まいかのあーだこーだ

まいかのあーだこーだ

2023.08.21
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夕空や助手席に捥ぎたての桃 ソーダ水大人ぶってもまだ飲めず 天の川車窓の寝顔に夢重なる 甲子園寝ぼけ眼で小休憩 空き瓶に草の花ゆれ手を洗う 残暑の敗野球帽の白昏し どんぐり七つ饂飩二杯に箸三膳

お題は「サービスエリア」。




高島礼子。
夕空や 助手席に捥 ぎたての桃


今週はこれが1位。
桃狩りの帰路の場面。

「桃」は初秋の季語です。

助手席に人がいないところから察するに、
ひとりで桃狩りに来て、


そんな満ち足りた気分と、
果実と夕空の熟した色合いがすべて重なり、
さらに「mo」の韻が、
甘く香ぐわしい印象を引き立てています。

かなり完成された出来。



千原ジュニア。
どんぐり七つ 饂飩二杯に箸三膳


親子3人でハイキングの場面。

団栗 どんぐり は子供の収穫、
饂飩 うどん
…という漢字/ひらがなの使い分けでしょうか?

なお、季語は「団栗」で晩秋です。



武田鉄矢。
空き瓶に草の花ゆれ手を洗う


1ランク昇格だそうですが、わたしならボツ。


「書いてないのにトイレだと分かる」と言ってましたが…
はたしてそうでしょうか??

季語は「草の花(野の花)」で秋。
それを入れてるのは、
たぶん円柱形の小瓶なのだと思いますが、
上五の「空き瓶」は、
ビールやコーラの瓶と誤解されかねないし、

子供が野原で採集した植物を、
そうした空き瓶に詰めてるようにも読めます。

へたに「空き瓶」などと書くよりも、
ふつうに「瓶」または「小瓶」と書いたほうが、
むしろ誤読が少ないのでは?

また、
日本語は一人称の主語を省略できますが、
同じセンテンスのなかで主語を変える場合には、
草の花が 揺れて 私は 手を洗った。」と、
それぞれの主語を明示すべきだし、

あくまで主語を省略するのなら、
「草の花が揺れた。手を洗った。」のように、
いったんセンテンスを変える (切れを入れる) か、
もしくは、
「手を洗ったら、草の花が揺れた。」のように、
主語のあるほうを後ろに置くべきです。



たとえば古語の定型なら、
手洗はば小瓶の草の花揺れり

ともできるし、
破調の17音で、
手を洗えば瓶に草の花ゆれる

ともできるし、
動詞をひとつ減らして、
手洗いの小瓶に草の花ゆれる

ともできます。

そもそも、
この内容なら動詞を使わずとも描写できるはず。

たとえば、
SAのトイレ 小瓶の草の花

でもいいんじゃないでしょうか。



森迫永依。
残暑の敗 野球帽の白昏 くら
野球帽の白昏く残暑のバスよ
(添削後)

上五の「敗」は説明。
下五の「昏し」はやや主観的な描写。
どちらも客観写生に反しますが、

先生の添削は、
《後者によって前者を補える》という判断で、
片方を省いています。

それについては異論ありません。

…とはいえ、
残暑のバス 野球帽の白昏し

の語順でいいと思うのだけど、
あえて逆にする必要があるかしら?

かりに、
季語の印象を強めるのなら、
バスに残暑 野球帽の白昏し

とする方法もあるかと思います。



ナダル。
ソーダ水 大人ぶってもまだ飲めず
大人ぶる子よ まだ飲めぬソーダ水
(添削後)

季語は「ソーダ水」で夏。

わたしなら詠嘆せずに、
大人ぶる子のまだ飲めぬソーダ水

と写生したほうがいいと思いますが。



佐野岳。
天の川 車窓の寝顔に夢重なる
夢にまどろめば車窓の天の川
(添削後)

季語は「天の川」で初秋。

本人いわく、
車窓に映った自分の寝顔に天の川が重なり、
その天の川に自分の夢(希望)を重ねた、とのこと。

しかし、
明るい車内から天の川が見えるとは思えないし、
幽体離脱でもしないかぎり自分の寝顔は描写できません。
およそ現実味のない場面なので、
添削では、おおむね客観写生になっています。

かりに、
子供などの寝顔を描写するのなら、
一句一章で、
銀漢が車窓の寝顔に重なりて

でもいいかなと思います。



糸井嘉男。
甲子園 寝ぼけ眼 まなこ で小休憩
バス灼けて寝ぼけ眼の応援団
(添削後)

本人いわく「甲子園は夏の季語!」とのことですが、
春の選抜もあるので、今後も季語にはならないでしょうねw

添削では晩夏の季語「灼ける」を使っています。

ちなみに「小休憩」ってのはスポーツ界の用語なの?
一般的な「一休み」とはニュアンスが違うのかしら?





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最終更新日  2023.08.21 10:00:13


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