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2026.06.18
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テーマ: 読書(10121)
カテゴリ: 読書


「スピノザの診察室」を読んで、ぜひとも続きを読みたいと思っていたので続編「エピクロスの処方箋」が出版されたのは嬉しかった。
すぐにでも読みたかったが図書館での予約待ちをして今頃となった。
「スピノザの診察室」の感想については以前のブログ(↓)をお読みください。

さて、「エピクロスの処方箋」である。
(以下、Amazonより)
’’【あらすじ】大学病院で数々の難手術を成功させ、将来を嘱望されながらも、母を亡くし一人になった甥のために地域病院で働く内科医の雄町哲郎。
ある日、哲郎の力量に惚れ込む大学准教授の花垣から、難しい症例が持ち込まれた。
患者は82歳の老人。
それは、かつて哲郎が激怒させた大学病院の絶対権力者・飛良泉寅彦教授の父親だったーー。
「エピクロスが主張している快楽の本質は、何よりも『精神の安定』のことなんだ。だから自分は快楽主義者だと言う奴に出会ったら十分に注意することだ。心の平静を求めているのか、ひたすら快楽を求めているのか、こいつは全く別物だよ」(本文より)
エピクロス……古代ギリシャの哲学者。快楽主義を提唱した。’’
(以上、Amazonより)

スピノザは17世紀の哲学者であり、エピクロスは紀元前4世紀の哲学者である。
医学、医術に関する小説というよりは哲学を思考する小説という趣である。
医学では人を救えない。しかし、病気を治すのも、生きながらえるのも医療である。医術、すなわち医療技術だけでなく、患者自身がどのような治療を望むのか、生き続けたいのか、健康でいたいのか、生命維持だけなら無医療を望むのか。患者の心身について看る。医者であり看護士であるような人物が雄町哲郎である。ゆえに大学病院よりも市井の町医者が似合う。
医は仁術であり、と思える本である。

作者・夏川草介も内科医である。小説家でもあるが職業小説家でない。彼のインタビューを読むと、自らを【内証】( 仏語。自己の心の内で真理を悟ること。内面的な悟り。)するために日記代わりに書くことによって心が落ち着いていくそうだ。ゆえに、読者のためでなく、ただ自らの心のために小説を書いているのだと思う。しかし、その哲学的な内証が読む人の心も落ち着かせているのだと思う。
心の平安のために読みたい本である。

(以下、Amazonより)
’’【著者からのメッセージ】
「幸福」とは何か。本書の主題は、前作『スピノザの診察室』と同じく、この問いの中にあります。
幸福に生きるとはどういうことか。幸福は環境が与えるものなのか、それとも自分の力で生み出すものなのか。幸福と快楽とは何が異なるのか。
これらの問いが私の中で年々重みを増しているのは、臨床現場で様々な命の在り方に出会うからかもしれません。無論、容易に答えが出るものではありませんが、思索の旅を少しずつ前へと進めています。
古代ギリシャの哲学者エピクロスは、快楽主義の祖と言われる人物ですが、この問いに、実に簡潔な答えを示しました。それは、心に悩みがないことと、肉体に苦痛がないこと。
彼が提示したこの素朴な条件に、私はもう一つだけ付け加えます。
すなわち「孤独ではないこと」。
多様性の名のもとに、人と人とのつながりが断ち切られ、互いに歩み寄ることが難しくなりつつある現代だからこそ、この物語が多くの人の足下を照らす、温かな灯火となることを願っています。





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最終更新日  2026.06.18 23:16:04
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