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実は最近、こっそりヤフオクでノートパソコンを狙っていた。今使っているiMacがイマイチ不穏な動きをしてるのは何度か日記で書いたが、もう心の中では新しいiMacG5を買おうと決まっているのだが、ちょっと今PCをよく使う仕事をしていて、今すぐにと踏み切れていない。新しいPCにすぐに馴染めるか、周辺機器がきちんと動くかどうかと言う不安があるからだ。それと同時に、サブで使っているiBookもトロいのが目につき始めたので、こっちはオークションで手に入れようと狙っていたわけだ。狙っていたのは、powerbookG4で、メモリを1Gに増設、DVDの書き込みが出来るSuperdriveのモデルだ。この15インチを定価で買うと大体30万円ぐらいになる。先日、今年の5月に買ったばかりで殆ど使って無いという狙いにピッタリのモデルがあって、10万円ぐらいから開始されていた。もちろん値段はどんどんつり上がり、野次馬的に247000円まで入れてみたが、結局251000円で落札され、僕は次点の次、つまり3番目の落札者だった。オークション終了日の翌日に、出品者からこんなメールが来た。以下、転載。*************************************************************(僕のヤフーID)様突然のメールすみません。私はYahooオークションにて「美品!PowerBook G4 1.67GHz 100GB 1GB 15-inch SuperDrive」を出品していました(出品者のID)こと木○と申します。この度は、私の出品物にご入札いただきありがとうございます。実は先日、最高落札者の方とお話したところ、ご家族の方の不幸があって、今すぐ購入できなくなってしまい、取引が1ヶ月以上先になってしまうとの事でした。私は最高落札者の方に悪意があったとは考えられませんので、落札者に悪い評価を付けたくなく、どうしたらいいか困っていました。ご存知だと思いますが、Yahooのシステムでは、最高落札者をキャンセルすると、自動的に「非常に悪い」という評価が入ってしまいます。今回、最高落札者の人も「キャンセルした自分が悪いのはわかっているので、3%の落札手数料は払うから、次点以下の方に譲ってくれ」と言われました。しかし、最高落札者をキャンセルしないと、次点以下の方のメールアドレスがわからず、どうしたらいいか困っていたのですが、悩んだ末に、貴殿のYahooメールアドレスにご連絡することを思いつきました。もし差し支えなければ(僕のヤフーID)様とのお取引を考えたいと思います。貴殿のご入札額である247,000円でお譲りしたいと思います。また送料はこちらで負担いたします。もし購入希望であれば、その旨と発送先のご住所、お名前などをご連絡願います。折り返し、代金の振込先などを連絡します。また、高額な商品なので、先払いが不安な方は、直接商品を取りに来て頂いてもOKです。お手数ではありますが、ご検討いただければ幸いです。もし、すでに他店で購入してしまったとかで、お取引されない場合は、また別の方にメールいたしますので、気にしないでください。宜しくお願いいたします。木○○夫佐○県△△市西×町41-1(携帯番号)(フリーメールアドレス)**************************************************************一見矛盾の無いような内容である。一瞬買っても良いなと思った。実は買うつもりだった。しかし、種々の条件があったのでこの出品者にメールを書いた。内容は1 買うつもりで検討してるが、最新型のOSを入れてくれると書いていたが、そのディスクは付けてくれるのか?2 初期化してOSをクリーンインストールしてくれると書いていたが、出来れば使っていたソフト(オフィスとかATOKとか)は残して置いて欲しい。当方OS10を使ったことが無いので、専用ソフトを持っていないのだ(本当はこれはイケナイコト)3 振り込みはヤフー簡単決済を使いたい。そうするにはやっぱり落札者を削除して貰わないといけない。4 それと、2番目の人でなく3番目の落札者である自分にメールをよこしたのは何故か?以上を書いて送った。その時点でもまだ何も疑っていなかった。そしたら次に別のメアドからこんなメールが来たのである。以下転載。**********************************************************はじめまして、ヤフーオークションで 美品!PowerBook G4 1.67GHz 100GB 1GB 15-inch SuperDriveを出品しておりました ○川と申します。 