T・K's DAY CARRER

Jun 22, 2005
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カテゴリ: カルチャー
ジャン・コクトー「おかしな家族」は、コクトーの生涯1冊の「絵本」らしいが、ファンタジックというより、ナンセンス絵本だ。
この「おかしな家族」は、読み手のライフロールやライフステージによって、「受け取り方」が変わってくるのではないかと思う。
訳者の高橋洋一氏が、「面白い」といったお嬢さんの感想が、出版にいたる原動力になっていると思うのだが、一体何が面白かったのだろうか。

ナンセンスとは、「意味のないこと。ばかばかしいこと。」をさす。
Nonsenseとは、無意味な言葉、戯言(ふざけて言う言葉。冗談。)、戯詩をいう。
ナンセンス文学とは、言葉の意味よりも地口や洒落(しやれ)に重点をおいた文学だ。
このナンセンス絵本を、ただの戯言として読むのは、もったいない。

コクトーも、ナチス・ドイツによるパリ占領下時代にも、書き継いだ「占領下の日記」あたりから、フランスのモラリストの伝統に接近していく。

フランス文学で17世紀ころから使われ始めたモラリスト。

現実の人間、社会を観察し、人間性や風俗・習慣に様々な視点から考察を加え、これらを鋭利で圧縮した文章でまとめあげていく作家たちを称している。

そういう、コクトーの環境や背景を考えていくと、この作品は、大戦後の荒廃した人心に、無邪気さを取り戻そうとした作品であることが考えられる。

太陽と月の夫婦、悪くて手に負えない子供たち、家庭教師の犬が、ユニークな物語を展開していく。そこから読み手が加わり、自分との類似に、共感を覚えたり、つまらなかったりするのではないか。
つまらないと思ったら、その書き手を知ることにより、あらたな発見がある。

犬の家庭教師が必要になるのかわからないが、「ライフ・スタイル・バランス」って、現実の人間、社会を観察し、人間性や風俗・習慣に様々な視点から考察を加えた「こだわり」ではなく、「あるがまま」ではないだろうか。





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Last updated  Jun 22, 2005 05:54:43 PM
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モラリスト  
ナンセンス さん
初めて聞いたモラリスト。
「人間性や風俗・習慣」ってありますが、これも、一人の人間が育った環境でもありますね。
その人の親の育った風俗・習慣なども含め、いまの自分は、祖先の環境を、どこか引き継がなければならないものがある。
「受けて」の側は、そういった価値観や境遇で、判断することが多いですね。 (Jun 23, 2005 12:46:19 AM)

読むこと、知ること  
考える人 さん
受け取り方は、自分の環境にもよるけれど、相手を知ることによって、「発見」がある。
「おかしな家族」は、読んだことはないが、モラリストの視点にたったナンセンスな絵本なのでしょう。その登場人物に、どういった共感を得るかで、逆に、自分を客観的に見れるのではないでしょうか。 (Jun 23, 2005 01:12:31 AM)

おもしろくなかった?  
ダリ さん
もしかすると、おもしろくなかった?
なぜに、その訳者のお嬢さんが面白いといったのか。それは、父親が訳したからではないでしょうか?
それと、モラリストの視点からみた、「家族」の行動が、どこか現代にも通じるおかしさがあるのでしょうかね。
(Jun 23, 2005 01:44:36 AM)

ライフスタイル  
早起きです さん
ライフスタイルとは、自分の日常生活が、どれだけ人に影響を与え、そのスタイルに良い評価をもらえることだと思っています。まさに、人間性や風俗・習慣というところの評価です。
ちなみに、自分では、風俗=ファッションと音楽ですね。
(Jun 23, 2005 05:02:06 AM)

まじめには答えませんよ?(笑  
ナンセンス。この言葉を一番言われて腹の立つタイプが「骨川スネオ」。なんか、許してしまえそうなのが「チビまるこちゃんに出てくる花輪君」。
なんだか言葉一つにそこまで偏見を持たなくても・・・という感じですが、実際腹立つもんですよね。
コクトーの作品は基本的に暗いもんだと思ってます。笑う観客のいないサーカスのリングで踊り続ける道化が、もし小説で同じことをしようとしたらこうなるんだろうなと。個人的に彼の個人史を知った後は、痛すぎてしょうがない小説が多いんですけどね。戦時下の作家の半分はそんなもんじゃないでしょうか。アンネの日記とかとは対極のスタンスで書かれた作品が多いなと思って呼んだ記憶があります。 (Jun 23, 2005 09:41:07 AM)

モラリスト   
tei.k  さん
こつぶおやぢさん。
花輪君が、こつぶおやぢさん のナンセンス粋にはいっているんですね。まじめには答えませんよ?というタイトルですが、後半、しっかり「こつぶおやぢ」哲学が!

「早起きです」さんへ。
「早起きです」さんは、ライフスタイルに、独自の考えがあるんですねー。他人からの良い評価をもらえることは、自分の価値が注目されているに値しますね。

ダリさん。
案外、父親が訳したから、おもしろいって答えたのかも。
これを、原文で読んでいないんですよ。
だから、ニュアンスが難解なんですね。私にとって。

考える人さんへ。
そうですね。何か自己投影できるものがあって、その物語の展開で、そういった「ヒト・モノ・コト」が、どんな結果が待ち受けているかを、客観的にみることも必要ですね。

ナンセンスさんへ。
境遇という言葉が新鮮です。引き継がなければならないもののなかには、財産もあれば、因習、遺伝子もありますね。旧家なのでしょうか。 (Jun 23, 2005 12:44:10 PM)

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