きまぐれうさぎ

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2010.06.22
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「青に捧げる悪夢」アンソロジー
恩田陸「水晶の夜、翡翠の朝」 若竹七海「みたびのサマータイム」 近藤史恵「水仙の季節」 小林泰三「攫われて」 乙一「階段」 篠田真由美「ふたり遊び」 新津きよみ「還って来た少女」 岡本賢一「闇の羽音」 瀬川ことび「ラベンダー・サマー」 はやみねかおる「天狗と宿題、幼なじみ」



なかなか豪華な顔ぶれである10人の作家さんの短編が収められたアンソロジー。作者のラインナップから、生粋のミステリ作品なんだろうと思っていたのですが、タイトルに「悪夢」とあるように、ばりばりのミステリというよりは、ホラーテイストのミステリだったと思います。まあ、作品によってホラー少なめでミステリ大盛りだったり、ミステリはエッセンス程度で主体はホラーだったりと、作品によって様々なのですが。
とはいえ、暑くて寝苦しくなってきた今の季節にはぴったりの作品だと思います。


恩田陸「水晶の夜、翡翠の朝」
「麦の海に沈む果実」のスピンオフの作品です。あの作品もミステリ色が濃いめだったためか、この作品もミステリ色濃いめです。「麦の海に沈む果実」のファンも、読んだことのない人も楽しめるお得な作品だと思います。

若竹七海「みたびのサマータイム」
青春のほろ苦さがぎゅっと濃縮されたような、爽やかさ漂う作品でした。読み終わった後、なんとなく説明不足の部分があるんじゃないかという物足りない気分にさせれられたのですが、どうやらこれもスピンオフ作品のようでした。物足りない部分は「クール・キャンデー」という長編を読めばすっきりするだろうと思います。「クール・キャンデー」にも興味が湧く作品です。

近藤史恵「水仙の季節」


小林泰三「攫われて」
このアンソロジー作品中、最もホラーとミステリの要素が絶妙なバランスで組み合わさっていた作品のように感じました。ちょっとスプラッタの要素が入っているので、好き嫌いが分かれるかもしれませんが、全体的にホラーが漂いながら、後半にはきちんとミステリらしいオチが付いているので、ホラー、ミステリどっちにも満足出来ると思います。このアンソロジーのテーマに一番合った作品だったように感じました。

乙一「階段」
物語の始まりから暗雲として、悲壮な雰囲気が伝わってくる作品です。どちらかと言えば奇抜な物語展開は少ないのですが、主人公の内面が読んでいてこんなに切実に伝わってくるのはこのアンソロジーの中ではピカイチだったように思います。ミステリっぽさはあまりなく、主人公に同調しながら怖々と読む作品だと思いますので、どちらかと言えばホラー主体の作品だと思います。

篠田真由美「ふたり遊び」
ゴシックホラーな雰囲気の作品です。閉じられた空間で物語は進んでいき、後半も予想通りに展開してゆきます。しかし読み終った後、もう一度最初から読んでみると「ああ、そういうことだったのか」と気付くことがあると思います。なので、ホラーだけと思いつつ、もう一度読み返すときちんとミステリしている作品です。

新津きよみ「還って来た少女」
始めはホラーかな、と思いつつ読み進めていくと、後半はミステリ色が強くなってゆきます。怖いというよりは、ミステリの部分に「そういうことって確かに無いとも言えないね」と妙に納得させられる作品でした。

岡本賢一「闇の羽音」
最初はミステリだと思わせ、最後はホラーに落ち着くという他の作品とは逆のパターンでした。ホラーを存分に楽しめる作品です。

瀬川ことび「ラベンダー・サマー」


はやみねかおる「天狗と宿題、幼なじみ」
子供と読みたい作品です。ホラー要素もあるのですが、緻密なトリックが展開されるのでミステリファンも満足の作品だと思います。





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最終更新日  2010.06.22 21:10:53
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