実は第一落札者の方とご購入いただけることを前提に連絡を何度かとらせていただいていたのですが、第一落札者様ご自身の都合で落札件をキャンセルしてほしいと いうことになってしまいました。ただ悪い評価がつくのを気になさっておりまして、第一落札者様のほうからのご提案で他の落札者の方と入札金額との差額分と オークションシステム使用料は第一落札者様がご負担いただけるとのご提案を頂きました。第一落札者様の都合でのキャンセルなのですが、私自身メールと電話で話させていただいた中でその方自体は悪気があったとは考えられませんでした。きちんと誠意ある態度での対応を していただいてますし、ましてや差額分などのご負担もいただけるとのことですので評価をつけずに他の入札者の方と連絡を取りお取引を進めさせて頂く方法はないものかと思い、悩んだ末にこちらのヤフーメールのアドレスにメールを送ることを考えつき、連絡をとらせて頂きました。ですので、もしメールをご覧になられ、購入していただけますようでしたらご連絡いただけませんでしょうか。他の入札者のかたにも連絡させていただいておりますので 今回は連絡が先にとれた方にお譲りしたいと思っております。商品の金額は先ほども書かせていただいておりますように差額分は 第一落札者様がご負担いただけるとのことですし入札金額より送料込み 237,000円 でお譲りしたいと思っております。私としましてもスムーズなお取引をさせていただけたらと思います。突然のメールで困惑されたかもしれませんが ご検討のほどいただきましてお返事いただけたらと思います。それでは宜しくお願いいたします**************************************************************どうです?怪しいでしょう。この2つのメールを読むと、後の方が実に怪しい。電話番号も、住所も書いてない。しかし、考えてみるとこれが詐欺メールだとすると、オークションの成立後に落札者がキャンセルしたがっているなんて事情は知りようが無いわけで、それをでっちあげて次点、次次点の落札者にこういうメールを出していることになる。そんなのすぐにばれるし、そもそもそんな偶然が重なるなんておかしいでしょ。これは、最初のメールに信憑性を持たせる為のダミーのメールだと思うのですが如何でしょう?実はよく考えたら、先のメールや、この出品者のオークションにも疑わしい点が色々とある。1 大体、落札者が身内の不幸で入金できなくなったと書いてあるけど、身内が死にそうな時にオークションなんてするか?いや、まんいちそうだとしても、入金ぐらい出来ないことはないはず。2 落札者を削除せずに次点や、その次の人にメールを送っているのが怪しい(メアドは分からないはず。ヤフーオークションID宛に送ってる訳だ。その人がヤフーメールを使っていると言う確証も無いのに)3 出品の際、デジカメが壊れているからと言って、実際の商品ではなくてアップルのサイトから借り物の画像を出していた。4 出品者も落札者もまだオークションの経験が数回で、しかも購入した品物は安い粗品ばかり(単に少し実績を付けたかっただけかも)そして最大に怪しいのは、この出品者にメールを返送した後に、各種ソフトのコピーを激安で販売しますというショップの広告メールがヤフーメールのアドレスに来た事だ。これは、僕が出品者に「ソフトを持ってないので残して置いて欲しい」とメールしたのを受けての事でないかと思われる。以上の事より、僕が想像した絵図は、出品者と落札者は同一人物。自分で思いっきり値段を引っ張って高値で落札。落札者がキャンセルをしたふりして、次点者や次の人に話を持ちかける。品物はハナから存在しない。オークションを通さない形になるので、ヤフーに責任を持って行きにくい。こんな風に考えたのだけど、どうなんでしょうね?真偽のほどは買ってみないとわからない。まあ、買わないけど・・。今まで2回中古のマックを買ったけど、何もトラブルがなかったし、詐欺なんて考えた事もなかった。ショップでもないのに新品を出品しているとか、さも事情があるように書いて新品同様の高価格の品物を出品してるとか、おまけにその画像が無いなんてのは非常に怪しいのだなと思った。買うなら、完全な中古でも良いから、使っている実物の写真が書斎をバックに映っているようなのが良いかも知れない。あまり高価格の品物はやめておいた方が無難かも。出品者からの再連絡は今のところ無い。
2005.08.02
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え~と、前の日記に書いたか、いや書かなかったかも知れませんが、3月の8日は社交ダンスのメダルテスト(技術検定試験)を受けに行っていました。はじめての受験で、もちろん最下級の6級からになります。当日は6級から順に5級、4級→→1級、ブロンズ→シルバー→ゴールド→プラチナなんとかと言う順番で検定が行われます。6級を受けた人は僕一人。そういう訳で背番号は1番で一番最初の出場となりました。種目はスタンダードからブルース、ラテンからジルバになります。パートナーはいつもレッスンをしてくれているプロのご夫婦の女性の方だったのでリラックスして受ける事が出来ました。まあ習字の新五級のようなものですから、当然合格。ただ、この検定は合格不合格だけでなく、各々のダンスの細かい採点が付くようになっていて、自己反省の材料になるようになっています。僕はブルースは、リズム9点、フットワーク9点、ホールドが9点でした。先生達が言うには(お世辞?)9点と言うのは滅多に見た事が無いそうで、かなりの高得点になるそうです。ちなみに、何点以上が合格で以下が不合格と言うのではないそうです。ジルバの方は、タイミングが8点、フットワークが8点、リードとフォローが8点で、これもなかなかの高得点でした。まあ自分としては、ブルースは最近練習してなかったのでジルバの方がよく出来たと思ったですがね。やっぱりリズム感悪いのかな?まあもう始めて2年近くになるわけで、やっと初めてのメダルテストと言うのもおかしい(年に3回有るわけだし)し、まだ一度もダンスパーティーに行った事がないと言うのも変なんですけどね。配偶者様の方が現在落ちこぼれて居るわけでして・・。まあ勉強もそうですが、何かこういう具合に立派な賞状なんぞ貰えると励みになるので、またメダルテストを受けに行こうと思います。「これからは6級様とお呼び~~」と配偶者に言ったらしばかれました。
2009.03.16
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今夜はスポーツドリンクの蘊蓄でも書こうと思っていたけど、さっきみたERがあまりに凄まじかったので、今夜はその話しを中心に。現ER部長のドクター・ロマノは、その辛辣な口調と爆発的なメスさばきで、ロケットロマノの呼び名を持つ外科医だ。彼は前シリーズのIX集で(現在はシリーズX)、患者を移送するヘリコプターに乗り込もうとしたときに、誤ってプロペラに利き腕を切断されてしまう。治療によっていったんはくっついた腕だが、感染症による増悪で結局は切断して現在は義肢を装着、そのために本業の外科としての仕事はままならず、ますますその口調は毒を含み、みんなの嫌われ者になっていた。感謝祭の祝日、ヘリで転院するVIP患者の忘れ物を届けようと屋上に出てヘリを見たとき、彼の脳裏にはその悪夢の瞬間が蘇り彼は急性のパニックに陥る。慌てて外へ走り出て呼吸と整えてやっと落ち着いた彼。ここまでなら、普通に「お~PTSDになってるのね」と言う話しだったけど、悲劇はそれでは終わらない。飛び立ったヘリが強風に煽られて旋回し屋上に墜落、飛び散った破片が見送っていた救急隊員の背中に突き刺さる。そしてそのヘリはそのまま炎上爆発し、2階の内科病棟を火の海にしながら下の地面へ墜落。その墜落したヘリの下にはドクター・ロマノが・・。落ちたヘリに乗っていた人、巻き込まれた人、2階の内科病棟の患者達、大勢の人が死亡し、瀕死になり、その中で懸命に治療を続けるスタッフドクター達。ある者は死亡し、ある者は手術室へ送られ一命を取り留め、そこには様々な愛憎劇が生まれていく。悪夢のような慌ただしい1日が終わり、ようやくほっと胸をなで下ろすERスタッフ達。しかし、ヘリの下敷きになったロマノの死体はまだ見つからず、彼が事故に巻き込まれたことに未だ誰も気づいていない・・。次週は「去りし者」と言うタイトルだから、ロマノの追悼をメインに話しは進むのだろう。話しの展開の早さ、その展開の予想のつかなさ、表現のリアルさから「このドラマ怖すぎる~」と配偶者が言うのも納得。俳優の人気に頼った同名の日本のドラマなんか比較するのもおこがましいと思うし、今日の展開や派手さは下手な映画より凄いと思う。放映時間は45分だが、その何倍ものドラマを見た感じだ。NHKのサイトって、なんでこんなに情けないの~と思うけど、一応公式サイトがあるので・・。シリーズ最初から見ていなくても十分に楽しめる内容なので、まだ見たことないひとは是非!
2005.05.16
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好きな青春映画は?と聞かれたら迷わず「祭りの準備」と答えることにしている。青春映画にも色々あろうかと思うが、やっぱりこういう時期というのは、自分でも言葉に出来ない鬱屈したエネルギー、言葉に出来ないような欲望、そういうものがどろどろと自分の中でマグマのように渦巻いている、そういう時期だと思っているので、あたり一辺倒の淡い恋愛映画のようなものはあまり推したくない。先日DVDで見た映画も、同じようにこの時期の鬱屈したエネルギーを凄まじいまでに描ききっており、自分の中では「祭りの準備」と肩を並べる映画だった。この映画に出会ったのは偶然だ。浅川マキさんの歌う「グッバイ」と言う曲はジャズピアニストの板橋文夫の作品だが、板橋の「渡良瀬」と言うアルバムを聴き、更に他の板橋作品をアマゾンで検索していたときに見つけた映画だった。十九歳の地図この映画の音楽を板橋が担当していて、ラストにこのグッバイが流れると言う。これは見るしかないではないか。更に他にも偶然が。このDVD単独でもあったけど、監督の柳町光男のボックスセットで買った。同時に収録されている映画の1つがこれ。さらば愛しき大地。シャブに身を持ち崩して落ちていく男(根津甚八)と、それを何とか支えようとする女(秋吉久美子)の愛憎をリアルに描いた作品だ。その昔、ツアーの合間に偶然入った映画館で見て感動して勇造さんが同じタイトルの歌を作ったと言う映画だ。以前、テレビの深夜劇場で見たけど、夏の暑い日一面緑の田んぼに風が吹き稲穂が揺れて熱風が舞い上がる。それが凄まじい人間の噴出する業を描いているようでその映像だけでどきっとしたのを覚えている。そしてもう一つはこれ。ゴッド・スピード・ユー/ブラックエンペラーこれは実在したブラックエンペラーと言う暴走族に密着して彼らの(歪んだ?)青春を撮影したドキュメントである。この映画は未見だが、以前読んだ映画を作る人たちを主人公にした漫画「夢工場」(原作:山崎十三、絵:弘兼憲治)と言うのがあって、これも好きな漫画だったけど、内部から人材を発掘しない業界に見切りをつけて自分でカメラ一本担いで暴走族に密着して撮影したドキュメントでデビューした助監督と言うのが登場していて、ああこれは柳町光男のこの映画を参考にしたのだなと今分かった次第。もとの「十九歳の地図」に戻るが、主人公の青年は19歳の予備校生。新聞店に住み込みながら新聞配達をして予備校へ通い大学への入学を夢見ているが、実際には生活していくのに精一杯でなかなか予備校へは行けていない。新聞店はいろんな人間の吹きだまり。青年はシニカルな目で同僚を見ながら、俺はお前達とは違うとつぶやく。青年はあらゆる物を憎む。自分が配達してる町の地図を書き、そこに得意先を書き入れる。気に入らないことがあるとそこの家に×印を付けていく。電話帳で電話番号を調べて、×が溜まってきた家に電話をして脅迫、暴言を吐く。青年の暴言は次第にエスカレートしていき・・最後は・・。まあ、後はお楽しみと言うことで。原作は中上健次、これは彼の紀州3部作の処女作であり、代表作とも言える短編だ。同じ19歳の頃に出会ったら良かったろうな。
2007.07.02
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今日二つめの日記である。と、言っても既に日付は変わっているので、3月8日の日記と言う事にしておこう。どうしても今日中に書いておきたかったので。昨日のジェネリック薬に関しての続き・・・とはちゃうのん。全然違うのよ。今日の夜はのんびり、ヒロキと一緒にYOU TUBEを見ていた。二人のお気に入りのミュージシャンを教え合いながら、年代の相違を今更に実感していたのだった。まあドラゴンアッシュも、ガチ桜も悪くないけど、僕はやっぱり金森幸介や清志郎や、リクオの方がいいなあ。で、ヒロキがお風呂に入りに去った後、一人で色々ミュージシャンの動画を検索していた。ユーミンなんぞ沢山あるよなあ・・そう思って見てみたら、ありますね、確かに。僕の好きな「DESTINY」やら、「埠頭を渡る風」やら、「海を見ていた午後」やら。まあ、ユーミンに関しては書き出せばキリが無いほど色々と思い出やうんちくがあるんだけど、それは置いて。ユーミンが他人に提供した楽曲もたくさんあると思うけど、僕が知る限りその中のベストは、ブレッド&バターに提供した「あの頃のまま」(他に桑名晴子や桑名正博も歌っている)と、ハイファイセットに提供した「スカイレストラン」だと思っている。前者の動画は今までに何度も検索していたのだが、今日は後者の画像を検索していてその動画に付いているコメントを読んだりしているうちに、驚くべき事実を知った。このスカイレストランと言う曲は、もともと名曲の「あの日に帰りたい」に付ける歌詞として書かれたいたと言う事。だから、この2つの曲は、歌詞をとっかえても歌えると言うのだ~~。(皆さん知ってましたか?知らないのは僕だけ?)確かに両方ともボサノバ調で似てるけど・・でもメロディは違うしさ。で、更に驚くべき事にユーミンがライブのリハーサルで、このあの日に帰りたいを、スカイレストランの歌詞で歌っている動画がアップされているのだ。これは本当に貴重な動画かも。ん?若い人の中には、何を言ってるのかチンプンカンプンの人もいるかも知れない。まず、あの日に帰りたいを聞いてね。で、こちらがハイファイセットが歌うスカイレストラン。まだお尻の青い高校生だったの頃、この都会の香りのする歌にあこがれたなあ。今から聞くと凄く大人の歌詞なんですね。こんなシチュエーションになる年齢もいつのまにか過ぎてしまったと思うと寂しい限りだけど。そして、こちらが問題の(いや、別に問題じゃないけれど)、松任谷由美さんのあの日に帰りたい~スカイレストランバージョン。まあ、何となく違和感はあるんだけど、上手くはまっているねえ。こうなると、逆はないのか?スカイレストランの♪であの日に帰りたいの歌詞で歌っている奴だ。今のところアップはされてないようだけど。ついつい、自分で口ずさんだりしてしまっている。ユーミンの話しはまたゆっくりと。
2010.03.08
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今から14年前の1990年1月27日、彼はひょいと垣根を飛び越えて向こうの世界へ行ってしまった。本当に軽くひょいと言う感じだった。江戸アケミ、本名江戸正孝享年36歳。自宅浴室での事故死。治療の為に服用していた抗精神薬の為、入浴中に眠ってしまったための溺死と言われている。こんな風に彼は突然僕らの前から消滅し、彼が中心であった「じゃがたら」も自動的に活動停止となった。そしてその翌年ベースのナベが肺炎で死亡、そのまた翌年にサックスの篠田昌巳が心筋梗塞で死亡。そんな風にじゃがたらは僕らの目の前から消えていった。しかし、突然に姿を隠したものほど、それを知る人の心の中にその陰を深く残しているものである。まだ彼らを知って1年と少ししか経っていなかった新参者のファンであった僕は、取り残されたような、高いはしごに乗って上まで登らされて、その後急にはしごを外されたような気分になったものだ。その翌年だったか、3本組のビデオ「ナンのこっちゃい!」が発売される。これはじゃがたらのギタリストであったOTOが編集した、彼らの歴史とでも言える貴重なビデオだ。一体何故こんなビデオが残っているのか不思議である。メジャーになってしまった後ならともかく、本当にごく初期の、江戸アケミが舞台の上でフォークで顔を突き刺し血まみれになって、小便を飲んでまき散らして転げ回っていた、そんなパフォーマンスのみが面白く記事になった時代の頃からの映像が残っているのだ。一体誰がこんな映像を、どんな目的でもってカメラを回していたのか不思議である。もうひとつ、エドの死後に出たJAGATARA関連本として「じゃがたら」(陣野俊史著)がある。この本の事は最相葉月さんのエッセイで知った。この本も、このDVDと同じような彼らの克明な記録である。と、同時に関係者のインタビューを厚くして、そこからじゃがたらの実像に迫ろうとしている。ビデオや本でどこまで音楽に迫っていけるのだろう?それらのおかげで僕らはじゃがたらと言うバンドの未知の部分を随分知ることが出来て、自分の中に持っていた彼らのイメージを幾らか付加したり、修正したりすることが出来る。それがどんな意味があるのかと言われればそれまでだ。音楽だもの。出た音が全て、自分の耳で聞いたものが全て。そう言われればそれまでだ。しかし、水に浮かぶ氷山が、その僅かの部分しか姿を見せていないように、じゃがたらの無名時代、インディーズ時代を知る人は限られているだろう。その全貌を理解しようとする事はファンとして決して愚かなことではなく、その案内役としての役割を、このビデオは果たしているのだ。そう言えば4年ほど前、友人の結婚式で久しぶりに会った大阪時代の友人O先生が、このビデオを探してるんだけどずっと見つからないと嘆いていた。「オレ持ってるで~」と言うと、「そうか、何で先生に聞いてみなかったんだろう。灯台元暗しじゃあ・・」と後悔していた。その後彼にこのビデオを送って貸してあげた事は言うまでも無い。病院宛に送った宅急便の伝票の品物名には「裏ビデオ」と書いたけど(笑)。インディーズ時代の彼らがテレビに出演した時のこと、本番演奏中にパンクスが乱入してエドと殴り合いになる。テレビ局はこれを彼らが仕組んだアクシデントとして、延々とそれがお茶の間に放映されてしまう。乱闘から立ち上がったアケミがマイクに向かって叫ぶ「パンクス!ふざけんじゃねえぞ!おめえら、もっと他にやることがあるだろう。もっと大事な事がよ!」アケミが精神病院に入院する直前の法政大学でのライブ。CDで聞いても分かる異様なテンションの映像が見れるとは思わなかった。代表曲「タンゴ」の前奏の時にエドは叫ぶ「バイバイ、ブルース!バイバイ、レゲエ!バイバイロックンロール!バイバイ、パンク!オレはオレのやり方でやるぜ!オレはオレの踊りで・・」そして2年の休息の後、日比谷野音で開催された世界アースビート伝説でエドとじゃがたらは帰ってくる。お遍路さんの白装束を来たエドが、強力にパワーアップしたじゃがたらのビートに乗せて「クニナマシェ」を唄い、同時に出演していたネパール民族舞踊団のメンバー達もそれに絡んで会場は一躍ダンスビートの渦になってくるとき、僕らの体の中にも熱いビートが流れ出す。エドが大好きだった横浜寿町(いわゆる、ドヤ街)でのライブ。音楽雑誌に毒されていないオーディエンスのストレートな反応が返ってくるという理由でエドはこのライブが好きだったと言う。ドヤのオッちゃん達と肩を組み水をぶっかけながら「もう我慢できない」を唄うエド。歌詞の「ちょっとの搾取なら我慢できるさ。それがちょっとの搾取んならば」と言うのが急に生き生きと具体性を持って来るではないか。そんな貴重な映像が淡々と収められてるだけでなく、エドの片腕だったOTOが代弁するアケミのセリフ、気持ち、考え方などが凄く効果的にバックに挿入されている。代表曲の「タンゴ」は今もよく分からない歌だ。単純に考えれば、ドラッグをやってセックスすれば気持ちいいみたいな歌詞なのだが、精神を集中してやれば、誰でも一瞬にもの凄い力を発揮できるんだ。その奇跡の一瞬の事を唄った歌なのだと言うエドの言葉をOTOはビデオの中で説明している。ひとつ・・ふたつ・・みっつ数えるまでに、あんたはひとつ・・ふたつ・・みっつ数えるまでに、天国へ!ライブの各場面を見れば、JAGATARAの音楽性の特徴は、くり返し、分かりやすく言えば、アフロミュージックのようにリフを繰り返して行くことによって得られる重層感、そして内側からわき出てくる鼓動である事がよくわかる。綺麗な歌詞をつければ売れるダンスミュージックになっただろう。しかし彼らはそうすることをしなかった。と、言うよりもエドの強烈な個性、アジテーション、怒り、それらの物を昇華していくためにそのビートが必要だったに違いない。「お前はお前のロックをやれ!」「お前はお前の踊りを踊れ!」そう言い続けた江戸アケミ。各巻毎に入っている帯に書かれているOTOの言葉がある。「本当ならこんなビデオ作りたくなかった。アケミが居りゃあ作る必要がないだもん。このジレンマは最後までつきまとって離れなかった。それでもどうしても映像にして残さねばと思ったのは、JAGATARAの名前は知っていても、どういう事をやっていたかを知らずに過ごした人々の為にではない。アケミの生きているうちにアケミの言葉の重大さをキャッチしにライブに足を運ばなかった奴になんか、むしろ見せたくないぐらいだ。そうじゃない。残さねばならないのは、JAGATARAのジャの字も知らないのに、独自の嗅覚で、何かの縁でアケミに匹敵するハートの知能指数でもってチューニングを合わせてくる鋭い奴にバトンを受け取って貰う為だ。僕自身を含め、アケミのバトンは多くの人達がそれぞれのやり方で受け取って駆け抜けていくのだ。」自分はバトンを受け取ったのだろうか?自分の踊りを見つけたのだろうか?
2004.01.27
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朝8時過ぎに出発。ナビ様のおかげで迷うことなく、天保山のサントリーミュージアムには10時過ぎに到着。壁面に吊された絵を見て既に心は躍っている。時間ごとに入場者数を区切っているようなので大きな混雑はなく静かである。と、言うよりは静かに熱を帯びていると言う感じ。お腹が空いたと言う子どもたちをなだめて、先に入場する。入場口で記念撮影。これ以降は撮影禁止。電話の電源もお切りくださいと言われる。館内は静かだ。全体に薄暗く、時々真っ暗な部屋もあるので歩くのには気を遣う。無駄話をする人もいない。携帯の音も鳴らない。みんなが無言で絵に対峙している。う~ん・・やられた。マンガの原画などが大きく引き延ばされて並べられているのだろうと思っていた。全然違う。すべて新しく書き下ろしたのだと思う。ある絵は壁の天井から床まで届くばかりに、ある絵は近寄ってみないとわからないぐらいの大きさで。注意していないと、通路の壁にも小さく絵や言葉が書かれているのを見過ごしそうになる。もうマンガではない。墨絵と言おうか水墨画画なのだ。それがただ並んでいるのではない。ひとつひとつの絵が意味を持ち、新たな一つのストーリーになっている。具体的には武蔵の最期の1日と言う感じか。若い頃からその時までのフラッシュバックのような流れを、幽体離脱?したように冷めた目で武蔵自身が見ていると言う感じ。「前のお客様を追い越していただいても結構です」とスタッフが時々叫んでいたけど、それじゃダメだ。ストーリーになっているので、順を追ってみていかないと分からなくなる。最後の絵は海だ。砂浜に、武蔵が居る。子どもの顔をした小次郎が武蔵を迎えに来る。二人は手を取り合って遠くの方へ消えていく。絵は淡く・・薄く・・。後に残るのは波の音だけ。そのとき自分の足下の様子が変なのに気づいて下を見た。砂浜なのである。絵の下、会場の通路に砂が敷き詰められて、入場者自身が砂浜に立っているような仕組みになっている。絵に目を奪われていて、自分の足下に砂が敷き詰められているのに気がつかなかった。そこで、このマンガ展は終わる。会場で見た絵は、外のショップで売っている「いのうえの」と言うアルバム(画集)を買うことによって、もう一度見る事が出来る。自分ももちろん購入したが(アマゾンで見つからないので、多分会場でしか売っていない)、やはりあの会場で、あの照明で暗闇の中で、あの巨大な絵と対峙しないとそのすごみの100分の1ぐらいしかわからないと思う。そのアルバムの最後に、井上がこう書いている。*********************************************************この「最後のマンガ展」は僕にとって、僕が描いてきた「武蔵」の人を何十人も斬ってきた人生を、それでも肯定するための機会になると思った。それはつまりこういうことです。「バガボンド」をずっと読んできてきてくれた人に、この10年の僕の紆余曲折を受け入れて、ついてきてくれた人たちに、どうしてもいい思いをさせてあげたかった。「読み続けてきて良かった」絶対にそう思って貰いたかった。「光」を書くために「影」を描く。争いや人を斬ることは「影」。それを描かなくては「光」も見えないはずと思っていました。そこに向かっているのだと。たけどそこに向かっている過程だとしても、例えば人を斬る絵そのものは、絵ではあるが、気づかないうちに人の心に傷をつける力があった。読み手にも、描き手にも見えない棘を残しました。神のままのむき出しの魂の持ち主のような、例えば幼い子どもには見せたくないなと感じる自分を見つけたとき、その事を確かだと思いました。今この時期に、この物語を描く事ができて良かった。いや、今この時期でなくてはならず、「全体で感じて貰う空間漫画」でなくては、ほんとうのところは伝わり得なかったのでしょう。やっと「光」そのものを描く機会を得られたと実感しています。そう思えばすべては間違いではなかった。向かってきた通りの形になったのです。例え、悲しみを描いても、それはもう行き場のない悲しみではないのです。***************************************************************2008年の7月、この文章を井上が書いたときと言うのは、恐らくバガボンドで武蔵が、吉岡一門70人と決闘して、その70人を斬って捨てる場面にちょうど直面しようかとしていた頃ではないかと推察する。週刊誌の連載漫画を描く裏で、これだけの事を考えながら描いている。まさに命を削って描いているように思える。その命と対峙する機会を得られた事を嬉しく思う。
2010.02.11
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今日の朝日新聞朝刊の文化欄に、「冷蔵庫の整理の仕方」みたいな記事が載っていて、そこに「冷蔵庫の状態は、持ち主の性格、心の状態を反映している」みたいな記述があった。それを読んだ配偶者は、突然目覚めたかのように冷蔵庫の整理を始める。我が家の冷蔵庫は・・・それはヒドイものだ。冷蔵庫自体は大きいのだが、大きいのを良いことに何でも入れ放題。配偶者が貰ってきては屍と化している漢方の生薬がどっさり。何で入れるの?って思うけど、メリケン粉やパン粉の使いかけが何袋も(どうせ入れるのなら冷凍庫?)子どもの水薬の瓶(一体何年前のものか検討も付かず)いつ探しても見つからない、練り辛子、練り山葵のチューブ。見つからないのですぐに降参して買い足してしまった、鶏ガラスープの素、マヨネーズなど。いつかは使うかもと思って捨てずにおいた、お総菜のお刺身やにぎり寿司に付いてくるお醤油、ショウガ、山葵などのパック。配偶者がスーパーに行くたびにいつも手癖のように買ってくる、お豆腐、納豆、ハム、ベーコン(前2者はともかく、後の2つは常備しておく必要はないやろう)。子どものおやつに買ってきたまま賞味期限の過ぎた肉まん。中身の見えないタッパーに入れたせいで、そのままフタを開けられないままに何週間も過ぎてしまった晩ご飯のおかずの残り。まあ、そういうものがどんどんと捨てられて、久しぶりにすっきりとした冷蔵庫になった。確か何かの雑誌で見たけれど、イタリアの料理人さんのプライベートの冷蔵庫には、その日の晩の食材だけが入っていて余分なものがまったくなく、その写真は芸術の香りがした。冷蔵庫に引き続き冷凍庫の整理へと向かった配偶者。2年前から入っているお正月の残りのお餅。何故かここにも、パン粉とメリケン粉。いつ冷凍したのか不明のハンバーグ。袋が破れてこぼれているちりめんじゃこ。一つの引き出しを占領している大量の小さい保冷剤(お弁当パックなどに付いてくるやつ)。冷やす時間が無いので、冷凍庫に入れてそのまま忘れてしまった缶ビール。いやはや、いやはや・・。そもそも、その状態が性格や心理状態を表しているのであって、今更冷蔵庫を整理したって遅いような気もする。今日の午後は寝込んでおりました。さて、この冷蔵庫が元に戻るのに要する時間は?1週間ぐらいと見るが・・。
2010.02.14
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久しぶりに覗いたら、えらいご無沙汰になってしまいました。最近は実名のフェイスブックばかり書いていて、どうもこちらのブログの役目は終わったような気もするけど、若気の至りで書いた昔の記事なども懐かしく、また数少ないながらも知り合いになった人たちとのご縁も大事だし。時々、近況報告に来ようかなと。先日64才になりました。外見的にはBMI28ぐらいで、最近はなかなか肥満に歯止めがかからない状態です。白髪も殆どなく(でも鼻毛は全部白髪なのが不思議)、姿勢もいいし、ファッションも若めなので(最近は殆どパパス)若く見られますが、1年チョイ前に白内障の手術をして、目はよく見えるようになり快調ですが、テレビの音が大きくなって、子どもに顔をしかめられたり、食事しながら喋るとむせることが多くなり、そういうところで年を感じます。まあ、うちの嫁も同じですが。嫁は、最近白髪を生かしたカラーリングにして、髪がマッシュルームのようになり、ファッションは黒柳徹子みたいになってきたので(以前はヨウジだったが、最近はギャルソンが多いらしい)、一緒に歩くのに自分が目立たなくて良いなと思ったりする状態です。バレーは60才で辞めましたが、ボウリングは続けており、最近少しアベレージが上がってきて180ちょいぐらいになっています。色々自分で考えて修正出来るようになったのが上達の理由かなと思っています。長男は医師になり、県外の病院に赴任、娘は学生の時に出来ちゃった婚をして、昨年末に3人目の孫(男→男→女)を出産しました。末っ子は今東京「の」大学の法学部の4年生です。1年ぐらい前から、野良の雌猫が餌を食べにくるようになり、昨年秋に仔猫3匹を連れてくるようになり、当院のアイドルになっていましたが、仔猫は次々に姿を消しました。最後の1匹のミコちゃん(三毛猫なので)は、保護猫のサイトで発見。どうも捕獲されて里親のところで幸せにしているようです。今は母猫のミミ(当初痩せていて、顔の割に耳が大きく見えたのでその名前)だけが、餌を食べに来ています。彼女も左耳をカットされており、いつの間にか捕獲されて(2週間ぐらい来なかった時があった)去勢されて野に放たれたのだと思います(そういう活動をTNRと言うらしい)。もう仔猫を連れてくることがないと思うと、ちょっと淋しいですけどね。ゴールデンウイークの、大阪服部緑地、春一番のライブはずっと行ってます。今年も3日間行く予定です。以上、近況でした。まだしばらくよろしくお願いします。写真は、まだ細かった頃のミミ(キジトラ白ソックス)と、ミコちゃんです。
2024.04.24
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