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2009年03月04日
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カテゴリ: カテゴリ未分類





「ごめん。私は最低な女だよ。」





とそこにはそれだけあった

瞬間的に頭からふっと血の気が下がり

真っ白になっていくのが自分でも分かる

そして次の瞬間

何があったのか?

という疑問から様々な最悪のシナリオが湧き出てきた

私は独りでに動き出しガタガタと音を発てる歯と

震える全身の細胞の全てを理性で捻じ伏せて



震える親指をなんとか操作してかけた電話

加奈子の第一声は「ごめん」

という沈んだ声だった

私は恐怖心を押し殺しその時出来る精一杯の

平静を繕ったような声で何があったのかと聞いた

彼女は重い口調で言葉を濁しながら話し出した

「公園で別れ話を切り出したんだけど」

「別れたくないって大作が言い出して」

「それで結構時間が経って周りに人が少なくなってきたら」

「大作が話し名がら後ろから抱き付いてきてね・・」



「それで・・そういう雰囲気になっちゃって・・うん・・」






その言葉の意味が心から分かった気がした一瞬だった

信じていた存在に裏切れた今

何を信じて生きていけばいいのだろうかと

私の世界は崩れてしまったといっても過言ではなかった

次の言葉を言おうとするが絶句してしまい



言葉にすらならない

擦れて今にも消えそうな声でただ呻くように

「あ・・・・・ふ・・・」

「・・・・・な・・・・」

と繰り返すしか出来なかった

加奈子は「うん・・・ごめん・・」

と言うが私には何の救いにもならなかった

加奈子の言う「そういう雰囲気になって・・それで・・」というのは

どういう事をしたのか?

などという事は聞きたくもなかったが

受話器越しの加奈子の声色から

私は手に取るように分かってしまっていたのだった

裏返りそうな声を咳きするふりをしながら整えて

「もう分かった・・」

「その話題はやめよう」と私は酷く擦れた声で言い

彼女は「うん」と沈んだ声で返した




その後加奈子は私に気持ちを正直に吐露してくれたのだが

その気持ちは昨日の加奈子とは別人のようだった


「どちらが好きなのか分からなくなった」


「ごちゃごちゃで混乱してて」


「少し考えさせてほしいと」



と言う加奈子

私は

なぜなんだ?

あの日言った理想のタイプなどという言葉は嘘なのか?

人の気持ちを弄んで嬉しいのか?

裏切られた人の気持ちはどんなに痛いものか知っているのか?

と理性を忘れて怒鳴り尽くしてしまいたい衝動に駆られたが

きっと加奈子も今苦しみながら悩んでいるのだろうと思い

私は何も言わなかった

そして何にも言わなくても必ず勝てると確信していた

私は嫌がる彼女に無理やり性処理させる人間ではないし

束縛の激しいタイプでもない

大作に対しては私は

ルックスも性格も考え方も心配りも全てにおいて勝っていると自負していた

その上加奈子にとって私は理想のタイプだというのだから

大丈夫な筈だと

私はただ「大丈夫、大丈夫、負けるはずがない」と言い聞かせ

気持ちを落ち着かせた

私は落ち着きを取り戻し始めた頭の中から生まれてくる

皮肉の一言を言う気持ちを抑えて

「分かった。」

「加奈子が混乱してるのなら答えが出るまで俺は待つよ」

「大作に負けるわけないと思ってるし」

「俺は必ず加奈子を幸せにする自信があるから」

「信じてるから」

と言い

加奈子はただ「うん・・分かった」と返し電話を終わらせた


続く





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Last updated  2009年03月11日 15時55分44秒
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