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2007.10.16
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カテゴリ: ヨーロッパ映画
72.題名のない子守唄

■製作年・国:2006年、イタリア
■上映時間:121分
■鑑賞日:9月29日、シネスイッチ銀座(銀座)
■公式HP: ここをクリックしてください
題名の無い子守唄.jpg
□監督・脚本:ジュゼッペ・トルナトーレ
□製作総指揮:ラウラ・ファットーリ
□製作助手:ステファノ・チャローニ
□助監督:アルベルト・マンジャンテ
□撮影:ファビオ・ザマリオン
□音楽: エンニオ・モリコーネ
□音響:ジルベルト・マルティネッリ
□美術:トニーノ・ゼッラ
□編集:マッシモ・クァグリア
□衣装:ニコレッタ・エルコーレ
キャスト

◆クセニア・ラパポルト(イレーナ)人に語れない過去を持つ女。ある目的を持ってトリエステへとやって来た。
◆ミケーレ・プラチド(ムッファ「黒かび」)イレーナの過去を知り彼女を追いかけてトリエステを訪れる
◆クラウディア・ジェリーニ(ヴァレリア・アダケル)イレーナがメイドとして働くアダケル家の夫人
◆ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ(ドナート・アダケル)アダケル家の主。妻との関係は冷え切っている。
◆クララ・ドッセーナ(テア・アダケル)アダケル家の「一人娘」だが...。
◆ピエラ・デッリ・エスポスティ(ジーナ)イレーナにアダケル家のメイドの座を奪われる
◆アレッサンドロ・ヘイベル(マッテオ)イレーナに惹かれるアダケル家のマンションの管理人
◆アンヘラ・モリーナ(ルクレッツァ)イレーナの南イタリア時代の世話役
◆マルゲリータ・ブイ(弁護士)イレーナの裁判を担当した弁護士

