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9月のレイフ・オヴェ・アンスネスとNHK交響楽団との演奏会のチケットが買えた!! 曲目は、ラフマニノフ:「ピアノ協奏曲第3番ニ短調op.30」他。 発売開始時間から、3台の電話でしつこくしつこくかけ続け、38分後に繋がった! 思っていたより早く繋がり、うれしくて声がうわずった。 3年前、彼はやはりN響と、この曲を弾く予定だったのが、 彼自身による希望で、2番に変更になった。 あとから聞いたところによると、指の故障で超難曲の3番を弾くのは不可能だったとのこと。 それでも、BS2で録画で放送された2番は、それまでの2番の概念を打ち破る新鮮な解釈と、彼の持ち味である透明感あふれる音の響きが存分に生かされた、稀有な演奏だった。指の故障なんて微塵も感じさせないほどの。 昨年、満を持しての3番&4番のCDの発売、そして今年の9月の来日。このタイミングでの、3番の演奏となったら、聴きに行かない手はない!指揮は大好きなヘルベルト・ブロムシュテット氏。なんという幸運なめぐり合わせ。下の画像は、彼の3番(&4番)のCD。左は輸入盤、右は日本盤。ジャケットに使われている写真はなぜか異なるが、CDの内容は全く同じ。上方は3番のスコア。ピアノソロパートの夥しい音符の羅列を一目しただけで、この曲がいかに技術を要する難曲なのかがよくわかる。一番下は、愛用のウォークマンとイヤホン。CDが出てからというもの、これで3番をひたすら聴いている。とにかく比類のない素晴らしい演奏で、私はもう他に語れる言葉を持たない。彼こそ、「21世紀の巨匠」と呼ぶに相応しいピアニストだ。N響との3番のコンチェルトには1麻呂と行く。一緒に演奏会に行くのは実に久しぶりだ。アンスネスの生のピアノが、きっと彼に何かの啓示を与えてくれることだろう。そして私には、さらなる幸せが。それは、既にチケットが手元にある、王子ホールでのソロリサイタル。こちらも、ブラームスのバラード、ベートーヴェンのワルトシュタインなど、楽しみが尽きない。今の私にとって、彼のピアノは、神が降らせてくださった「希望の光」だ。ああ、今から9月が待ち遠しい。3月の震災と原発事故以来、海外のアーティストの来日公演のキャンセルが続いているが、アンスネスはきっと来てくださるだろう。あの、やさしく、少しはにかんだ素朴な笑顔に会えるなんて、夢のようにうれしい。超過密スケジュールの彼、万全な体調で日本の地に降り立つことを心から願ってやまない。
July 24, 2011
東日本大震災での地震と津波で、たくさんの尊い命が奪われ、今もなお、 家を失った方々や飼い主に会えない動物たちが苦しい日々を 送っていることに、胸が痛む毎日です。 被災地の皆さま、できることならそちらに駆けつけ、お役に立つ物資を届けたい、 そしてそっと皆さまの肩に手を置いてお話しをお聞きしたい・・・、と切々と思いながらも、 やむなく自己の生活に追われ、ここに留まっている私をどうぞお許しください。 それでも、こうしている間にも、季節は移り変わり、この高原にも、 ようやく春の息吹が感じられるようになりました。 家の向かいにある、小さな梅の園が、花を開き始めました。 オオイヌノフグリと、ヒメノオドリコソウのお花畑です。 この小さな、しかし確実な、力強い生命の営みが、 少しでも皆さまのお心の慰め、そして励ましになりますことを、 衷心よりお祈りしながら・・・。 心はいつも、皆さまとともにある、私の精一杯の思いをこめて。
April 15, 2011
今朝のクロノスで「HAPPY」がかかりました。今年いちばん気に入った、J-POPの曲なので、2010年の最後のクロノスをこの曲で締めくくれたようで、とてもうれしかったです。1麻呂に頼んで、私のウォークマンにこのアルバムを入れてもらってから、クラシックオンリーだった私のウォークマン・リストに、新風を吹き込んでくれました。多忙な上に、さまざまなことがあって、なかなか更新がままならず、 皆さまにはご心配をおかけしました。この曲も含め、新しい音楽の世界に冒険や旅をしながら、なんとか一年を過ごしてまいりました。不安で参りそうな私を心から励まし、支えてくれたあの演奏、それまで見たことのない、えもいわれぬ美しい色彩で魅了されたあの曲、今年も音楽は、私の傍らにいてくれ、そして、このブログにいらしてくださる皆さまも、常に私とともにいてくださいました。この一年、ありがとうございました。新しい年が、皆さまにとって素晴らしい年でありますことを 心から願って。新しい年まであとわずか。2011年も、どうぞよろしくお願いいたします。
December 31, 2010
ミニバラの「チューリッヒ・フォーエバー」をたくさんいただきました。 ほかに、バリ、ニューヨーク、アンティーブ、ピサなど、 世界中の観光地名が付いたものも少しずつ。 それぞれのイメージに合わせたような色あいのミニバラです。 「チューリッヒ」は、品のある美しいうす紫色。 花が終わったら、軽く剪定し、ひと回り大きな鉢に移し替えて 家の中で大切に冬を過ごさせるつもりです。 なんとか根付いて、春にまた、美しい花を見せてほしいものです。 ほのかな香りに誘われて、チョウもやってきました。 ああ、バラってやっぱりいいですね♪
November 9, 2010
皆さま、いつも当ブログにお越しいただきまして、誠にありがとうございます。 おかげさまをもちまして、先日、当ブログが77777アクセスを達成いたしました。奇しくも、来月で開設してから丸5年を迎える記念の折での達成で、管理人かのん111は二重の喜びに浸っております。これもすべて皆さまのあたたかいご支援のおかげでございます。 ・・というわけで、・・叫んでもいいですか?皆さま、びっくりなさらないでね♪ ♪ 祝!77777アクセス!!!♪ さて、と、気の済んだところで、先般お知らせをいたしました、カウプレの当選者を発表させていただます! ぱんぱかぱーん!! ご覧いただきましたとおり、77777目のカウントを踏んでくださったピタリ賞の方は、ともも1115さーん!!そして、77778目のカウントを踏んでくださった前後賞の方は、ブラームスがお好きさーん!!おめでとうございま~~~すっ!!ぱちぱちぱち~っ^^こちらのおふたりに、ささやかではございますが、記念のプレゼントをお贈りさせていただきたいと思います♪おふたりには後ほどメッセージをさせていただきますね。 では、相変わらず気ままなペースでの更新になりそうですが、皆さま、どうぞ今後ともよろしくお願い申し上げます。ぺこりっ。
October 9, 2010
グラモフォンのカレンダー、9月はツィメさま ・・というわけで、これを機に、ずっと書きかけの状態だった、5月のリサイタルの模様をお伝えしたいと思います。 ショパン生誕200周年を記念して日本全国をひと月かけてめぐったオールショパンプログラムでのリサイタルツアーです。私は、いちばん近い長野公演に行ってまいりました。 日時:2010年5月21日(金)19:00開演於:ホクト文化ホール大ホール曲目:Aプログラムノクターン第5番 嬰へ長調op.15-2ピアノ・ソナタ第2番 変ロ短調op.35「葬送」スケルツォ第2番 変ロ短調op.31ピアノ・ソナタ第3番 ロ短調op.58舟歌 嬰へ長調op.60 ツィメルマン氏の生のピアノを聴くのは、軽井沢の大賀ホール以来約2年ぶり。昨年も長野市のこのホールに来られたようですが、その時は行けずじまい。ですので、この日の演奏会をとても楽しみにしていました。しかも、すべて私の大好きな曲(三種の神器含む)ばかりなのです。ノクターン第5番で、静かに、優雅なひとときが始まりました。ひとりで過ごす夜にぴったりのイメージがあるこの曲は、ショパンの19曲のノクターンの中で、私が最も愛する曲です。誰もいない夜のひとりごとのように、ツィメルマン氏の深淵な音の世界がひろがってゆきます。中間部の美しい響きと力強い打鍵と。その対比が、この人の真骨頂。霞がかかったような曲の終わり方に、聴衆はその余韻を楽しんでいるのか、それともただ、忘れただけなのか・・、何故か拍手は「なし」でした。ピアノ・ソナタ第2番。重厚で難度の高い第1楽章。速いテンポでよく鳴るピアノ、よく変化する彼の表情。やはり2番はこうやって始まってほしい。そんな私の願いを知っているかのように。あら・・・。第1楽章が終わるや、何故か拍手がパラパラと・・。拍手したくなるほど素晴らしいのはわかるけれど、その感動は最後までとっておきましょうよ、皆さま。。さて、華やかな第2楽章。鍵盤の上を、左へ右へと、彼の腕が大きく動く、大きな音楽。強弱、テンポ、ワルツ風になる展開、どれも変化に富み、同時に激しい曲調のこの楽章を、いとも簡単に、楽しそうに弾いています。ああ、あんなふうに弾けたらなあ・・と、羨望と畏敬の念が交差する私の心。第3楽章は「これ以上ない」ほどのゆったり(ゆっくり)テンポで進んでゆき、行進曲と中間部のノクターン調との対比が際立って美しい。・・ところが、大変悲しいことに、ここで客席から携帯電話の着信音が!!私にとって、演奏会での初めての体験でした。曲が、ちょうど行進曲の再現部に戻り、怒り狂ったかのように(まるで、自分の音楽に満ちた崇高な空気を、あの電子音に汚されたことへの抗議のパフォーマンスのように)、顔を真っ赤に染めて鍵盤を打ち鳴らすツィメルマン氏。すごい気迫!第4楽章は、前楽章から休みなく続けて弾かれ、こちらは「これ以上ない」くらいの超超ハイテンポで、ソフトペダルを駆使してつぶやきのような弱音であっという間に最後の強打の一音。彼は、そこで天を仰ぎました。「主よ、彼らを許したまえ・・」(と言ったかどうか・・)前半最後はこれも大好きなスケルツォ第2番。ついつい曲に合わせて首や身体を揺らしてしまう・・。ひとりで来ている、隣りのお若い公務員風優男氏(既婚らしい。指環あり。)に嫌われてしまいそう・・と思いながらも、ついでに指まで動いてしまう。途中、客席から子どものくしゃみが2回続けて起こり、ツィメルマン氏は即座にピアノから顔を上げ、曲を続けながらもちょっとお道化た表情を客席に向けました。くしゃみの主が子どもとわかってのことなのか、とてもユーモアたっぷりのリアクションで、彼の寛大なお人柄を感じた瞬間でした。ああ、やっぱりいいわ~、この人のスケルツォ。大好きな曲を、いちばん好きな、夢見るような弾き方で聴かせてくれ、まるで彼の指先から宝石がこぼれてゆくようなピアノの響きで、本当にこの曲を聴けて幸せでした。休憩後は更に興奮のピアノ・ソナタ第3番。彼が2番と3番を同じプログラムで取り上げることはとても珍しいことなのだそうです。大賀ホールでも聴いて感動した3番ですが、この日もまた、完璧に私を酔わせてくれました。最後は、しっとりと舟歌で締めくくり。ショパンがジョルジュ・サンドとの生活に終止符を打つ直前に書かれたことも背景にあったからなのか、左手の波の動きの表現が、そのままショパンの揺れ動く心のさまを表しているように聴こえ、とても興味深く味わいのある舟歌でした。グラモフォンのCDで聴く彼の舟歌もいいけれど、やはりツィメルマン氏はライヴがいい!電車に乗って聴きに来た甲斐がありました。演奏後、ファンの方から花束を受け取ったご本人も、ご満悦の笑顔でした。こうして、ショパン生誕200周年を無事にお祝いすることができた一夜でした。ツィメさま、素晴らしい演奏をありがとうございました。 休憩後の曲のレビューが少ないのは、感動のあまりメモを取るのを忘れてしまっていたからなのです。皆さま、悪しからず、ごめんなさいませ。。
September 25, 2010
皆さま、いつも当ブログにお越しくださいまして、ありがとうございます。まあ、気がつくと、そろそろ77777アクセスに到達しそうな気配が・・。カメのような歩みのこのブログも、皆さまのあたたかなコメントのおかげで、なんとかここまで続けてくることができました。 思い起こせば、確か、20000アクセスをいただいた記念のカウプレの折に、「次回のカウプレは77777アクセスの時に・・」と、お約束した覚えが・・。 ・・というわけで、77777アクセスを踏んでくださった方に、心ばかりではございますが、記念のプレゼントをお贈りさせていただくことにいたしました。今回は、事前の参加表明は不要、77777アクセスが一見さん(自動巡回含む)や楽天外の方だった場合は、前後でいちばん近い「常連さん」という条件での企画とさせていただきます。早ければ今週末にも踏んでいただけるでしょうか・・。皆さまとご一緒に、私も楽しませていただける幸せをかみしめております♪今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。
September 24, 2010
最近、とても気に入って手に入れたものたちです。 携帯電話は、2010年のdocomoの夏モデルが発表された際、大好きなmarimekkoがコラボしているデザインの機種に目が釘付けになり、一目惚れ。いくつものショップで情報を集めて、一番お買い得なショップで予約しました。3年ぶりの機種変更になりましたが、予約から発売日までの間が待ち遠しくて、こんなに思い入れが強い携帯電話は初めてです。時計は、会社のデスクで使っています。こちらも、専門ショップで一目惚れ。デザインがシンプルで見やすい文字盤(この頃視力が落ちてきて。。)、そして上品なパールピンク。正確な時間がわかる電波時計という点もうれしい。初めて見つけたショップではなく、近所のホームセンターで、定価よりもかなりお値打ちな値段で購入できました。 大切なものは、「時」の流れ、「人」とのつながり。気づいてみれば、今回の買いものは、その両方のファクターを満たすものでした。日々の暮らしに、好きなものが寄り添ってくれることの幸せ。仕事の繁忙期を迎えて余裕のない心を、使うたびに、目にするたびに、ホッとリラックスさせてくれる、お気に入りたちです。
July 30, 2010
ジネット・ヌヴーの「詩曲」は、薄い絹のベールがかかったような、遠く、はかない音色が胸を打つ。まるで、自分の短い一生を予感していたかのように、誰にも行き着くことのかなわない深遠の領域にひとりで歩を進めているような印象を受ける。そう、この録音は、偶然にも、不慮の事故により、前途洋々だったはずの人生に突然幕を下ろしてしまった演奏者と作曲者との邂逅だ。ヌヴーは、1949年、30歳の時に、演奏旅行に向かうために乗った飛行機の事故で愛用のストラド、そしてピアニストで仕事上のパートナーでもある弟とともに、大西洋の露と消えた。一方、作曲者のエルネスト・ショーソンは、1899年、44歳の時に、自転車事故を起こし、急逝した。私自身は、30歳はとっくに通り過ぎてしまったが、もしも自分が44歳で突然命を落とすことになったら・・・と、ふと考えてみた。ヌヴー、ショーソンともに、どんなに無念だったろう・・と夭折の彼らに、思いを寄せつつ・・。先日、突然、母方の伯父の訃報が入った。 5人きょうだいの中で、ただひとり、特別深刻な持病もなく、親戚中の皆から頼りにされていた人だった。車を飛ばす私の頭の中では、ヌヴーのこの演奏がずっと鳴り響いていた。駆けつけた夜の病院に、伯母や従妹たちの姿はすでになく、家で伯父を迎える準備をするために戻った後で、数十年ぶりに会う、母や伯父の従弟たちが、伯父の迎えの車を待っているところだった。「どちらさん?」「かのんです。ご無沙汰しております。」「おお、もう何十年も経って、誰だかわからないなあ。」 眠っているようにしか見えない伯父と対面した後、彼らが所用で中座するというので、「よろしいですよ。私がここにいますから。」伯父をひとりにするのが可哀想だったのでそう言うと、彼らは安心して部屋を出ていった。伯父とふたりで20分ほど過ごした。幼い頃からお世話になった伯父への、私にできる最後の精一杯の気持ちだった。ほどなく迎えの車が来て、中座していた従弟たちも戻り、病院のストレッチャーから車のストレッチャーに一緒に伯父を移した。伯父の身体はまだあたたかかった。人生ははかない。それでも思うこと。喜怒哀楽に彩られ、美しい音楽に彩られながら、日々を大切に生きること。今、ここにいることに感謝すること。ちいさくても確かな愛で、世に貢献すること。ヌヴーのショーソンを聴きながら、静かに心に誓った。 カップリングのブラームスのVnコンチェルトがまた、「女流」の言葉を返上したいほど、男勝りのいい演奏です。
April 16, 2010
14年間使い続けていたお気に入りのケトルを、ドジな私は空焚きをして底をボコボコにしてしまい、回りを焦げ色に染め、それでもなんとか騙し騙し使ってきましたが、先日ついに新しいケトルを注文し、今日から使い始めました。今までと同じ柳宗理氏デザインのものです。ただ、ずぼらな私には、今までのミラー仕様よりも、汚れが目立たないマット(つや消し)な仕様のものの方が絶対っ!に向いているので、今回はつや消しを購入しました。14年前は、ミラー仕様が5,000円、つや消し仕様が6,000円だったのに、今はどちらも1,000円ずつ値上がりしているのですねー。そこに、14年という時の流れを感じます。いろいろなところを探し回って、お買い得なショップを吟味して、お値打ち価格で手に入れることができました。まさにお買い物の醍醐味ですね。「ミラー仕様くん、今まで14年間お疲れさま。そして、マット仕様くん、どうぞこれから末長くよろしくね。」こんな気持ちで新旧交代の儀式を終えました。毎日使うものだから、機能もデザインもお値段も納得のゆくものを選ぶ。上質で、そして、我がポリシーであるSimple is best.このケトルは、そんな私のこだわりをすべてを適えてくれる逸品です。ついでながら、某警備会社のCMで、キムタクが火のつけっぱなしを心配したのも、このケトルでしたっけ。
April 4, 2010
我が家のフシギちゃん、2麻呂。 早いもので、この春休みが終わると6年生になります。 もともと「?」な行動、言動が多い子ですが、昨年末に身体の不調で運動を制限され、 その上、更にいろいろな負の要素が重なって、彼はこの数ヶ月、 とてもナーヴァス&センシティヴな状態です。 2麻呂の気分転換になれば・・と連れて行った7年ぶりのTDLも、 あまりの混雑と喧騒に、彼にとってはくたびれるだけの一日だった様子。 ガジェットのゴーコースターの順番待ちの列の途中で。 楽しみにしていた昼食のピザは、冷めた状態で供されてとても残念がっていましたし。 帰り道に駐車場へ向かう際、うつむきながらとぼとぼと歩く姿を見た時は、 不調なのにたくさん歩かせて、かえって可哀想なことをしてしまった・・と胸が痛みました。 それでも、先日は、おやつと晩ごはんの中間の時間帯に、 「オレ、腹減った。なんか作ろう!」と突然キッチンにやって来て、 冷蔵庫の中のものを自分で取り出し、器用に包丁、まな板、オーヴントースターや フライパンを使って、ひとりで何やら作っています。 まあ、意欲的に何かに取り組むのはいいことだわ・・と、私は黙って見ていることにしました。 そして出来上がったのがこちら。 チーズと一緒に軽く焼いたイングリッシュマフィンに、ベーコンとスクランブルエッグを はさんで、お気に入りのお皿に載せて。名付けて「2麻呂マフィン」かな? 本人も会心の出来だったらしく、「写真に撮って撮って」と、満面の笑み。 イライラしたり、ニコニコしたりの、感情のめまぐるしい変化に、気づき、対峙し、 共感するのが、親として彼にしてやれることだと、この頃特に感じています。 荒れ狂う海のうねりに身を任せる小舟のように、移ろい、惑う、我が2麻呂の心。 そんな日々の中、彼なりに成長している「光」を発見できることが、 母の、今いちばんの幸せです。
March 27, 2010
~TOKYO FM開局40周年×ショパン生誕200年 記念~ 「Panasonic presents 横山幸雄 ショパン・ピアノソロ全166曲コンサート」 すごいですねぇ~、横山先生!ギネスに挑戦だそうです!! 朝の9時から夜中の1時まで、途中に休憩をはさみながら、全4部構成でのショパン全曲(生前、ショパン自身が出版を認めたピアノ・ソロ曲、及び遺作)、166曲を一日通して弾き通す夢の企画でございます! 今朝、「クロノス」(朝のマストです)を聴いている時、TOKYO FMのリスナーにはチケットを先行販売するとのうれしいお知らせがあり、早速申し込みをしました。 そうしたら、ものすごぉ~~~くGOODなお席がとれちゃいました!! もちろん、全曲聴きたいところですが、真夜中の1時に終わっても帰りが困るので、大好きなスケルツォ2番が聴けて、曲数が一番多く、時間帯もちょうどよい、第2部のみのチケットにしました。 (本当は1番のバラード、3番のソナタ、舟歌も聴きたかった・泣!!) このお席、第2部だけは私のもので、それ以外は他のどなたかのもの。 聴衆の意思で「通しチケット」か「各部ごとのチケット」かが選べて、通しでなければ、同じ席を数人でシェアするなんて、なかなかランニングコスト(?)のよい企画ではありませんか! チケット代は、全4部通しが10,500円、各部ごとが4,200円。(でも、ま、まさか、ダブルブッキング!なんてことはないでしょうねえ・・・) ご興味のある方はこちらをどうぞ。TOKYO FMのHPにジャンプします。 http://www.tfm.co.jp/event/index.php?action=item&id=578bf36c9baa5c347bf1d644f9
March 8, 2010
先日、新宿で時間があったので、お友だちのももこさんが超おススメの、「蒙古タンメン中本」のラーメンを食す闘いに挑むべく、新宿駅西口から、新宿のお店へと向かいました。あの赤いスープについに出会えるっ!胸が高鳴りますっ。以前、お店のHPで、だいたいの場所は把握してあったものの、そこは、ネオンが燦然と瞬き、無数の人々が行き交う街新宿、そしてイナカ者ひとり、しかも夜・・となると、地理が得意な私も、なんともお手上げ状態。ももこさんにケータイメールでレクチャーをいただき、新宿界隈特有の、速足の人波にもまれながら、大久保方面へと歩きました。そして、ついに目標の赤い看板を見つけ、お店に到着!地下1階のお店へと降りる階段には、既に長い列。お・・お、お店の中にまで長い列。わぁ、うわさ通りの人気ですね、これは。すぐ前に並んでいた学生さん風のお兄さんふたり組に、「かなり待ちそうかしら??」とお聞きすると、「いや、確実に進んでいますんで、大丈夫っす」との頼もしいお返事。まあせっかく来たのだし、待ってみましょう・・と、列に並びました。そして、お兄さんたちの言う通り、数人ずつではあるけれど、だんだんと前の人が減ってゆき、店内へと進み、途中で食券を買ったり反対側の壁に移ったり・・ののち、並んでから20分後、私の目の前に、「蒙古タンメン」がどかーん!と置かれました! すごい迫力!その、ラーメンの迫力といい勝負の、威勢のよい店員さんたちのかけ声が飛び交う中、U字形のカウンターに並んだお客さんたちは、黙々とそれぞれの作業に没頭していて、独特の雰囲気を醸しています。私の脳裏にはふと、何の前触れもなく、あの、春樹氏のエッセイが浮かびました。春樹氏の奥さま陽子さんが、ある日どうしてもラーメンが食べたくなった時、ひとりで中華料理店に出かけ(春樹氏は中華料理が大嫌いなので)、テーブルでラーメンをすすっていると、そばのテーブルで食事をしていたOLだかの若い女の子たちに「何がイヤって、ひとりでラーメン屋でラーメンすすっている中年女にはなりたくないわね~~!」と、あからさま&聞えよがしに言われ、「とても屈辱的だったわ!それというのも、あなたが中華料理が嫌いなせいよ!」と春樹氏にとばっちりが浴びせられた・・というあのエッセイを。。 わ・・、私もそんな目で見られているかしら・・。と、突然浮かんだ春樹氏のエッセイに、ついつい自虐的妄想を抱きつつも、とにかく、この目の前のすごいものをなんとかしなければ・・と、徐に箸を取り、「いただきます」と、手を合わせました。 うーん、蒙古タンメン!これは熱い!辛い!そして、ウマい!くたくたになった野菜からしみ出た滋味のあとに襲ってくるコクのある辛さは、なるほど、これは病みつきになるわ・・と思わせます。自分の意思とは関係なく、地球の引力のゆるすままに流れ出る鼻水をズルズルと(これ、ヨーロッパでは絶対にしてはいけません!・・のだそうです。ズルズルと音をさせるよりは、ビビーっと豪快に鼻水をかんでしまった方がずっとよいのだそうです。)させながら、女ひとり、ラーメンをすする。。。 (それにしても、どうしてすぐ隣りに座っている若い女の子は鼻水が出ないのだろう。。) しかし、蒙古タンメン、本当に魅惑の味でした。次回は是非、「北極」に挑戦いたしたく・・。でも、その時はももこさんにお付き合いを願わなくては。。だって、ひとり鼻水ズルズルで、誰とも話さずにラーメンを食べるのはすごく、すごく、すご~く恥ずかしかったのですもの。誰かに突っ込みを入れてもらいながら、互いに笑いながら食すのがよろしいっ・・というわけで、ももこさん、どうぞよろしくお願いしますねそうそう、並んで待っている間、絶妙のボケと突っ込みの会話で思わず私を笑わせてくれたお兄さんたち、ありがとう~。おかげで、私もまるで連れのように振る舞えて、退屈せずに済みました。 こうして新宿の夜は、「まだ宵の口さ」とさざめき微笑んで、その勢いで私にビックカメラでエーワンのラベルを買わせ、更に、ハーゲンダッツでストロベリーとラムレーズンのダブルに闘いの殿を務めさせたのでありました。
February 8, 2010
お日さまの光がいっぱいの、気持ちのよい一日。今年庭に咲いた、花の片付けと掃除をしました。高い背をピンと伸ばしたまま立ち枯れているコスモスを1本1本引き抜き、オレンジ色のドライな状態になったマリーゴールドを抜き・・。今年も盛んに花を咲かせて、私たちの目を楽しませてくれたことに感謝しながら・・。途中、カマキリの卵を3つほど発見。コスモスの枝の低い位置に付いていました。『カマキリの卵が産みつけられている高さで、その冬の積雪量がわかる』という、この地方の言い伝えを固く信じている私。昨年は、地面すれすれの高さにあるのを発見したので「わあ、今冬は雪が少ないのかしら」と思ったら、本当にそのとおりでした。・・ですので、今年の冬も雪が少ないのかもしれません。午後は、いただきもののお花で寄せ植えをしました。家中の鉢をかき集めてきて、ビオラとプリムラをランダムに定植。でも、ここで「不器用な私」が力を発揮してくれ、なんだか垢抜けない、冴えない姿になってしまいました。これでは、「寄せ植え」ではなく「寄せ集め」ですね。。終わってみると、10数鉢もできました。それでもまだお花は残っていて、まるでお花屋さんになった気分です。冬の間、家の中をずっと明るい色で満たしてくれそう♪あ、猫たちに手を出さないようによ~く言い聞かせなくちゃ。
November 7, 2009
前の晩は雪が降り、この秋一番の冷え込みとなった文化の日、私にとって、2009年、最初で最後(たぶん。。)のコンサートに行ってまいりました。 チェコ国立ブルノ・フィルハーモニー管弦楽団指揮:レオシュ・スワロフスキーピアノ:ベン・キム演目:スメタナ 交響詩「モルダウ」ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番ハ短調op.18ドヴォルザーク 交響曲第8番ト長調 この日のお目当ては、2006年、ミュンヘン国際音楽コンクールピアノ部門で優勝したベン・キムさんのラフマの2番!彼は、1983年生まれの韓国系アメリカ人で、あのエレーヌ・グリモーも師事した、レオン・フライシャー氏の愛弟子でもあります。チェコの熱い魂の響きが会場を満たした「モルダウ」に続き、ステージに登場し、拍手で迎えられたベンさん。すらっとした高い背、長い手と脚は、2階席からもとても際立って見えました。彼は、その長身によく似合う、身体の線に沿ったグレーのシャツブラウス、黒のパンツというカジュアルシックな装い。第1楽章は、スマートに始まりました。ベンさんは緊張している様子もなく、分厚いオーケストラの音にうまく乗って、あたたかで芯のある音色を2階までダイレクトに飛ばしてきます。私の席は、鍵盤がまっすぐに見通せる位置。彼の長く美しい指が、ひとつひとつの音を綾織りするかのように自在に優雅に動くのを、持参したオペラグラスで堪能しました。第2楽章は、ゆったりした中にも彼の持ち味の健康的な明るさがあふれ、個性が感じられる音楽です。「しっとりと」とも「静々と」とも違う、彼独特の世界でした。第3楽章の冒頭、スワロフスキー氏もオーケストラも「いくぞ!」という意気込みが漲っていました。ppから一気にffに駆け上がるスコア。そこに華やかに入る、大迫力のピアノのスケール!すごい!キマった!巧い!もう、会場も興奮の坩堝です。ベンさんも、左右、前後に身体を大きく揺らして、ノリノリでラフマニノフの音楽の海を泳ぎます。なんて気持ちのよい音色!まさに、アメリカンナイズされた音色と、スラヴの音色が混じり合い、融け合った、素晴らしいフィナーレとなりました。大きな拍手とブラヴォーの声に、何度もステージに現れる、ベンさんとスワロフスキー氏。ついにベンさんはピアノの前に座り、ラフマニノフで火照った聴衆の耳と心をクールダウンさせるがごとく、静かにスカルラッティのソナタを弾きはじめました。これがまた、しんしんと心に響く名演奏。「難関ミュンヘン・コン」を制覇した彼の真価が伝わってきて、緩急自在の腕の持ち主である逸材なのだと実感させてくれました。やっと彼のピアノをライヴで聴けて、本当に幸せな時間でした。さて、こちらはおまけ。この日も私は、ランチにBAKERY'S STREET&CAFEへ出向きました。 そしてこの日もまた、BLTサンドを注文。芳しい香りに誘われて、体調管理のためにずっと断っていたコーヒーも一緒に。 何度いただいても美味なBLTサンド。コーヒーも私好みの深い味わいでした。話し声にふと振り向くと、窓際の席に年配の外国人のご夫妻が。長野オリンピック開催時の名残りを留めているセントラル・スクエアが正面に見える席を選ばれたのでしょうか。軽く会釈をすると、奥さまが笑顔で「Hello!」とご挨拶を返してくださいました。こんなさりげないふれあいが好きだなあ・・。
November 3, 2009
うす曇りの空の下、少し遠くにある大型スーパーへひとりでお出かけしました。 ひととおり買いものを済ませたあと、ふと立ち寄った催し、「羊毛&布物展」で、こーーんな可愛いものを見つけて、目が釘付けに~~っ!! 羊のオーナメントです。正真正銘の羊毛のフェルトから作られた、羊くんたち。これは顔と身体の色からしてサフォーク種ですね。ずっと見入っていると、主催の方のおひとりが来られたので「これ、可愛いらしいですよね~~っ!」と歓喜の声をあげる私。張り紙には「体験教室開催中」とあり、なるほど、奥のテーブルは幾人もの方々が向かい合って、なごやかにフェルト手芸に勤しんでいらっしゃいます。 「私に、こちらの作り方を教えてください!」その場ですぐにお願いし、羊毛フェルト手芸初体験となりました。 画面手前にある、綿菓子のような状態の羊毛を手で巻き、羊毛フェルト専用のニードル(針)でちくちく刺しながら、だんだんに画面後ろにあるような、まあるい状態に整えていきます。これが意外と難しい・・。脚の部分は、こげ茶色の羊毛をつまようじにくるくる巻きつけて作ります。顔の部分は、先生が作ってくださいました。「サフォークかあ・・。昔、山の上の会社の寮に向かう道沿いに、首を縄でつながれたサフォークが放牧されていたわねえ・・。一度、近づいて手を出したら、噛みつかんばかりの勢いで顎を突き出してきて、熱い鼻息にびっくりしたっけ・・。」そんな、若気の至りの日々のことも思い出しながらひたすらちくちく、ちくちく・・。しばらくして・・・。 「わあ、可愛くできましたね!」と先生からお褒めのお言葉をいただき、袋に入れていただいたMy羊くんを連れて、ホクホク気分で帰って来ました。帰路は雨になったけれど、My羊くんがいるから平気♪帰宅後、家族に見せると、皆ニコニコ顔。2麻呂:「あ!『羊のジョーン』だ!」(←NHK教育で放送されている番組)1麻呂:「これ、本当にお母さんが作ったの!?」麻呂父:「よしよし、可愛いじゃん」羊って、ほんと、ほのぼのと場を和ませてくれる動物ですね。 はい、こちらが麻呂母特製の、「我が家の羊」です。玄関ホールから階段を上がる途中、油彩画の額の隣りに飾りました。羊毛フェルト、ふわふわと気持ちよくて、とても楽しい手芸でした。不器用の私にも短時間でまあまあのものができますし、「明日は久しぶりに手芸屋さんに行ってみようかな~♪」なんて、考えてしまっています。あ、これはもう、若気の至りではありませんから・・。だから余計にタチが悪い・・ですよね??
October 17, 2009
中間テストが2日後に迫った日曜日、1麻呂を映画に連れて行った。私や麻呂父が、どんなに大声で怒鳴っても、あきれるくらいの馬耳東風の態度で全く勉強をせず、PCに向かってばかりいる中学2年生の我が長男、1麻呂。それならば、「逆に彼の欲求を満たすことでやる気を持たせよう」と思い立ち、観たがっていた映画を上映している、ちょっと遠くの街にある、シネ・コンの入った大型複合商業施設に高速道路を使って出かけた。「映画を観ながら食べられます」と店内掲示板でうたっている某ファスト・フード店でハンバーガーのセットを買い、1麻呂は映画館の通路の向こうへと消え、私はショッピングモールを見て回った後、ひとりでお茶を飲むために館内にあるカフェテラスに腰を落ち着けた。 「こんな家、つまらない。家族でどこかへ出かけても、お父さんもお母さんも 車の中でほとんど僕に話しかけてこないし、家にいる時だってそうだ。友達の家に行くとそれがよくわかる。皆、楽しそうに家族でしゃべっているよ、ご飯の時も、そうでない時も。どうしてうちはこうなの!?」 「うちっておかしいんじゃないの?友達の家と全然違う」最近、こんなことを言うことが多くなった。中学生になって、頻繁に友人の家を行き来するうちに、自分と友達、自分の家と友達の家を自然と比較するようになってきたのだろう。自分と周りとの尺度を測る術を身に着けたとは、少しは社会性が育ってきている証拠なのだと、親は自身を慰めるためにそんなふうに思ってみることにする。 「うるさいよ!何度も言わなくてもわかってる!」思春期真っ只中、言葉を荒げ、弟にやつ当たりをし、苦虫を噛みつぶしたような顔をしている毎日。それでも、学校ではのびのびと楽しく過ごしているらしいから不思議だ。事情があって、1麻呂にとって今年が最後となる中学校の文化祭で、彼はなんと、クラスの合唱の指揮をした。ピアノ伴奏ではなく、指揮である。しかし、「お母さん、絶対に見に来なくていいからね」と再三にわたって言われ、私は当日は家にいた。もちろん、見たかったけれど。よそのお母さんから電話をもらい、「1麻呂くん、とってもよかったよ!!・・えーっ!?見に行かなかったの!?」と驚かれた。6歳の時、1麻呂はT大学附属の音楽教室に通い始めた。入室にあたっての面接時、ひとりの先生が、「1麻呂くんは、大きくなったら何になりたいの?」と質問された。「指揮者です」「本当に?指揮者って、大勢の人をまとめるすごいお仕事だよね。そうか、キミは指揮者になりたいのか!」その先生はニコニコしながらおっしゃったが、他の面接の先生も、そして、誰よりも、私がいちばん驚いた。後で本人に聞くと、「いつもお母さんが見ている音楽のテレビで、指揮している人がかっこよかったから」という返事だった。しかし、結局その教室は2年半で退室してしまい、昨年はついに、4歳から9年間続けたピアノも辞めてしまった。 その道の基礎がしっかり築けていないうちに、そこから離れてしまった彼には、もちろんこの先、生業としての指揮者になることは不可能であるし、本人にも、毛頭その気はないだろう。それは本人がいちばんよくわかっていることだ。それでも、彼はかつて夢見たことのひとつを、ここで叶えたことになるのだろうか。今のままでは、志望校はおろか、周辺にあるどこの高校も彼に門戸を開いてはくれないだろう。それは本人がいちばんよくわかっていることだ。さあ、どうする、1麻呂よ。目の前の苦しいことから逃れ、心の快楽を追い求めるだけの つまらない大人には、なってほしくないと母は思う。何でもいい、どんな形でもいい、ひと様の役に立つような、そういう人間になってほしい。 心と身体のバランスが急激に変化していることが傍から見ていても痛々しい。行き場のない気持ちのコントロールが難しいのだろう。私もあなたの年齢の頃、そんな季節を経験した。垢抜けない詩を書き、夜な夜な星座の運行を確かめ、上手くもないピアノを弾き、人生のなんたるかに思いを馳せた。 1麻呂よ、自我に目覚めた吾子(あこ)よ、本当の意味での人生はこれからだ。母はいつでもあなたを見守っている。あなたを生んで、世に送り出した責任があるのだから。そして、15年前、わずか妊娠2ヶ月で失いかけた、かけがえのないあなたを、心から愛しているから。だから、安心して準備をしてほしい。探しているものを、見つけてほしい。あなたの旅は、始まったばかりなのだから。 昼下がりのカフェテラスで、ふつふつと湧いてくる、こんなもの思いに時をゆだねた。
October 14, 2009
我が部署における、一年中で最も忙しい時期がようやく過ぎ去り、穏やかな日々が戻ってきました。それを境に、ボスとNちゃんが、他の部署の応援に行くことが多くなり、部屋には私とSさんのふたりだけという日が続いています。仕事中に聴く音楽も、最近はほとんど私好み(Sさんも♪)のものに様変わりしました。ようやく、腰が落ち着いた気分です。家から持参するCDは、クラシックではヴァイオリンやピアノの曲、ジャズではビル・エヴァンス、ハリー・コニック・Jr、木住野佳子、J-POPではフリッパーズ・ギター(意外でしょうか??)などなど・・。先日、事業所長(私よりはるかにお若い)と一緒に数人で仕事をしていた時、彼がぽつり、「最近この部屋を通るとクラシックが静かにかかっていて、雰囲気がぐっとよくなりましたね。夏の間ガンガンとかかっていた、ああいう類の曲は、私、実は苦手なんですよ。」と言うではありませんか!思いもかけない言葉に、たまらなくうれしくなりました!「そうですか!ジャジーな日もあり、クラシカルな日もあり・・と、かなりクロスオーバーですけれど。」「うーん、でも、大人の雰囲気で落ち着けて、私も好きですね。」うん!わかる人にはわかるのね、やっぱり!そういえば、その少し前にも、ムローヴァの弾くバッハの無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番を流していたのですが、そこに別の部署のお若い女性Aさんが来て、部屋に入るなり、「この部屋の空気が今までと全然違いますね!」と、感激して言ってくれましたっけ。こんないくつかの出来事により、音楽がもたらす幸せを皆で分かち合えているような、そんな気持ちになり、心からうれしくなりました。最近のいちばんの「小確幸」です。さて、今日は、今話題のラトル氏&ベル・フィルによる、ブラームスの交響曲の全集を会社に持って行き、第2交響曲と第3交響曲を聴きました。 私は、今回の全集の中では、第3交響曲がいちばん気に入りました。 第1楽章の冒頭、弦のユニゾンがここまで熱く歌い、しかし少しも力まず統制がとれていて、聴く者の胸を躍らせてくれる演奏は、他に聴いたことがありません。第2楽章は、弦、管の役割が等配分で、中間部の波のうねりのような弦のやりとりも心地よく、これはラトル氏の采配の上手さなのか、メンバー個々の実力なのか、或いは、その両方なのか・・。ご購入を検討されている方に、ご参考までに。3枚のCDと2枚のDVDで構成されている日本盤が、お得でお薦めです。DVDでは、安永徹氏の、ベル・フィルでのコンマスとしての最後の録画(?)になる貴重な演奏が見られます。第1交響曲のソロも素敵ですよ♪そして、特に、「パユ様」ファンの方は必見ですね!パユ氏のアップが、まあなんと多いこと!(笑)(ただし、パユ氏が見られるのは、第1、第2交響曲のみです。) 満を持してのラトル氏&ベル・フィルのブラームス。一度お聴きになってみる価値は大いにあると思います。 霧雨に煙る隣りの森を見ながら、そして耳ではブラームスを聴きながら・・。明るい2番と力強い3番を職場で聴いたおかげで、仕事の効率も上がったような気がしました。いい一日でした。
October 2, 2009
今日と明日は、1麻呂の中学校の文化祭。 2麻呂は、今日が小学校の運動会。 私は昨夜から4人分のお弁当作りに勤しみました。 自分と麻呂父のお弁当は毎日作っているものの、 こういう「ハレ」の日のお弁当はちょっと緊張。 かといって、特別豪勢なお料理はできませんが、 皆の好きなものを作って入れてみました。 まずは1麻呂のお弁当をご紹介します。 ・ごはん(ゆかり、いりごま) ・若鶏のチューリップの唐揚げ ・春巻(麻呂父の母の手作り) ・卵焼き(巻き簾でかまぼこ形にして) ・チーズの海苔巻き ・きゅうり(塩もみ) ・ミニトマト ・ぶどう(ナイアガラ、甲斐路) 運動会用のお弁当の方は、おにぎり(ゆかり、たらこ)、ほかに、モロッコいんげんの サラダと、ハムとチーズ、きゅうりのサンドイッチを作って入れました。 サンドイッチのバスケットに、チョコレートも入っているのがご愛嬌でしょ?^^ 一部、紅白帽子やプログラムも写っている運動会らしい1枚になりました。 1麻呂の中学校は、普段は給食があるから親は助かっていますが、 高校生になったら(なれたとしたら・・汗)、毎日お弁当持参になります。 ズボラで不器用な私が、3人分のお弁当を毎日作れるかしら・・と、 今から懸念しております。気が早いですね・・。
September 19, 2009
今日はおやつにカスタードプディングを作りました。いつもの日曜の朝、NHK-FMでのサー・ゲオルク・ショルティのピアノとゲオルク・クーレンカンプのヴァイオリンによるブラームスのヴァイオリン・ソナタ第1番「雨の歌」を聴きながら。サー・ショルティ氏はピアノの腕も相当なものだったのですね。くっきりとした輪郭の、明快なブラームスを聴かせてくれます。カスタードプディングは、シンプルだけど、いつ作っても美味しい。材料はたったこれだけ。この材料に熱を加えるだけで、あの美味しさが生まれるのですから、お菓子って不思議ですよね。 カラメルソースを作っていると、「いいにおい!」と2麻呂が叫びながらキッチンに来て、鍋に残ったべっこうあめ状のかたまりをスプーンでこそげとって舐めている。いつもこれが楽しみなのよね。 すべての材料を混ぜてから濾し、バターを塗ってカラメルソースを入れた、プリンの型に流します。最初用意した型ではプディングの液が余ったので、急遽耐熱ガラスの型をひとつ出してきて残りの液を入れ、水を張った天板に載せてオーヴンへ。140℃の低めの温度で35分ほど、ゆっくり焼きます。できたできた♪3時を過ぎてから、お茶と一緒にいただきました。庭のミントを添えて。今度の週末は、1麻呂が中学校の文化祭、2麻呂が小学校の運動会。ふたりとも、このプディングを食べてがんばって^^
September 13, 2009
大人のための音楽~その2~ 私が所属する部署の部屋は、いつも大音量で音楽が流れています。 それは、激しいビートと同じ旋律が際限なく続く、ばりばりのテクノサウンドだったり、 流行りのラップ調ソングだったり 、西野カナだったり、宇多田ヒカルだったり・・。 選曲者は、私とふた回り(!)も年齢差のある若武者Nちゃん。 俊敏な動作と頭の回転の速さが要求されるこの部署にはぴったりのBGMなのでしょう。 でも、緩慢な動作、鈍い頭の私にはついていけない世界です。。。 ラップで歌う(?)彼ら(グループ名がわからない)は、退廃的で厭世的な歌詞を羅列し、 ヒカルちゃんは「愛してほしい、愛されたいよ」と、「愛」を連呼します。 若者が世を憂うのは常ですが、それを乗り越えて大志を抱くのも彼ら。 そして、「愛」は、求めるものではなく与えるもの。 ・・と、ン十年と世をわたってきたおばさんは思うのであります。 この部屋はエアコンがないため、窓やドアを開け放して仕事をしています。 高原の涼しい風が部屋の中を吹きわたり、音楽が止まっている間には、 隣りの森から、歌うような鳥や、セミの鳴き声が聞こえてきます。 チョウやトンボなどの虫も頻繁に舞い込んできて、先日は、 仕事中の私と、数十cmと離れていない至近距離まで オニヤンマがやってきて、こちらを向いてホバリングしたまま、 緑色の大きく美しい瞳でしばらく見つめられてしまいました。 最近、仕事が殺人的に忙しく、ボスは少しの時間のロスもなくそうと、 毎日ピリピリしていて、それは彼の言動にも如実に表れています。 「いろいろ言い訳しないで謝ってくださいよ!」 先日、才媛Sさんに向けて彼が言い放った言葉です。 「かのんさんもお給料をもらっているのですから、きちんと責任持って仕事してくれないと」 大勢の同僚が集まる会議の中で彼が言い放った言葉です。 ひとつの職場を束ねる役目のあなたが、そんなにも心ない、 他人に敬意を払わない、虐げるようなことを言ってはいけない。 あなたより十数年多く生きている私が、大勢の人の前で、 あなたにそこまで言われる筋合いはない。 とは思うものの、私はその思いをぐっと呑み込んで堪(こら)える。 私は大人ですもの。 「大人になれ!」 映画「セント・オブ・ウーマン」でアル・パチーノ扮する フランク・スレイド中佐が、主人公の青年に向けて言った言葉です。 それをそのままボスに捧げたいけれど、今の若者は アル・パチーノの映画は観ないかもしれません。 さて、お勧めは、ここのところずっと繰り返し聴いているこの曲です。 ポール・メイエとエリック・ル・サージュ、このふたりのフランス人によって奏でられる、 穏やかで香しく、成熟した大人の音楽です。 クラリネットの音色が、秋の空気を思わせるのは何故でしょう。 これからの季節にもふさわしく、きっとあなたの心にも 落ち着きと安らぎをもたらしてくれることでしょう。 私は職場でこの曲を聴きたいっ。 テクノもラップもいいけれど、 若者よ、成熟した大人の音楽を聴け!!
August 22, 2009
大人のための音楽~その1~ 朗報です!今や伝説となったNHK-FMの名番組「クロスオーバー・イレブン」が、「クロスオーバー・イレブン2009」と銘打って一週間だけの期間限定でよみがえります。8月3日(月)~8月7日(金)の夜11時からたっぷり1時間。ダリル・ホール&ジョン・オーツ、キャンディ・ダルファー、シャーデー、リー・リトナー、トーキング・ヘッズ、スティーリー・ダン、シカゴ、ジョー・サンプル、デュラン・デュラン、マイケル・ジャクソン、プリンス、ヴァネッサ・パラディetc.・・・’80~90年代を彩った懐かしいナンバー&アーティストの曲が勢揃い。そして、津嘉山正種さんの渋く味わいのある声でのナレーション、特に、番組の人気者、モヤシくんの特集は楽しみです♪クロスオーバー・イレブンのファンだったあなたも、そして、初めてのあなたも、どうぞお聴き逃しなく。
August 2, 2009
夕方、庭に出ていた麻呂父が、急に家に入ってきて小声で「そーっとこっちにきてごらん、川の向こうにシカがいる。」と言いました。私も庭に出てみると、確かに、川の対岸の草むらに、立派な角を持った大きな成獣のシカ2頭と、子ジカが1頭、ゆったりと草を食んでいるのが見えました。すぐにカメラを持ち出し、何度かシャッターを切ったものの、どれもこれも手ブレばかり。お恥ずかしいのですが、どうにか「それ」とわかるものをここに載せますね。なんとな~く、立派な角がおわかりいただけるのではないかと思います。しかも、彼はカメラ目線。ん?ポーズとっている?? 我が家より少し標高の高いところでは、近年シカの群れがたくさん目撃されていて、山の上の小学校でも、今年、2麻呂の学年が育てている稲の苗が何本も根こそぎ食べられてしまったという被害もありましたが、こんな民家のある場所にまでも下りてくるなんて。野生の動物を間近で見られたことに感激しながらも、ここまで人を恐れなくなった彼らの習性に危惧の念を抱きました。しばらくしてから、3頭は林の向こうに消えてゆきました。「これからも交通事故などに遭わないよう、元気に逞しく生きていってね」心の中で祈りながら、彼らの白くて可愛らしいお尻を見送りました。3頭は、どんな関係なのでしょう。親子?兄弟?今頃、夜行性の彼らは山の中を飛び回っているのでしょうか・・。またあの雄々しく可愛らしい姿に会いたいです。
July 25, 2009
先週、所用で長野市へ行きました。午後からの用事だったので、ゆっくりランチをとろうと、11時過ぎには目的のお店に到着。そこは、昨夏に長野市を訪れた時に、臨時休業で涙を呑んだ、BAKERY’S STREET&CAFE「信州のパンの百貨店」と銘打ったこのお店は、長野県内にある20数軒のこだわりのパン屋さんのパンが毎日入れ替わりで並んでいて、店内のカフェ・スペースでオリジナルのドリンクやフードと共にいただくことができます。お店は、善光寺につながる通りに面しています。通りの真向かいには、1998年の長野オリンピックの時に表彰式を行ったセントラル・スクウェアがあり、当時の面影を残しながら今は駐車場となっている姿が見られます。 お店のディスプレイ&レイアウト。たくさんの本が、手に取りやすい間隔で並び、「どうぞ本でも読みながら、ゆったりとお過ごしください」とのお店のコンセプトが伝わってくる居心地のよさです。壁のチョコレート坊やのポスターは、現在明治のチョコレートのラベルに、期間限定で載っていたような・・。 私が選んだ「やさいパン」、「シナモンとレーズンのパン」、そしてBLTサンドとアイスティー。やさいパンは、もちもちしたパンの中に、コールスローサラダが入っていて美味。BLTサンドは、ベーグルを使っていて、適度な歯応えと、丁寧に調理して挟んだフィリングとソースが絶妙な美味しさ。サラダとポテトがついてきて、ボリュームもたっぷり。おかげで、シナモンのレーズンパンは食べきれずに持ち帰りにしました。このカフェのすごいところは、高価なイッタラのアイノ・アァルトのタンブラーが、大・小ともに惜しげもなく使われていること。そして、ウェット・ナプキンがふたつ付いてくるところも、気が利いていて、「むむ、できる!」と思わせてくれました。 目の前に並んでいた本たち。思わず食指がうずうずするジャンルの本ばかりでした。ほかに、「自由帳」と書かれたノートがあちこちに置かれ、私のそばにあった一冊をのぞくと、数日前には「ノルウェイの王と王妃」と名乗るカップルが「グレートなBLTサンドウィッチをありがとう!このよい仕事をキープしていってね!」と書き残したメッセージがありました。ほんと、Great! ゆっくりと食事と読書を楽しみ、ドアを押す私に、さわやかな笑顔で「ありがとうございました」と声をかけてくれたスタッフにこちらも「ごちそうさま」と笑顔で応えて、善光寺大通りに繰り出しました。 11月に再び訪れる予定があるので、また寄ってみたいな。と、新たな楽しみを企てております。
July 19, 2009
なんということでしょう。昨夜、PCのHDDが故障してしまいました。復旧の見通しが立ないので、誠に不本意ながら、しばらくお休みにせざるを得ません。皆さまのところへお邪魔することも、コメントへのお返事もできません。大変申し訳ございませんが、よろしくお願い申し上げます。
June 20, 2009
黒田恭一さんが亡くなられた。享年71歳。私の父よりずっとお若い。毎週日曜朝のNHK-FM「20世紀の名演奏」は、私の大きな楽しみだった。往年の巨匠たちが残してくれた、貴重な音楽の至宝を聴けることはもちろん、そのひとつひとつを丁寧にわかりやすく、慈しみをこめて解説され、やさしいぬくもりに満ちたお人柄がラジオからそのまま伝わってくるやわらかなお声、番組の最後に必ずおっしゃる「今日はこれで失礼いたしますが、どうぞ皆さま、お気持ち爽やかに毎日を過ごされますように。黒田恭一でした。」のお言葉が大好きで、日曜の午前中はこの放送とともにアイロンがけなどの家事をして過ごすのが日課だった。 いつの頃からか、お声に少しずつ、少しずつ、張りがなくなってきた。度々、諸石幸生さんが代役を務めるようになったのもこの頃からだった。4月に入り、また黒田さんのお声が聴けるようになったものの、息をととのえ、長い間(ま)を取りながら、喉の奥からしぼり出すように話されるお声、発音の衰えなどから、明らかにご体調を崩されていることがわかって、聞いていてとても痛々しかった。5月24日の放送は、そのことが更に感じられ、「どうぞ皆さま、お気持ち爽やかにお過ごしくださいますよう。」とおっしゃった時、思わずラジオの前で「黒田さんもどうぞお元気で」とつぶやいた私。一緒に聴いていた1麻呂も、「黒田さん、具合が悪いの?」と言ったほどだった。結局、この日が黒田さんの最後の放送となった。ケーキを焼きながら聴いた先週31日は、過去のものの再放送で、「あら?どうしたのかしら?」と思いながらベームのモーツァルトを聴いた。そして一昨日の訃報で、29日に亡くなられていたことを知ったのだった。私:「黒田さんが亡くなっちゃったよ」1麻呂:「黒田さんって、あのラジオの人?」私:「そう。やっぱり具合が悪かったんだね・・」 実質的に最後の放送となった24日に番組で紹介された、エイドリアン・ボールト指揮、ロンドン・フィルの演奏でのエルガー「夕べの歌」。一日の終わりをねぎらうかのような穏やかな弦楽の調べに、黒田さんの人生への思いを馳せ、衷心よりの哀悼の意を表すとともに病を押して最後までご自身の番組を全うされた、ご立派で強いご意志にご尊敬の情と拍手をお贈り申し上げたい。黒田さん、今まで素敵な放送、そして幾多のエッセイをありがとうございました。ちいさなファンより
June 6, 2009
今日は1麻呂の誕生日。14歳になりました。時の経つのはなんと早いこと。 本人の希望で、今日はチョコレートのガナッシュケーキを作りました。我が家のケーキは、総じてシンプルなスタイル。あまりデコレしないものの方が、子どもたちも好きなようです。ガナッシュは、ほんの少しグランマニエを入れた、ちょっと大人の味。夕食後、ケーキでお祝いです。1麻呂、おめでとう イッタラの黄色のティーマに、チョコレートの茶色がよく映えます。 今回、1麻呂は私に、珍しく楽譜を所望しました。それがこちら。 テレビ朝日「大改造!!劇的ビフォーアフター」の番組中で使われる曲を作曲した松谷卓氏のCDコンプリートの楽譜です。皆さまよくご存知の、大改造(リフォーム)後の住宅の、微に入り、細を穿つまでに感動的な変貌を遂げた様子が紹介される際、バックに流れている曲。 「匠~TAKUMI」という曲名で、1麻呂はこれを弾きたいのですって。私個人はあまり好みではないのですが、せっかく本人がその気になったなら、と、親バカでプレゼントしました。パラパラと見てみると、なかなかに手強い内容(中級~上級向け)で、特に左手のアルペジオは、苦労しそうです。まあ、気が向いた時にポツポツとマイペースで弾いていってくれたらうれしいな。と思っています。長い間の固定観念のタガが、最近ようやく外れて、「音楽は他に強制されるものではなく、個々が楽しむためのものである」と、いちばん大切なことに気づいた愚かな母です。母になって14年。これからも、我が子に多くを教えられながら少しずつでも成長してゆけることが、ささやかな望みです。
May 31, 2009
大型連休前のある日、会社のSさんが言いました。「アシュケナージ、聴きますか?」Sさんは、この仕事のエキスパートの才媛。うれしいことにピアノがお好きです。「う~ん、若い頃はよく聴きましたけれど、今はあまり聴かないですね。」「今は指揮者としての活躍の方が多いでしょうね。」こんな、ふとした会話から始まって、話題はラフマニノフのピアノコンチェルトになりました。「ラフマニノフのピアノ協奏曲、私は狂詩曲が一番好きですが、かのんさんは誰の演奏がいいですか?」「狂詩曲、あれね。♪タン、タ、タラララ、ランッ、タラララ♪パガニーニのカプリースの主題の」「そうです、その主題もいいですが、私は第18番目の変奏部分が好きなんです。」「あ、♪ラ~ララララ~、ラ~ラ~ラ~ラ~♪ですね~。」「そうですそうです♪」そこで急に思い出しました。「狂詩曲は誰の演奏がいいか全然詳しくないけれど、コンチェルトの2番と3番なら、ラフマニノフ自身の演奏するCDが、確か家にありますよ!」「本当ですか!」家に帰ってから、早速CDが詰まっている箱の中をごそごそとやってみました。ずっと昔に買って、一度か二度聴いたきりでそのまま箱の奥にあるはずのCD。自信がなかったけれど、かなり古い地層のところで見つけました。翌日Sさんにお貸しして、連休明けに戻ってきました。「とてもよかったです!!」セルゲイ・ラフマニノフ、つまり、作曲家本人による自作自演のライヴ演奏。SPレコードの復刻版、いわゆる「赤盤」です。作曲家自身の演奏する音源が残っていることに、私たち音楽ファンは喜びと感謝の気持ちが募りますね。ベールがかかったような、遠い音質の演奏ですが、ここには確かにラフマニノフの音楽の息遣いがあります。同時に、彼の美学をも感じます。意外とあっさりとして、けれども、他の追随を許さない、スリリングでハイテンポな展開を見せる第1楽章は聴きごたえがあります。第2楽章は、現代のピアニストがあまり表現しないような左手の音が際立っている部分が数箇所にあります。フィナーレはもう圧巻。迫力ある演奏で、聴衆を魅了したことでしょう。最後に少しだけ入っている拍手も、きっと鳴り止まなかったでしょうね。ここ数日、ずっとこのCDを聴いています。「古きを温ねて新しきを知る」現代を生きるピアニストたちも、この演奏に耳を傾けて多くを学びとっているのでしょうね。全体的に、ほんの少しピッチが低い“いにしへ”の音。すっと背筋を伸ばしたくなるような、ソリスト、そしてオケと指揮者の気迫に満ちた貴重な貴重な録音です。 今は、こちらが市場に出ているようですよ。
May 10, 2009
大型連休最終日。外は雨。ちょうどよいので、今日は家で裁縫です。実家の母に頼まれた縫い物を早々に片付けて、さて。以前購入して棚にしまってあった、北欧ファブリックのはぎれを出してきました。 この中の布を使って、今日は、携帯マグを入れる袋と、1麻呂、2麻呂が使うコースターを作ります。 これ、マリメッコのボットナ。この布で作ることに。はぎれの写真の、右から2番目の布です。初めて見る方は「なにこれ~っ!?」と驚かれることでしょう。でも、人気あるのですって。イッタラからは、同じデザインの食器も出ているようです。↓ こんな感じに出来上がりました。いかがでしょう。会社から戻った麻呂父に見せると、 「ボクのは?」「・・・」 布の余った部分で作ったコースター。これからは、テーブルにこぼさないで飲めるね、2麻呂くん♪
May 6, 2009
1麻呂のお友達が遊びに来たので、午後はFMの「今日は一日ラ・フォル・ジュルネ三昧」を聴きながら、バナナブレッドを作りました。 堀井和子さんのレシピで、少しずつ材料の配合を変えて、この2冊のどちらにも載っています。 焼きあがったバナナブレッドを、今日は庭のミントと一緒にポーランド製のマーブル模様のお皿に。シンプルですが、バナナの香りが素敵なケーキ。ブランチのメニューにもなりますよ♪ バッハの音楽を聴きながら作ったバナナブレッド、バッハの味がするかしら??ところで、バッハの時代、ドイツにバナナはあったのでしょうか・・・。
May 4, 2009
県が推し進める「花の里山事業」。山の別荘地を通る県道沿いに、4年間かけて桜、カエデ、ツツジを植える計画。今年で最後、4回目になる植樹作業に参加しました。家から車で10分ほど、山に向かって走ると目的地に到着。我が家近辺との標高差は200mはあると思いますが、なんと、現地に集合してすぐに雪が降り始めました!それも、猛吹雪です!山が歓迎してくれているのでしょうか。。 信じられない~っ。私の前を歩くご近所のおばさま方の背中にもうっすらと雪が。寒い寒いっ!凍える手に、持参したスコップを握り、一生懸命土を掘って私はツツジを2本植えました。 大きくおなり~♪すべてが終わる頃には雪も止み、日の光も射してあたたかくなってきました。やれやれ・・。この道沿いには、私が昨年まで植えたツツジもきっと元気に育っているはず。皆さま、こちらにいらっしゃる時は、是非私(笑)が植えたツツジをご覧になってくださいませね~♪
April 26, 2009
会社のすぐ裏の池に、ミズバショウが群生していると、お散歩好きのSさんが教えてくれ、お昼休みに皆で見に行きました。ほんと、会社から歩いて2~3分のところの、森の中の湿地に、小さな池があって、可愛らしいミズバショウが顔をのぞかせています。春の日差しを浴びて、とても美しく可憐で、思わず携帯電話のカメラで撮影しました。地元の人たちが大切に守ってきたと思われるこの湿地。皆の目を楽しませてくれることに感謝しながら、どうぞ誰にも触れられたり手折られたりすることなく、このままここに咲き続けてほしいと願わずにはいられませんでした。「気持ちを和ませてくれてありがとう。来年また見に来るわね。」白い部分は仏炎苞(ぶつえんほう)と呼ばれるガクで、本当の花は、その仏炎苞の中にある、緑色の細長いもの(花序)なのだそうです。デジカメならもっときれいに撮れたかも・・。残念。可憐な美しさが皆さまにも届きますでしょうか・・。
April 9, 2009
2麻呂が、こんなことをしていました。DSで書いた絵を、ネット上に載せることができるそうで、昨日母にも初めて見せてくれたのです。あまりにもくだらなくて馬鹿馬鹿しい内容で、字はひどいし絵も稚拙ですが、逆にそのいい加減さが、涙が出るほど可笑しくて、母は大爆笑。手前味噌ではございますが、皆さまの肩の力を抜くのにはちょうどよろしいかと・・。音量をONして、どうぞこちらからご覧くださいませ。面白くなかったらすみません・・・ということで、お許しを・・。よろしかったら、ご感想をお聞かせくださいね。母の本音:春休み中にこんなことしている暇があったらもっと勉強してほしい(涙)
April 4, 2009
今日の仕事中、ボスとの会話。私「このペレットって、何で出来ているのでしょうね?」ボス「それですか?それはですね、『夢と希望』で出来ているんですよ」私「(しばし絶句)・・うわあ、いいこと言うなあ~」・・ほんと、びっくりしました。彼は、今どきの青年ですが、一緒に仕事をするにつけ、「一本筋の通った男ではある」とは思っていました。・・が、こんな詩的な言葉がふっと口をついて出るとは。ふふ、意外な横顔を見せてくれましたね。人の「意外性」に気づくのが大好きなワタクシ。この子は、タダモノではないかも。
March 26, 2009
会社のランチタイムに、「マイ携帯マグ」を持参する女性が多く、それまでずっとマイカップ持参で会社のお茶をいただいていた私も、「便利だな」「エコロジーだな」と、最近だんだん気になってきました。調べてみると、いろいろなタイプがあるのですね~。あまりたくさんあったので、私が気に入ったものを、こちらにご紹介いたします。 これ、使っている人がいます。実物もきれいな色です♪ ポーチ付きで色遣いもよいけれど、250mlと容量が少なめ。 真ん中に好きな絵や写真を入れる空間があり、人気商品です。 デザイン、色、共にハイセンスですね。ファッションやマスコミ関係者に人気だそうです。 そして、私が選んだのがこちら。無印良品の商品です。 Simple is best を身上とする私にちょうどよい♪かと。 製造元はサーモス。品質も○。 毎日会社に持ってゆくロイヤルコペンハーゲンのランチバッグに入れてみると、誂えたようにぴったり。お弁当箱も一緒に余裕で入ります♪マグの中身は大好きなほうじ茶。これから、ランチタイムが今まで以上に待ち遠しくなりそうです。携帯マグは、自分の好きなものを、熱いまま、冷たいままで飲めるのが大きな魅力ですね。最初に考えた人はすごい!ひとつのものを選ぶのに、ここまでこだわってみて楽しかったです。そして、満足できるものに出会えてよかった~♪
March 23, 2009
週末に私がしたこと。雪まじりの冷たい雨が降った土曜日は、久しぶりに銀器を磨きました。立派な銀のフルセットのカトラリーは、私のような者には分不相応で持て余しそうなので、憧れのままに留めていて、もっと気軽に使えるものを選んで使っています。ひとつは、クリストフルのデザート・スプーン2客。シュッとしたシンプルなデザインが気に入って、10年以上前に、新宿タカシマヤで求めました。もうひとつは、作家ものの陶磁器を扱う青山のギャラリーに、さりげなく置かれていたアンティークのティー・スプーン。5客セットで、19世紀に英国貴族の家で使われていたのだそう。小ぢんまりして、洗練された形が気に入り、長い時間お店の中で悩んだ挙句、結局その日は購入せずに帰ってきましたが、そのあとずっと忘れられず、思い切ってお店に電話をすると、まだお店にあるとのこと。即決で購入する意志を伝え、数日後、私の元にやってきました。どんな人が、どんな思いを巡らせながら、このスプーンを使ってお茶を飲んでいたのでしょう。100年以上前の逸品が、遥かなる想像の世界へと私を運んでくれます。眺めているだけでも幸せ。やっぱり手に入れてよかった。と思いました。さて、ちょっとの間使わないと、すぐに黒ずんでしまう銀器は、まるで、かまってもらえないと機嫌を損ねる女の子のよう。大変手がかかります。でも、そこが愛おしいのですよね。やわらかい布に、銀器専用のシルバー・ポリッシュを適量取り、それで磨くと、黒ずみがとれて、元の、やさしく奥の深い光を放ち始めます。(ああ、自分自身も、こんなふうに磨くことで、簡単に輝くことができたらいいのに・・・。・・などと、邪念まで湧いてきます。)仕上げ後は、昔訪れた、香港ペニンシュラ・ホテルのリネンに包んでしまっておきます。ここ、気分だけは贅沢になれる大切な組み合わせデス。。日曜日は、お弁当箱を包むクロスや2麻呂のティッシュ・ケースを縫い、スニーカーを洗い、バラの剪定をしました。すべて根気の要る細かい作業だけれど、確かに前進した充実感を得られ、気づくと少しだけ、以前の自分のリズムを取り戻せたように感じられた週末でした。次回は、いえ、次回こそ自分を磨けたらいいなあ・・。
March 16, 2009
先日、アフラックの新しいCMをテレビで観た時、すぐに私と1麻呂が同時に「あ」と声を出しました。私「あ、ドリー。」1麻呂「だねっ。」(←今どきの子の言い方です。。)宮崎あおいさんが手紙を読む声の向こうに流れる曲、フォーレのドリー組曲の中の第1曲「子守歌」。この曲は、1麻呂が小学校4年生の時のピアノの発表会で、私とふたりで連弾した曲なのです。1麻呂がプリモ、私がセコンドを弾きました。CMはこちらをどうぞ。優雅で可愛らしく、フランスのエスプリが感じられる小粋な曲です。昨年、モーツァルトのソナタにつまずいてお稽古が停滞している1麻呂に、母である私は、ついついうるさく口出ししてしまい、更に、先生からの熱心な叱咤激励も、彼にとっては重荷にしかならなかったらしく、大きな苦痛を味わわせてしまった結果、夏の初めに、1麻呂は8年間続けたピアノのレッスンをやめました。そう、私は1麻呂にトラウマを与えてしまったのです。それからというもの、彼がピアノの前に座ることはありませんでした。「ピアノが嫌いになったの?」「うん。」「ごめんね。お母さん、あなたに悪いことしちゃったね。もう、前みたいにうるさく言わないから、気が向いた時には、弾いてね。」「そうだね、・・いつかね。」そんな会話も交わされましたが、「いつか」は来ないまま、今日まで来ました。夕食のあと、思い立って「子守歌を一緒に弾かない?」と聞いてみました。最初は「いやだ。」と言っていた1麻呂でしたが、「1ページだけでいいから。」としつこく言う私に根負けしたのか、「わかったよぉ~。」と。久しぶりに、親子でひとつの椅子に座りました。昔は余裕だった椅子が、今ではふたりでは窮屈になりました。懐かしい前奏。やさしい旋律。「1ページだけ」と言っていたのが、つっかえながらもなんとか最後まで弾き「もう1回。」「もう1回。」と、気づくと何度も繰り返して弾いていました。ああ、楽しい。これぞ音楽の醍醐味です!そしてよかった!1麻呂は、ピアノが嫌いになったのではなかったのですね。もう、あんな苦しい思いはさせないから、また時々こうして母と連弾したり、モーツァルトを弾いてほしい・・。母のささやかな願いです。このCDは、我が家にあるものですが、テレビのCMは、伊東光介さん、和田由布子さんの連弾による録音。キラキラとした音が印象的な好演です。
March 10, 2009
啓蟄だった昨日の大雨から一転、うららかな陽射しと青い空がうれしい一日。メンデルスゾーンの「イタリア」を聴く。明るい陽光が惜しげもなく燦々と降り注ぐイタリアの風景に、ドイツから来た作曲者の心は、きっと大きく揺さぶられ、希望と躍動感を与えられたに違いない。しかしながら、終楽章が短調で終わるのは、なんとなく、日本的な情緒に繋がる気もして、興味をそそられる。そう、シノーポリの終楽章は、日本人が感じる「物憂い春」の風情そのままで、妙に共感してしまった。そんなことを思いながら、午後は実家へ向かう。途中、今日は多くの人が外に出ていることに気づく。「啓蟄」、虫が土の中から出てくるように、人も家の中から出てくる陽気になったのだ。家の外を掃除している人、ご近所同士で立ち話をしている人・・。湖に沿って整備されたジョギングコースにも、走る人、犬の散歩をする人、バックパックを背負った熟年の一行もいくつか目にした。この陽射しが待ち遠しくて、うれしくて、春の大気を胸いっぱいに吸い込み、春のにおいや気配を感じたくて、外に出てきたのだろう。すれ違う人、皆、表情がやわらかい。小確幸、「小さいけれども確かな幸せ」は、こういう時に感じるのかもしれない。世の中がどんなに激しく動こうとも、経済が滞ろうとも、この陽射しだけは、人の上に平等に降り注ぐ。それだけは、天が約束してくれている。よく考えてみれば、ありがたいことなのですよね。私は今、「幸せの種」を蒔いている。これも、ある意味、お日さま頼みの生業。私の蒔いた種が、お日さまの力を借りて芽を出し、日々すくすくと成長し、やがてその美しさ、その美味しさで、人々の目や舌を楽しませることを想像すると、とてもわくわくする。部署のボスは、私よりひと回り以上も若い青年で、毎日ビシビシしごいてくれるけれど、これもまた、ガチガチに固くなった私の脳には、よい刺激になるのです。さあ、来週もまた「よい種」に出会えることを楽しみに・・。
