2004年08月31日
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【真夏の邂逅】第65日目


 8/31

 ループ橋を通る。加久藤越え。途中から山道を創りながら進み、直接京町に出る。
 宮崎県に突入。宮崎県には四時間しかいなかった。すぐに鹿児島県に突入。暑い。
 通行止めの道を通る。岩がごろごろしている。道がえぐりとられている。栗野で
 少し迷う。横川町には予定よりも早く着いた。坂本竜馬ゆかりの地で寝る。





 ここら一帯は加久藤越えという言葉で表現されている難所である。


 この山中に分け入ってきたわけである。
 しかも夜中に。

 朝になって歩いて行くごとに
 自分の無知と無謀さを思い知った。

 さて、この道を進んで行くと世界最長というループ橋がある。
 ループ橋とは文字どおりループ状に架けられた橋のことで、
 そんなふうにするのは、普通に橋を架けると斜度がきつくなりすぎるためだろう。
 それでゆるやかに螺旋を描きながら車は橋を渡って行く。

 しかし歩く人間にしてみたらこのループが生み出すロスは
 バカにならない問題である。
 実際ループが始まる地点から終わりの地点までは直線距離にして200mぐらいだろう。


 実歩行距離は1.1kmにもなるというのである。
 僕はまじめにショートカットできる地点を探した。

 2,3ケ所そこらをよじのぼってみたが、
 結局は馬鹿正直にループ橋を渡るはめになった。
 腹立ちさまぎれに、旅の記念、旅の記念とつぶやく。



 この先にまたミニループがある。
 もうグルグル回るのはまっぴらごめんだ。
 それに僕が出たいのは京町というところなのであるが、
 それにはえびのを経由して、
 つまリ遠回りをしていかなければならなかった。

 そこで僕は山中を突っ切ってゆくことにした。
 トンネルの手前から僕は眼下の景色を見下ろした。
 右手が京町、左手がえびのである。

 僕はとりあえず方向のあたりをつけると林の中へ突っ込んでいった。
 斜度はきつい。
 木の幹につかまると足場を固め、
 また次の木にうつるという手順で下って行く。

 このときは木が密集していなかったので
 わりとうまくゆき、なんとか近道をして道路に出られたのである。

 ここで味をしめた。
 さらに道なき道を行こうと次の林へと突っ込んでいった。
 が、ここはさきほどとは勝手がちがった。

 まず植物の密集度合いが濃く、
 前進を妨げる。

 さらに腐った木などが倒れていて足場も確保できない。
 そうした倒木を越え、生い茂る植物をくぐり抜け、
 道に出たときには手足が擦り傷だらけになっていた。

 やっと山のふもとの工事現場につき、
 そこを横切って野性のカンだけを頼りに歩き続けた。
 すでに文明地帯に入っていたため「道」を通っていかなければならない。

 方角だけをひたすら追求できないもどかしさを感じながら、
 やっと目指す京町にたどりつく。

 この町で買い物を済ませ、歩き続け、
 そしてついに鹿児島県へと突入した。

 道ですれちがう女の子たちが元気よく「こんにちは」と挨拶してゆく。
 ああ、ここが鹿児島なのだ。やっと、ここまで来たんだな。


 さて、とりあえず牧園町へと向かうのであるが、
 この道を進むうちトンネルにぶち当たった。
 歩行者が通れるような雰囲気ではない。
 しかたなく迂回路を行くことにした。

 ところがこの迂回路が通行止めなのである。
 連日の雨で崖崩れが起きたのだろう。
 しかし今日は晴れているし、誰かがそこに立っているわけでもない。
 僕は突破することにした。

 右手にガードレールがあり、
 その下を川が流れている。
 左手が崖である。

 しばらく行くと、その崖が崩れた形跡があった。
 いや形跡などいう生やさしいものではない。
 道の真ん中に巨大な岩が転がっている。
 そして流れ落ちた土砂はアスファルトごとガードレールを持っていったのだろう。
 そのガードレールは無残にひきちぎられている。
 そしてなぜだか道に水が溢れだしていた。

 僕は鹿児島を襲った豪雨の猛威を思った。
 今日が晴天であることを僕は感謝した。


 栗野、横川を抜け、牧園町に着いたときにはもう夕暮れ時であった。
 この町からは四方に道が伸びている。
 目指す塩浸への道を探しつつ歩いていると、
 何やら前方に車が止まっていて僕に合図を送っているように見えた。