【この映画について】
ロシア出身のクセニア・ラパポルトが熱演するイレーナは、甘美な憧れの対象ではなく、人知れず地獄を味わい、どれだけ追いつめられても幸せと自由を求めて死に物狂いで生き抜いてゆくしたたかなヒロインだ。
今回、 「ニュー・シネマ・パラダイス」の監督ジュゼッペ・トルナトーレ が描くのは母性。
登場するのは母になりたい女たちだ。「母」であることを自覚しながらも事情があって「子供」を手に抱くことの出来ないイレーナと、子供を「手に入れた」ヴァレリアが発露する「母性」。 一体そこにはどういう違いがあるのかもトルナトーレ監督は投げかけている。
お得意のセンチメンタルよりもサスペンスを全面に押し出し、 巨匠エンニオ・モリコーネの音楽がエモーショナルに物語を盛り上げる 点もこの映画の魅力だ。
【ストーリー】(ネタばれなし)
北イタリアのトリエステにやって来た異国の女イレーナは長距離バスで到着するなり、町の中を散策し高級そうなマンションに直行し 「メイドの仕事はないかしら?」 と管理人の男に尋ねる。「メイドの仕事はないが、共有部分の清掃の仕事ならある」と管理人に言われるがまま週数回清掃の仕事をした。
仕事場の向かい側のアパートの暗い一室に居を構えた イレーナには、どうしてもこの町に来て探さないといけない何かがあった。仕事場のマンションのある一室に住む金細工の工房を営むアダケル家に近付く事だった。 彼女のバッグからアダケル家の鍵を盗み合鍵を作った。
そしてその夜、アダケル家が外出した合間を縫って侵入し自らの探し物を物色するのだったが...。
それから数日後、螺旋階段の掃除をしているときにジーナと会話を交わしていたときに ジーナが足を滑らせて転落し脳にダメージを負って半身不随となるアクシデントに見舞われた。
イレーナはジーナの後釜としてアダケルに雇われる。それは周到に策を講じて手に入れた念願の職場だった。 完璧な仕事ぶりですぐに主人夫妻の信頼を得る と、最初こそ手を焼いていた彼らの4歳になる一人娘テアの心も確実に掴むのだった。しかし、 テアを慈しむイレーナの本当の目的を知るものは誰もいない。 さらに、忌まわしい過去の黒い影が忍び寄る。
ある日、彼女は誰も知らないはずの電話に無言電話を受ける。 聴こえるのは荒い息遣いだけ で、彼女が外出から帰宅すると今度は室内が荒らされていた。彼女にはトリエステに来る前に、忘れたくても忘れられない忌々しい過去があった。 電話の相手は 「黒かび」 と呼ばれる、売春組織の元締めだったが黒かびはイレーナに殺害され死んだと思われていたのだが...。 一方、イレーナは瀕死の重傷を負ったジーナの見舞いに足蹴く通っていたが、ジーナは彼女を誰だか分からない。それでもイレーナはある目的のためにジーナのもとに通い続ける。
X’masが近づいたある寒く暗い路地を歩いていたとき、 イレーナはサンタの姿をした男に襲われ顔をボコボコに殴られほうほうの体で管理人の男を頼り地下室に暫くかくまってもらう。
アダケル家には当分仕事に行けないと連絡をするのだが、 イレーナにすっかりなついていたテアは淋しがる。 そして電話越しに彼女が覚えている 「題名の無い子守唄」を歌ってとリクエストし、涙ながらに受話器を通して歌う
キズも癒えて再びアダケル家に働きにでたイレーナだったが、アダケル家の周辺で起こる奇妙な事件に 不信感を抱いた夫人によって解雇されてしまう。 それでもテアとの別れを惜しんで彼女の姿を学校から遠く離れたところで見守るのだった。
そして「黒かび」の影は遂にアダケル家の夫人にも忍び寄り、ついにイレーナは黒かびと完全決別するべく立ち上がったのだったが...。
さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。
1.イレーナは何の目的でトリエステのアダケル家に近付いてきたのか?
2.アダケル家のテアはある障害を負っていたが、イレーナは必死に直そうとしたが何故?
3.テアと仲良くなったイレーナだったが、そこにはどういう意図があったのか?
4.黒かびとイレーナを結ぶ彼女の忌々しい過去とは?
5.アダケル家の夫人を何故黒かびは狙ったのか?
6.黒かびと完全決別するために彼女が取った行動とは一体?黒かびとは決別出来たのか?
7.テアの出生の秘密とアダケル家を結ぶものは何か?

などを中心に映画館かDVD発売時に是非ご覧下さい。
【鑑賞後の感想】
オープニングの衝撃的な映像から、いったいこの映画はどういう展開が待っているのかと期待を持たされた。 映像的にはフラッシュバックをこれでもかと連発する
暗い過去を持ちながらも、一人の男を愛し必死に現状を打破しようとしていたイレーナだった。そして遂に逃げるようにしてイタリアの国境の町へと目的を持って流れてきた冒頭からして、ここから先に大きな試練が待ち受けている様子が伝わってくる。 トリエステの町は暗くどんよりとした雰囲気で、この映画のストーリー展開と何となく共通するようなムードが漂いそこに エンニオ・モリコーネの音楽 がさり気無く飾っている。
イレーナには売春組織の一員だった頃に生んだ何人もの子供を捜すことになるのだが、テアとイレーナを巡る関わりが如何にもそれを想起させられる。しかし、 テアとイレーナの関係は何時の間にか、本当の親子みたいな関係を築いていき別れがたい感情をお互いが持つ。
この辺の描き方はミステリー風でもあるのだが、自分の失われた子供を捜すという イレーナの 「母性」 とアダケル家の 「母娘関係」 は似ているようで微妙に違う。そこには 「子供を生んだ女」 にしか分からない感情が横たわっていた。
テアは何時の間にかヴァレリアよりイレーナに対して自分の気持ちを素直に表現できるようになっていく。それは年が経っても変わることはなく、ラストシーンで年月を経てテアがイレーナに会いに行って会ったときの最初の表情に表れていた。
【自己採点】(100点満点)
84点。 複雑な人間関係と一人の女の暗い過去を上手く表現していた。

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Last updated  2008.06.08 21:30:32
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