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今日のまとめ中国のオーバーナイトのインターバンク・レートが急騰した中国の銀行は相互不信に陥っているシャドー・バンキングを抑制するため、見て見ぬフリをしたという説明がある信用追加と名目GDPの成長との関係が崩れてきている新しい信用の追加が、借金の借り換えに使われている形跡がある中国のインターバンク・レートの急騰このところ中国のオーバーナイトのインターバンク・レートが急騰しています。インターバンク・レートとは、銀行間で資金を融通し合うことを指し、このレートが跳ね上がることは銀行が相互不信に陥っていることを暗示します。普通、それが酷くなる前に中央銀行が流動性を提供し、信用のひっ迫を是正するのですが、今回は中国人民銀行の動きは鈍かったです。これは一説には近年、中国に横行している「シャドー・バンキング」を抑制するため、中国人民銀行が銀行間信用の枯渇に見て見ぬフリをしているからだとされています。シャドー・バンキングとはそれではシャドー・バンキングとは、何を指すのでしょうか?中国では大手銀行の融資の総量は厳格に規定されているし、銀行が直接、地方政府に融資することは出来ません。そこで地方政府はある種の特別目的会社を設立し、そこへ融資するわけです。この融資は投資利回りを確約した、一種の信託商品として、フィナンシャル・アドバイザーなどを通じて裕福層などへ販売されます。このような商品が去年は5.87兆人民元も販売されました。 すると上のグラフの青の部分に見られるように、折角、ローンの総量を規制しても、銀行のバランスシートの簿外に存在する信託商品が出る事で、規制がしり抜けになってしまうのです。昔は上のグラフのように信用が追加されると、それに呼応するかたちで中国経済の名目GDP(=インフレを割り引く前)も、ほぼ同じペースで増加しました。 しかし最近は両者の関係が崩れてきています。 この現象に対する、ひとつの説明として、2009年以降、信用の追加が名目GDPを押し上げにくくなった一因は、新しい信用が、すでに存在する借金の借り換えに向けられ、実態経済に投入されないからだという説があります。
2013年09月04日
今日のまとめFOMCで引き締めが見送りになる可能性が出て来たBRICsの方がアセアンより株価水準が低いリバウンド妙味はBRICsの方が大きい但しあくまでもトレーディングと割り切ることいいとこなしのBRICsにチャンス到来?このところBRICsの株式市場が冴えません。とりわけ5月22日にバーナンキFRB議長が「次の2、3回の連邦公開市場委員会(FOMC)で現在行われている毎月850億ドルの債券買い入れプログラムを縮小するかもしれない」とコメントして以来、新興国株式は下げ足を速めています。しかし短期的にはFRBが引き締めに転じることがかなり織り込まれてしまっているため、逆に引き締めが見送りになった場合、安堵から市場が反発する可能性も出てきました。投資家はアセアンに逃げ場を求めたなおBRICsとそれ以外の新興国(たとえばアセアン諸国)では、状況が少し異なります。先ずBRICsの株式市場は中国経済の鈍化を嫌気して、ずっと人気離散していました。投資家は「BRICs以外に、何か良い投資先は無いだろうか?」という発想から、アセアンの株式市場に物色の矛先を向けました。政策金利からインフレ率を引いた実質政策金利では、BRICsの中央銀行は引き締め気味、一方のBRICs以外の新興国の中央銀行は緩めの政策を採ってきました。これは緩めの金利政策を採用した国々にバブル的な資産価格の上昇が起こる余地が大きかったことを意味します。従って目先的にはアセアン市場などのBRICs以外の新興国株式市場にダウンサイドリスクが大きいです。これとは対照的に株価の位置の低いBRICsはリバウンド余地が大きいと言えます。水曜日のFOMC次第BRICsの株式市場が反発できるかどうかは、水曜日の連邦公開市場委員会(FOMC)次第だと思います。このところ世界の市場が荒れ気味なので、バーナンキ議長は慎重に物事を進めるという姿勢を確認すると思います。若しそうなった場合、世界の市場が反発することが期待できます。但しその場合でも、長期に渡るバイ&ホールドではなく、あくまでもトレーディングのチャンスでしかないと考えます。その理由は、仮に今回、債券買い入れプログラム縮小が延期されても、いずれ近いうちにその手仕舞いに着手しなければいけないからです。下は比較的出来高が多く、トレードしやすいBRICs関連の投資対象の例です。銘柄ティッカー説明アムベブABVブラジル、ビール会社ペトロブラスPBRブラジル、石油会社ペトロチャイナPTR中国、石油会社マーケット・ベクトル・ロシアETFRSXロシアインフォシスINFYインド、ITアウトソース
2013年09月03日
今日のまとめ5月の輸出は市場予想を大幅に下回った5月の輸入も同じく市場予想を大きく下回った1月以降、持ち直していた中国の貿易パフォーマンスに再び懸念が生じた貿易統計中国の5月の輸出は前年比+1.0%の1,828億ドルでした。市場予想は+7.3%でした。因みに4月は1,870.6億ドルでした。輸出の増加率(前年比)は2012年12月+2.9%2013年1月+25.0%2013年2月+21.8%2013年3月+10.0%2013年4月+14.7%2013年5月+1.0%ということになります。中国の5月の輸入は前年比-0.3%の1,623億ドルでした。市場予想は+6.0%でした。因みに4月は1,689億ドルでした。輸入の増加率(前年比)は2012年12月+6.0%2013年1月+28.8%2013年2月-15.2%2013年3月+14.0%2013年4月+16.8%2013年5月-0.3%ということになります。 1月以降、中国の貿易統計は昔の安定を取り戻しつつあるように見えましたが、今回の数字が悪かった事で中国の貿易パフォーマンスに対する懸念が再び高まるものと思われます。
2013年09月02日
今日のまとめブラジルは欧州からの受注の落ち込みが目立ったロシアは比較的悪化のペースが緩慢であるインドは国内からの新規受注の弱さが足を引っ張っている中国は米国からの受注が低迷しているBRICs全体に景況感は悪化の一途を辿っているブラジルブラジルの5月の製造業購買担当者指数は50.4でした。これは4月の50.8から悪化しました。 ブラジルの製造業購買担当者指数は1月に53.2のピークを付けて以来、ずっと減速しています。新規輸出受注は4月に落ち込んだ後、5月も低迷を続けました。とりわけ欧州からの引き合いが弱いです。新規の注文が低水準なので、企業は手持ちの受注残を消化することで生産を続けています。受注残は3カ月連続して減少を見ました。雇用は4月に続いて5月も減少しました。生産そのものは未だ拡大しています。仕掛品ならびに完成品の在庫はともに減少しました。ロシアロシアの5月の製造業購買担当者指数は50.4と4月の50.6から若干下がりました。 落ち込みを見せていた新規輸出受注が安定したことで新規受注全体も若干持ち直しました。しかし生産には余り反映されませんでした。雇用は7カ月連続で縮小しました。しかし縮小幅は小さくなっており、底打ちの兆しが見えています。仕入れ価格は上昇しています。インドインドの5月の製造業購買担当者指数は50.1と4月の51からさらに弱まりました。 これで3カ月連続して指数が弱まったことになります。新規輸出受注は堅調で、1月以来、最も強い数字でした。その半面、国内からの受注は弱く、全体の新規受注の足を引っ張りました。生産高は2009年3月以来、はじめて50を割り込みました。仕入れコストにはインフレ・プレッシャーがありますが、最終製品の価格への転嫁は上手くいっていません。雇用は若干拡大しています。中国中国の5月の製造業購買担当者指数は49.2と弱かったです。これで4月の50.4に次いで、2カ月連続で指数が弱まったことになります。 新規輸出受注は2カ月連続して下落しました。米国からの受注が弱かったことがその原因です。これを受けて新規受注全体も下落しました。一方、生産の方はまだかろうじて50以上となっています。これで7カ月連続して生産が拡大したことになります。雇用は縮小しています。新規購買も縮小しており、仕入れ価格も下落しています。納期は短縮しています。これらは全て経済が弱いことを示す兆候です。まとめBRICsの全ての国々がモメンタムの鈍化を経験しています。このところBRICsの株は冴えない展開が続いていますが、上に見たような経済の停滞から考えて、これは不思議ではないと思います。
2013年09月01日
今日のまとめロシアの経済指標は全て悪い資源輸出への依存体質が問題欧州の不景気も影響中国経済の減速がコモディティ消費に影ビジネス・フレンドリーな改革が急務曲がり角に立つロシア経済最近、ロシアの経済に元気がありません。下は同国の鉱工業生産高です。このところ急激な落ち込みを見せています。次に固定資産投資を見ると、こちらも低迷しています。ロシアの失業率はこのところずっと低く、これが同国の消費を下支えする重要な要因となってきました。しかしその失業率もここへきて上昇する兆しを見せ始めています。これを受けて小売売上高は軟調に推移しています。景況感が不透明であるにもかかわらず、ロシアはインフレ気味です。ロシア経済不調の原因一体、ロシアの経済はなぜスランプに陥っているのでしょうか?その第一の理由は同国の輸出の3分の2が天然ガスや石油などのエネルギーであり、しかもその主要輸出先が欧州市場であることに求められます。欧州ではギリシャ危機以降、各国が財政緊縮政策をとっているため、2012年、2013年と2年連続でGDPがマイナス成長を記録すると見られています。これがロシアにも暗い影を落としているわけです。天然ガスの市場構造が変わる?これまでドイツ、ポーランドをはじめとする欧州各国はロシアからパイプラインで天然ガスの供給を受けてきました。ロシアの天然ガス輸出価格はブレント原油価格を基に決定されてきました。しかしアメリカでシェールガスのブームが起き、LNGの輸出が始まる可能性があること、さらにポーランドなどでもシェールガスが出ると言われていることなどからブレント価格に基づいた値決め方式に欧州各国から不満の声が上がっています。言い換えれば競争原理が導入されたことでロシアはこれまでのような「殿様商売」が出来なくなりつつあるのです。中国経済の減速それに加えて中国経済の減速は鉄鉱石、石炭、銅などのコモディティ価格に下落プレッシャーを与えています。ロシアは素材や資源の輸出に対する依存度が世界の国々の中でも最も高い部類に入るので、この悪影響をもろに受けます。ビジネス・フレンドリーな環境づくりが急務ロシアは世銀の「ビジネスのしやすさ」に関する調査で世界185カ国中117位でした。つまり平均以下なのです。投資家保護、腐敗の根絶、政府の恣意的なビジネスへの介入などの面で、ロシアは改善しなければいけないことが沢山あります。コモディティ市況はロシアにはどうすることも出ませんが、すくなくともそれらの面で改革を押し進めることがロシアの場合、急務だと思います。
2013年05月21日
今日のまとめ4月の鉱工業生産は予想を下回った4月の小売売上高も予想を下回った中国人民銀行が実質金利を高く設定しているのがスランプの原因鉱工業生産中国の4月の鉱工業生産は+9.4%でした。市場予想は+9.5%ですので、それを下回りました。因みに3月は+9.5%でしたので、それよりも一段と鈍化しています。これで中国の鉱工業生産は3カ月連続して前月より鈍化したことになり、これは先に発表された生産者物価指数の下落が示唆する、中国の製造業部門の活動の低下を裏付ける内容となっています。小売売上高中国の4月の小売売上高は+12.5%でした。市場予想は+12.6%でしたので、落胆すべき内容でした。因みに3月は+12.4%でした。中国では、これまでの輸出主導型経済から内需主導型経済に転換すべきだということが言われて久しいです。しかしこれまでのところ、このシフトは上手く行っていません。この一因は中国では社会保障制度が比較的充実しておらず、それが中国の消費者が高い貯蓄率を維持し、なかなか消費に回さないことにつながっていることによります。中国人民銀行が不動産投機を抑制するため実質政策金利(政策金利からインフレ率を引き算したもの)を2.9%と、主要新興国中最も高い水準に設定していることも原因だと言えるでしょう。
2013年05月14日
今日のまとめ4月は輸出・輸入ともに二桁成長となり、懸念が払しょくされた消費者物価は予想より高く、生産者物価は予想より低かった中国人民銀行の対応はむずかしくなる貿易統計中国の4月の輸出は前年比+14.7%の1,870.6億ドルでした。市場予想は+10.3%でした。因みに3月は1,821.9億ドルでした。輸出の増加率(前年比)は2012年11月+2.9%2012年12月+2.9%2013年1月+25.0%2013年2月+21.8%2013年3月+10.0%2013年4月+14.7%ということになります。中国の4月の輸入は前年比+16.8%の1,689億ドルでした。市場予想は+13.9%でした。因みに3月は1,830.7億ドルでした。輸入の増加率(前年比)は2012年11月±0.0%2012年12月+6.0%2013年1月+28.8%2013年2月-15.2%2013年3月+14.0%2013年4月+16.8%ということになります。3月に続き4月も輸入、輸出ともに二桁成長となり、中国の貿易パフォーマンスに対する懸念は、だいぶ払拭されたと言えます。物価指数中国の4月の消費者物価指数は+2.4%でした。市場予想は+2.3%でしたので、それより少し高い数字でした。因みに3月は+2.1%ですのでインフレは加速したことになります。一方、中国の4月の生産者物価は-2.6%でした。市場の予想は-2.3%でした。3月は-1.9%でしたので生産者物価は減速のペースが速まったと言えます。生産者物価の減速のペースの速まりは、中国の景気がいまひとつ冴えないことの何よりの証です。その一方で消費者物価指数がじり高していることは、おいそれと緩和もできないことを示唆しています。つまり中国人民銀行は身動きが取りにくい状況に追い込まれていると考えられます。
