今日のまとめ
曲がり角に立つロシア経済
最近、ロシアの経済に元気がありません。
下は同国の鉱工業生産高です。

このところ急激な落ち込みを見せています。
次に固定資産投資を見ると、こちらも低迷しています。

ロシアの失業率はこのところずっと低く、これが同国の消費を下支えする重要な要因となってきました。しかしその失業率もここへきて上昇する兆しを見せ始めています。

これを受けて小売売上高は軟調に推移しています。

景況感が不透明であるにもかかわらず、ロシアはインフレ気味です。

ロシア経済不調の原因
一体、ロシアの経済はなぜスランプに陥っているのでしょうか?
その第一の理由は同国の輸出の3分の2が天然ガスや石油などのエネルギーであり、しかもその主要輸出先が欧州市場であることに求められます。
欧州ではギリシャ危機以降、各国が財政緊縮政策をとっているため、2012年、2013年と2年連続でGDPがマイナス成長を記録すると見られています。これがロシアにも暗い影を落としているわけです。
天然ガスの市場構造が変わる?
これまでドイツ、ポーランドをはじめとする欧州各国はロシアからパイプラインで天然ガスの供給を受けてきました。ロシアの天然ガス輸出価格はブレント原油価格を基に決定されてきました。
しかしアメリカでシェールガスのブームが起き、LNGの輸出が始まる可能性があること、さらにポーランドなどでもシェールガスが出ると言われていることなどからブレント価格に基づいた値決め方式に欧州各国から不満の声が上がっています。言い換えれば競争原理が導入されたことでロシアはこれまでのような「殿様商売」が出来なくなりつつあるのです。
中国経済の減速
それに加えて中国経済の減速は鉄鉱石、石炭、銅などのコモディティ価格に下落プレッシャーを与えています。
ロシアは素材や資源の輸出に対する依存度が世界の国々の中でも最も高い部類に入るので、この悪影響をもろに受けます。
ビジネス・フレンドリーな環境づくりが急務
ロシアは世銀の「ビジネスのしやすさ」に関する調査で世界185カ国中117位でした。つまり平均以下なのです。投資家保護、腐敗の根絶、政府の恣意的なビジネスへの介入などの面で、ロシアは改善しなければいけないことが沢山あります。
コモディティ市況はロシアにはどうすることも出ませんが、すくなくともそれらの面で改革を押し進めることがロシアの場合、急務だと思います。
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