コメント新着

まめさん@ Re:◎三億円事件大捜査 正月返上!![ Vol .5 ] 2012 最終回(04/07) 積み替えは麻袋なんか良いかも。畳んでお…
まめさん@ ジュラルミンケースに残されていた物 でもシートカバーが破れてたと。あれ車に…
まめさん@ ジュラルミンケースに残されていた物。 本町団地に乗り捨てられた青カローラに残…
すぃけ~だ@ Re:◎三億円事件大捜査 正月返上!![ Vol .5 ] 2012 最終回(04/07) 実に久しぶりの書き込みです。 昨日(202…

プロフィール

オアシス地球

オアシス地球

バックナンバー

・2025年11月
・2025年10月
・2025年09月
・2025年08月
・2025年07月
・2025年06月
・2025年05月
2007年09月18日
XML







           ●特別企画!クロベエ氏の小説・第三部
                「 犯行場面 - 現金輸送車強奪 」




 「巣鴨署から緊急連絡で、支店長の自宅がダイナマイトで爆破された
 とのことです。この車にも爆弾が仕掛けられているとの連絡を受けています。
 シートの下などを調べてください」

 「え!」 中の四人が一斉に驚きの声を上げた。
 そのうち運転手が震える声で答えた。
 「さ、昨日の夜に車内を点検しましたが、な、何もありませんでした」


驚く それに合わせるかのように助手席の男が
小さく頷いた。その目が泳いでいるのは
私の位置からでもはっきりと見て取れた。

 「シートの下を調べてください」
私は早口に言った。それが
 功を奏したのだろう、運転手が
 震える手で座席の下をまさぐった。

 「シートの下にはありません」 
                                「それじゃ、車の外を調べます」 
私はそう告げ、膝を折った。

雨飛沫が跳ね返る路面に顔を近づけ、車体の下を覗き込む。
   それは見せ掛けだった。頭の中は、車に乗っている行員たちの動向を探っていた。

   私は中腰のまま、フロントタイヤのところに近づいた。ここなら車内の様子が窺える。

   そう思った瞬間、車のエンジンが切られた。僅かに視線を上げると、運転席のドアが
   開いたのが見えた。助手席、左の後部座席のドアがたて続けに開いた。


出る 私は上体を上げて少し前に移動した。
後部座席を確認するためだった。
この車には都合四人が乗っている。だから
もう一人車内に残っているはずだった。

見えた。右後部座席の男は、しきりに
背もたれの辺りを捜しているようだった。

 不意に背中に嫌な空気を感じた。
小さく首を回して周囲を確認すると、後方にも
                               前方にも車が停まっているではないか。

   しかも、反対車線に停まっているのは自衛隊のトラックだ。
   であれば、尚更ぐずぐずしている訳にはいかない。私は焦った。
   セドリックの中にはまだ一人残っているのだ。

   ドアが開く音がし、慌てて振り向く。遂に四人目が降りた。

 頃合いだ---   そう判断した私は地面に伏せ、身を返した。
   そのまま匍匐前進を裏返したような格好でセドリックの下に潜り込んだ。


発炎筒点火! 290x140.jpg 想像以上に狭かった。
そのためヘルメットが
地面に擦れ、ゴツゴツと音を立てる。
 上半身が入ったところで、ジャンパーの
ポケットから発炎筒とマッチ箱を取り出した。
マッチ棒を抜き出し、箱に擦(こす)った。

雨に濡れてしまったのか、それとも
手袋の水がついて湿ってしまったのか、
二度擦っても火はつかなかった。
                               もう一度擦る。手袋から水が滲みてきた。

   私は焦った。だが、ここでしくじったら元も子もない。
   私は深呼吸をしてジャンパーの内ポケットからジッポライターを取り出した。
   着火用のダイアルを回す前に、拳を握って水気を搾り出す。
   そして親指の腹で慎重にダイアルを擦った。

よし! ついた。そのまま発炎筒のほうをライターに近づける。
   瞬間、勢いよく紫の炎と白煙が立ち上がった。

   私は急いで車体の下にその発炎筒を押し付け、車体の下から身を摺り出した。


発進 「あったぞ、ダイナマイトだ! 
危ない! 爆発するから逃げろ!」
ありったけの力を込めて怒鳴った。

一瞬、四人の行員たちの背中が伸びた。
そしてその中の一人の男が、腰を折って
おずおずと車体の下を覗き込んだ。
「うわあっ!」
 悲鳴を上げ、男が後ろに飛びのく。
「爆発するぞ!」
                                私は駄目押しの言葉を叫んだ。

   悲鳴を上げた男が身を翻し、脱兎のごとく走った。
   それにつられてあとの三人も後方へと一目散に走り出した。

    男たちが車から数メートル離れるのを確認した私は、
   開け放たれたままの運転席に飛び込んだ。その瞬間、しめた、と思った。

   キーが付いたままだったのだ。だが、違う心配が近づいてきた。
   自衛隊のトラックから、カーキ色の制服を着た男が消火器を手にして
   歩み寄ってくるではないか。私はキーを捻った。

   エンジンが掛かると同時に、ドアを開けたままセドリックを急発進させた。
   消火器を持った男が横に飛び下がる。右にハンドルを切って白バイをかわし、
   アクセルを思いっきり踏み込んだ。

-----視界が効かなかったが、刑務所の塀を頼りに車を走らせた。

(つづく)





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2010年11月17日 11時40分33秒
コメント(287) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR


© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: