2006年05月25日
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ートヘアの可愛らしいネコがケージの中で眠ってお

りました。「源氏物語」の若菜・下の巻に女三の宮の

愛するネコについての記載があります。ある日、庭

を歩いていた柏木がふとしたことから美しい女三の

宮を垣間見ます。それがきっかけで女三の宮を愛し

た柏木との間に出来た子が、薫の君です。女三の宮

は朱雀帝の姫宮で、源氏の君の正室です。薫の君は

いわゆる不倫の子です。柏木が初めて女三の宮を見

初めるきっかけとなったのが、女三の宮のネコです。

女三の宮の元からネコが走り出す。その時、ネコに

ついていた紐が御簾(みす)にひっかかったために

御簾が開かれ、ネコを追っていた女三の宮を垣間見

た柏木の心臓が高鳴り、女三の宮を愛するきっかけ

となったのです。源氏の君は、女三の宮からネコを

借りて自分で大事にしております。しらばくしてか

ら東宮(皇太子)の方からネコを返すようにいわれ

るのですが、柏木はこれを無視して返しません。

今日は、その箇所の原文をご紹介いたします。


原本額

 今日は、少し趣向をかえます。現代語訳文は、

「与謝野晶子・訳」をそのままご紹介いたします。

原本は、海外展示を終えた原本です。左下の落款は、

「玄白」と記されております。「玄白」は杉田玄白の

ことです。この箇所の本文を杉田玄白が読んでいた

ことがわかります。原本の裏面には、2種類の糊の

痕跡があり、以前「屏風」や「掛軸」として鑑賞

の用に供されていたことがわかります。


5月21日原本

(1)「原文の読み下し文」

・・・・とて鳴く音なるらむこれも昔の契りにや」

と、顔を見つつのたまへば、いよいよらうたげに鳴

くを、懐に入れて眺めゐたまへり。御達などは、「あ

やしく、にはかなる猫のときめくかな。かやうなる

もの見入れたまはぬ御心に」と、とがめけり。宮よ

り召すにも参らせず、取りこめて、これを語らひた

まふ。左大将殿の北の方は、大殿の君たちよりも、

右大将の君をば、なほ昔のままに、疎からず思ひき

こえたまへり。心ばへのかどかどしく、気近くおは

する君にて、対面したまふ時々も、こまやかに隔て

たるけしきなくもてなしたまへれば、大将も、淑景

舎(しげいさ・明石の女御)などの、・・・・・


5月21日断層

(2)原文の現代語訳文

≪汝よ≫・・・何とて鳴く音なるらん」これも前生

の約束なんだろうか。顔を見ながらこう言うと、い

よいよ猫は愛らしく鳴くのを懐中に入れて衛門督

(柏木)は物思いをしていた。女房などは、「おかし

いことですね。にわかに猫を御寵愛されるではあり

ませんか。ああしたものには無関心だった方がね」

と不審がってささやくのであった。東宮(皇太子)

からお取りもどしの仰せがあって、衛門督はお返し

をしないのである。お預かりのものを取り込んで自

身の友にしていた。左大将(髭黒)夫人の「玉鬘の

尚侍(ないし)」は真実の兄弟に対するよりも右大将

(夕霧)に多く兄弟の愛を持っていた。才気のある

はなやかな性質の人で、源大将の訪問を受ける時に

も睦まじいふうに取り扱って、昔のとおりに親しく

語ってくれるため、大将も淑景舎(明石の女御)の

方が・・≪羞恥を少なくし打ち解けようとなさる≫

(訳・与謝野晶子)








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最終更新日  2006年05月25日 22時03分08秒
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