2013年05月13日
今日のまとめアムベブはカーニバル期間の天候不順で悪決算だったペトロブラスはリオデジャネイロ沖油田開発の先行投資に苦しんでいるナショナル・スチールは多額の負債を抱え、利払いに不安を残すバーレは中国の景気の鈍化で過大投資が露呈バンコ・ブラデスコは堅実に経営されているアムベブアムベブ(ティッカー・シンボル:ABV)はブラジル最大のビール会社です。同社の国内市場占有率は69%です。4月30日に発表された同社の決算は同社らしからぬ、悪いものでした。EPSは市場予想0.81ブラジル・レアルに対し結果0.75ブラジル・レアル、売上高は市場予想815億ブラジル・レアルに対し結果727.7億ブラジル・レアルでした。ビールの出荷量が前年比-6.8%と落ち込んだ事が悪い決算になった主な原因です。とりわけブラジル国内の出荷量は-7.1%と急激に落ち込みました。例年よりカーニバルの開催期間が早いタイミングだったこと、折悪く悪天候に見舞われたことなどが消費低迷の原因だとされています。3月に入ってもこの天候不順は続き、ビールの消費量は低迷しました。加えて食品価格のインフレが加速したこと、可処分所得成長率が鈍化したこともビールの消費量に悪影響を与えました。良いニュースとしては4月以降、ビールの売れ行きが少し持ち直してきている点です。アムベブはコスト削減プログラムを打ち出し、利益を確保するとともに、限定的な特売戦略によりビール消費を促す計画を持っています。なお2013年のビール成長率は0%からマイナス4%を見込んでいます。同社はパッケージを刷新した新製品を続々出す計画であり、それも需要を刺激すると思われます。長期でみるとアムベブはしっかりと経営されてきました。1997年に僅か20%台だったEBITDAマージンは現在46.3%になっています。最近の業績低迷は経営上の失敗と言うより外部環境によるものと考えて良さそうです。来年はFIFAワールドカップがブラジルで開催されることもあり、ビールの消費量は持ち直すと見られています。ペトロブラスペトロブラス(ティッカー・シンボル:PBR)はブラジル政府が議決権の61%を所有する石油会社です。2012年の石油ならびに天然ガスの生産実績は260万バレル/日で、これはアメリカのシェブロン(ティッカー・シンボル:CVX)にほぼ匹敵する生産高です。また確認埋蔵量(米国証券取引委員会基準)は123億BOEで、上場企業としてはエクソン・モービル(ティッカー・シンボル:XOM)の252億BOE、BPの168億BOE、ロイヤルダッチ・シェルの133億BOEに次いで、第4位となります。4月29日に発表された第1四半期の決算発表では純利益が市場予想70億ブラジル・レアルに対し結果76.9億ブラジル・レアルと予想を上回りました。売上高は725.4億ブラジル・レアルで前年同期比+10%でした。今期は予め計画されていた保全作業のため一部の油田を休止点検したため、生産高は前年同期比-5%でした。1月30日付けでブラジル国内のディーゼル販売価格が+5.4%、ガソリン販売価格が+6.6%値上げされました。ペトロブラスは石油の探索・生産などの川上部門だけでなく、精製・販売など所謂、川下部門も手掛けています。売上比率で言えば川下部門の方が大きく、国内で探索・生産される石油で賄いきれない部分は輸入に頼っています。リオデジャネイロ沖のプリサルト層に巨大な油田が相次いで発見されており、それらの油田の開発・生産に向けて高水準の先行投資を行っています。2013年から17年にかけての投資額は2,367億米ドルが予定されています。目下はこの莫大な先行投資が同社の業績を圧迫し、それが株価低迷の一因となっています。現在、プリサルト層からの生産は全体の7%程度に過ぎません。しかし2016年頃からリオデジャネイロ沖のルラ油田の本格生産が開始されると、プリサルト層からの生産は全体の30%に達すると見られています。それらの油田が生産を開始すれば川上・川下のバランスが改善し、収益性が改善するものと思われます。ナショナル・スチールナショナル・スチール(ティッカー・シンボル:SID)は1941年に創業されたブラジルを代表する製鉄会社のひとつです。同社は鉄鋼生産に必要な鉄鉱石やエネルギーなどを自前で供給できる、垂直統合されたビジネス・モデルです。売上高の約55%が鉄鋼部門、35%が鉄鉱石部門、残りがセメントやエネルギー部門からもたらされています。同社の鉄鋼部門は所謂、フラット(鋼板)ではブラジル第2位です。同社の顧客を見ると建設・インフラが売上高の22%、自動車産業が15%、パッケージングが9%、家電やメーカーが12%、卸売が42%となっています。なお、同社のバランスシートには157億ブラジル・レアルの負債が載っており、2012年の利払いコストだけで22.5億ブラジル・レアルかかりました。純負債対EBITDA(利払い・税・償却前利益)比率は3.47倍で、債務の負担は大きいです。製鉄業のビジネスは極めて市況や景気に左右されやすく、景気が悪くなるとたちまち利払い能力が問題になってきます。その意味ではナショナル・スチールは投資対象としては、片時も安心出来ない、ハイリスクな銘柄と言えます。バーレバーレ(ティッカー・シンボル:VALE)はブラジル最大の鉄鉱石の会社です。2012年の通年の売上高は465億ドルでした。同社の鉄鉱石は主に中国に輸出されています。従って、同社の株価は中国の景気と密接な関係があります。長期的にみて中国からの鉄鉱石の引き合いがまだまだ増大すると判断したバーレは、近年、先行投資を拡大しています。過去5年間の累積先行投資額は676億ドルにものぼります。その関係もあって2012年末の時点で同社のバランスシート上には244億ドルもの負債が載っています。あいにく足下の中国の景気はいまひとつで、鉄鉱石の需要も強くありません。ただ増産の判断は、ひとたび投資の意思決定をしてしまうと、簡単には翻せません。このため同社の業績はブラジル国内の景気云々に左右されるというより、拡張し過ぎてしまった事業計画をどう下方修正するかということにかかっていると言えます。言い換えれば「ブラジルの経済成長を買う」という切り口で投資する対象としては、問題のある銘柄だということです。バンコ・ブラデスコバンコ・ブラデスコ(ティッカー・シンボル:BBD)は1943年に創業されたブラジル第3位の銀行グループで、最も堅実に経営されている銀行です。同行はまた保険部門も持っています。同行の総資産は2013年3月末の時点で8,945億ブラジル・レアルです。ブラジル全体の要求払い預金残高の16.9%、セービング口座預金残高の13.9%、貸付残高の11.3%の市場占有率を誇っています。支店数は4,687店舗です。バンコ・ブラデスコの2013年第1四半期の時点での純金利マージンは7.2%、株主資本利益率は19.8%、総資産利益率は1.3%です。またティアワン・キャピタル・レシオ(バーゼルII)は11.0%です。貸付ポートフォリオ全体に占める支払遅延(90日以上)ローン比率は4.0%で、2012年6月以来、この数字は減少しつつあります。
2013年05月07日
今日のまとめ製造業購買担当者指数(速報値)は再び暗転中国の製造業の活動は1月をピークとして衰えつつある今回の数字は最近の弱い経済統計と符合新規海外受注が50以下に中国政府はそろそろ景気テコ入れ策を繰り出す必要アリ製造業購買担当者指数(速報値)中国の4月の製造業購買担当者指数(速報値)は50.5でした。コンセンサス予想は51.5でしたので、それを下回ったことになります。中国の製造業の活動はどうやら今年の1月がピークで、再び下降局面に入っているように見えます。これは最近発表された弱い鉱工業生産や、下げ足を速めている生産者物価指数などの経済指標が示唆している中国経済の減速の兆候と符合しています。項目別のパフォーマンス今回の製造業購買担当者指数(速報値)をもう少し細かく分析すると、先ず新規海外受注が再び50を割り込みました。これは悪い方向への転換を意味します。受注全体はかろうじて50を超えていますが、ペースは減速しました。仕入れ価格ならびに出荷価格は、どちらもかなり下がっています。完成品在庫は積み上がりつつあります。また納期は短くなっています。これらのデータはいずれも需要が弱いことを示唆しています。こうした状況を反映して雇用指数は50を割り込みました。これも悪い方向への転換です。最近発表された中国の経済指標を見ると中国政府は何らかの景気テコ入れ策をそろそろ打ち出す必要があることを感じさせます。
2013年04月23日
今日のまとめ中国の第1四半期GDPは+7.7%と冴えなかった3月の鉱工業生産は+9.5%と低迷3月の小売売上高は+12.4%と市場予想を下回った全体として冴えない数字はコモディティ市況に悪影響を及ぼしているGDP中国の第1四半期GDPは+7.7%でした。市場予想は+8.0%でしたのでがっかりさせられる数字でした。因みに去年の第4四半期は+7.8%でしたので成長率は鈍化していることになります。鉱工業生産中国の3月の鉱工業生産は+9.5%でした。市場予想は+10.0%でしたので、こちらも落胆させられる数字でした。因みに1・2月の鉱工業生産は+9.9%でしたので成長率は鈍化しています。小売売上高中国の3月の小売売上高は+12.4%でした。市場予想は+12.5%でしたので、これもがっかりさせられる数字です。因みに1・2月は+12.3%でした。この比較では少し改善したことになります。ただ基調としては未だボトムを模索するグラフであることには変わりはありません。中国経済の足踏みでコモディティ市場が下落今回発表された中国の一連の経済指標は中国経済が去年の景気循環的回復から再び弱含みはじめていることを確認する内容となりました。中国は銅、鉄鉱石、原油、石炭などを大量に消費する、コモディティ市況にとって最も重要な国です。その中国の経済指標がいまひとつ冴えないため、商品相場は冴えない展開になっています。中国政府の優先政策課題は不動産投機の抑制であり、そのような政府の意向にもかかわらず最近、再び不動産の取引は活発化しています。これは中国政府が引き続き引締め的な政策を取ることを示唆しており、株式や商品の投資家にとっては逆風の投資環境が続くと考えて良いでしょう。
2013年04月16日
今日のまとめ中国の3月の輸出は+10%、輸入は+14%だった輸入のリバウンドは特に心強かった消費者物価指数には食肉の安全に関する懸念の影響は未だ現れていない生産者物価指数の下落はメーカーにおける活動が鈍いことを示唆貿易統計中国の3月の輸出は前年比+10%の1,821.9億ドルでした。因みに2月は1,407.4億ドルでした。輸出の増加率(前年同期比)は2012年10月+11.6%2012年11月+2.9%2012年12月+2.9%2013年1月+25.0%2013年2月+21.8%2013年3月+10.0%ということになります。一方、中国の3月の輸入は前年比+14%の1,830.7億ドルでした。因みに22月は1,252.8億ドルでした。輸入の増加率(前年同期比)は2012年10月+2.4%2012年11月±00%2012年12月+6.0%2013年1月+28.8%2013年2月-15.2%2013年3月+14.0%ということになります。輸入は金額ベースで過去最高でした。春節の関係で2月の数字が-15.2%と落ち込んでいた後だけに、今回の+14.0%という数字は中国の貿易のトレンドが暗転していないことが確認され、安堵を誘うものでした。物価中国の3月の消費者物価指数は+2.1%でした。これは2月の+3.2%より少し低かったです。中国では最近、河川に大量の豚の死骸が浮いていたとか、鳥インフルエンザで死者が出たなどのニュースがありました。これらはいずれも食品価格に影響を与えかねない材料です。引き続き消費者物価価格の動向を注視したいと思います。一方、3月の生産者物価指数は-1.9%と2月の-1.6%より落勢が強まりました。一般に生産者物価指数はメーカーの仕入れ動向などに密接に関係しています。生産者物価の下落は経済活動の鈍化を示唆しています。
2013年04月11日
今日のまとめ一部アセアン市場を除き、新興国の株式市場は冴えないドル高が新興国株安の一因BRICsの景気もいまひとつ株価のバリュエーションは妙味のある水準冴えない新興国株式市場新興国の株式市場が冴えません。まず代表的な株価指数をチェックします。最初は香港ハンセン指数です。次はインドSENSEX指数です。次はブラジル・ボベスパ指数です。もちろん、全ての新興国の株式がダメなわけではありません。ジャカルタ総合指数は元気です。このほかアセアン諸国の株式市場はおおむね堅調です。そこで今日は、なぜBRICsの株式市場が冴えないのかについて考えてみることにします。ドル去年の暮からドルが堅調です。これには二つの要因があります。ひとつは米国の景気が、欧州や日本の景気より底堅いことが関係しています。下は欧州委員会が出した『冬季レポート』による世界のGDP成長率予想です。今年と来年の米国の予想が、他国より高い点に注目してください。ドルが堅調なもうひとつの理由は日本が積極的な緩和政策を採用したことによります。このためドルの堅調は今後も続く可能性が強いと言えます。ドルとコモディティ敏感な投資対象との関係さて、ドルと、金や原油などのコモディティは、逆相関の関係にあると言われています。これらの商品はドル建てで取引されるため、ドルが減価するとそれを補うために商品の価格が高くなるからです。逆に現在のようにドルが高くなっているときはドル建てのコモディティの値段には下落圧力がかかります。このため金や原油はこのところ冴えない展開になっています。新興国、とりわけブラジルやロシアはコモディティの輸出が経済のバックボーンになっています。このため資源価格が低迷しているときは株式市場も人気が離散しやすいです。加えて世界で一番潤沢な投資資金を持っており、新興国株式の主要な買い手である米国の投資家は、ドル高局面では海外の投資を控える傾向があります。このことも新興国株式が顧みられない理由となっています。BRICsの景気はどうか?さらにBRICsの景気を見た場合、前回のレポートでお伝えしたように、足下のBRICsの景気には陰りが見えています。中国政府が不動産市場の投機抑制に動いていることが、いまひとつハッキリしない景況感につながっていることは、間違いありません。このように現在は諸々の要因が全て新興国の株式にアゲンストの風となっているわけです。ただ株価が安いことはBRICs諸国の経済運営が破たんしていることを意味しません。株式市場のバリュエーションで見ると、これらの市場は歴史的に最低の水準に差し掛かっています。
2013年04月08日
今日のまとめブラジルの購買担当者指数は2カ月連続で悪化ロシアは新規輸出受注が冴えないインドの購買担当者指数も大きく悪化した中国だけは2月に比べて指数が改善したブラジルブラジルの3月の製造業購買担当者指数は51.8でした。これは2月の52.5から悪化しました。新規受注は6カ月連続で拡大しました。新規輸出受注も増えてはいますが、拡大幅は小さかったです。一方、生産は4カ月連続で拡大しています。ただ拡大のペースは鈍化しています。仕入れに際してインフレ・プレッシャーが感じられています。雇用は若干拡大を見ています。ロシアロシアの3月の製造業購買担当者指数は50.8でした。これは2月の52.0から悪化したことを意味します。新規輸出受注が2カ月連続で下落したのが目をひきました。新規受注全体もペースに鈍化が見られます。これを受けて生産も減速しており、12月以来で最も弱い数字でした。製造業における雇用は5カ月連続して下落しています。全体としてモメンタムの衰えを感じさせるレポートでした。インドインドの3月の製造業購買担当者指数は52.0でした。これは2月の54.2から大幅に減速したことになります。新規輸出受注は拡大しているものの、そのペースは緩慢でした。新規受注全体では過去16カ月で最も小さい拡大幅でした。生産は電力不足の影響もあり伸び悩んでおり、こちらも過去16カ月で最も小さい伸びを示しました。仕掛け品在庫は少し増えています。納期は延びつつありますが、これは全体に景気が良いからというよりも、停電などの阻害要因で円滑な生産が出来なかったことを反映しています。原料価格にはインフレ・プレッシャーが感じられます。中国中国の3月の製造業購買担当者指数は51.6でした。これは2月の50.4から改善したことになります。新規輸出受注は若干の増加、新規受注全体も増加を見ています。生産は5カ月連続で増加しており、そのペースも速まっています。受注残は2カ月連続で減少しています。納期は若干延びています。仕入れコストは若干下落しました。原料の購買活動は活発化しており、完成品在庫も少し増えています。まとめ今月は中国を除くすべての国で指数が先月より悪化しました。新興国の景気は、それほど良くないということです。これまで旺盛にコモディティなどを消費してきた中国が、成長を抑える政策をとっていることが影を落としています。BRICs各国の株式市場は全体に精彩を欠いていますが、これは各国の景気を見ればうなずけます。
2013年04月02日
今日のまとめブラジル経済は去年の第2四半期に大底を打っている物価はじり高傾向にあるが、まだまだ低水準歴史的に低い失業率を背景に消費者センチメントも改善株式市場は世界のラリーから取り残されているGDP成長率ブラジルのGDP成長率は2012年の第2四半期に大底を打った後、反転しています。これはブラジル中銀の金利政策が、それまでの物価抑制から経済成長も視野に入れた、バランスの取れたスタンスに変わってきていることを反映していると評価できます。ブラジルの政策金利であるSELICレートは2011年9月の12.5%をピークに、これまで10回、合計で5.25%引き下げられ、現在、7.25%が維持されています。これは過去最低水準です。物価その結果、消費者物価指数はじりじり上昇しはじめています。ただ同国の物価の歴史的な水準を考えると、現在の物価水準はまだ低いと言えます。鉱工業生産ブラジルの鉱工業生産は2011年8月以降低迷していましたが、ここへきて加速する兆しを見せています。消費者信頼感指数消費者のセンチメントも回復基調にあります。消費者のセンチメントはここ数カ月の歴史的に低い失業率(4.6%~5.4%)に下支えされています。ブラジル株式市場このようにブラジルは景気が加速しつつあり、物価が安定しており、低失業率を背景に消費者のセンチメントも強いにもかかわらず、冴えない展開が続いています。ブラジル株というと鉄鉱石の輸出などを通じて中国と密接に関係しているというイメージがあります。最近、中国の輸入や工業セクターの活動が鈍いことから、その連想でブラジル株も嫌気されているのです。しかしブラジル経済の内容は着実に改善しており、ある時点でこの取り残されたマーケットに投資家の見直し買いが入ると考えられます。
2013年03月27日
今日のまとめ3月の製造業購買担当者指数は良かった新規輸出受注が伸びていた納品に要する時間も延びている浅い調整が完了したのか見極めたい製造業購買担当者指数中国の3月の製造業購買担当者指数(速報値)は51.7と2月の50.4から切り返しました。なお今日発表されたのはあくまでも速報値で全体の85~90%しかカバーされていません。従って最終的な判断をするためには確報値の発表を待つべきです。全体に良い内容それを断った上で、今回の数字は幅広い調査項目で明らかな改善が見られました。先ず新規輸出受注が拡大しているだけでなく、受注のペースも加速しています。次に新規受注も拡大するとともにペースが加速しました。納品までに要する時間は延びており、これは生産が間に合わないことを示唆しています。材料などの新規買い付けも拡大し、生産を拡大させているにもかかわらず、受注残も同時に増えています。浅い調整が完了したのか見極めが必要このところ中国から出て来る経済指標は弱いものが多かったです。このため去年の秋から続いてきた景気循環的(シクリカル)な回復は一段落してしまった印象がありました。今日の製造業購買担当者指数(速報値)は、その流れに逆行する、良い内容でした。これで中国経済のスピード調整が完了したのかどうか見極める必要があるでしょう。
2013年03月21日
今日のまとめ消費者物価指数の悪化は投資家の意表をついた生産者物価は経済活動の低迷を示唆鉱工業生産は再び暗転小売売上高は近年で最低の伸び物価中国の2月の消費者物価指数は+3.2%と1月の+2.0%から悪化しました。今回の消費者物価指数の上昇幅は予想より大きく、市場参加者を驚かせました。とりわけ食品価格にインフレ圧力の蓄積が感じられます。加えて上海郊外の河川に大量の豚の死骸が流れていた事件ではサーコウイルスに感染したためではないかと上海市の農業局は発表しています。豚肉は中国の食卓でポピュラーな食肉であり、その価格が上昇すると政府は慌てて物価の抑え込みに走るという傾向が過去にはありました。ですから今後の中国の金融政策を考える上でも、消費者物価からは目が離せません。一方、生産者物価は1月と同じ-1.6%でした。これはこれで、問題があります。というのは生産者物価は経済活動全般の指標であり、それが低迷していることは輸出を含めた中国の製造業が不活発であることを暗示しているからです。鉱工業生産中国の1・2月の鉱工業生産は+9.9%でした。これは12月の+10.3%から鈍化しており、過去4カ月に渡る改善のトレンドが終了した可能性があります。小売売上高中国の1・2月の小売売上高は+12.3%にとどまりました。これは近年では過去最低の伸び率です。まとめ以上をまとめると中国の景気循環的な回復局面は、どうやら終わった観があります。これは今日、紹介した経済指標だけでなく、貿易統計や製造業購買担当者指数や発電量などの、幅広いデータ・ポイントで確認されていることです。投資戦略的な面から言えば、それは中国株の足踏みを意味するでしょうし、コモディティを多く消費する中国経済に元気が無いということになれば、鉄鉱石、銅、石炭、石油などの商品相場も愚図愚図した展開になるリスクがあります。
2013年03月12日
今日のまとめ輸出の強さが目を引いたその半面、輸入は弱かった中国の内需中心型経済へのシフトは未だ起きていない輸入の不振は将来の輸出の鈍化を示唆している貿易中国の2月の輸出は前年比+21.8%の8,751人民元(約1,407.4億ドル)でした。因みに1月は約1,893億ドルでした。輸出の増加率(前年同期比)は2012年9月+9.9%2012年10月+11.6%2012年11月+2.9%2012年12月+14.1%2013年1月+25.0%2013年2月+21.8%ということになります。一方、中国の2月の輸入は前年比-15.2%の7.789億人民元(約1,252.8億ドル)でした。因みに1月は約1,588億ドルでした。輸入の増加率(前年同期比)は2012年9月+2.4%2012年10月+2.4%2012年11月±0.0%2012年12月+6.0%2013年1月+28.8%2013年2月-15.2%ということになります。輸出は1・2月ともに強い数字でした。しかし輸入は強かった1月の反動で、弱い数字となりました。例年、1・2月は春節の関係で数字がブレやすいです。従って1・2月を通算して、その平均で考えた方が良いと思います。それでゆくと輸出は+23.6%、輸入は+5.0%でした。つまり輸出の伸びに比べて輸入の伸びは余り良くなかったわけです。これは二つの意味を持つと思います;内需中心型経済へのシフトが未だ起きていない輸入の伸びの低さは、将来の輸出の鈍化を示唆しているこのところの中国から出て来る経済統計は、中国経済の景気循環的回復が踊り場に差し掛かっている事を示唆しています。
2013年03月11日
今日のまとめブラジルの指数は悪化したロシアは先月と比べて横ばいだったインドは先月の落ち込みから切り返している中国は納期が短くなっており、拡大サイクルが終焉するかどうかの瀬戸際にあるブラジルブラジルの2月の製造業購買担当者指数は52.5でした。これは1月の53.2から悪化したことを意味します。内訳を見ると生産は2月も拡大しており、これで過去6カ月連続して拡大したことになります。国内景気の拡大がその背景にあります。新規輸出受注は3カ月連続して拡大しました。雇用は今月も拡大しました。仕入れコストは若干上昇しており、メーカーはその一部を顧客に転嫁することに成功しています。ロシアロシアの2月の製造業購買担当者指数は1月と同じの52.0でした。新規受注は2月も拡大しました。これで17カ月連続して新規受注が拡大したことになります。ロシア国内からの受注が活発な半面、新規輸出受注は冴えませんでした。生産は少し拡大していますがそのペースは鈍化しています。在庫は拡充されています。その半面、雇用は4カ月連続で減少しました。インドインドの2月の製造業購買担当者指数は54.2でした。これは1月の53.2からリバウンドしたことを意味します。新規受注は好調です。雇用は若干拡大しています。素材価格の値上がりで仕入れコストは上昇しており、インフレのペースは加速しています。中国中国の2月の製造業購買担当者指数は50.4でした。これは1月の52.3から鈍化したことを意味します。生産は過去4カ月連続して拡大しています。新規受注もしっかりしており過去5カ月連続して拡大しました。新規輸出受注も拡大しているのですがその拡大幅は小さかったです。雇用は横ばいでした。納品に要する日数は短くなっており、これは9月以来の出来事です。仕入れコストは過去5カ月連続して上昇しています。まとめBRICsの製造業購買担当者指数は全体として2月も好調でした。しかし中国やブラジルといった市況的な色彩の強い国では数字は少し悪化しています。これは中国経済の景気循環的(シクリカル)な改善が、早くも一巡してしまった可能性を示唆しています。春節の特別要因が働いている期間を終えても、数字の暗転が続くかどうかがカギになると思います。
2013年03月04日
