「英語は別として、ヨーロッパにおいてはドイツ語の Recht、フランス語の droit、イタリア語の diritto など、法と権利は同一の言葉で表現されることが多く、区別する場合は「客観的」又は「主観的」という形容詞を付する。例えばドイツ語においては、objektives Recht は法の意味であるのに対し、subjektives Recht は権利の意味である。また、これらの語は正義をも意味し、法も権利も正義という観念が支えになっていることがうかがわれる。
これに対し、英語の right は正義の意味はあっても法 (law) の意味はない。これは、ノルマン朝時代のイングランドにおいて、専制的な王が臣民に課した law に対立する臣民の right という意味合いで right という語が用いられるようになったことに由来するとされている。もっとも、その後、権利の章典に至り、law と right の対立が法の支配として克服される。」