今日のまとめ
冴えない新興国株式市場

次はインドSENSEX指数です。

次はブラジル・ボベスパ指数です。

もちろん、全ての新興国の株式がダメなわけではありません。ジャカルタ総合指数は元気です。

このほかアセアン諸国の株式市場はおおむね堅調です。
そこで今日は、なぜBRICsの株式市場が冴えないのかについて考えてみることにします。
ドル
去年の暮からドルが堅調です。これには二つの要因があります。ひとつは米国の景気が、欧州や日本の景気より底堅いことが関係しています。下は欧州委員会が出した『冬季レポート』による世界のGDP成長率予想です。

今年と来年の米国の予想が、他国より高い点に注目してください。
ドルが堅調なもうひとつの理由は日本が積極的な緩和政策を採用したことによります。
このためドルの堅調は今後も続く可能性が強いと言えます。
ドルとコモディティ敏感な投資対象との関係
さて、ドルと、金や原油などのコモディティは、逆相関の関係にあると言われています。これらの商品はドル建てで取引されるため、ドルが減価するとそれを補うために商品の価格が高くなるからです。
逆に現在のようにドルが高くなっているときはドル建てのコモディティの値段には下落圧力がかかります。このため金や原油はこのところ冴えない展開になっています。
新興国、とりわけブラジルやロシアはコモディティの輸出が経済のバックボーンになっています。このため資源価格が低迷しているときは株式市場も人気が離散しやすいです。
加えて世界で一番潤沢な投資資金を持っており、新興国株式の主要な買い手である米国の投資家は、ドル高局面では海外の投資を控える傾向があります。このことも新興国株式が顧みられない理由となっています。
BRICsの景気はどうか?
さらにBRICsの景気を見た場合、前回のレポートでお伝えしたように、足下のBRICsの景気には陰りが見えています。

中国政府が不動産市場の投機抑制に動いていることが、いまひとつハッキリしない景況感につながっていることは、間違いありません。
このように現在は諸々の要因が全て新興国の株式にアゲンストの風となっているわけです。ただ株価が安いことはBRICs諸国の経済運営が破たんしていることを意味しません。
株式市場のバリュエーションで見ると、これらの市場は歴史的に最低の水準に差し掛かっています。
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