三崎真琴の「ぼちぼちいこか」

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2005年08月13日
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 「亡国のイージス」を観ました。

 私にとって阪本順治監督とは、「パチンコ屋の2階の人」なのでした。

 阪本監督の作品で一番印象深いのが、藤山直美主演の「顔」で、その「顔」を観た映画館が
”京都みなみ会館”でした。
 京都の方はご存じでしょうが、京都みなみ会館って、東寺近くのパチンコ屋さんの2階にあるんですね。

 阪本監督=「顔」=京都みなみ会館=パチンコ屋の2階

 私の中で、これらが一つに繋がっているのでした。
(「トカレフ」もこの劇場でやっていたと思う)

 阪本作品に対して、このように勝手なイメージを持っていたので(本当にすいません)、


 松竹110周年記念作品で、
 総製作費12億円
 日本アカデミー賞最優秀主演男優賞受賞俳優4人が共演
 自衛隊全面協力

 と言うのを聞いて、

 ちょっとアンタ、ホンマのホンマに阪本監督が撮らはるのん?
 と、自分の耳を疑いました。

 実際、海原を行く巨大なイージス艦の姿が、オーケストラの壮大な音楽をバックに
 スクリーン上にドーン!と映し出された時、

 これはスケールの大きさがハンパじゃない
 「トカレフ」やら「顔」やら「KT」とは全然違う・・・、



 2時間以上ある大作でしたが、
 本物のイージス艦や戦闘機が登場するというリアリティー、
 そして実力派の俳優さんのぶつかり合いで、
 最後までコーフンしながら観ることが出来ました。

 冒頭に、ストーリーの鍵となる防大生の論文の内容が出た時、

 料理の仕方によっては、どちらかに片寄った主張を持つ映画になってしまうし、ヤバイんじゃないの、
 と、ちょっとドキドキしました。

 ところが、観終わってみると、この作品から何かメッセージを受け取ったわけではなく、
 単純に、映画として楽しく鑑賞していたのでした。

 これは、ヨンファ(中井貴一)を、結局は自分の国のことしか考えていない強烈な悪役にしたことと、
 宮津と如月行、彼らの背景にそれぞれの父と子の関係があったのを描いたことで、
 “日本という国”の話以前に、人間同士のドラマとして捉えてしまっていたからかも知れません。

 真田広之、中井貴一、寺尾聰、佐藤浩市・・・と、日本アカデミー賞最優秀主演男優賞の皆さんの演技は、やはり見応えはありました。
 皆さん、単独で主役を張れる方ばかりですもんね。
 そんな俳優さんが4人も揃う作品は、これからもめったにないことでしょう。

 でも、ものすごーくゼイタクかつ失礼なことを申すのでありますが、
 演技力と、俳優さんが役柄と重なって見えるかというのは、別の話なんですね~、ワタクシの場合。

 原作の小説は未読なんですが、 
 まず気になったのは、宮津2佐役の寺尾さんから、“海のにおい”が感じられなかったんですね。

 一言一言のセリフは重いし、ただ立っているだけなのに、周囲の空気がググッと動くのが伝わります。
 なのに、本当に直感的なものなんですが、「艦の上で生きてきた人」って感じがしなかったんです。
 むしろ、「いそかぜ」艦長役の橋爪淳の方が“海の人”に見えました。
 なんでやろなー。

 さらに、主人公、仙石役の真田さんなのです。

 アクションシーンも多いので、身体能力の高い真田さんでなければ出来ない役だとは思うのですよ。
 でも、これも個人的な感想なんですが、部下を思い、艦を思う仙石の“熱さ”って、
 真田さん本来の持ち味と重なって見えないんです、私。

 真田さんは、ものすごく緻密に計算された演技力で、真田さんの仙石像を創り上げています。
 その計算の部分が、真田さんの表情から“分かってしまう”瞬間が、時々あったんですね。

 映画としてはこれで成立しているけれど、
「亡国のイージス」の仙石は、本来、真田さんのようなタイプじゃないのではないか?
 真田さんはテクニックで仙石になっているんだ、と直感したのでした。

 キャリアとか実力とか「格」などを無視して、俳優さんのキャラクターだけで考えると、
 例えば、宇梶剛士みたいなタイプの人の方が、お話としてはハマるんじゃないでしょうか??

 あの4人の中で、一番合っているな、と思ったのは、中井貴一なのでした。

 真田広之、中井貴一、寺尾聰と、日本を代表する俳優さんがイージス艦に乗っているんだから、
 陸の上で協議する国家安全保障会議の面々も、この3人以上に存在感のある人たちを揃えないと、
 ストーリーの緊迫感を保てないですよね。

 いかにも官僚タイプの俳優さんとして、パッと思い浮かぶのが、
(「踊る大捜査線」とカブるかも知れないけど)

 津嘉山正種 永島敏行 大和田伸也 宅麻伸(もしくは石原良純) 神山繁

 ・・・だいたいこのあたりなんですよね。

 この作品に出てる豊浦功補とか矢島健一も、こっち側にいてもおかしくないですよね。

 でも、会議のシーンに、こういったイカニモな人たちがいっぱい座っていたら、
 たぶん、私はその場面だけスクリーンを見ていなかったと思います。

 首相の原田芳雄がいて、情報官の岸部一徳にDAIS内事本部長の佐藤浩市・・・、
 存在感のある俳優さんが揃ったからこそ、
 「いそかぜ」内部での事件を見るのと同じレベルの緊張感を持って、会議のシーンも観ることが出来たのだと思います。

 個人的には、DAISに敵意むき出しでハイテンションの警察庁長官=平泉成と、
「あれは事故じゃなかったんですかあ」
 のオトボケ国土交通大臣の春田純一も好きです。

 そして。
 会議のメンバーの核になるのが、佐藤浩市なんですねー。

 佐藤浩市演ずる渥美大輔が、この事件の全てを知っていて、
 「いそかぜ」との接点になっていたんじゃないでしょうか?
 真田・中井・寺尾と直接の絡みはなくても互角に演れる人、って、やっぱ佐藤浩市しかおらんわなぁ、
 と思うのであります。

 ただ、今回、ワタクシには、渥美がなんで
「テルミット・プラスは使わせない!」
 と言う心境になったのかが、ハッキリ掴めませんでした。
 (映画2回も観たのに)
 佐藤浩市が雑誌のインタビューで色々話しているのを読んで、心の動きを活字で補完し、
 無理やり納得したような感じです。

 さてさて。 
 こんなスゴイ俳優さんが勢揃いしている中、如月行役の勝地涼くん、がんばっていましたね!

 NHK版「盲導犬クイールの一生」で野球少年を演ってた子だよなぁー、くらいに思っていたら、
 けっこういろんな作品に出演していたのね。

 撮影当時は17歳だったそうで、まだ少年っぽい気もしたけれど、逆にそれが
「戦う術だけを学んできた、純粋培養のDAIS特殊工作員」という風に見えて、
 如月行というキャラクターを創り上げるのにプラスに働いたんじゃないでしょうか。

 今後、要チェックの若手俳優さんですね!

 この映画、
 12億円という製作費をかけ、実力派俳優が共演した夢のような日本映画、という点では
 観ておく価値があったけど、
 それが「亡国のイージス」という小説の映画化で良かったのか?
 個人的な感覚として、俳優さんの全てが役と完全にシンクロしていたわけではないので、
 「亡国のイージス」としては楽しめなかったような気がします。


<おまけ>
 佐藤浩市と岸部一徳が洗面所で話すシーン。
 水道で手を洗った佐藤浩市は、自分の手と、洗面台の周囲に飛び散った水しぶきもハンカチで拭くんよね。
 あれって、自分の水しぶき以外も混じってるんじゃないの?
 しかもトイレだよ。
 ハンカチもびしょびしょになるし・・・。

 ミョーに細かいことが気になってしまいました。
(実は、その後、ハンカチを忘れた岸部一徳に貸すんですけど・・・)





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最終更新日  2005年08月19日 18時14分36秒
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