志 錬
しかし、偶然にも強豪道場に所属したことと、
私の存在もあって、「やらされている」感じが否めなかった。
精神的に追い込まれ、稽古前に体調不良を訴えたこともあったが、
当時の私は、高熱でもない限り決して休ませなかった。
私自身が考え方を改め、長男との接し方を変えだしたのは長男が4年生の冬。
間も無く私の転勤で、今のクラブに移籍した。
移籍先として選んだ今のクラブは、
強くすると言うよりは多くの子供達に柔道と接してもらうことを大切にしていた。
それが長男にとっての転機となった。
これまで、年下にさえ勝てずに選手になれなかった長男。
それが、選手に抜擢された。
選手になれない者の立場を痛い程、感じて来た長男である。
それまで、私を意識して柔道をして来た長男が、
「選手になれない子達の分も頑張りたい。」
「自分のために勝ちたい」
と考えるようになっていたのは明らかだった。
自らの意思で柔道に取り組む姿勢が芽生えて来ていることが感じられた。
勝つために何をすべきかを尋ねてきたことを思い出す。
それでも、これまで順風満帆ではなく、紆余曲折があったことも事実。
私の元では甘えが出ると、中学と他の道場の先生に預けもした。
そして、いよいよ中学最後の大会予選が近付いている。
それに向かって、日々、長男なりに妥協せずに取組んでいる様に思える。
妥協とは、自分自身の甘えから生じる。
如何に素晴らしい環境下にあろうとも、自身が妥協しては、環境は全く無意味となる。
妥協しない稽古を自分自身に課すことが出来るかが結果に直結する。
今日も長男に問う「今日の稽古で、妥協しなかっただろうな?」
そして呈する「明日の稽古も、妥協するなよ!」
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