名無し人の観察日記

名無し人の観察日記

2005.04.03
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テーマ: 戦争反対(1197)
カテゴリ: カテゴリ未分類
 卒業式・入学式のシーズンになり、NHKの「クローズアップ現代」で取り上げられた事もあって、また「国旗・国歌」に関する話題が豊富になってきました。

「日の丸・君が代は、日本がかつて起こした誤った侵略戦争の象徴であり、平和国家の象徴として相応しくない」
 というものです。

「日の丸・君が代」反対派に誤解を与えているのが、ドイツとイタリアの国旗・国歌変更でしょう。ドイツは戦時中、国旗を伝統ある「黒・赤・黄の三色旗」から、ナチス党の旗「ハーケンクロイツ」に変えていました。
 敗戦後、ドイツは国旗を元に戻します。敗戦によってナチス党は壊滅し、その理念はことごとく否定されたのですから、その滅びた一政党の旗を国旗にするという異常な事態が是正されただけで、十分納得できる変更理由です。
 次にイタリアです。イタリアでは戦争直後の1946年に国歌を「マメーリ賛歌」に変更しました。これは王制が廃止されたため、それまでの国歌だった「国王行進曲」は王を称える歌であり、新しい共和制の時代には相応しくないと判断されたからでした。
 こうした参考にならない事象を取り上げ、「ドイツ、イタリアを見習って国旗・国歌を変更しよう!」と叫ぶ人もいますが、私はこのような言い分を支持できません。これは大いなる勘違いです。ドイツもイタリアも、戦争への反省を目的として国旗・国歌を変更したわけではないからです。さらに言えば、国旗・国歌を変更すれば反省を示した事になる、と言うのは歴史に対して極めて無責任な態度です。

 日本がかつて戦争を行ったのは歴史的な事実です。それが正しかったか過ちだったかは、諸説ありますが、まぁ仮に過ちだったとしておきます。ですが、その「過ち」を犯したのは「日の丸・君が代」でしょうか?
 違いますね。戦争を決断し、それを遂行したのは日本政府であり、それを選んだ日本国民の総意によるものです。日本政府が戦争を決断し、国民に戦争遂行のため団結を呼びかけたとき、そのシンボルとして国旗・国歌が使用され、それがたまたま「日の丸・君が代」であっただけに過ぎません。そこを勘違いして、旗と歌に責任を転嫁するのは、明らかに馬鹿げています。例えて言うなら、殺人事件に包丁が使われたからと言って、包丁の責任を追及するようなものです。

 さらに、反対派の人々は、しばしば中国や韓国で日の丸が焼き討ちされる事や、サッカーで中国サポーターが君が代演奏の際にブーイングを行った事などを取り上げ、外国でも日の丸・君が代に対する反感があると主張しますが、これも間違いです。
 国旗・国歌は国の象徴です。「日の丸・君が代」を侮辱した中国人、韓国人は「日の丸・君が代」自体を侮辱したかったのではなく、それに象徴される「日本」という国を侮辱したかったのです。仮に日本が別の国旗・国歌を使用していたとしても、やはり彼らはそれを通して日本を侮辱したでしょう。

 日の丸にしても、君が代にしても、それは長い間日本の国旗・国歌として扱われていたものです。日本が清国やロシアと生存をかけて戦い、勝利を得た栄光の時も、国策を誤って敗戦への道を転げ落ちた時も、その打撃から立ち直り見事な復興を遂げた時にも、日の丸は翻り、君が代は歌われていました。
 歴史には栄光の時もあれば、暗黒の時もあります。歴史を学ぶと言う事は、その光と闇のどちらも民族の体験として受け止めていく事です。
 国旗・国歌が使われていた時代の一部に誤りや暗黒の時代があった。だから、そんなものが含まれている国旗・国歌は使いたくない、というのは「自分は醜いものは見たくない」という我侭な態度であり、歴史に学ぶ、と言う姿勢から程遠い愚劣な行為であると私は確信しています。





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Last updated  2005.04.03 22:02:49
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