真理を求めて

真理を求めて

2004.04.13
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イラクでの人質事件が解決したというニュースがなかなか入ってこない。確かな情報がなかなか無く、どれを信じたらいいのか、情報源のない一般市民には何とも判断が付かない状況だ。このようなときに、どのように不確かな情報を受け止めたらいいのかということを考えてみた。

基本になるのは、やはり論理的整合性というものだと思う。確かな事実が分からないときは、事実をもとにした結論というのは、ほとんどが一つの「仮説」として扱わなければならないことになる。その仮説をもとにして論理的な帰結を考えたときに、他の事実とどれだけ整合性がとれるかで、その「仮説」の信憑性がはかれるのではないだろうか。

このニュースを最初見たときに、「自衛隊撤退」というものに対して、二つの考え方のどちらに賛成するかの判断に迷った。撤退する方が他の事実との整合性がとれるのか、撤退しない方が整合性がとれるのかの判断が出来なかったからだ。

しかし、この一連の流れの中であることの判断をもとにすれば、僕の迷いも吹っ切れるのではないかと感じるようになった。それは、イラクに自衛隊がとどまることの意味がどこにあるかという問の答をどこに求めるかという問題だ。この問の答は、人質問題にかかわって撤退するべきかどうかという問いよりも、かなりはっきりした答を出すことが出来る。

政府の宣伝では、イラクでの自衛隊は「人道復興支援」を行っているのであり、そこにとどまることの意味は、イラクの人々を助けると言うことが一番のものであるということになる。単純にそれを信じている人は、人質事件をきっかけにして自衛隊が撤退すれば、それは「テロに屈して」脅しをかけられたから逃げるんだというふうに映ってしまうだろう。

しかし、僕は自衛隊が「人道復興支援」に行っているとは思っていない。これは、アメリカの支援が目的で、自衛隊という軍隊が行くことに意義があるからこそ派遣されていると僕は受け取っている。「人道復興支援」だというのなら、NGOやNPOの活動こそがそれにふさわしいはずだが、そのような方向の支援を日本政府が行っているというニュースは全く聞かない。

だいたい自衛隊の活動は「人道復興支援」になっているのだろうか。現地では、「自衛隊は何もしていない」という評判が広がっているのではないだろうか。水を配ると言うことにしても、NGOであれば遙かに安い費用で出来るものを、莫大な予算を使って自衛隊は行っている。しかも、NGOより遙かに少ない量しか供給できないという風にも書かれていたように記憶している。

自衛隊は、イラクにいるということでアメリカ支援をしているという意味しかないのではないだろうか。この意味は、実は大きな問題をはらんでいる意味なのではないかと思う。日本人が、自衛隊がいる意味は「人道復興支援」であるとだまされているだけなら、まだ国内的な問題として我々の努力の問題になる。しかし、世界の国々、とりわけイラクの人々が、自衛隊は人道復興支援に来ているのではなく、アメリカの支援をしに、アメリカの側の占領に加担するために来ているのだと受け取っていたらどうなるだろうか。

マスコミの宣伝では、サマワの地では自衛隊が歓迎されていて、自衛隊は他の国の軍隊とは違うのだと言うことが報道されていた。本当に、イラクの一般の人がそう思っているのだろうか。日本がアメリカのイラク侵略をいち早く支持した国であることは世界中が知っているのではないか。むしろ、日本には平和憲法があって、戦争には加担できない国であるというようなことの方が知られていないのではないだろうか。



「テロリスト」と呼ばれているグループだけではなく、一般のイラク人も、日本はアメリカの側に立っているというのがその認識だとしたら、(これは、かなり落胆しながらも、徐々に受け入れている認識ではないだろうか)自衛隊の撤退というのは、その認識が違うのだというメッセージを届ける意味が出てくる。我々は、そのようなメッセージを届けたいと思っているだろうか。僕は届けたいと思う。

政府はアメリカに追従していて、不当な戦争であるイラク侵略を支持しているけれど、国民の中にはそれに反対しているものもいるということをイラクの人々に伝えたい。小泉政権が自衛隊撤退を決断することはないだろうが、それだからといって、自衛隊撤退をすべきだという声をあげないのは、日本人全体がアメリカを支持しているという間違ったイメージをイラクの人々(それにつながるイスラムの人々)に伝えてしまうのではないだろうか。

