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2008年03月21日
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カテゴリ: 戦争映画
1955 イギリス  監督:ホセ・ファーラー
出演者:ホセ・ファーラー、トレヴァー・ハワード、ドーラ・ブライアンほか
97分 カラー THE COCKLESHELL HEROES


 日本では発売されていないので、イギリス版DVD「THE COCKLESHELL HEROES」を購入して視聴しました。英語テロップが付くので、内容はなんとか理解できたかな?。

 ドイツ軍に占領されたフランスボルドー地方で、1942年12月に実行された特殊任務フランクトン作戦を題材にしたアクションドラマ。作戦名や登場人物などに若干の脚色がなされているようだが、全体としては概ね史実ベースのようだ。
 実際のフランクトン作戦は、潜水艦から発進した6隻のカヌーに乗った英海軍の特殊部隊員12名が、フランス・ボルドー川上流に停泊中のドイツ軍艦船への吸着機雷爆破任務を遂行したもので、うち4名が目的地に到着。数隻の掃海艇等を破壊に成功したものの、生きて本国に戻れたのは指揮官のハーバート・ハスラー少佐ら2名のみであった。残りは事故死か、捕虜となり後に処刑されている。

 本作では、ストリンガー少佐を指揮官とし、10名の特殊部隊員が出撃する。作戦名はCocklesheilで、4名が目的地に到達し、作戦を実行。ストリンガー少佐ら2名だけが生き残り、他のものはナチに処刑されるのは史実とほぼ一緒となっている。
 本作はカヌー作戦のミッション描写もさることながら、前半部分は作戦実施にいたるまでの確執、訓練などにも重点が置かれている。コメディ的要素も多分に盛り込まれ、作り話のような展開は引き込まれる。栄誉を求めて破天荒に邁進するストリンガー少佐と、真面目だが過去の失態から窓際事務に追いやられ自暴自棄になっている海兵隊トンプソン大尉の確執は、おかしくも悲しい。ねたみ、勇気、栄誉と軍隊における宿命をまざまざと見せつけられる。また、特殊任務要員選抜のためにストリンガー少佐が行う、自力帰還テストは実に面白い。ドイツ兵の格好でパラシュート降下させ(もちろん英国内)、自力で基地に戻ってこさせるのだが、死体に化けたり、変装したりとありとあらゆる手を駆使して帰還するエピソードが興味深い。どんな手を使ってでも生き残る術を持つ荒くれどもが作戦の成否を担っているのだ。このあたりは、日本映画での「ルバング島の奇跡陸軍中野学校(1974)」をちょっと思い出した。こうした訓練はどこでも行われていたのだろうか。
 一転してCocklesheil作戦シーンはシリアスモードとなり、夜間シーンが多いので画像も暗いのだが、息詰まる見応えのあるシーンが続く。ボルドー港内でのドイツ軍との駆け引き、銃撃戦は絶望感で一杯だ。

 カヌーを発進させる潜水艦は実際の英国海軍T型(トライトンclass)潜水艦が用いられており、対するドイツ軍掃海艇に扮するのは「K383」の艦番をつけたコルベット艦HMSフリント・キャッスル。このほか「F384」のリーズ・キャッスルの姿も出る。ドイツ軍側航空機も登場するが、シュトルヒのようにも見える。
 また、ボルドー港内での艦船爆発シーンはミニチュア特撮。まるで円谷特撮を見ているかのようなシーンはなかなか秀逸。

 イギリスにとっては歴史的なヒーローを扱った映画であるから、全体にシリアス色が強く、リアル感を感じることが出来る。さらに、ストーリーの中に人間ドラマを盛り込み、かつコミカルな部分もあるので、映画としての完成度はかなり高いと言える。時代が古いせいもあろうが、無駄な脚色やカットがないのも好感だ。