今日のまとめ中国の習近平は最初の外遊先にロシアを選んだ今回のトップ会談で「東方ガスプログラム」が前進する可能性がある「東方ガスプログラム」はウラジオストックを終点とする公算大日本にとっても極めて関心の高い問題習近平のロシア訪問で「東方ガスプログラム」が前進か?中国の新しい最高指導者である習近平総書記が三月下旬にロシアを訪問します。今回のトップ会談で長年懸案となってきた「東方ガスプログラム(Eastern Gas Program)」が前進するのではないかと見られています。「東方ガスプログラム」とは「東方ガスプログラム」とはロシアの天然ガス会社、ガスプロムが中心となって計画している巨大なプロジェクトを指します。それは東シベリアの天然ガスをパイプラインによってウラジオストックまで持って来て、そこで液化天然ガス(LNG)に加工し、中国やその他のアジア地域の諸国へ輸出する計画です。このプロジェクトは総額400億ドルにものぼる莫大な先行投資が必要となるため、これまでも折あるごとに話題にのぼりながら、進展がありませんでした。結局、当初計画されていた、直接天然ガスパイプラインを中国へつなげる方法は退けられ、今の時点ではウラジオストックをパイプラインの終点とし、そこに液化天然ガス(LNG)のプラントを建設して、LNG船で輸出するという方法に落ち着くと言われています。このパイプラインは下記の天然ガス田から生産される天然ガスを輸送します:ユルブチェノ・タモホ天然ガス田 (確認埋蔵量7,000億立方メートル)ソビンスコ天然ガス田 (同1,700億立方メートル)コヴィクタ天然ガス田 (同2兆立方メートル)チャヤンダ天然ガス田 (同1.2兆立方メートル)サハリンI・II天然ガス田 (同9,000億立方メートル)このうちサハリンから出る天然ガスに関してはハバロフスクまで既にパイプラインが通っています。「東方ガスプログラム」で新たに建設されるパイプラインは3,200キロメートルに及ぶと言われています。ウラジオストックに建設される液化プラントは年産1,000万トンの処理能力を予定しています。このプロジェクトに関しては、「折角、東シベリアから延々とパイプラインを引っ張ってきて、直接中国に連結しようと思えばそちらの方が安く上がるのに、なぜわざわざウラジオストックで一旦液化して、そこからLNG船で輸出するという、手の込んだ方法を採用するのだ」という批判の声も上がっています。これに関してはパイプラインを中国に直接引き込むと、顧客が中国だけになってしまい、価格交渉の際、立場が弱くなるというジレンマを避ける狙いがあると思われます。またLNGにして輸出すれば、変動の激しいスポット市場で有利に天然ガスをさばくことも出来ます。一方、日本や韓国の立場からすればロシアからLNGを買えるようになれば、カタールやオーストラリアへの依存比率を減らすことが出来るので、価格交渉を有利に進めることが出来ると予想されます。このためロシアがウラジオストックでLNGプラントを建設する際の借款などにも積極的に参加することが予想されるのです。つまりロシアは中国、日本、韓国を競争させることで、有利な融資・輸出条件を導き出そうとしているわけです。長期での需要予想いま長期での世界の天然ガス生産と消費がどのように成長するかを考えた場合、アジアの重要性が際立っています。したがって、ロシアは今回の習近平の訪ロで何としてでも「東方ガスプログラム」の商談を前進させたいわけです。そしてこれは日本にとっても極めて重要な意味を持つ材料です。
2013年02月28日
今日のまとめ2月の製造業購買担当者指数(速報値)は、予想外に悪かった内容的にもモメンタムの喪失を感じさせるものになっている中国経済の景気循環的回復がモメンタムを失ったか、注意深くモニターすること製造業購買担当者指数中国の2月の製造業購買担当者指数(速報値)は市場予想の52.2に対して結果50.4と悪い数字でした。なお今日発表された数字はあくまでも速報値ですので、最終的な判断のためには確報値の発表を待ちたいと思います。崩れたトレンドそれを断った上で、今回の落胆すべき製造業購買担当者指数の数字は注意すべきだと思います。その理由は先ず過去5カ月連続して改善してきたトレンドが破られたことが挙げられます。次に内容をみると新規輸出受注が減少に転じている点が目を引きました。これはいままでとは違う展開です。また受注残も減少に転じました。これを受けて購買担当者は仕掛け品在庫の手当てを減らしています。さらに納品までの期間も短くなっているそうです。これらはいずれもここ数カ月のトレンドとは逆の動きであり、景気循環的な中国経済の回復が、早くも息切れしている事を示唆しています。これは最近の銅や鉄鉱石などのコモディティを扱う企業の株価が冴えないこととも一致しています。中国政府は主要都市において再び不動産セクターに対する無節操な融資を抑制する方針を打ち出しています。このことは中国経済の成長のペースが、昔のような9~10%には戻れないことを示唆していると思います。いずれにせよ1~2月は中国の経済指標がいちばんブレやすい時期ですので、性急な判断は禁物かと思います。暫く細心の注意を払いながら状況をモニターしたいと思います。
2013年02月25日
今日のまとめ輸出、輸入ともに強かったが、それは営業日数が多かったため消費者物価指数は2%前後で安定へ生産者物価指数は中国経済の景気循環的回復を反映貿易統計中国の1月の輸出は前年比+25%の1兆1,800億人民元(約1,893億ドル)でした。因みに12月は1,992億ドルです。輸出の増加率(前年同期比)は2012年8月+2.7%2012年9月+9.9%2012年10月+11.6%2012年11月+2.9%2012年12月+14.1%2013年1月+25.0%ということになります。一方、中国の1月の輸入は前年比+28.8%の9,900億人民元(約1,588億ドル)でした。因みに12月は1,676億ドルです。輸入の増加率(前年同期比)は2012年8月-2.6%2012年9月+2.4%2012年10月+2.4%2012年11月±0.0%2012年12月+6.0%2013年1月+28.8%ということになります。すなわち今回は輸出も輸入も去年の2月以来で最も高い伸び率だったということです。これは歓迎すべきニュースですが、中国の貿易統計は毎年、春節がどの期間に統計的に捕捉されるかで、乱高下しやすいです。従って1~2月の合計で均して考える必要があるように思います。実際、今回の統計では営業日が22日あったのに対し、去年の1月の統計では17日しかありませんでした。従って増加分の大半は、この営業日数の差で説明できるように思います。物価中国の1月の消費者物価指数は+2.0%でした。これは市場予想と同じでした。因みに12月は+2.5%でした。生産者物価指数は-1.6%でした。これも市場予想と同じでした。因みに12月は-1.9%でした。消費者物価指数は2%前後を中心として横ばいの様相を呈しています。一方、生産者物価の回復は中国経済が景気循環的な回復局面にあり、製造業の活動が活発化していることを示唆しています。
2013年02月12日
今日のまとめインド経済は、ほぼ全ての点で期待を下回るパフォーマンスである政府による経済の改革が遅々として進んでいない外国からの気まぐれな投資資金に過度に依存する不健全な体質IMFの「アーティクル・フォー」が発表された国際通貨基金(IMF)がインドの年次協議報告書(Article IV Consultation)を発表しました。2004年から2009年にかけて年率8.5%で成長してきたインド経済は現在年率+5.4%程度(2012~2013会計年度)に下がってきています。IMFはインドの経済成長が伸び悩んでいる原因として電力不足などの構造的な問題、ならびに政府の政策がビジネス・フレンドリーではないことなどを指摘しています。インドの物価は他の新興国の平均に比べて3パーセンテージ・ポイントほど高い状態が続いています。インドは輸入超過に陥っています。また経常赤字も慢性的に悪い状態が続いています。また政府の財政赤字体質も遅々として改善していません。インド政府はこうした落胆すべき経済のパフォーマンスに鑑み、一連の改革を打ち出しています。具体的にはディーゼルの統制価格の値上げ、LPガスへの補助金に数量制限を設けること、政府系送電会社の債務の再編、内閣に大型プロジェクトに関する一本化した窓口を設けることなどです。インドの現在の外貨準備高は約2,900億ドルです。これは去年の3,050億ドルから減少しています。また毎年輸入額が増えているので外貨準備が輸入の何カ月分をカバーしているか? の比率はどんどん悪化しています。これが4カ月台に突入すると外貨準備の増減で為替が乱高下する状態になりかねません。インドは経常収支の赤字を外国からの投資で補う形になっています。今のところ海外の投資家はインドの成長ストーリーを信じて継続投資をしています。しかし外人投資家を本当に安心させるためには小売業の規制緩和をはじめとする、長年の懸案をどんどん処理してゆく必要があると思われます。
2013年02月08日
今日のまとめブラジルは新規受注を中心に好調だったロシアも受注が強かったインドだけは停電の影響で指数が下落した中国は新規受注が好調だったブラジルブラジルの1月の製造業購買担当者指数は53.2でした。これは去年の12月の51.1から大幅に改善したことを意味します。また1月の53.2という水準は2011年2月以来、過去23カ月で最高です。内訳を見ると先ず新規受注が急増しています。新規輸出受注も2カ月連続で伸びました。一方、生産は5カ月連続拡大しています。生産のペースの拡大は過去23カ月で最も速かったです。このような増産にもかかわらず受注残も増えています。このためメーカーは在庫拡充に走っています。さらに雇用も過去10カ月で初めて増加に転じました。このように今回のブラジルの製造業購買担当者指数はあらゆる面で良い数字だったと言えます。ロシアロシアの1月の製造業購買担当者指数は52.0でした。これは2012年12月の50.0から大幅な改善です。新規受注は過去22カ月で最も良い数字でした。このため受注残も増加しました。この反面、製造業における雇用は3カ月連続現象しています。仕入品の値上がり圧力は余り強くありませんでした。インドインドの1月の製造業購買担当者指数は53.2でした。これは2012年12月の54.7から悪化したことを意味します。現在の水準はまだまだ強い数字には違いありませんが、BRICs各国の中でインドだけがトレンドが逆になっている点が目をひきます。断続的な停電が生産の足を引っ張りました。新規受注は伸びていますが、そのペースは鈍化しています。完成品在庫は少し減り、メーカーが在庫を取り崩す事で顧客の注文を充足したことを示唆しています。中国中国の1月の製造業購買担当者指数は52.3でした。これは2012年12月の51.5からさらに拡大したことを意味します。生産は2011年3月以来、最も速いペースで拡大しました。新規受注も4カ月連続で拡大するなど好調です。先月減少を見た新規輸出受注も再び増加に転じました。地域別では欧州と米国からの受注が好調です。これを受けて購買活動も加速しています。雇用は若干の拡大を見ています。まとめBRICsの製造業は、今、良い環境の中にあります。重要なクリスマス商戦期間がまずまずの結果だったことを受けて米国や欧州の顧客のマインドは良好です。それはBRICs各国の購買担当者指数の新規海外受注の数字にも反映されています。言い換えれば先進国発の景気鈍化リスクは後退したということです。
2013年02月04日
今日のまとめ第4四半期GDPは予想を少し上回った鉱工業生産は予想通りだった小売売上高も予想通りだった生産者物価の回復は製造業の活動の活発化を示唆しているGDP中国の第4四半期GDPは+7.9%でした。これはコンセンサス予想の+7.8%を少し上回りました。因みに第3四半期は+7.4%でした。鉱工業生産中国の12月の鉱工業生産は+10.0%でした。これはコンセンサス予想の+10.0%と一致しています。因みに11月も+10.0%でした。小売売上高中国の12月の小売売上高は+14.3%でした。これはコンセンサス予想の+14.3%と一致しています。因みに11月は+14.2%でした。物価1月11日に発表された12月の中国の消費者物価指数は+2.5%でした。これはコンセンサス予想の+2.3%より少し高い数字でした。因みに11月は+2.0%でした。一方、生産者物価指数は-1.9%でした。コンセンサス予想は-1.8%、11月は-2.2%でした。まとめ以上をまとめると中国経済は引き続き景気循環的(シクリカル)な回復局面にあります。今日、示した一連の経済指標は回復が弱々しいものであることを示唆しています。例年、旧正月前後の経済統計はブレやすく、次回以降の経済指標の解釈には注意を要します。それを断った上で、これまでのところは「So far, so good(まずまず)」であり、中国経済に対するスタンスを変更する必要は無いと思います。
2013年01月21日