世論の高まりがどれくらいのものになるかは分からない。僕と同じような発想で考える人間ばかりではないだろうと思うからだ。しかし、日本人全部が、アメリカ支持をしているのでは無いというメッセージを送るという点で賛成してくれる人は、すべての人が声をあげてもらいたいものだと思う。それが、たとえ今は少数派であろうとも、声をあげることで連帯をしていきたいと思うものだ。

イラクの人々にとっては、日本人は大きく二つのグループに分かれていくのではないか。アメリカに協力する人間と、アメリカに反対する人間とに。そして、テロリストと呼ばれる側の人間は、抵抗と報復の手段として、アメリカに協力する側の人間をねらってくるのではないだろうか。もちろんそちらの道を選択して、テロリストとは断固として闘うのだと決断するのも一つの選択だ。しかし、僕は、不当な行為をしているアメリカのせいで敵にされるのはごめんだ。断固とした闘いは、どちらか一方が完全に消滅しない限り終わらない闘いになる。僕は、そういう覚悟をして闘いたくはない。むしろ、イラクの人々と理解し合って、平和に共存する道を探りたい。

イラクで拘束された3人の日本人は、アメリカに反対している人間としては、かなり鮮明にその立場を表に出しているのではないかと思う。だから、論理的に考えれば、彼らが犠牲になるはずがないと僕は思う。しかし、そうでない人間は、日本政府の出方によっては非常に危険になる。彼らのように立場を鮮明にして生活できる日本人はそれほど多くはないだろうと思うkからだ。

イラクからの自衛隊撤退は、拘束されている3人を救う一助になることはもちろんだが、それ以上に、一般の日本人のこれからの危険を減らすために大事なことなのだと思う。アメリカとの同盟関係にはひびが入るだろうが、不当な理由でねらわれるという理不尽からは解放されるのではないかと思う。アメリカとの同盟関係も、ブッシュ政権が倒れて、もっとまともな政権がアメリカに誕生すれば、そのひびが入った関係ももっと正常な関係に修復できるのではないかと思う。

ここにいたって僕の結論もはっきりした。テロに屈して、事件が起こったから自衛隊を撤退すべきだと考えるのではない。イラクの人々に日本人全部が、イラク侵略という不当な戦争を支持しているのではないと言うメッセージを送るために、自衛隊撤退すべきという主張をするのだという考えだ。そして、その主張が、世論の多数を占めるなら、その圧力で小泉政権を倒し、撤退が言える政権を樹立することを期待したい。

拘束されている3人に対しては、「自己責任」と言うことと、誹謗中傷に近い「自作自演説」などというのが駆けめぐっているらしい。これは、どちらも確かな情報がないので、一つの仮説の形として提出されているように思うが、論理的な整合性としては疑問を感じる考え方だ。

「自己責任」に関しては、どこまでが「責任」の範囲にあるのかということを深く検討しなければならない。責任があるとしても、それを無限に大きく個人に背負わせるような論理は、やはり論理としては間違いだと思う。どこまでの責任を感じるのが妥当なのかという問題は、それほど単純に言い切れる問題ではない。

また「自作自演説」については、その方がおもしろおかしく書けるのだろうが、その他の事実との整合性を考えなければならない。まず動機というものがある。そのような動機が本当に整合的に説明されるのか。だいたい、「自作自演」が本当だったら、彼らがこれまで努力して築いてきた信用がすべて失われてしまうことになる。命がけで築いた信用を失っても、なお見合うだけの大きな動機があったのかということに僕は疑問を感じてしまう。このようなことを言い立てる人間は、自分だったらしかねないと言うことを相手に投影して考えているだけなのではないか。下司の勘ぐりということを僕は感じてしまう。

この二つの事柄に関しても、確かな情報がないからこそ持ち上がってくるものではないかと思う。もう一度深く考える機会を持ちたいものだと思う。





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最終更新日  2004.04.13 09:51:49
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