LYNNのいたずら毎日

LYNNのいたずら毎日

2004年07月13日
XML
カテゴリ: 音楽
 昨日から雨続きの山形。先週末の猛暑から比べ、だいぶんに涼しい。買い物に出かけても良いけれど、なんとなく家で過ごしたい天候。久しぶりにピアノ音楽でも聴こうと思い立ち、最近実家から持ち帰ってきた、グールド演奏の「イギリス組曲」を手に取ってみた。

 このCDはヴァイオリンの恩師K先生から数年前にいただいたものだ。先生は音楽教育から引退すると決心なされたとき、少しずつ膨大なCDやLPのコレクションを処分していたそうだ。手紙などで「好きなモノをあげるから取りにくるように」と言われていたにもかかわらず、多忙を理由にしばらくご挨拶に伺わなかった。今思うと、非常に失礼な弟子だ。他の理由があり先生宅を訪れたとき、先生は苦笑しながら「もうこれしかないんだど…」と言って、十数枚のCDを見せてくれた。全部というわけにはいかないから、どれか数枚好きなCDを持っていっていいとおっしゃる。

 大きな楽譜の束も持ち帰らねばならなかったため、あれもこれもということも出来ない。結局選んだのは、このグールドのバッハと、クナッパーツブッシュ指揮のブルックナー交響曲第8番、それとメシアンのオペラか何かだった。

 そのときのことを思い出しながら、聴くバッハ。バッハを聴くというより、グールドを聴く、というほうがしっくりくる。トリルはトリルらしく、装飾音符はそれらしく、明確で鋭いタッチは、グールドならではであることを、新たに認識させてくれる。音に濁りがないもの、音楽の構成が浮き出してくるように見えるのも、もしかしてあの先生の好みだったのだろうか。子どもの頃、グールドは好きだったが、20代では余りすきになれなかった。でも、30代半ばになろうとしている今、この明快で、ある種怜悧な演奏は、余分なものがないという点で、耳に心地よいものであることに、少し驚きをを覚えた。バロックや古典音楽がお好きな先生が好まれた、グールドのバッハ。何か意味があるような気がしている。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2004年07月13日 14時40分11秒
コメントを書く
[音楽] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: