真理を求めて

真理を求めて

2004.02.25
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テーマ: 素朴な疑問(16)
カテゴリ: カテゴリ未分類
今日は、朝鮮民主主義人民共和国がらみのニュースで気になるものをいくつか拾ってみよう。まずは次のものだ。

「<北朝鮮>小泉発言に「吐き気催す」 労働党機関紙
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040222-00000044-mai-int」

この記事では、「吐き気を催す」「時代の流れに逆行しているのは日本で、日本は過去も今日もわが人民の極悪な敵だ」というような過激な悪口が語られていることを伝えている。これらの言葉は、朝鮮労働党機関紙「労働新聞」に載せられたものらしい。

ここで疑問を抱くのは、どうして日本の世論感情を逆撫でするような言葉をわざわざ使うのだろうかということだ。日本と友好関係を結んで、経済的に支援を受けたいのなら、これはむしろマイナス効果として働くのではないだろうか。どうのような戦略を考えてこのような言葉を繰り返すのだろうか。

一つ想像できるのは、外部に敵を作って、国内の結束を固めるというものだ。上の言葉は、朝鮮労働党機関紙「労働新聞」に発表されたものらしいから、国内向けの宣伝という効果をねらっているものかもしれない。しかし、これによって日本との関係は確実に悪くなる。そうなってもいいと考えているのだろうか。

日本のようにある程度民主化されている国であれば、世論が国家を動かすということもあるので、権力の側は世論への宣伝を重んじることだろう。しかし、朝鮮民主主義人民共和国では、極端に情報が制限されている。そこでは世論が形成されて国家が動くのではなく、国家が与える宣伝で世論が形成されるということになるだろう。

つまり、感情的な世論に流されて外交が変わるということが考えにくい。また個人と違って、国家の態度は感情に流されるということも考えにくい。絶対的な権力者の感情が影響を与えて、国家の態度が感情的になるというケースもあるかもしれないが、国家意志の決定に多数がかかわっていれば、個人の感情のように感情がそのまま出てくることは少ないだろう。

日本に対するこのような感情的な反応を示す言葉の、外交的な意味はどこにあるのだろうか。どのような思惑があって、上のような言葉を使うのだろうか。一方では次のような報道もあったりするので、その意図がますます分かりにくくなる。


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040222-00000085-kyodo-int」

ここでは、「ある関係筋は「核問題について日本と真剣な議論をすること自体、北朝鮮の態度変化の表れ」と分析」と報道されている。核問題に関しては、歩み寄りの姿勢を見せ対話をしているらしい。そうであるならば、一方的に感情を逆撫でするような言葉を吐くのも、感情的に吐き出されたというよりも、何らかの意図を持って語られたのだと受け止めたくなる。

「<6カ国協議>「核全面廃棄約束の用意」北朝鮮が中国に伝達
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040223-00001051-mai-int」

という記事を見ても、核問題に関しては、かなり対話の姿勢を見せている。しかし、あくまでも自分が主体を持っていない交渉には断固反対するという感じも受ける。アメリカの言いなりになって妥協していくのではなく、対等な形で一歩を進めない限り、少しも前へは行かないという感じだ。またこのニュースの中には次のような記述もある。

「王次官はまた、逢沢副外相が第2回協議冒頭で拉致問題を取り上げる方針を示したのに対し、「北朝鮮は圧力に屈することに対しては強い反応を示すだろう。(冒頭発言は)こうしたものを踏まえたものであってほしい」と述べ、北朝鮮側を刺激しないようクギを刺した。」

この言葉を見ると、日本がかけている圧力は、圧力として感じているからこそ、それに対する強い反発を表明してくるのだろうかとも感じられる。つまり圧力としては成功しているんだろう。でも、圧力をかけたことによって生まれる効果の面は、日本が期待していることとは全く反対の結果を生み出しているのかもしれない。圧力をかけるという日本の外交政策は見直した方がいいのではないだろうか。

日本は、サマワの地主たちの圧力を受けて、もしかしたら不当な賃貸料を受け入れるかもしれない。圧力に屈する交渉というのは、きっとそういうものなんだろう。そのような交渉と、朝鮮民主主義人民共和国との外交的交渉は、どうも構造的に違うのではないだろうか。圧力が功を奏しないとしたら、論理的な方向で攻めるしかないような気もするが、そういった方向へは行かないのだろうか。

「核全廃の用意伝達 北朝鮮、一切の活動凍結も
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040223-00000105-kyodo-int」

という記事で語られている中国の外交戦略はわかりやすい。6カ国協議で、中国が何を期待しているかは次のように書かれている。


 協議は再び難航することも予想されるが、次官は記者団に「皆が1つの方向に向かってともに歩むことができれば、今回の協議は希望が持てる」と期待を語った。」

中国は、この協議ですべてがすぐに解決されるとは考えていないので、何よりも継続をするということを目標にして動いているようだ。そのためには、協議を決裂させそうなものは避けて、努力の方向を確認できればいいということだろうか。濃縮計画も、大事なものとしては考えるが、具体的に検討してしまえば決裂の可能性もあるので、そこまでは行かないようにするという感じだ。

「ロシア、北朝鮮による核兵器開発計画の凍結提案を支持=新華社
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040223-00000690-reu-int」

この記事には、ロシアのロシュコフ外務次官の発言としてロシアの立場は中国に「極めて近い」ということが伝えられている。そうすると、ロシアも協議の継続を望んでいて、何らかの決裂によって危機が高まることを避けたいという外交方針なのだなと考えられる。


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040223-00000683-jij-int」

韓国は、協議の継続をもう一歩進めるために、重油供与というリアクションも用意しているようだ。これは、隣り合わせの同じ民族の国であるということが立場の違いを見せているのだろう。朝鮮民主主義人民共和国もアメリカもお互いの言い分を全く譲らないので、協議が継続されても、まだそこから一歩も進んでいない印象を受けるが、一歩を歩み出せば、そこからさらに展開するという可能性もあるかもしれない。

「<6カ国協議>日朝代表が接触へ 拉致問題の出方打診
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040224-00000137-mai-int」

この記事では、今後の日本の方向が少し語られている。

「拉致問題に関する日朝両国の高官協議は今月11~13日、平壌で行われ、協議継続では合意したものの、「原則論の応酬」にとどまっている。」

というのが、ここまでの経過だが、朝鮮民主主義人民共和国はここでも何らかの利益が得られない限りは一歩も先へ進まないという姿勢が伺える。アメリカに対する態度と同じだ。日本が態度を変えるか、第三者が仲介するかしないと、なかなか先へは進まないという感じも受ける。日本の方向としては、あくまでも相手が折れてくるまで待つことにするんだろうか。アメリカは日本と同じ態度だから、第三者的な仲介者にはなれない。アメリカ以外に友好国を持たないことのツケがこんなところに表れているんじゃないだろうか。ともかく早急な変化・展開は望めそうにないように感じる。

「<6カ国協議>事実上開幕 日本、拉致問題提起へ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040225-00000076-mai-int」

この記事では、

「これに先立ち、薮中氏は同日午前、ロシア代表のロシュコフ外務次官とも会い、6カ国協議で拉致問題を取り上げる日本の立場を伝えた。日本代表団メンバーは会談後、記者団に「ロシアの理解は得られたと思う」と強調した。」

と伝えている。これを見ると、協議のなかで拉致問題を提出することにロシアが理解を示したと受け取れないこともない。しかし、ロシアの立場は中国に近いとすると、理解は示しても賛成はしていないとも受け取れる。いったいどっちなんだろう。

これから始まる6カ国協議が終わった後、どのようなことが報道されるかで、これに参加した国の思惑が実現したのかどうかが分かるだろう。進展も決裂もしないけれど、どうにか続けることは出来たという結果になったら、中国が予想したとおりになるのではないだろうか。日本は交渉の切り札になるカードを持っていないだけに、これまで効果がなかった圧力に頼るだけでは、思惑通りの進展がないのではないかと僕は感じる。果たしてどうなるか。





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最終更新日  2004.02.25 10:18:17
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