)
本日の日経新聞夕刊の一面に、結婚件数が昨年半ばから増加傾向にあるという記事が載っていました。団塊ジュニアが貢献しているそうです。また今年2月から、出生数も前年同月を上回っているとのことで、喜ばしいです。(ん? 結婚してから子供が生まれるまでの期間が、少し短いような?)日本の二大弱点である(1)少子高齢化 (2)財政赤字 のうちのひとつに、歯止めがかかればいいですね。人口動態に関係することですので、一定期間継続する可能性があると思います。テイクアンドギブ・ニーズで結婚式を挙げ、フージャースのマンションを新居にしてくれると、私にとっても好都合です。(笑)「結婚の件数が増加傾向に転じている。厚生労働省の人口動態統計(速報値)では、全国の市区町村に届けられた婚姻数が昨年半ばから増加基調をたどっている。人口の多い団塊ジュニア(1971-1974年生まれ)世代の結婚などが背景とみられる。出生数も二-四月に前年同月を上回っており、この傾向が続くかどうか注目されている。」
2006.06.28
コメント(0)
昨日6月27日の日経新聞に、「急成長する中堅企業」ランキングが載っていました。私の投資手法については、おいおいご紹介しようと思いますが、主に成長株への長期投資です。こういうランキングに載っている企業の中からいくつか調査して、投資対象を探すことがあります。今回のランキングの中には、私の持ち株が3銘柄入っていました。 テイクアンドギブ・ニーズ アーバンコーポレーション フージャースコーポレーションです。さて、新たな投資先でも探そうかな。 社名 増益率1.シンプレクス・インベストメント・アドバイザーズ 8185.712.スパークス・アセット・マネジメント投信 1866.573.山陽特殊製鋼 1821.134.東芝機械 1797.655.愛知製鋼 1676.386.テイクアンドギブ・ニーズ 1433.197.ニッシン債権回収 1356.318.サンクス 1226.539.岡本工作機械製作所 1151.7010.アーバンコーポレーション 1150.7311.フルサト工業 1125.1212.トプコン 1070.5713.サンフロンティア不動産 1021.7614.ハーモニック・ドライブ・システムズ 848.2815.山善 772.6016.東邦亜鉛 765.2117.グランディハウス 721.1918.メイコー 713.0119.フージャースコーポレーション 702.4720.東邦チタニウム 545.6221.テレウェイブ 527.0422.CKD 523.2323.SMK 506.7224.アイ・エックス・アイ 475.1525.プレス工業 445.1326.イリソ電子工業 383.4327.東セロ 382.2328.日立ツール 375.5129.日本製鋼所 350.0030.キッツ 347.47調査の方法:ランキング対象は銀行、証券、保険を除く全国上場企業(1) 2005年度実績の経常利益が30億円以上200億円未満(2) 03年度から05年度まで三期連続増収、かつ経常増益(3) 05年度実績が経常最高益で 06年度予想も最高益見通しの条件でスクリーニングし、02年度実績から06年度予想までの経常増益率が高い順にランキング。
2006.06.28
コメント(0)
全23件 (23件中 1-23件目)
1