 しかし気のせいだろうと思い、
 車の横は素通りした。
 すると信号まで来たときにその車がサーっとやって来て
 窓がスーっと開いた。
 信号はちょうど赤である。

 「これで温泉でも入ってください。
  この先に私達の親戚がやっている銭湯がありますから。」

 そう言うとおばちゃんが500円玉を差し出した。
 運転席には男のひとが座っている。

 「あっ、ありがとうございます。」

 僕がそういうと同時に信号は青になり、
 その車は立ち去った。
 あっという間の出来事だった。

 僕はやや呆然としながらも思った。
 温泉のはしごも悪くないか。

 ここ二三日がんばって歩いたのも
 なんとか日のあるうちに塩浸に着きたいという思いからだ。
 しかしその目的地もすぐ目と鼻の先である。

 せっかくお金をもらったのだから、
 ここで温泉に入って、
 それから塩浸に向かい、
 そこでまた温泉に入るということにしよう。

 そう思い、その温泉とやらを探し、
 すぐにそれらしいものを見つけた。
 が、はたしてこれが本当にあのおばちゃんの言っていたところなのだろうか。

 はっきり言ってそれを確かめる手立てがないではないか。
 ここ牧園町は飲むと胃腸に良いという温泉が湧き出るところで、
 それをボトルにして全国発売しているくらいである。
 銭湯の数は二軒や三軒ではないだろう。
 もらったお金ではあるがぜひともあのおばちゃんの親戚に還元したいものだ。

 だが結局、よくわからないことで悩んでいても仕方ないので、
 少しためらいを感じたがその銭湯に入ることにした。
 ここがおばちゃんの親戚の湯だと思い、浸かることにしよう。

 料金はなんと100円という安さである。
 僕は服を脱ぎ風呂場へと入ったが、
 まだ誰も来ていない。

 体を洗い、湯船につかっていると、
 やがておじさんが入ってきた。
 その人はペットボトルを手に持っている。
 どうやらここのお湯をお持ちかえりするつもりらしい。

 彼と一緒に湯船に浸かっているうちに自然に話をしはじめた。
 彼はしきりにここのお湯の効能について話していた。
 胃を悪くして医者にも見放された人間が一週間ここのお湯を飲み続け
 すっかり直ってしまったとか、そんな話である。
 僕も少し飲んでみたが、まあ味はふつうのお湯と変わらない。

 ところで、今日は塩浸まで行くのだということを言うと、
 その人は、この時間からと少し呆れ顔であった。
 最終目的地は佐多岬だと言うと、さらに呆れ、
 あそこは「陸の孤島」だと言った。

 ふーんそんなにすごいのか、と思っていると、
 あんたは運が良いと言った。
 なんのことかと訝っていると、
 つい先日まで佐多岬までの道は通行止めになっていたのだという。
 なるほどそれが本当なら運がいい。

 湯から上がると一路、塩浸を目指し歩き始めた。
 ちょっとばかりよい気分である。

 あたりはすっかり暗くなっていた。
 やがて道からは完全に明かりが消えた。
 また夜の山中というパターンにはまってしまった。

 右手は川である。
 くねくねとした山道を行く。
 と突然、真っ暗な路上に白く切りとられたような部分があることに気がついた。

 いったい何だろうと思ったが、これは月の明かりである。
 月明かりのもつ本当の明るさというものを、
 僕はこの時、初めて知った。

 背後にあり、僕との間に何も遮るものがなければ、
 月は白い影を落とすのだ。
 ところが道の曲がり具合によっては
 月が右手に来たり左手に来たりする。
 すると山が月からの光をさえぎってしまって闇をつくる。
 こうなると足元さえよく見えない。

 右手を流れる川はごうごうと音をたてている。

 目指していた塩浸に着いたのはまもなくであった。
 そこには一軒の公営施設とちょっとした空間に
 竜馬と妻のお竜の銅像が立っている。

 僕はまずそこに書かれてある歴史的な背景を読んだ。
 日本人最初の新婚旅行を敢行したのが坂本竜馬である、
 うんぬん、ということが書いてある。

 それからいよいよ温泉に入ろうと思い、
 建物の方へ向かい中を覗き込んだ。

 だが、どうもこの建物からは人の気配がしない。
 入り口はガラスの扉になっているのだが
 カーテンが引かれている。

 ふと僕は、何か掲示してあるのに気がついた。
 そこには温泉の営業時間が書かれてあり、
 19:00までとなっているではないか。
 僕は時計をのぞきこんだ。すでに19:30である。

 あと30分。

 あと30分はやく来ればよかったのである。
 そうすれば入れたのである。
 うーん、と思わずうなってしまった。

 なんのために、ここ二三日無理をしたのだかわからない。
 明日の朝、入浴しようかとも考えたが
 それでは出発が遅くなるし、営業時間まで何をしていればよいだろう。

 ここは気持ちを切り替えることにした。
 まあ入れないものはしょうがない。
 今夜はとにかくここで寝ることにしよう。


 僕は竜馬の銅像の前で寝袋を広げた。
 それから横になり夜空を見上げた。

 眼を開けてボーっとしていると、
 モモンガが闇夜をスーっと滑空するのが見えた。
 行司の軍配みたいだ。
 僕は思った。




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最終更新日  2004年09月01日 22時23分05秒
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