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2009年01月24日
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カテゴリ: カテゴリ未分類
さて、話を元に戻す。

「オバマ人事」の特徴は、
上下両院議員や知事など
議会や行政トップ経験者を
多数入閣させた
実務重視の即戦力政権だということは、
既に、様々な識者によって
指摘されていることである。

特に、「オバマ人事」では、

争ったライバルや
共和党の人材までも
起用している。オバマ氏はこれを

「チーム・オブ・ライバルズ」

と呼んでいる。

これは、ブッシュ政権が
「身内重視」で
サークル的な甘さがあり
「お友達」のチームと
呼ばれたのと対照的だ。

常連さんにはご存じの通り、


「政敵を入閣させる」

人事を、高く評価してきた。
(2006年11月20日
政局抜きで小泉政治を総括する:小泉流民主主義とは(1)敵を味方に変えること。 )

「オバマ人事」も


政敵を入閣させる
「チーム・オブ・ライバルズ」の
いいところは、
「ライバルたち」が政権の外部で
好き勝手なことを言ったりするのを
封じ込めることができることだ。

日本の政治で、「閣内不一致」が
批判されることがよくあるが、
米国でも同じようなもんである。

元々大統領と意見が異なるライバルでも、
閣内に入れば、そう簡単に
勝手な発言はできないものである。

また、「オバマ人事」の「敵は閣内」は、
「小泉人事」のそれとは違った観点から
高く評価することもできる。

それは、多少の意見の相違には拘らず、
強い個性と能力、そして
既に高い実績を持っている人物を
閣僚に起用した「オバマ人事」が、
現在の「バブル的」な
オバマ大統領への期待を、
オバマ政権への実態ある信頼に
変えていく効果があるということだ。

例えば、ファーストレディーとしての経験がある
ヒラリー・クリントン国務長官、
ニューヨーク連銀総裁時代に
金融危機対策の立案で
中心的な役割を担ってきた
ガイトナー財務長官、
第一次ブッシュ政権の
ネオコン主導の政策を
現実的で穏健なものに変えた立役者
ゲーツ国防長官、
そしてクリントン政権時に
財務次官・財務長官を経験した
サマーズ経済担当の大統領補佐官
兼国家経済会議(NEC)議長などは、
既にそれぞれの分野で実績があり、
高い評価を得た人物たちだ。

また、彼らの仕事を
速やかに法律化するために
必要な議会対策にも、
エマニュエル首席補佐官、
トム・ダシュル厚生長官など
実績あるベテランを起用している。

民主党には「ブルードッグ」と呼ばれる
財政タカ派50人が議会に陣取るが、
エマニュエル氏らの起用は、
議会を抑えての金融危機対策や
大規模な財政出動・公的資金投入などの
景気刺激策の実現への
現実味を高めるものである。

このように、「オバマ人事」が
オバマ大統領の個人的な人気を
オバマ政権の政策実行力への
高い信頼に転嫁させることができ、
オバマ大統領に対する
閣僚たちの求心力が強まる。

前述のように、閣僚たちは
自身のキャリア・アップのために、
政権内での「業績作り」に
没頭するようになる。

そして、それはまた
オバマ大統領の人気を
より高めていくという、
好循環を生んでいくことに
なるだろう。

逆に、「チーム・オブ・ライバルズ」の
「オバマ人事」に問題点があるとすれば、
それは、いわゆる

「船頭多くして船、山を登る」

に陥るリスクがあると
いうことだろう。

個性の強い大物である閣僚たちが、
大統領の意向を無視して
バラバラに自己主張を始める
危険性があるということだ。

どういう時に、
そういうリスクが
顕在化するかというと、
それは、金融危機などへの対応に失敗し、
オバマ政権への支持率が
低下した時だろうね。

前述のように、その時閣僚たちは
自身の責任を回避するために動き始める。

イラクなど外交政策を巡る
オバマ大統領とクリントン国務長官の対立、
FTAの推進など通商政策を巡る
オバマ大統領と
ロン・カーク米通商代表部(USTR)代表の対立、
金融問題におけるガイトナー財務長官と
サマーズNEC議長の対立など
閣僚の間の意見の不一致が、
一挙に表面化してくる
懸念もあるだろう。

ブッシュ政権の場合は、
閣僚に大統領の「お友達」が起用され
比較的一枚岩だったので、
低支持率に喘ぎながらも、
閣僚から公然と
大統領批判が噴出することは
あまりなかった。

皮肉なことだが、
現在は好意的に評価されている
実績重視の「オバマ人事」が
アダになったと
批判される日が
来る可能性はある。

最後に、「オバマ人事」で
日米関係はどうなるかを考える。

日本では、かつてクリントン大統領が
東京を飛び越して北京を訪問し、
貿易紛争で日本に強硬な姿勢をとったことや、
民主党内で中国専門家に比べて
日本専門家の数が少ないことで、
オバマ政権が
日本を軽視すると
懸念されてきた。

しかし、知日派である
ジョセフ・ナイ元国防次官補の
駐日大使起用や
東アジア・太平洋担当の
次期国務次官補に、
クリントン前政権下で、
日米防衛協力のための
指針(ガイドライン)見直しなど
日米安保再定義を担った
カート・キャンベル氏が就任することで、
その不安は払しょくされたという
楽観論が強くなってきた。

しかし、オバマ政権では、
日本だけが特に重視されているわけではなく、
著名な中国専門家である
ベーダーNSCアジア上級部長の起用など、
日中の間でバランスをとる配慮がみられる。

また、中国の金融財政政策を担当する王岐山副首相、
次の党総書記候補・習近平政治局常務委員(国家副主席)と
米国金融当局の間には、
既に深い関係が構築されており、
それはオバマ政権になっても
引き継がれていくだろう。

逆説的だが、私は
ナイ、ジョーンズ、ベーダー、キャンベルという
東アジア専門家が
要職に起用されることは、
むしろオバマ政権の東アジア軽視を
示しているという
見方もありえるのではないかと
考えている。

繰り返すが、人事には
能力ある人材を
生かすものもあれば、
その能力を封じ込めるための
ものもあるからだ。

「グリニッジ標準時」から
世界全体を見れば、
米国にとって世界金融危機への対処が
最重要課題であるのは言うまでもない。

イラクとアフガニスタンで
戦争を継続中の中東政策、
対ロシア外交も困難な課題であろう。

東アジアは専門家に安心して任せて、
オバマ政権としては
目の前の難題に集中すると
いうことはありえると
私は考えている。

それでは、またね。



「外交・国際関係」バックナンバーは こちら。





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最終更新日  2009年01月25日 00時55分38秒


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