今日のまとめ12月は輸出、輸入とも予想を上回った去年は通年ベースでは落胆すべき年だった内需へのシフトは時間のかかる取り組み貿易統計中国の12月の輸出は前年同月比+14.1%の1,992億3千万ドルでした。市場予想は+5.0%ですからそれを大幅に上回った事になります。因みに11月は+2.9%、10月は+11.6%、9月は+9.9%、8月は+2.7%でした。一方、中国の12月の輸入は前年同期比+6.0%の1,676億1,100万ドルでした。市場予想は+3.5%ですからそれを上回った事になります。因みに11月は±0%、10月は+2.4%、9月は+2.4%、8月は-2.6%でした。上のグラフからもわかる通り、今回は輸出も輸入も過去最高値を更新し、ふっきれたチャートになっています。このところ中国の貿易統計の不振が投資家の心配の種になっていたので、12月の統計はホッと胸を撫で下ろす内容だったと言えます。2012年通年でのパフォーマンスさて、2012年を通してみると輸出額は+7.9%の2兆489億ドル、輸入は+4.3%の1兆8,178億ドルとなりました。下の前年同期比のグラフでもわかる通り、2011年は輸出も輸入も+20%以上成長していたわけですから、減速感は否めません。因みに中国政府の去年の目標は、輸出と輸入を合わせた貿易総額の伸びで+10%というものですから、2012年の実績である+6.2%は、おおいに不満の残るパフォーマンスだったと言えるでしょう。中国関税当局は今年の見通しとして、去年よりやや良い状況になるだろうとコメントしています。経済の構造転換への努力は続く中国経済はこれまで貿易固定資産投資の二つのエンジンに牽引されて急成長を遂げてきました。しかし貿易の成長率が上で見たように鈍化しているので、固定資産投資をテコ入れしなければ算術的に従来のGDP成長率(+9%程度)を維持することは極めて困難になります。幸い米国の消費もそれなりに堅調であり、中国の輸出を巡る環境は安定を取り戻しつつあります。折から中国の国内経済は景気循環的(シクリカル)な上昇トレンドに入っていますので、中国株に関しては良い投資環境になっていると言えます。ただ中国経済の内需主導型経済へのシフトという構造転換は一朝一夕には実現しない、難しい課題だと思います。その意味では、引き続き注意を要すると思います。
2013年01月11日
今日のまとめブラジルでは新規輸出受注が過去21カ月で初めて増加したロシアは新規輸出受注と雇用の不調で大幅に悪化したインドの新規輸出受注は着実に拡大している中国では内需向け新規受注が堅調だったブラジルブラジルの12月の製造業購買担当者指数は51.1でした。これは11月の52.2から悪化したことを意味します。新規輸出受注が過去21カ月で初めて拡大したことが印象に残りました。仕入れコストのインフレは過去18カ月で最も速いペースでした。全般にブラジルの製造業購買担当者指数は堅調だったと評価できます。ロシアロシアの12月の製造業購買担当者指数は50.0でした。これは11月の52.2から悪化したことになります。50.0という水準は、景気が拡大も縮小もしていない中立点を指します。これで14カ月に渡った拡大局面が終わってしまったことになります。また11月の52.2からの下落幅もかなり大きかったと言えます。新規輸出受注の落ち込みは2010年10月以来で最も大幅でした。雇用も2009年8月以来、最も速いペースで落ち込みました。インドインドの12月の製造業購買担当者指数は54.7でした。因みに11月は53.7なので改善したことを意味します。新規輸出受注が着実に伸びました。購買活動も45カ月連続で拡大しました。雇用は拡大しています。一部には労働力不足が報告されており、賃金上昇圧力の増加が懸念されます。いまところ採用を増やしている企業はそれほど多くありません。停電は引き続き問題となっており受注残は増えています。仕入れコストは素材価格の上昇やルピー安を背景に12月も上昇しています。中国中国の12月の製造業購買担当者指数は51.5でした。これは11月の50.5から改善したことを意味します。生産は2011年3月以来で最も速いペースで拡大しました。新規輸出受注は若干減少しました。それでも新規受注全体は拡大しました。これは在庫取り崩しの一巡と建設プロジェクトなどの始動が関係していると思われます。購買活動は過去21カ月で最も速いペースで拡大しました。
2013年01月04日
今日のまとめトルコ経済はここへきて減速している慢性的な貿易赤字体質である経常収支も赤字である貯蓄率が低いので外国からの資本への依存度が高い好・不景気を一層強調するプロシクリカリティがある点に注意年次協議報告書が提出された国際通貨基金(IMF)がトルコに関する年次協議報告書(Article IV consultation)を提出しました。GDP成長は減速トルコのGDP成長率は内需の成長の一巡で減速しています。2012年第2四半期のGDP成長率は+2.9%にとどまり、去年の第2四半期の+9.1%から大幅に減速しています。内需の減速は個人消費の減速ならびに投資の鈍化が原因です。貿易ならびに経常収支トルコは慢性的な貿易赤字体質となっています。景気が若干、減速したことで輸入(赤)は頭打ちになっています。その一方で輸出(青)は中東・北アフリカ向けを中心に堅調です。この結果、2012年のトルコの貿易収支は2011年に比べて若干改善すると見られています。トルコは大幅な貿易赤字を外国から流入する投資資金によっておぎなっています。それでも経常収支は慢性的な赤字です。トルコは貯蓄率がGDPの14%に過ぎません。この貯蓄率の低さが外国からの資本への依存につながっています。景気が良いときは投資資金が殺到し、結果としてトルコ・リラが割高となり、逆に景気に変調をきたすとすぐにホットマネーが逃げてゆくというプロシクリカル(=景気循環を一層誇張すること)な傾向を示しています。物価トルコは景気の強さに比べて政策金利が低すぎるため、慢性的なインフレ体質になっています。まとめ投資対象としてのトルコは、いわゆる高金利国であり、一見すると魅力的であるように映ります。しかし魅力的な利回りになっている背景には、常に身の丈以上の消費をし、しかも貯蓄率が低く、海外から流入する資金にやりくりを依存するという、その日暮らし的な体質があります。ブーム&バスト的な乱高下を運命付けられた市場であることを念頭に置きながら投資することが望ましいと思います。
2012年12月25日
今日のまとめロシア経済は好調が続いている失業率が低いことは消費者のセンチメントにとって良い経済活動のアウトプットは若干、減速している固定資産投資が落ち込みを見せている小売売上高は確り物価はじり高している原油価格の高止まりで輸出は好調好調な中にも若干の減速を見せるロシア経済ロシアの主な貿易のパートナーはヨーロッパです。従って欧州財政危機はロシアにも悪影響を及ぼすことが心配されました。しかし同国経済は2012年を通じて確りした展開でした。これは同国の貿易パートナーがドイツや中欧諸国中心で、南欧との取引が比較的少ないことによると思われます。ロシアはここへきてBRICsの他国と比較すると若干、モメンタムに衰えを感じさせます。しかしそれは問題にならない程度だと思います。失業率ロシアの失業率は9月の時点で5.2%と歴史的に低い水準にあり、これは消費者のセンチメントにとって良い状況だと言えます。経済活動指数ロシアの経済活動アウトプット指数は少し減速を感じさせます。そこでもう少し詳しくその状況を見ると、先ず農業生産高指数が若干、下落していることがわかります。鉱工業生産指数も若干減速を感じさせますが、底堅い展開になっています。固定資産投資ロシアの固定資産投資はここへきて減速しています。小売売上高小売売上高は年初の頃のペースよりは鈍化していますが、前年比ではハッキリとプラスであり、引き続き堅調です。消費者物価指数消費者物価指数は上昇基調にあり、注意を要します。輸出と輸入ロシアの輸出と輸入は安定的に推移しています。これは原油価格が比較的高止まりしていることが背景にあります。
2012年12月12日
今日のまとめ輸出は+2.9%にとどまった輸入は±0%だった米国クリスマス商戦が好調のため、今後、新規輸出受注が落ち込むリスクは低い輸出依存型経済から内需へのシフトが急務貿易統計中国の11月の輸出は前年比+2.9%の1,794億ドルでした。因みに10月は+11.6%、9月は+9.9%、8月は+2.7%でした。一方、輸入は±0%の1,598億ドルでした。因みに10月は+2.4%、9月は+2.4%、8月は-2.6%でした。今回の輸出の数字はコンセンサス予想の+9%を下回る落胆すべき数字でしたが、過去数カ月の輸入の数字が冴えなかったことから、これは十分に予想できた事です。米国のクリスマス商戦にも注目11月22日は米国のサンクスギビング・デー(感謝祭)でした。サンクスギビング・デーの翌日はブラック・フライデーと呼ばれる、小売業者にとって米国で一年のうちに最も重要な日です。ブラック・フライデーは米国のクリスマス商戦の正式なキックオフの日です。今年のクリスマス商戦はネット・ショッピングを中心にまずまず好調のようです。これを貿易との絡みで考えれば、少なくとも米国向け輸出受注がクリスマス商戦の不振から今後大きく減退するというリスクは、ほぼ無くなったと考えられます。一方、最近の製造業購買担当者指数を見ると新規輸出受注には少し改善の兆しも見えています。これらの事を総合すると輸出は現在のような足踏みの状態を続け、中国経済の成長の足を大きく引っ張るネガティブ要因とはならないと予想されます。輸出主導型経済から内需重視の経済へ中国が従来のように輸出をどんどん伸ばすことで経済成長を得ることは今後難しくなります。このため成長の中心を内需に移してゆく必要があります。持続的な内需の拡大を促すためには金利政策や財政出動などだけでなく、社会保障制度の改革をはじめとする抜本的な改革で消費を援助することが必要になると思われます。
2012年12月11日
今日のまとめ生産者物価指数の回復は景気の底入れを示唆鉱工業生産も予想を上回った小売売上高も予想を上回った中国経済はハッキリと底入れを示している物価中国の11月の消費者物価指数は+2.0%でした。コンセンサス予想は+2.1%でした。因みに10月は+1.7%、9月は+1.9%でした。一方、11月の生産者物価指数は-2.2%でした。コンセンサス予想は-2.0%でした。因みに10月は-2.8%、9月は-3.6%でした。10月に続いて11月も生産者物価指数がアップティックしていることは特に注目に値します。下に述べる鉱工業生産の回復と併せて、中国経済がリズムを取り戻しつつあることが統計にハッキリ現れています。鉱工業生産中国の11月の鉱工業生産は+10.1%でした。中国の鉱工業生産が+10%台に回復したのは2012年3月以来です。コンセンサス予想は+9.8%でした。因みに10月は+9.6%、9月は+9.2%でした。小売売上高中国の11月の小売売上高は+14.9%でした。コンセンサス予想は+14.6%でした。因みに10月は+14.5%、9月は+14.2%でした。まとめ先月あたりを境に中国の経済指標はコンセンサス予想より良い方向でサプライズを出し続けています。また各経済指標の改善には整合性があり、景気回復が本格的であることを示唆していると思います。
2012年12月10日
今日のまとめブラジルは好調な新規受注を背景に指数の大幅改善を見たロシアだけが指数のダウンティックを見たが、引き続き高水準インドは新規輸出受注の好調で指数が改善中国は2011年10月以来はじめて50を超えたブラジルブラジルの11月の製造業購買担当者指数は52.2でした。これは10月の50.2から急改善したことを意味します。生産高は過去20カ月で最高でした。新規受注も2カ月連続で上昇しました。ただ新規輸出受注は今月も若干の下落となりました。仕入れコストのインフレは今月も続いています。雇用は横ばいです。製造業各社の新規購買活動は3月以来、はじめて拡大に転じました。これは将来の需要増に備えて、メーカーが仕入れを拡充していることを示唆しています。ロシアロシアの11月の製造業購買担当者指数は52.3でした。これは10月の52.9より悪い数字ですが、引き続き高水準を維持していると言えます。特に新規受注が好調で、2011年10月以来の拡大基調を継続しているだけでなく、新規受注のペースも2011年3月以来で最も速くなっています。新規輸出受注も高水準を維持しています。受注残は若干の減少を見ています。仕入品のインフレはそれほど強くありません。それは高い稼働率と併せて、ロシアの製造業が利益を出しやすい経営環境に置かれている事を示唆しています。インドインドの11月の製造業購買担当者指数は53.7と10月の52.9から更に改善しました。今回の指数は過去5カ月で最も強い数字でした。新規受注は先月よりも拡大しています。新規輸出受注は特に好調でした。雇用は過去9カ月連続して拡大しました。受注残は今月も拡大しています。断続的な停電、労働力の不足が成長の阻害要因となっています。材料費はインフレを経験しています。素材、ディーゼルなどの価格が上昇プレッシャーを受けています。企業は素材の在庫拡充に動いています。一方、完成品在庫は2カ月連続で減少しました。中国中国の11月の製造業購買担当者指数は50.5でした。これは10月の49.5から若干改善したことになります。今回は2011年10月以来、初めて指数が50以上となりました。50は景気が拡大しているか、それとも縮小しているかの境目になる重要な数字です。製造業の生産高(アウトプット)は7月以来、はじめて拡大しました。新規受注は2カ月連続で増えました。新規輸出受注も4月以来、はじめて拡大に転じました。なお今回の新規輸出受注の拡大幅はハッキリとした改善であったことが特筆されます。欧州と米国からの注文が戻ってきていることがその背景にあります。受注残は4カ月連続で下落しました。納期は2カ月連続で延びており、在庫の整理が進んだことを暗示しています。購買活動も上向いています。一方、悪い材料としては未だ雇用が縮小している点です。
