曲目 1. Morph The Cat 2. H Gang 3. What I Do 4. Brite Nitegown 5. Great Pagoda Of Funn 6. Security Joan 7. Night Belongs To Mona 8. Mary Shut The Garden Door 9. Morph The Cat (Reprise)
主なミュージシャン: Drums/Keith Carlock Bass/Freddie Washington Guitar/Hugh McCracken,Wayne Krantz,Jon Herington Piano/Donald Fagen,Ted Baker Harmonica/Howard Levy Tenor Sax/Walt Weikopf,Laurence Feldman Trumpet/Marvin Stamm
【ソロ名義の新譜は13年ぶり】
フェイゲン名義でのアルバムは1993年の「Kamakiriad」以来である。最もその間にスティーリー・ダン名義でのアルバムは出ているので、13年のブランクとは正直感じない。まあ、言ってみれば「ローリング・ストーンズ」名義のアルバムは出ていたが、「ミック・ジャガー」名義では久し振りだった、みたいな感じかな(例えが悪いかな?)。 さて肝心の今回のアルバムではあるが、各曲の感想は以下に述べるとして1曲目の音を聴いた瞬間から 「フェイゲン・サウンド」満開
なのである。この音は彼しか出せない音であり、数多くのフォロワーが存在したがこの 「音」
の再現だけは他のアーティストには不可能なので。この「音」は'70年代に完成されていたので、その後にどんな「音」を出しても驚くことはなくなった。いい意味でこれ以上の「進化」は望めないのも事実であるが、誤解しないでもらいたいがこの「音」を毎回紡ぎだすのは彼の「義務」でありその期待に堪えているのは立派である。 【アルバム収録曲について】
1.Morph The Cat
1曲目からフェイゲン節全開で迫るナンバー。曲全体を通しても中間部でのギターとテナーサックスのソロが絡む辺りは「如何にも」と言った感じか。この絡みはこの曲の核を成す部分であり、エンディング部分で再び展開される。
2.H Gang
アルバムからの第一弾シングルとなるのがこの曲である。曲調はフェイゲン独特のジャズ風サウンド色は多少薄め、その分ポップな雰囲気を感じさせてくれる。こうした曲も混ぜることで、アルバム全体の印象も良くなることだろう。 3.What I Do
フェイゲンのヴォーカルに3人の女性コーラス隊が加わり、中間部でのハワード・レヴィのハーモニカ・ソロが特徴なポップながら比較的耳障りのいい部類に入るナンバー。アルバムの歌詞カード(輸入盤)の各々の曲の冒頭に書かれているコメントには、「自身(フェイゲンのことだろう)の若かりし時代とレイ・チャールズの亡霊との会話」とあるが何を意味しているかは謎だ。ただし歌詞カードを見ていると一行目から「何でレイは女にもてるのかな、と俺は思うね」みたいな歌詞がある。
4.Brit Nitegown
再びフェイゲンらしさ満開のナンバーだ。まったりとしたジャズ風のリズムに、フェイゲンのヴォーカルが何かを囁くようにそして時には祈りの言葉の様に聞えてくる。ギターとホーン・セクションがこの曲を終始リードしている。
5.The Great Pagoda Of Funn
ここでもフェイゲン節満開なのだが、マーヴィン・スタムのトランペット・ソロとウェイン・クランツのギター・ソロを入れるタイミングが素晴らしい。都会の夜景を背後に見ながら聴いたらムードが出るだろうな~、見たいなムードを感じた。
6.Security Joan
H Gangと同系統の曲でスピード感とポップなフィーリングも感じさせる。演奏面ではケン・ウェッセルのギター・ソロとフェイゲンのオルガン演奏も彩を添えている。フェイゲンはこうしたソロの起用方法が抜群に上手い。
7.The Night Belongs To Mona
ここでは、マッタリ系のフェイゲン・サウンドを披露してくれる。演奏的にはホーン・セクションが中心となっている。
8.Mary Shut The Garden Door
ワンパターンな感想になってしまうが、ここでもフェイゲン・サウンド全開と言うしかない?ただ一つどの曲にも共通する感想だが、演奏陣のソロが絶妙のタイミングで入っておりそれらがフェイゲンの質の高い音楽を支えている。
9.Morph The Cat(Reprise)
1曲目のリプライズとして再び登場する。フェイゲン節テンコ盛りで満腹状態のリスナーに対し、この曲で「クール・ダウン」し、余韻を楽しみつつこのアルバムを聴き終える。フェイゲンからリスナーに対し、「これが俺のサウンド」だと胸を張られているように感じて締めくくった。