きまぐれうさぎ

きまぐれうさぎ

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2009.12.22
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テーマ: お勧めの本(7418)
カテゴリ: カテゴリ未分類
やっと読むことができました。村上春樹の作品であるのと最近長編を読んでいなかったせいで、読むのに多大な集中力と体力を要しました。さすが村上春樹です、少しも読み飛ばせないくらい濃く深い作品でした。

そうなんですよね~。こういうところが村上春樹が多くの人達に読まれるゆえんなのではないのかと思うのです。物語だけでも楽しめるし、内容を深く掘り下げても満足出来る。さまざまな読み方が出来るという間口の広さがベストセラーになる要因なのではないでしょうか。





さて、内容ですが今回は青豆と天吾という二人の主人公が登場します。二人の話が交互に語られやがて一つに繋がってゆきます。こういった複数のストーリーがやがてひとつに繋がってゆくという展開は割と好みなのですが、内容や世界観を深く掘り下げると、作品の根本は「ねじまき鳥」に近い印象を受けます。なんとなく今までの村上作品の要素を作品のあちこちに散りばめた様な感じもしました。そういう意味では、新しさや斬新さを問われるとこの作品は少々弱いかもしれません。まあ、逆にそれだけ村上春樹の世界がしっかり出ているとも言えなくはないのですが。

ただ、新しさを感じるところも登場人物や設定に、ちらほらあることはあったのです。
まず、斬新な登場人物としては主人公の青豆でしょう。奇抜さでいえば、独特な雰囲気を持つ「ふかえり」なんでしょうが、彼女はなんとなく加納マルタ、クレタや「ダンスダンスダンス」のユキなどの村上作品にはたまに登場する普通の人には感じ取れない能力を持つ登場人物に近い気がします。それに対して青豆は体を鍛えることと護身術を愛するスポーツウーマンで、なおかつ職業は殺し屋という村上作品にはあまりお目にかかれないストイックな精神に非現実的な職業を持つ登場人物だったと思います。
そして驚いたのは、設定が「初恋の人をお互いにずっと想い続けている」という昔の少女漫画や、はたまた昼メロのような実に現実ばなれしたファンタジーになっていたということです。みんなが夢見ているけれど、実際には起こり得ないと分かっていることをまさかの村上作品でお目に書かれるとは!しかし、そこはさすが村上春樹ってなもので、さほど違和感を感じずに最後まで読めてしまうので不思議です。

物語の面白さ内容の奥深さ、どちらをとっても満足のいく出来なのですが、若干消化不良なところもありました。天吾の母親の詳細が未解決なことや安田恭子に起こったこと、結局「リトルピープル」の正体とは?といったことです。でもどうやら続きが出るようなのでそちらでこれらが解消されることを期待しています。

しっかり村上春樹ワールドしていて、内容も奥深く、それでいてストーリーだけでも面白く読めます。読んで損はない作品です。全ての人におすすめです。一度読んでみてはいかがでしょうか。





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最終更新日  2009.12.22 21:14:09
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