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つれりんさん
黒田恭一さんが亡くなられた。享年71歳。私の父よりずっとお若い。
毎週日曜朝のNHK-FM「20世紀の名演奏」は、私の大きな楽しみだった。
往年の巨匠たちが残してくれた、貴重な音楽の至宝を聴けることはもちろん、
そのひとつひとつを丁寧にわかりやすく、慈しみをこめて解説され、
やさしいぬくもりに満ちたお人柄がラジオからそのまま伝わってくるやわらかなお声、
番組の最後に必ずおっしゃる「今日はこれで失礼いたしますが、
どうぞ皆さま、お気持ち爽やかに毎日を過ごされますように。黒田恭一でした。」の
お言葉が大好きで、日曜の午前中はこの放送とともにアイロンがけなどの
家事をして過ごすのが日課だった。
いつの頃からか、お声に少しずつ、少しずつ、張りがなくなってきた。
度々、諸石幸生さんが代役を務めるようになったのもこの頃からだった。
4月に入り、また黒田さんのお声が聴けるようになったものの、
息をととのえ、長い間(ま)を取りながら、喉の奥からしぼり出すように話されるお声、
発音の衰えなどから、明らかにご体調を崩されていることがわかって、
聞いていてとても痛々しかった。
5月24日の放送は、そのことが更に感じられ、
「どうぞ皆さま、お気持ち爽やかにお過ごしくださいますよう。」
とおっしゃった時、思わずラジオの前で
「黒田さんもどうぞお元気で」とつぶやいた私。
一緒に聴いていた1麻呂も、「黒田さん、具合が悪いの?」と
言ったほどだった。
結局、この日が黒田さんの最後の放送となった。
ケーキを焼きながら聴いた先週31日は、過去のものの再放送で、
「あら?どうしたのかしら?」と思いながら
ベームのモーツァルトを聴いた。
そして一昨日の訃報で、29日に亡くなられていたことを知ったのだった。
私:「黒田さんが亡くなっちゃったよ」
1麻呂:「黒田さんって、あのラジオの人?」
私:「そう。やっぱり具合が悪かったんだね・・」
実質的に最後の放送となった24日に番組で紹介された、エイドリアン・ボールト指揮、
ロンドン・フィルの演奏でのエルガー「夕べの歌」。
一日の終わりをねぎらうかのような穏やかな弦楽の調べに、
黒田さんの人生への思いを馳せ、衷心よりの哀悼の意を表すとともに
病を押して最後までご自身の番組を全うされた、ご立派で強いご意志に
ご尊敬の情と拍手をお贈り申し上げたい。
黒田さん、今まで素敵な放送、そして幾多のエッセイをありがとうございました。
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