きまぐれうさぎ

きまぐれうさぎ

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2011.05.31
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外国語大学に通う主人公は、バッハマン教授のもと「アンネの日記」を暗誦することになるのだが…。



第143回芥川賞受賞作です。
初めて読んだ作者でした。
ページ数が少なく、文字も大きいうえに余白も多いので、さらりと読めてしまうのかなと思ったのですが、そこはやっぱり芥川賞作品でした。さらりと読むにはこの作品のテーマは、なかなか難解で一筋縄ではいかなかったように思います。

「アンネの日記」や「乙女」「密告」「暗誦」などが作品の重要なキーワードとして登場しているのですが、個人的にはそれらが複雑に絡み合い過ぎていて、作者の言いたいことが明確に伝わってきづらいように感じました。文学の玄人向けの作品っぽいような気がしました。


とはいえ文学の素人である私は、この作品に全く読む価値を見いだせなかったかといえばそうでもなく、結構面白く読むことが出来たのですが。
それというのも作品が真摯に重いテーマと向き合っているにも関わらず、微妙に外しているところがあるので、そこが妙に心地良いと感じたからです。

その外しているところの一つはバッハマン教授の奇妙な言動だと思うのですが、もう一つは舞台が関西だということです。
短く歯切れの良い地の文に対して、語尾に「やよ」や「やで」のついた会話の文。「すみれ組」の百合子様と「黒ばら組」の麗子様が登場する世界に「あたしは乙女やねん。ほんまやねん。」という乙女達の台詞。

この一見ひと昔前の少女漫画風の世界なのに台詞は全て関西弁ということが、読者を重い気持にさせず、読後感の良さを醸し出しているように感じました。

しっかり読むとテーマは重いような気がしますが、上質なコントとして読めば、それはそれでとても楽しめる作品だと思います。





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最終更新日  2011.05.31 20:56:11
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