2012年12月04日
今日のまとめブラジル中銀の物価抑制策は成功、現在は景気支援が課題となっているGDPのデータには、まだ景気の底打ちは反映されていない政策金利はアグレッシブに利下げされた鉱工業生産、製造業設備稼働率、自動車生産台数、センチメント指数は上向いた物価ブラジルのインフレは2011年の9月にピークを打ち、それ以降、下落基調でした。これはブラジル中銀によるアグレッシブな政策金利の引き上げが効いたからです。その後、ブラジル中銀の政策優先課題は物価抑制から景気浮揚へと変わりました。現在はこの景気刺激策が徐々に効いてくる局面にあります。従ってブラジルの消費者物価も底打ちからじり高の局面に入っていると考えられます。GDP成長率去年前半から実施された金融引き締め策はブラジル経済を直撃しました。ブラジルの景気の落ち込みは他の新興国より深刻でした。政策金利ブラジル中銀は政策金利(SELICレート)を2011年9月の12.5%から、これまでに10回、合計で525ベーシス・ポイント引き下げ、7.25%としました。これは過去最低水準です。鉱工業生産この利下げが功を奏するカタチで、鉱工業生産はボトムをつけたように見えます。製造業設備稼働率また製造業設備稼働率も確実に上昇しており、去年の高値(84.7)を超えています。自動車生産台数ブラジルの自動車生産台数もこのところのレンジの上限で推移しています。消費者と事業主のセンチメント消費者信頼感指数は比較的堅調に推移しています。落ち込みの激しかった事業主信頼感指数も、どうやらボトムをつけたように見えます。まとめブラジル中銀の積極的な景気支援策で様々な景気のインディケーターは上向きはじめています。いずれそれは同国の四半期GDPデータにも反映されると思われます。
2012年11月26日
今日のまとめインドのGDP成長率には若干、陰りが見えるインフラ整備に関連するセクターは高成長が続いている物価は高止まりしているそれが金利政策の選択肢を限定的なものにしている株式市場のパフォーマンスはBRICsの中では良いGDP世界経済の鈍化が一層顕著になる中でインドの経済にも陰りが見えています。インドのGDP成長率は2010~2011会計年度の第4四半期に+9.2%の成長を見た後、2011~2012会計年度の第4四半期には+5.3%にまで下がりました。2012~2013会計年度の第1四半期は若干持ち直して+5.5%となっています。なお、GDP成長率が鈍化しているのは先行投資の低迷、消費の低迷、輸出の低調などが原因です。業種別動向インドの主要セクターの成長率を見ると全般に去年に比べて減速していることがわかります。それでも電力、石炭、セメントなどはインフラ整備の遅れという構造的な好環境が続いており、高い成長を維持しています。物価一方、インフレは経済の鈍化にもかかわらず高止まりの様相を呈しています。夏場に野菜、シリアル、卵などの値段が少し下落したのですが、9月以降、砂糖、食用油、穀類の値段が再び上昇に転じています。ディーゼル・オイルの価格上昇で電力料金も上昇気味です。ルピー安から輸入品の価格が高止まりしていることもインフレが高止まりしている一因だと言われています。金利政策と市中金利インド準備銀行は4月に政策金利(レポ・レート=8.0%)を利下げし、9月にキャッシュ・リザーブ・レシオ(CRR=現在4.25%)を引き下げました。これらの緩和を受けて一部の市中銀行は預金金利ならびに貸付金利を引き下げ始めています。上に述べたようにインフレが未だ高止まりしているので、インド準備銀行は余り大きく動く余地は無いと思われます。株式市場BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国の4カ国)の株式市場がどうも冴えない中で、インドの株式市場は比較的好パフォーマンスを維持しています。これはインドにとって中国は比較的重要な貿易パートナーでない事から、中国経済の鈍化の悪影響を受けにくいという印象を投資家が持っているからだと考えられます。
2012年11月16日
今日のまとめ生産者物価指数の上昇はデフレ圧力が弱まったことを示唆鉱工業生産は2011年3月以来、はじめて2カ月連続で前月を上回った小売売上高は3カ月連続で前月より上昇中国経済は「こつん」と底を打っている可能性がある物価中国の10月の消費者物価指数は+1.7%でした。コンセンサス予想は+1.9%でした。因みに9月は1.9%でした。一方、10月の生産者物価指数は-2.8%でした。コンセンサス予想は-2.7%でした。因みに9月は-3.6%でした。10月は去年の秋以降の中国の景気減速局面で初めて生産者物価指数がアップティックしました。これはデフレ圧力が一巡したことを示唆しています。鉱工業生産中国の10月の鉱工業生産は+9.6%でした。コンセンサス予想は+9.4%でした。因みに9月は+9.2%でした。2カ月連続で鉱工業生産が前月より上昇したのは2011年3月以来の事です。小売売上高中国の10月の小売売上高は+14.5%でした。コンセンサス予想は+14.4%でした。因みに9月は+14.2%でした。中国の小売売上高が3カ月連続して前月を上回ったケースは2009年の12月まで遡らないとありません。まとめ今月は生産者物価もデフレ局面からの脱却を示唆していますし、鉱工業生産も2カ月連続で前月比UPになっていますし、小売売上高も3カ月連続でUPでした。未だ底打ちの判断を下すのは性急かも知れませんが、中国経済が「こつん」と底を打っている可能性があります。長く続いた中国株式を巡る悪い環境が、ようやく好転していると考えて良いでしょう。
2012年11月12日
今日のまとめベトナムのGDPは良い中央銀行は余り市場から信用されていないインフレ退治がようやく完了今は緩和に傾斜金融政策は功を奏しているが、投資家の人気は離散GDPだけを見ると優等生ベトナムのGDP成長率を見るとコンスタントに5~6%程度を記録しており、一見すると優等生のように見えます。その割にベトナムの株式市場のパフォーマンスは冴えませんでした。これはどうしてかと言えばハイパー・インフレでベトナム中銀に対する市場の信頼が揺らいだからです。金融引締めで信頼の回復ベトナムがハイパー・インフレになった一因はリーマンショック後の景気刺激策を講じた際、野放図な信用の膨張を許し、大幅な実質マイナス金利を放置したためです。ベトナム中銀はこの態度を改め、2010年末から政策金利を7回に渡って利上げしました。これによりマイナス金利の状態は是正され、インフレも鎮静化しました。今度は一転して景気支援が課題に中央銀行の信頼は取り戻す事が出来ましたが、その一方で景気には陰りが見えています。現在は再び景気への配慮から緩和に傾斜した金利政策へと戻りつつあります。受け皿が小さい経済なので翻弄されやすいベトナム経済は国内の市場規模が小さいにもかかわらず貿易ならびに外国からの資本の流入・流出という面では、かなり開かれた経済になっています。このため外部要因の変化で国内経済のファンダメンタルズが翻弄されやすい体質になっています。とりわけ外貨準備高が同国の輸入の1.3カ月分しかないため、若し突発的に外国の資本がベトナムから引き上げられたら、ショックに弱い体質になっています。ドン安による競争力の向上で、ベトナムの経常収支は随分改善しました。まとめこれらの事を総括すれば、ベトナムは一度失った中央銀行に対する信頼を、ある程度、取り戻したかのように見えます。同国の経済は極端から極端へと振れやすいので注意が必要です。BUY&HOLDするより、トレーディングすべきマーケットだと思います。今はファンダメンタルズの改善が見られていると同時に投資家からの人気が離散しているので、これは良い組み合わせだと言えるでしょう。
2012年11月05日
今日のまとめ去年の大洪水からV字型に回復政府は復興のための支出を増やしている中央銀行は緩和的スタンスを取っている株式を巡る環境は良好去年の大洪水からV字型回復したタイタイは2011年の第4四半期に大洪水に見舞われました。このため自動車製造、エレクトロニクス、観光業などの幅広いセクターが打撃を受けました。製造業の設備稼働率は大洪水の前は60~65%で推移していましたが、瞬間的に41%程度まで落ち込みました。現在は洪水前の水準まで戻っています。同様にビジネス信頼感指数も洪水前の80~85の水準で推移していましたが、瞬間的に70割れまで落ち込みました。こちらも現在は洪水前の水準に戻っています。下はリアルタイムでの景気の状態を示す、景気一致指数です。2011年の10・11月に急激な落ち込みを見せた後、鋭角的に戻していることがわかります。個人消費も一時的に影響を受けましたが、現在は平常に戻っています。洪水からの復興タイ政府は去年の洪水からの復興、ならびに補助金などを通じた所得格差の是正の二つの面を中心に予算を組んでいます。洪水のリスクは完全に払しょくされたわけではなく、今年以降も引き続き存在します。幸い日本を中心とする外国の製造業はタイから撤退するという行動は取っておらず、投資資金は戻ってきています。このように民間部門の投資が旺盛なので、政府は現在、かなりムリしている復興向け臨時支出を、今後、絞り込む方向へシフトする事が好ましいと思われます。GDPへの影響国際通貨基金の試算では、タイが去年の大洪水で蒙った被害額はGDPの3%に相当しました。東アジアの生産ハブとしての同国の評価は今回の天災でも毀損しておらず、民間の投資もすぐに戻ってきています。国際通貨基金は2012年のタイのGDP成長率を5.6%、2013年を6.0%と見ています。政策金利バンク・オブ・タイランド(タイ中銀)は10月17日の政策金利会合で政策金利を0.25%引き下げ、2.75%としました。これは予想外でした。利下げの背景には、世界的な景気後退懸念があります。まとめタイは現在、政府支出の面でも積極的であり、また金利政策も緩和的です。これは株式にとっては理想的な環境です。リスクとしてはホットマネーが海外から入りやすい状況になっているので、バーツ高になるとタイの輸出セクターの競争力が減退することが懸念されます。
2012年10月29日
今日のまとめGDPは予想通りだった物価も予想通りだった鉱工業生産は少し上向いた小売売上高も少し上向いたGDP中国の第3四半期のGDPは前年比+7.4%でした。これはコンセンサス予想と一致しています。因みに第2四半期は+7.6%でした。物価中国の9月の消費者物価指数は+1.9%でした。コンセンサス予想も+1.9%です。因みに8月は+2.0%でした。中国の9月の生産者物価指数は-3.6%でした。コンセンサス予想は-3.5%です。因みに8月は-3.5%でした。鉱工業生産中国の9月の鉱工業生産は+9.2%でした。コンセンサス予想は+9.0%でした。因みに8月は+8.9%でした。小売売上高中国の9月の小売売上高は+14.2%でした。コンセンサス予想は+13.2%です。因みに8月は+13.2%でした。まとめ9月の経済指標は総じて中国経済の悪化が止まったことを示唆するものが多かったです。その意味で今回の数字は投資家にとって歓迎すべきニュースだと言えます。ただ中国人民銀行は6月と7月に金融緩和して以来、緩和の手を止めています。経済が底入れるためには、一層の緩和が必要であり、金融面での支援なくして株式市場が本格的に立ち直るとは考えにくいです。なぜならば中国はこれまでの加工輸出型経済・工業重視の経済から、より消費ならびに内需に依存する経済へと構造転換している最中だからです。これを円滑に実現するためには金融政策面での後押しが必須だと思います。
2012年10月19日
今日のまとめ9月の輸出は+9.9%と良かった輸入は+2.4%と低い伸びだった長期で見た貿易の伸び率の低下は懸念すべき状況欧州と日本向け貿易が冴えない貿易統計中国の9月の輸出は前年同期比+9.9%の1,863億5千万ドルでした。因みに8月は+2.7%、7月は+1.0%だったので、輸出のペースは改善しています。一方、輸入は前年同期比+2.4%の1,586億8千万ドルでした。因みに8月は-2.6%、7月は+4.7%でした。今回の輸出額は、過去最高を記録しました。しかしこれはクリスマス商戦前の季節性を考えると、達成できて当然です。輸入と輸出の前年同期比変化率のグラフを見ると、変化率が右肩下がりで下がっているのがハッキリとわかり、リーマンショックのあった2008年9月前後の、突然の、荒々しい急落と、今回のじりじりした劣勢は、明らかにパターンが異なることがわかります。1~9月の欧州との貿易額は前年同期比で-2.7%、同じく日本は-1.8%でした。この二つの地域における貿易の停滞が全体を押し下げています。
2012年10月15日
