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この日の石神井公園の美しさは、とても言葉に出来なかった。目を奪われたと言おうか、吸い込まれたと言おうか、本当にぎゅっと引き込まれたようだった。
明るいカラッとした秋晴れの中、ボート池は光に照らし出され、これ以上ないくらい明るく輝いて見えた。空間が殆どもやになっていて、そのもやもまた太陽に照らし出され、まばゆい光を放っている。
水面に落ち葉が散らばっている。それもまた日の光を浴びてキラキラと舞い、一層そのあたりをまばゆくきらめいて見せた。
こちらの方の木々の緑はまだまだ濃いけど、向こうの方で茶色になっている木もある。沿道の桜はもう半分紅葉している。だが大体の木はまだ緑だ。
きちんと小さな腰かけイスに座って釣りをしているお父さんと小さな男の子。平日だからか、一艘だけ足こぎボートが出ている。
キラキラと輝く光にすかした木々の葉っぱや水面を見ていると、あまりにまばゆい光景に、何だか感傷的になってくるようだ。そしてまたこの地に生きる喜び、生かされていることへの感謝の気持ちが溢れてくる。
ボート池の美しさをしかとこの目に焼き付けるように眺めながら、自転車をこぐ。写真になんてとても納まらない美しさに、ホーッとため息をついた。
三宝寺池に着くと、やっぱり緑濃い森なんだなあと思う。久しぶりに来たから忘れていたけど、すごくすがすがしくて爽やかで、本当に気持ちがいい。そして三宝寺池では、静かに紅葉が始まっていた。
イロハモミジやトウカエデはまだまだ真緑。でも向こう岸では赤や黄の木が少しだけ見える。
ベンチに座って上を見上げると、梢の重なりの向こうに青空と白い雲が隙間から覗いている。梢の葉っぱは陽にすかして見えてとてもきれいだ。
パッと上を見上げたとたんにすごくきれいだと思ったのだが、一体どの部分が一番きれいに思えたんだろう?写真に撮るとすればどこを中心的に捉え、そしてどう切り取ったらいいだろうかと、カメラも持ってないのにひとしきり考えた。
一周することにして、土の上を、ゴロゴロと出ている根っこを踏みながら歩く。土の上を歩くなんて久しぶりだ。昔は普通にあったのに、東京23区内じゃこんな機会もめったにないことだ。
歩きながら葉を見たり触ったり幹肌を確かめたりしながら、木の名前クイズをしていく。こんなに通っているのだから当たり前なのだが、全部分かってしまう。樹木ウオッチャーの冥利に尽きる。
すると歩いているうちに紅葉が見事に見渡せる場所に来た。蓮池のほとりだ。ここではこんなに早くもう紅葉が展開されている。かなりの驚きだった。それも赤、黄、黄緑、茶と、実にきれいだ。三宝寺池の蓮池ではもうすっかり紅葉しているのだ。
美しいボート池のみならず、紅葉まで堪能してしまった。
きれいな秋晴れの青空の下、それでもちょっと時間が短すぎたんだろう、何か物足りない気分だ。でも何だか気持ちがスッキリしてすがすがしく、いいものをたくさんもらえた。
今日もまた、豊かで美しすぎる石神井公園に感謝。