きまぐれうさぎ

きまぐれうさぎ

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2010.05.14
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カテゴリ: カテゴリ未分類
「身内に不幸がありまして」「北の舘の罪人」「山荘秘聞」「玉野五十鈴の誉れ」「儚い羊たちの祝宴」の5作品。

※感想に若干のネタばれがあります。

各作品がなんとか微かに繋がっているという連作短編集です。
ほぼ全編、舞台が由緒ある旧家に絡んでいるという「お家」にまつわる物語なので、旧家のメロドラマ的な話が好きな人には垂涎の作品だと思います。
大体の作品がひと昔前の少女小説のような語り口調なので、
読んでいると脳内で旧家に生きる乙女たちの
めくるめく世界が万華鏡のように繰り広げられること請け合いです。

ただ注意が必要なのは、この旧家のメロドラマな作品でも
作者が米澤穂信ということです。
見た目も麗しい乙女たちの世界に油断していると、甘い砂糖菓子を食べていたつもりが実はとんでもない物を口にしていたというくらいの衝撃を起こしてしまうかもしれませんので、そこは心して読むことをおすすめします。

好き好きが、はっきりと分かれる作品かもしれません。

旧家ということで読んでいてなんとなく古い時代を思い浮かべてしまうのですが、よくよく注意してみると、若干無理はあるものの現代として読んでも十分物語が成り立つようにも感じます。もちろん大正や昭和初期の設定でも大丈夫なのですが。
各作品の時代が曖昧なので、読者の脳内で自分好みの時代背景に設定して読むということも出来る作品です。

旧家に生きる乙女たちの世界を堪能するも良し、
ミステリの醍醐味である、どんでん返しの衝撃を味わうも良しの
大変お得な作品です。




「身内に不幸がありまして」
ユニークなタイトルですが、決して軽い物語ではありません。夢野久作や江戸川乱歩などに造詣が深いと物語を深く楽しめそうです。
作品の黒さは 80パーセント でしょうか。

「北の舘の罪人」

黒さ 90パーセント

「山荘秘聞」
なんとなくミザリーを思わせる物語でしたが、いろんな意味で意表を突かれた作品でした。
黒さ 30パーセント

「玉野五十鈴の誉れ」
旧家を舞台にしたメロドラマでは(個人的に)必須とおもわれる登場人物、地獄の住人からもお断りされそうなくらいの生命力と絶対の権力を持つ、怖いおばあさん(祖母)が登場する物語です。
黒さ 50パーセント

「儚い羊たちの祝宴」
絵画や海外ミステリなどの教養があると物語を理解しやすいと思われますが、その半面オチも容易に読めてしまう恐れがある作品です。
黒さ 70パーセント





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最終更新日  2010.05.14 21:11:49
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