興奮度★★★★
沈痛度★★★
爽快度★★
感涙度★


(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい)
 1942年3月、ポーツマス。海兵隊トンプソン大尉、クレイグ軍曹のもとに、特命を帯びたストリンガー少佐が赴任してくる。ボルドー川上流へカヌーで侵入し、ドイツ軍艦船に吸着機雷攻撃を仕掛けるという無謀な任務だ。1918年入隊のベテラン トンプソン大尉はストリンガー少佐にも、無謀な作戦にも乗り気になれない。
 まず、少佐は特殊任務の兵を選別することから始める。すでに志願してきた海兵隊43名の面接を実施するが、その志願理由は、元ディエップ
急襲作戦の生き残り兵、子供養育費のため、運動がしたい、母親が空襲で死亡した恨み、訳も分からずサインした、戦士の家系など実に様々だった。そこで、少佐は最終選考としてテストを実施することにする。380マイル離れた場所にパラシュート降下し、途中に待ちかまえる守備兵に捕まることなく、48時間以内に帰隊しろというものだ。ただし、ドイツ軍の服装を着用し、所持金はゼロ、法律は守るべきだが破る際には捕まるなとされた。
 少佐自ら先頭に立ってパラシュート降下していく。降り立った兵たちはてんでに帰隊への工夫を始める。ストリンガー少佐は、近くの民家に潜入して洋服に着替え、自転車を盗んで乗っていく。途中で、ドイツ軍の服装のままトラックに便乗していた兵の荷台に潜り込み、運転手らが食事に出た隙にトラックを奪って駅に。列車では他の乗客から切符を入手し検札を誤魔化し、見事一番に帰隊する。
 続いて帰隊したのはローマス兵卒で、死体に化けて救急車で帰隊する。3番目はブラッドリー兵卒で、貴族の特権を利用して堂々と黒塗りの車で乗り付ける。クラーク兵卒は、愛人宅に寄るもけんもほろろにされ、ショーウインドウで見つけた士官服に着替えて帰隊。ラドウィック兵卒は、ランニングシャツ姿となってマラソンを続けて帰隊する。結局少佐を除いて8名しか帰隊することが出来ず、11名が守備隊に捕まり、3名が銃撃による負傷、2名が警察に逮捕、6名がいまだ行方不明中であった。この結果、5つの軍警察から苦情が殺到し、機材の多くは失われ、いくつもの裁判が起きている現状に、トンプソン大尉は少佐への不満をぶちまける。こうした無謀な行動も、作戦も、少佐も嫌いだと言う。
 選抜された8名の兵にクレイグ軍曹、ストリンガー少佐の10名はカヌー訓練に入る。しかし、トンプソン大尉は不満に思い、訓練の邪魔を仕掛ける。何故、邪魔をするのかと問う少佐に、あなたは間違っていると批判する。それでも、少佐は訓練を続け、いよいよ吸着磁石機雷の訓練に入る。少佐は本物の機雷を兵に渡し、兵らは大あわてで海上で爆発させる。
 いよいよcockle shell作戦の実施命令が届く。1942年12月6~11日に実施しろと言うのだ。少佐は大尉を連れて飲みに行く。その席で、大尉は自分が少尉としての初陣(カンブライの戦い)で大失策をし、それ以来どうでもいい管理部門に回されていることを告白する。これまでの行為は活躍の場のある少佐へのやっかみでもあり、改めて少佐の活躍を祈るのだった。兵らは酒場で水兵と大げんか。そんな中、ラドウィックの姿がない。ラドウィックの自宅に探しに行った大尉は、間男と遭遇。酒場にいたラドウィックに大尉は3分間の自由を与えると言い、ラドウィックを自宅に連れて行く。3分間で間男をぶっとばし、ラドウィックはすっきりした顔で隊に戻る。

 いよいよ出撃となり、潜水艦に搭乗する。一つのカヌーは2人乗りで、6つの機雷と一つの自爆装置を積んでいた。少佐は決して自決用ではなく、生き延びろと説明する。ただし、作戦任務は必ず実施し、他のカヌーは助けずに、トラブルは自ら解決しろとも言うのだった。
 敵駆逐艦の攻撃を受けながらも、ようやくボルドー川河口にたどりつく。しかし、ローマスが爆雷攻撃で負傷。その代わりにトンプソン大尉が名乗りを上げ、5隻のカヌーが出発する。「CONGER」「CRAYFISH」「CUTTLEFISH」「CAALFISH」「CATFISH」と名付けられたカヌーは急流に逆らって上っていく。うち1隻が転覆し、乗員は海岸線でドイツ兵に使ってしまう。残りの4隻は昼間は隠れ、夜間に川を遡っていく。
 ドイツ軍歩哨の下をくぐり抜ける際に1隻が発見され銃撃を受ける。残り3隻はじっと隠れてドイツ軍の追跡をまく。しかし、クーニーとトッドの艇がドイツ軍に見つかり撃たれてしまう。
 ストリンガー少佐とトンプソン大尉の2艇はなんとかボルドー港に潜入成功。生け捕りにしろというドイツ軍の執拗な捜索の目をかいくぐって、ドイツ軍艦船に機雷を吸着させ、爆破に成功。トンプソン大尉の艇は大型船に向かうがそこでドイツ軍に捕まってしまう。ストリンガー少佐の艇も転覆するが、近くにいたフランスレジスタンスに救助され、本国への帰還を果たす。捕虜となった8名は銃殺される。





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最終更新日  2008年03月21日 09時09分44秒
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