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2007.08.10
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カテゴリ: ヨーロッパ映画
57.街のあかり

■製作年・国:2006年、フィンランド
■上映時間:78分
■鑑賞日:7月28日、ユーロスペース(渋谷)
■公式HP: ここをクリックしてください
□監督・製作・脚本・編集:アキ・カウリスマキ
□助監督・メイク:ナジャ・デルコス
□撮影:ティモ・サルミネン
□録音:ユウコ・ルンメ、テロ・マルンベリ

□衣装:オウティ・ハルユバタナ
□照明:オリ・ヴァリア
キャスト

◆ヤンネ・フーティアイネン(コイスティネン)無口で黙々と夜警の仕事をする独身男
◆マリア・ヘイスカネン(アイラ)コイスティネンが夜勤後必ず立ち寄るソーセージの屋台の女
◆イルッカ・コイヴラ(闇組織と繋がる男)コイスティネンを利用しようと画策する闇組織の男
◆マリア・ヤルヴェンヘルミ(ミルヤ)闇組織の男の情婦でコイスティネンを誘惑する
◆カティ・オウティネン(スーパーのレジの女)コイスティネンが通うスーパーのレジの女
【この映画について】
「現代のサイレント映画」とでも呼ぶべき、独特の映画作り続けているフィンランドの映像作家アキ・カウリスマキ。
本作は 「浮き雲」「過去のない男」に連なる「敗者三部作」の完結篇として構想されたもの であるが、本作はどちらかといえば 無口で異性との交際も全くない一人の男の「孤独」が大きなテーマ となっている。
彼の作品の主人公たちは極端に無口で無表情だが、声高に主張しない分、その中に暖かい人間性を感じさせるキャラクターばかりだ。本作の 主人公コイスティネンも寡黙すぎるゆえ、社会の影となって生き、誰も彼の事を顧みない。
しかし、 捨てられるだけでなく彼を一番身近で観察していた女性こそが一筋の明かりのようにカウリスマキ監督は描く ので注意してみてもらいたい。
【ストーリー】(ネタばれなし)
ヘルシンキの警備会社 「ウェスタン・アラーム社」で働く男コイスティネン は、その朴訥とした性格から会社の中でも浮いた存在だ。私生活では友人も恋人も家族もいない、孤独な生活を送っている。
夜勤明けに彼は屋台のソーセージ屋に向かう。そこでの女性 アイラだけがそんな彼を見つめていたが、コイスティネンはその思いに気づく事もなかった。
偶然パブで目をつけたギャング がいた。ギャングは 自分の情婦ミルヤをコイスティネンのもとに送り、誘惑させる。 休憩時間中のカフェで、コイスティネンの席の前に一人の女性が近づき座った。女の名は「ミルヤ」で彼女は 「あなたが寂しそうだった」と言い近付いた。
恋に落ちたコイスティネンは、 なけなしの貯金を叩いて職業訓練学校で経営を学び学校の卒業証書を手に銀行へ起業の為の融資の相談に向かった。 だが、彼の認識は甘かった。銀行員は彼の申し出をにべもなく断り失意のうちに家に戻る。
コイスティネンの夜勤先に、突然、ミルヤが現れた。 彼は勤務先に他人は入れないと断るが彼女の情熱に負けて、一緒に見回り先を歩いて回る。しかし、彼女にはこのとき、組織の男からある 「密命」 を受けて近付いていたのにコイスティネンは気が着かない。
数日後、彼女が彼の家に来る日に逆に彼女は 「母が病気だから」と偽って別れを切り出す。 一旦は出て行ったが直ぐに話があると言って戻ってきた。だが中々本題を言い出せない彼女は彼が離席した 一瞬の隙にコーヒーに睡眠薬を混入 し、彼の勤務先の ショッピングセンターの鍵を奪ってしまった。
その鍵を使ってマフィアの男たちは簡単に侵入し宝石類を奪う。真っ先にコイスティネンに容疑がかけられたが、警察は 「証拠不十分」で一旦は釈放したが警察は共犯者の存在を疑い捜査は続く。 そんなとき、 二度と会うことは無いと思っていたミルヤが現れる。 そこで彼女は彼に対し許しを請う態度を見せるが、彼は既に言葉を失っていた。
彼女が涙ながらに彼の家を出た直後、 マフィアは警察に通報し彼の自宅から「盗品」が出てきて逮捕される。 一年の服役後、社会に出てきた彼だったが世間の目は冷たかったがただ一人を除いては...
さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。
1.ミルヤが謝罪に現れた際に彼女はいかにして彼を陥れたのか?
2.一年の服役中、彼に連絡を取った人物はいたのか?
3.服役後、彼はどのようにして生計を立てようとしたのか?
4.彼をただ一人気にかけていた人物とは?
5.服役後、彼とミルヤは再開する機会があったのか?

などを中心に公開館は限定されているうえに混雑していますが、是非、ご覧ください。
【鑑賞後の感想】
カウリスマキ監督の作品は初体験だったが、この映画には強烈な印象を私に与えた。 フィンランド映画と言ってもピンと来なかったが、今作では ヘルシンキでのロケらしく映像も大部分がロケ映像と思える。
映像の色調とストーリー展開が見事なまでに一致しているのは、CG全盛のハリウッド映画とは一線を画していて好感が持てる。 コイスティネンという身寄りのない孤独な男性を「敗者」として捉えながら も、ラスト・シーンでは 「敗者」である彼のこれからの人生を暗示するかのよう形で終わる。
こういう終わり方は色々とこの映画を観た人に考えさせる狙いもあるだろうし、たとえ孤独だと思っていてもどこかで自分の存在を受け入れてくれる可能性をもった異性が身近にいたのだが彼は最後までそれを 受け入れることを躊躇していた。 しかし相手の女性も「孤独」である 「孤独が孤独な異性を引き付けていた」 と私は思った。
暗い色調に、少ない主役のセリフはこの映画の特徴でもあるがそれでもどんなに雄弁な主人公より説得力があった。
我が国でも晩婚化現象で、こうした孤独な身寄りのない男性の存在がいても違和感が無い社会になってきている。孤独な男性心理と、それに付け込もうと悪企みを働くマフィアとその手先の情婦の男性を弄ぶ扱い方!世の中の独身男たち要注意だね(って私も独身だけど...)。
【自己採点】(100点満点)
84点。 カウリスマキ監督の次回作に注目してみたい。

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Last updated  2008.09.07 10:29:08
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