こんにちは。


ナルホド~。
でもちょっと興味深いですネ。
本屋さんで探してみようかな ( ´ ▽ ` )ノ (2011.05.11 15:33:06)

きまぐれうさぎ

きまぐれうさぎ

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2011.04.28
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テーマ: お勧めの本(7417)
カテゴリ: カテゴリ未分類
真夜中に小さなカヤックで一人海を漂う茉莉香。このまま死んでしまうかもしれない彼女の前に表れたのは、言葉を話す一匹の鷲だった。鷲が茉莉香に語り始めたのは、遥か昔、島に暮らしていたある兄と妹の物語だった。




第二十一回日本ファンタジーノベル大賞受賞作です。

最近めっきり読書する機会が減ってしまったうえに、ここ一、二か月くらいは全く小説を読まない日々を送っていました。そんな、私が久しぶりに手にとって、しかも一気に読んでしまったのが、この作品です。

全く知らなかった作者と作品だったのですが、どうして興味を惹かれ読んだのかといえば、この作品に付いていた帯に激しく興味を覚えたからでした。
その帯には通常の帯のように作品のあらすじが書いてあったのですが、そこには「兄」や「妹」、「許されぬ愛」などの文字が踊り、しかも一番太い文字で「この世の終わりで抱いてやる。きっと…。」などとあるではないですか!!これは、もう私好みのメロドラマに違いないとすかさず手に取ることに。
なんかもう、この帯だけで三食いけてしまいそうです。


そんな作品の時代はといいますと、現代と昔、二つの場面が交互に登場します。まあ容量的には、現代の場面はほんの少しで、江戸末期頃の話が大部分なわけですが。

さて、この作品で特筆するべきは、奄美大島を舞台としているということでしょうか。奄美大島のことをほとんど知らなかった私にとって、この作品を通して島独特の文化や人々、信仰などに初めて触れることが出来ました。
南の島というと、のんびりとして穏やかなイメージしか持っていなかった私は、島の人々、特にヤンチュやヒザと呼ばれる人達が過酷な労働を強いられながら、サトウキビを収穫していたことを初めて知りました。


この作品の奄美大島の描写は秀逸だと思います。


ただ少し残念だったのは、作品の後半部分でしょうか。
期待に膨らみ、興味深く読み進められる前半部分と比べて、後半は割とあっさり終わってしまったというか、いまいち盛り上がりも共感にも欠ける印象を受けました。それに伴って優れた小説なら必ず持っている、余韻を残す読後感が少なかったのも残念でした。

私の勝手な見解では、後半、盛り上がりに欠けた原因は考えられる限り二つ程あるように思いました。

一つはメロドラマから滲み出る「狂おしさ」がこの作品には、あまりなかったということです。
やっぱりメロドラマ好きとしては、「愛し合う二人を運命が引き裂けば裂くほど、高まってゆく二人の狂おしい感情」が重要だと思うのです。その部分に読者は共感を覚えるのだと思うのですが、後半部分の一番盛り上がるところで、妹サネンの葛藤があまり感じられないばかりか、やけに冷静でさっぱりとしていた印象を持ってしまいました。

それからもうひとつは、現代での茉莉香の話です。これも前半は何やら秘密の香りがして大変興味深かったです。しかし後半に真相が明らかになるにつれて、現実離れして説得力の無さになんだか安っぽさを感じてしまい、興味が薄れていってしまったように感じました。というわけで、なんとなく冷めた気持ちのまま読み終えるはめになってしまいました。

そこのところ以外は楽しく読め、実に私好みの物語だったので、本当にもったいなかったなと惜しい気持ちでいっぱいです。
とはいえ、これは「こってりメロドラマ」好きの私の意見なので、メロドラマ初心者は気にならない程度のことだと思われますが。


まあこの作品は物語を抜きにして、昔の奄美大島の生活を知るだけでも十分満足に値すると思います。もちろん、後味さっぱりめのメロドラマとしても十分楽しめます。

月の綺麗な夜にでも、この作品を雰囲気たっぷりに読んでみてはいかがでしょうか。





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最終更新日  2011.04.28 22:37:07
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Re:「月桃夜」遠田潤子(04/28)  
reichel!  さん

Re[1]:「月桃夜」遠田潤子(04/28)  
ぷるんつ  さん
reichel!さん、こんにちは!

>久しぶりにコメントいたします♪( ´▽`)

お久しぶりです!
ほそぼそと、なんとか続いているこのブログに来ていただけてとても嬉しいです。

>ナルホド~。
>でもちょっと興味深いですネ。
>本屋さんで探してみようかな ( ´ ▽ ` )ノ

展開にそれほど目新しさは感じなかったのですが、奄美大島という舞台設定は今まであまりなかったように思うので、メロドラマファンとしては必見かもしれません。 (2011.05.12 17:03:18)

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