今日のまとめミャンマーは最後の未開地である同国に資源があることは、昔から知られていた為替制度は現在整備中中央銀行の政策枠組みは、今、策定中国家財政政策は今後の議会での議論によって方向性が明らかになる今は直接ミャンマーに投資するのではなく、関連企業に投資するのが賢明最後の未開地ミャンマーは2011年に新政府による民主化政策が打ち出されるまでは米国をはじめとする経済制裁の対象となっており、世界の貿易に組み込まれていませんでした。しかし今般の政治改革でミャンマーの国際社会への復帰が決まり、同国の持つ潜在性に世界の投資家の注目が集まっています。ビルマ(ミャンマーの旧称)の石油は昔から有名だった1880年代に設立された英国最古の国際石油会社、バーマー(=ビルマ)・オイルの昔から、ミャンマーに石油や天然ガスが出ることは西側諸国によく知られていました。現在でも天然ガスは同国の重要な輸出品目です。加えて同国は若い労働力を有しており、地理的にもインド、中国、タイなどに近い、有利な場所に位置しています。改革は始まったばかりミャンマーはこれまでの二重為替制度(公式レートと市中レート)を改め、為替管理フロート制度を導入しょうとしているところです。ゆくゆくは、クローリング・ペグ(段階的な為替水準の調整)が使用されると見られています。いまのところ外為業務は未だごく一部しか開放されていません。為替改革は金融システムの近代化と併せて行われる予定であり、未だ課題は多いです。ミャンマー中銀は、そもそも金融政策の枠組み自体を持っていません。また現時点での金融セクターは未発達で、制約が多いです。先ず金融関連法を整備して、さらに監督機関を充実されるところから始めないといけないのです。当然、インターバンク市場は未発達です。財政政策ミャンマーは歴史的に債務のマネタイゼーションを行ってきました。債務のマネタイゼーションとは、国が借金を返しやすいようにインフレを誘発する諸政策を実施する事を指します。国際通貨基金(IMF)はこれを終わらせるように指導中です。議会で同国の長期での国家政策が議論されれば、それに応じて支出の優先順位の見直しも起こると予想されます。開発投資の原資となる国庫収入源として天然資源以外の収入源を確保することが課題となるでしょう。また農業の生産性の向上や民間企業の育成に適した法体系の整備なども必要となると思われます。経済成長ミャンマーのGDPは下のグラフのように成長してきました。なお、同国の経済統計は極めて未整備であり、ここではIMFスタッフの算出したGDP(赤)を参考にしたいと思います。下のグラフは同国の鉱工業生産の成長率を示したものです。次はサービス業ならびに貿易セクターの成長率のグラフです。ミャンマーは、所謂、債務のマネタイゼーションによりハイパー・インフレを経験してきました。しかし、近年、この政策が改められたことから消費者物価指数は安定化しています。次は同国の政府の歳入と歳出のグラフです。ミャンマーは財政赤字ですが、これは今後、政府がどのような政策を打ち出すかにより大きく変わる可能性があります。その場合、良い方向に変わる可能性もあるし、悪い方向に変わる可能性も大きいです。なお、政府の予算策定能力は極めて低いです。言い換えればミャンマー社会が何を国造りの優先課題とするかによって政府の財政収支の予想も大きく変わって来るということです。その意味でも議会での今後の討議に注目したいと思います。ミャンマーの国内信用成長は外国からの資本のアクセスなどが実現したことを受けて爆発的に成長しています。これは良い事なのですが、国内信用の急成長は後で「二日酔い」を併発する恐れもあるので注意が必要です。次にミャンマーの貿易ですが、経済制裁の歴史もあり、先進国や中国などの経済の減速は、あまりミャンマー経済には影響を及ぼさないと思われます。今後為替レートがどうなるか(これは大いに未知数)によって輸出競争力や貿易収支は大きく変わる可能性があります。経常収支は大きく赤字に傾くと予想されています。これは経済の発展段階から考えると自然な事です。ミャンマーの外貨準備高は近年積み上がっています。外貨準備高が輸入の何カ月分に相当するかという尺度でも、問題はありません。ミャンマーの対外債務は比較的低い水準です。投資機会現在のところミャンマーに直接投資することは出来ません。また法制度やインフラストラクチャが未整備なので、直接投資しないほうが賢明でしょう。むしろミャンマーの経済成長に上手く乗っかることが出来る、周辺国のミャンマー関連銘柄に投資することでミャンマーの成長ストーリーに参加したいと思います。
2012年10月03日
今日のまとめブラジルは久しぶりに生産が拡大したロシアはBRICsの中で最も元気が良いインドは高水準で横ばいを続けている中国は輸出の不振が影を落としているブラジルブラジルの9月の製造業購買担当者指数は49.8でした。これは8月の49.3から若干改善したことになります。新規受注と新規輸出受注はどちらも下落しました。これは8月までのトレンドと同じです。企業は受注残を取り崩すことで生産の水準を維持しています。新規購買は絞り込まれています。生産は若干拡大しており、これは3月以来で初めての事です。これは新製品の発売に絡むものだと言われています。材料価格は上昇しています。雇用は引き続き減少しています。ロシアロシアの9月の製造業購買担当者指数は52.4でした。これは8月の51.0から改善しています。新規受注が過去12カ月連続して増加したことが大きく寄与しています。受注のペースは加速しています。また先月足踏みした新規輸出受注も今月は反発しました。食品、エネルギー、輸送コストなどを中心に、インフレ圧力が強まっています。雇用は拡大しています。インドインドの9月の製造業購買担当者指数は52.8で8月に比べて横ばいでした。新規受注は拡大しています。先月まで少し足踏みしていた輸出受注は今月、反発を見ています。各社は材料の手当てを強化しています。原材料の在庫は増えています。また完成品の在庫も少し増えています。材料費のインフレは依然、存在しています。雇用は今月も増加しました。中国中国の9月の製造業購買担当者指数は47.9でした。これは8月の47.6より若干改善となりました。新規受注は過去11カ月連続で減少しました。また新規輸出受注は過去42カ月で最も急速なペースで下落しました。受注残が減っているので各社は生産のペースを落とす事でこれに対応しています。生産自体は今年の3月以来で最も低い水準でした。雇用を減らす事で企業はこれに対応しています。ただ雇用減少のペースは幾分鈍化しました。材料の購買活動は低迷しています。5カ月連続で購買は前月を下回りました。材料費は5カ月連続で下落しています。まとめると中国の不調が際立っていると思います。そしてその不調の主な原因は輸出の不振です。引き続きこの点に注目したいと思います。
2012年10月02日
今日のまとめIMFはインドネシアの経済政策を高く評価2011年のGDP成長率はここ数年では最高だった成長は主に内需の堅調からもたらされている財政赤字は比較的小さい政府負債は小さい外貨準備は十分経常収支は赤字へIMFの年次協議国際通貨基金(IMF)がインドネシアに対する年次協議(Article IV consultation)を行いました。IMFは過去10年に渡るインドネシアの経済の体質改善の努力を評価しつつも、最近の世界的な景気後退に鑑み、インドネシアも経済政策の微調整が必要だろうという報告をしています。GDP成長率年次協議の中でIMFはインドネシアの2012年のGDP成長率を6%と予想しています。これは2011年の6.5%(ここ数年での最高)から若干減速したことを意味します。なお2002年から2011年にかけてのインドネシアのGDP成長率は年率平均5.5%でした。なお一人当たりGDPは2011年の実績で3,509米ドルです。インドネシアの内需は信用創造の増加に助けられ、引き続き堅調で、インフレ率は年末までに5%程度になると見られています。IMFは、過剰流動性を金融システムの中から取り除くことで、金融政策に対する投資家の信頼性が向上するだろうと論じています。政府の財政政策インドネシアの財政赤字は今年GDPの1.8%程度になるものと見られています。これはアジア新興国の平均(3%程度)に比べて健全です。IMFはさらに財政の健全化を押し進めるために、燃料に対する補助金を減らした方が良いだろうと提言しています。インドネシアは1990年代に起こったアジア通貨危機で大きな痛手を受けた国のひとつですが、国家負債のGDPに対する比率が2001年の76%から現在は25%に下がっていることからもわかる通り、見違えるような体質改善が実現されています。また外貨準備もリーマンショック後の安値から、ほぼ2倍に増えています。現在のインドネシアの外貨準備高は輸入の6.7カ月分であり、また短期負債(未償還ベース)の238%に相当します。経常収支インドネシアの経常収支は少し赤字に傾くと予想されています。この理由は世界的な景気低迷で輸出が伸び悩む一方で、輸入は国内における積極的な投資拡大を背景に20%近い成長を見ているからです。インドネシアの主な輸出品は、石油・天然ガス、石炭などのエネルギー関連の貿易商品になります。投資家のセンチメント資本市場の参加者はこのところの中国の景気の冷え込みを見て、新興国への投資に躊躇気味です。この環境下でインドネシアへの投資も神経質になっています。つまりインドネシアの株式市場や通貨の動きは、同国のファンダメンタルズもさることながら、アジア新興国全体への投資家のセンチメントによって左右されている部分が大きいと思われます。
2012年09月27日
今日のまとめジム・ロジャーズがロシアの農業に強気になったという報道があった世界に残された開墾可能な土地の多くがロシアにあるロシアは水資源も豊富ロシアは国土の大きさに比べて人口が少ない中国の政府系ファンドもロシアの農業に投資穀物の中ではとりわけ小麦がロシアにとり重要ジム・ロジャーズがロシアの農業に強気に著名な投資家、ジム・ロジャーズがロシアのある投資銀行のプライベート・エクイティ・ファンドのアドバイザーに就任するというニュースが最近、新興国の投資家の間で話題になりました。ジム・ロジャーズはこれまでロシアに対して一貫して弱気でした。その彼が意見を変えた背景には、今後、新興国から穀物に対する需要が増えるに従って、余剰供給力を持つロシアならびにCIS諸国(独立国家共同体=ソ連邦を構成していた諸国)の農地が重要になるという考えがあるからだそうです。そこで今日はロシアならびにCIS諸国の農業について少し考えてみることにします。ロシアには土地と水がある世界で新たに開墾可能な土地はどんどん少なくなっています。そのうち7%はロシアにあると言われています。これは一つの国の中での開墾可能な土地の供給としては、世界最大です。しかもロシアは水資源が豊富にあります。これと対照的に中国は広大な土地を持っていますが、慢性的に水不足に見舞われており、それが長期に渡って安定的に食料を供給することのリスク要因となっています。またそもそもロシアの人口は1.4億人で、お隣の中国の13億人より遥かに面積当たりの人口密度が低いです。さらにロシアの農村人口は過去20年にわたって減少しました。これらのことから中国をはじめとした外部の投資家がロシアの耕地を購入、またはリースし、そこへ労働者を送り込んで開墾するということがビジネスとして成立する要件が整ったと言えます。いまのところロシアの農業の生産性は低いです。平均的イールド(=単位収穫高)は1ヘクタール当り1.85トンに過ぎず、これは米国の6.36トンに大きく見劣りします。しかし土地が安く、しかも水が豊富なのは投資家にとって魅力的です。一例として中国の政府系ファンドであるCIC(チャイナ・インベストメント・コーポレーション)はロシアと組んで、今年10億ドルの農業ならびに林業ファンドをロシア、ウクライナ、カザフスタンで展開すると発表しました。小麦の重要性とうもろこし、大豆、小麦という取引高が大きく、しかもグローバル・トレードの対象になる三つの主要穀物の中で、ロシアとCISにとってとりわけ重要な商品は小麦です。世界で最も小麦の生産高の多い国は中国とインドです。しかしこれらの国は、生産した小麦のほぼ全てを国内で消費しています。一方、世界的な需要を見ると、人口の増加が著しい中東とアフリカで小麦に対する需要が急激に増えています。このため中東は900万トン程度、アフリカ大陸は1,700万トン程度を輸入に頼っています。主要生産国のうち、国内消費より生産高が多い国はカナダ、ロシア、ウクライナ、米国の4カ国で、カナダは1,800万トン、ロシアは1,900万トン、ウクライナは800万トン、米国は2,600万トン程度の輸出能力があります。これらの国々のうちで、将来、最も小麦の増産余力がある国はロシアとウクライナだと言われています。
2012年09月21日
今日のまとめ8月は輸出、輸入とも低調だったとりわけ輸入の低調は今後の輸出の低迷を示唆している小売売上高は低い水準で横ばい消費を活性化するには社会福祉制度の整備が急務貿易統計中国の8月の輸出は前年同月比+2.7%の1,779億7,300万ドルでした。因みに7月の成長率は+1%でした。輸入は前年同月比-2.6%の1,513億1,300万ドルでした。因みに7月の成長率は+4.7%でした。このところ中国の輸入は3カ月連続で極めて低い伸びを示しています。中国は大量に素材や部品を輸入し、それをテキパキ組み立てて、再輸出するという、いわゆる加工輸出型経済です。従ってこのところ輸入が低い伸びを示しているということは、将来の輸出の数字も数カ月に渡って低迷を免れないことを示唆しています。輸入が振るわない一因は既に完成品在庫が積み上がっているため、在庫整理を進めたいという意向が中国の製造業にあるからです。折から欧州を中心に先進国の需要は弱いです。従って在庫整理には時間がかかると見ておいた方が良いでしょう。小売売上高中国の8月の小売売上高は前年同月比+13.2%でした。因みに7月は+13.1%です。これは半年ぶりに中国の小売売上高の成長率が前月比でアップティックを見たことを意味します。しかし+13.2%という水準はまだまだ極めて低迷した状態であることには違いありません。中国は先進国よりも社会福祉制度が充実していません。消費を活性化させるためには、先ず国民が病気になったときや失業したときにも、月賦の支払いに困らないだけの補助が政府から出るという安心感が必要になります。これは短期間で整備できるものではありません。また社会福祉制度が整備された後も、消費者のお財布の紐が緩むまでには、暫くの様子見の期間が必要になると思います。これらのことから、目先消費が中国経済のけん引役になるという可能性は低いと思います。
2012年09月11日
今日のまとめ消費者物価指数は久しぶりに上昇に転じた生産者物価指数は引き続き強い落勢をしめしている北米の干ばつの影響が心配される鉱工業生産は未だ鈍化している中国人民銀行は難しい対応を迫られている物価中国の8月の消費者物価指数は+2.0%でした。コンセンサス予想も+2.0%でした。因みに7月は+1.8%でした。消費者物価指数が先月から比べて上昇したのは今年の3月以来のことです。一方、8月の生産者物価指数は-3.5%でした。コンセンサスは-3.0%でしたのでそれを下回りました。因みに7月は-2.9%でした。今回、消費者物価指数が久しぶりに上昇した主な理由は食品価格が+3.4%上昇したことによります。北米における干ばつの影響で穀物価格が高騰しているため、9月以降も中国の食品価格は上昇プレッシャーを受けるだろうと見られています。その一方で生産者物価指数は相変わらず強い落勢を示しています。これは過剰設備から来る工業部門におけるデフレ圧力が働いているからです。鉱工業生産中国の8月の鉱工業生産は+8.9%でした。コンセンサス予想は+9.0%でしたので、それを下回った事になります。因みに7月は+9.2%でした。今回の数字は2009年5月以来で最低です。鉱工業生産が鈍化している一因は完成品在庫の整理が進むまで、生産を絞り込む動きがあるからです。難しい政策対応中国人民銀行はこれまで6月と7月に相次いで政策金利を引き下げました。しかしそれ以降は様子見に徹しています。今回の物価統計を見ると、再び食品価格に上昇プレッシャーが出ている事がわかるので、中央銀行としては利下げに対して慎重な態度を取らざるを得ません。それは株式市場の調整の長期化を招くリスクがあると思います。
2012年09月10日
今日のまとめブラジルは利下げ効果が出るか見極めたいところロシアは輸出の受注がマイナスにインドは材料費上昇のプレッシャーを感じている中国は特に新規受注の落ち込みがひどいBRICsの中では中国のパフォーマンスの悪さが目を引くブラジルブラジルの8月の製造業購買担当者指数は49.3でした。これは7月の48.7から改善したことになります。内訳を見ると新規受注は8月も下落しました。これは年初からのトレンドが未だ続いていることを示しています。ただ下落の幅は小さくなっています。輸出の受注は8月も下落しました。これは4月以来の下落トレンドが未だ続いていることを示唆しています。工場は生産を絞り込んでおり、完成品在庫も少し減りました。雇用も減少しています。材料費は再び上昇しはじめており、これはメーカーのマージン圧迫要因になると思われます。ブラジルはこれまで中央銀行が相次いで政策金利を下げてきたので、その効果が出るかどうか様子を見る局面にさしかかっています。他のBRICs諸国に比べると今回のブラジルのトレンドは良かったと言えます。ロシアロシアの8月の製造業購買担当者指数は51でした。これは7月の52から若干悪化したことを意味します。新規受注は過去11カ月連続して増えたことになりますが、今回は改善幅が小さかったです。その原因は輸出の受注が2月以来、初めてマイナスになったことが影響しています。仕入れコストは上昇し、過去10カ月の高値を更新しています。インドインドの8月の製造業購買担当者指数は52.8で7月の52.9から若干悪化しました。停電の影響にもかかわらず生産指数は拡大中です。輸出受注は先月に続いて少し減少しています。完成品在庫は少し増えています。材料費の上昇プレッシャーは依然存在します。雇用は若干拡大しています。中国中国の8月の製造業購買担当者指数は47.6でした。これは7月の49.3を大幅に下回る数字です。これで中国の製造業のセクターは10カ月連続して先月比でマイナスを記録してことになります。現在の水準は2009年3月以来、最も悪い数字です。生産指数は先月比でマイナスを記録しました。新規受注は今月も減少しており、しかも減少幅が大きくなっています。輸出の受注も鈍化しています。手持ちの受注残も減っています。企業は雇用を減らすことでこれに対応しています。総括すればBRICsの中でも中国の内容の悪化がとりわけ顕著です。悪化のペースに弾みがついている印象なので、目が離せないと思います。
2012年09月04日
今日のまとめ生産者物価指数の下落は中国がデフレ・リスクに晒されていることを示唆鉱工業生産は2009年7月以来最低小売売上高も低迷輸出は僅か+1%成長にとどまった更なる金融緩和が必要物価統計中国の7月の消費者物価指数は前年比+1.8%でした。コンセンサス予想は+1.7%でしたのでそれより少し高かったことになります。因みに6月は+2.2%でした。一方、生産者物価指数は-2.9%でした。コンセンサス予想は-2.5%でしたので、それを下回りました。因みに6月は-2.1%でした。今回の数字は中国経済がデフレ・リスクに晒されていることを示しています。鉱工業生産中国の7月の鉱工業生産は前年比+9.2%でした。コンセンサス予想は+9.7%ですのでそれを下回りました。なお6月は+9.5%でした。今回の数字は2009年7月以来最低です。小売売上高中国の7月の小売売上高は+13.1%でした。コンセンサス予想は+13.5%ですのでそれを下回ったことになります。因みに6月は+13.7%でした。リーマンショック以降の世界経済の低迷を受けて中国は輸出主導型の経済運営から内需拡大へと経済の方向転換を迫られています。しかし小売売上高の数字を見る限りにおいてはその道のりは平たんではないことがわかります。貿易統計中国の7月の輸出は1,769億4千万ドルでした。前年同月比で+1%という低い伸びにとどまっています。一方輸入は1,517億9千万ドルでした。+4.7%でした。今回の輸出が振るわなかったのは、先月までの輸入の状況を見れば或る程度予想されたことです。なぜなら中国は大量に原材料を輸入し、それを加工して再輸出するという、いわゆる加工輸出型経済だからです。その点、今回の貿易統計で7月の輸入が+4.7%にとどまったことは悪い予兆だと思います。まとめ今回発表された中国の一連の経済指標は同国の経済がスパイラル的に悪化していることを示唆しています。経済をちゃんと着地させるためには一層の金融緩和が必要ですが、中国人民銀行のこれまでの采配には逡巡が感じられます。投資家のコンフィデンスを奮い立たせる手綱さばきであるとは言えません。
2012年08月13日
今日のまとめロシア経済はBRICsの中でも元気が良い失業率は極めて低い水準鉱工業生産もリバウンドしている製造業購買担当者のマインドも強気物価は安定している原油価格の動向に注目したい全般に好調なロシア経済ロシアの経済はBRICs諸国の中にあって比較的堅調です。そこで今日はロシアの最近の経済指標をチェックしたいと思います。先ず失業率ですが、極めて低い水準にあります。アウトプット指数は季節的な上昇に転じています。鉱工業生産指数にもリバウンドの兆しが見えます。メーカーの購買担当者のセンチメントは強いです。固定資産投資は高水準で安定しています。このところ少し弱含んでいた小売売上高にも反発の兆しが見えます。消費者物価指数は低い水準で安定しています。リスク要因としては原油価格が大きく下落した場合、エネルギー輸出への依存度の高いロシア経済はその悪影響を避けられないという点です。
2012年08月08日
今日のまとめブラジルは物価安定に成功した金融引締めは経済の急激な鈍化を招いたブラジル中銀はアグレッシブな利下げを繰り返した経済統計にはボトムを示唆するものも、そうでないものもある物価安定は実現したブラジルは2011年前半にインフレに悩まされました。このためブラジル中銀は政策金利(SELICレート)を12.5%にまで引き上げ、物価抑制に取り組みました。その結果、現在の消費者物価指数は4.92%(6月)まで下がってきています。成長の鈍化去年前半の金融引締めはブラジル経済の鈍化を招きました。同国のGDP成長率の鈍化は、他の先進国や新興国より急激でした。政策金利の引き下げこれに対応するため、ブラジル中銀は2011年9月以降、利下げに転じ、今までに8回、合計で450ベーシスポイントの利下げを行いました。現在の政策金利は8.00%で、過去最低の水準です。ブラジル中銀の予想では2012年の通年のGDP成長率は2.5%と見られています。若しブラジル中銀のシナリオ通りにこの夏、ブラジル経済がボトムをつけるのであれば、利下げサイクルは終焉したとも考えられます。鉱工業生産金融引締めに加えて欧州経済や中国経済の減速の影響もあり、ブラジルの鉱工業生産は落ち込みました。上のグラフからもわかる通り、鉱工業生産に関しては、未だボトムを付けたとは言い難いです。製造業設備稼働率ブラジルの製造業設備稼働率は1月をボトムとして反発しています。自動車生産台数ブラジルの自動車生産台数は去年より少し低い水準で推移しています。消費者と事業主のセンチメントブラジルの消費者信頼感指数は比較的堅調に推移しています。一方、事業主のセンチメントは未だ悪化の一途を辿っています。
2012年08月06日
今日のまとめブラジルは新規受注と輸出が低迷ロシアの新規受注と輸出は改善インドの輸出は減少に転じた中国の新規受注は今月も減少ブラジルブラジルの7月の製造業購買担当者指数は48.7でした。これは6月の48.5から若干改善したことになります。指数が50以下であるということはメーカーの担当者のマインドとしては「未だ景気が悪化している」という考え方が支配的だということを意味しています。内訳をみると特に新規受注は年初から一貫して減っています。輸出も低調です。工場における出荷高も減少し、雇用も減少しました。唯一明るい材料としては材料費の高騰が一巡した点です。ロシアロシアの7月の製造業購買担当者指数は52.0でした。これは6月の51.0から改善したことを示唆しています。内訳をみると新規受注が改善しています。これは年初来、ずっと維持されているトレンドです。しかも新規受注の改善のペースはここへきて加速しています。輸出も改善していますが、そのペースは鈍化しました。雇用には変化はありませんでした。これはロシアの製造業の生産能力や人員配置が、現在の需要に照らして十分余裕があることを示唆しています。インドインドの7月の製造業購買担当者指数は52.9でした。これは6月の55.0から悪化したことになります。内訳を見ると、新規受注は拡大していますが、そのペースには鈍化が見られました。輸出受注に関しては2011年10月以来、初めて減少が見られました。雇用は若干拡大しました。手持ちの受注残は若干減りました。中国中国の7月の製造業購買担当者指数は49.3でした。これは6月の48.2から改善しています。内訳を見ると新規受注は今月も減少しました。輸出も減少しています。受注残は少しだけ増加しました。雇用は相変わらず減少しています。原材料費は下落しています。総合すると中国の製造業は引き続き下方プレッシャーを感じていることが明らかになりました。
2012年08月02日
今日のまとめ日本人駐在員も巻き込む暴動が起きたインド進出の「先輩」企業だけにショックが大きかったインドは継続的な海外からの直接投資を必要としているインド政府が事態を早期に収拾できるかに注目マルチ・スズキにおける労働争議7月18日にインド屈指の製造業の拠点、マネサールにあるマルチ・スズキの自動車工場で暴動が起きました。騒動の原因は正社員と臨時雇いの社員の賃金格差だと言われています。この暴動で同工場の人事部長が死亡したほか、二人の日本人駐在員を含む、多くの社員や警察官が負傷したそうです。今回の事件の重要性インドは比較的労働争議の多い国ですが、今回の事件は幾つかの点で注目に値すると思います。先ず、マルチ・スズキは日本の企業の中でもいち早くインドの将来性に気付いていた企業であり、インド進出の先駆者です。その分、他社よりも現地の労務管理ノウハウや経験という意味では先行していると考えられてきました。その「先輩格」の企業でこのような大きな争議が起きたことはインド進出を考える他の企業にとって進出を躊躇させる原因になりかねません。次にマネサールという土地柄ですが、首都デリーに比較的近く、歴史的には余り労働問題が先鋭的でなかったところです。このため「ここで駄目なら、一体、どこが安全なのだ?」という不安を外国の経営者に与えています。さらに今回の暴動が極めて計画的であったこと、そして暴徒の行動が残忍だったことも海外からの投資家が二の足を踏む原因になりかねません。直接投資を必要とするインドインドはこのところ慢性的に経常赤字となっており、その帳尻を合わせるためには外国からの直接投資の誘致は極めて優先度の高い問題となっています。以上のような理由からマネサールにおける今回の労働争議をインド政府が早期に鎮静化させることができるかどうかが注目されます。
2012年07月23日
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