March 7, 2009
今朝、昔好きだった男の子の夢を見ました。差し出された手が、私の手に触れるか触れないか・・のところで目が覚めました。まるであの頃の、互いの心模様を象徴しているような夢・・。彼の夢を見たのは、先日、彼の文章と近影が載った本を読んだことが余韻を引いたのかもしれません。「時」という見えないベールが、確実に我々を隔ててゆきます。純愛で貫きとおしたあの日々から。「今はただ、あの頃の甘酸っぱい気持ちが懐かしい。元気で、そして幸せでいてほしい。」かつて、テープに録音して彼に贈ったこの曲を聴きながら、しみじみと思いました。原田知世ちゃんの、少し鼻にかかった、おっとりと透明感のある声が、ボサノヴァ調の曲によく合い、間奏でたっぷりしたレガートで聴かせる中西氏のヴァイオリンも、ヴァカンスの贅沢な気分にさせてくれます。そろそろ、本当のヴァカンスに出かけたいですね・・。ここ数ヶ月の自分への慰労も兼ねて。
March 4, 2009
初めてこの曲を聴いたのは、NHK-FM「クロスオーバー・イレブン」の中で流れた時だった。80年代の終わり頃のことだったと思う。当時、会社の独身寮で、あえてテレビを持たない生活を選んだ私は、1台のラジカセが部屋での友だった。仕事を終えて、夜遅くに会社のバスで、周りに何もない山の上の寮に帰っても、部屋に音楽があれば幸せだった。11時を回り、津嘉山正種氏の深く甘い声が「街も深い眠りに入り、今日もまた、一日が終わろうとしています。」とナレーションする、大人のための時間、「クロスオーバー・イレブン」。至福の時の始まり。洋楽、ジャズ、フュージョン、コンテンポラリー・ミュージックと、ジャンルを超えた曲が次々に流れ、番組の中ほどで、曲と曲の間に、津嘉山氏のダンディズムの極みともいえる語り口のスクリプトが必ず2回はさまれる。スクリプトの書き手は週毎に変わり、玉村豊男氏、高木達氏、西尾忠久氏などが手がけていた。玉村氏のパリでの滞在や軽井沢での暮らしなどの粋なエッセイ、高木氏の「もやしくん」シリーズが好きだった。また、知らない曲を新たに開拓する楽しみもあり、気に入った曲はその場ですぐにテープに録音し、繰り返し部屋で何度も聴いた。運がよければ、何かのきっかけで、その後曲名を知ることもあり、CDを手に入れることができた。さて、この「カヴァティーナ」も、やさしいギターとバックのストリングスが静かに心に沁みてきて、無償のなぐさめを与えられるような旋律に惹かれ、すぐに録音ボタンを押した。しかし曲名はわからないまま、数年前、何かのCMで女性歌手が英語で歌っているのを聴いたが、結局きっかけにはならず、そのまま20年近くの歳月が経った。てっきり、スペインあたりの作曲家の(たとえば、アルベニスとか、モンポウとか)クラシックの曲だと思っていた。この時のテープは、今も実家のどこかにあるはずだ。それが、つい最近、ふとしたことがきっかけで曲名を知ることとなった。ラジオで、村治佳織ちゃんがこの曲を弾いているCDが流れたのだ。そして、この曲が映画「ディア・ハンター」のオリジナルテーマ曲で、あのギタリストのジョン・ウィリアムズが弾いているのだということも初めて知った。「ディア・ハンター」は、ベトナム戦争がテーマの映画。なるほど、道理で・・。私は、硬派や社会派の映画が苦手なので、今まで、この映画と出会うこともなかったのだ。こうして、20年来の謎が鮮やかに解けた。2月初め、「ディア・ハンター」のサウンドトラックが届いた。それからというもの、トラック1の「カヴァティーナ」とトラック10の「カヴァティーナ(Reprise)」を、プログラムリピートで毎日のように聴いている。今朝も暗いうちから一番で聴いたばかり。なんだか、旧い友人にやっと再会できたようで離れがたく、こうして聞けることが大きな喜びなのだ。ついでながら、今日、NHK-FMは本放送開始40周年を迎えるらしい。昨日、今日と2日間にわたり、48時間の特番を組んで放送している。いつも私に、安らぎと音楽との新しい出会いを与えてくれるNHK-FM。ありがとう。感謝と今後への期待をこめて。
March 1, 2009
先日、MRI検査を受ける機会がありました。若い頃、別の病院で検査をしたことがあるので、ある程度どんな感じかはわかっているつもりでした。MRIは、磁気の力によって身体の内部、骨、筋肉、内臓、神経などの細部に至る組織を克明に映し出すための大型の医療装置で、装置の手前のベッドに横になると、そのままスライドして大きな筒状の装置の中に吸い込まれ、じっとおとなしくしていること数十分、「カンカン」「コンコン」と、こだまのような音が筒の中に響いたり止まったり・・・、それは摩訶不思議な空間。そのうち「ハイ終わりです」と、ベッドが引き出されて検査終了となります。今回、予約時に病院からもらった説明書には「マイクで外部と会話ができます。また、ヘッドホンで音楽を聴くこともできます。お好きなCDをお持ちください。」と書かれていました。「まあ、進歩したのね~」と驚きながらも、「何のCDを持っていこうかしら・・」と、いそいそと考えはじめました。あまり速いテンポや元気のいい曲は、身体が自然に動いてしまいそうだから、ダメね~、などなどと。そして選んだのが、このブラームスのヴァイオリン・ソナタ全曲のCD。1989年、イツァーク・パールマン&ダニエル・バレンボイムによる、シカゴでのライヴ盤。聴衆のあたたかい拍手に迎えられたのち、静かに始まる「雨の歌」。大好きな録音です。さて、当日。専用の検査着に着替え、ベッドに身体を横たえたあと、飛行機の機内で使うような形のヘッドホンを耳にあてがわれ・・・ん??「あれ?もう曲が始まっているじゃん、中に入ってからONしてくれると思ったのに。ま、いいか」。いざ、白い筒の中へ。すると、間もなく、ヘッドホンからの優美なブラームスをかき消すように聞こえてきたのは、ガンガンガン、ガガガガガ、バリバリバリ、ドッカンドッカンという大音響と、ガタガタと身体の下から伝わってくる落ち着きのない振動。ここは、建設工事現場だったの!?しかも、突貫工事さながらの!ああ、このすさまじいほどの騒音で、パールマンもバレンボイムもどこかへ行ってしまいました。たまに騒音が途切れた時に、かすかに聞こえるヴァイオリンの音で「ああ、ここは第2楽章だぁ・・」と、辛うじてわかる程度。そんな状態で「終わりましたよ~」と検査終了が告げられたのは、2番のヴァイオリン・ソナタの第1楽章の途中でした。ああ、何のためにCD持参で行ったのやら・・今のMRIって、こんなにうるさいの!?昔は違ったのに。それとも、昔より性能が上がった分、音や振動が大きくなったの!?多くの???を抱えたまま自分の服に着替え、X線技師(友人)に「どうだった~?」などと聞かれていると、別の技師の方が検査票とCDを持ってきてくれました。「何のCD?」と、ジャケットをのぞき込む彼女。「パールマンのブラームス。でもね、装置の中が工事現場みたいで、ほとんど聞こえなかったの~。」「へえ~、そんなにうるさいんだ~。」彼女はまだ体験したことがないようです。皆さまはいかがですか?MRIはもちろん、診療、医療機器でのいろいろな体験談、お待ちしておりま~す。・・というわけで、今日は先日のリベンジも含めて、ひとり静かにこのCDに浸っております。ブラームスと共に、穏やかな「光の春」を満喫している昼下がりです。<補足:検査の結果自体は問題はありませんでしたので、皆さまどうぞご心配なく~。>
February 7, 2009
これほどまでに、黒々とした粘着質の音の渦は、今まで耳にしたことがない。聴く者に向かってくる、圧倒的な感情の発露!これは嫉妬という名の情念でひとくくりにしてしまえるようなものではないように思う。どこにも救いがない。「音」という名の怨讐の上に、更なる怨讐が重なり、破滅的な深みへと堕ちてゆく。それは、ヤナーチェク自身の感情なのか、或いは、ポズドヌイシェフ自身の感情なのか!ここでいう「クロイツェル・ソナタ」とは、文豪トルストイが書いた小説のこと。ヤナーチェクは、このトルストイの小説からインスピレーションを得て、たった一週間ほどで同名の弦楽四重奏曲を完成させたのだという。トルストイの「クロイツェル・ソナタ」は、「わたし」が、遠距離列車の斜(はす)向かいの席に偶然乗り合わせた男ポズドヌイシェフ氏から、「自分の妻を殺した」告白話の一部始終を、丸ひと晩かけて聞かされるという物語だ。ポズドヌイシェフ氏は、自分の魅力的で美しい妻が、若いヴァイオリニストの男とベートーヴェンの「クロイツェル・ソナタ」を合奏し、その合奏のあと、時が経つにつれ、妻が男と密通しているのでは・・との疑惑を抱く。疑惑は更に、彼の病的な妄想の中で確信へと変わり、ついには自分の妻に手をかけてしまった・・という顛末であった。すべては、ひとりの男の妄想と疑惑と嫉妬によって成し遂げられてしまった凶行。男の話は、主観的な概念のみが語られ、妻が本当に不貞をはたらいていたか否かも、結局のところは、読む者には明らかにされなかった。一度とり憑いてしまった妄想や疑惑が、ここまで人を蝕む恐ろしさ。どこにも救いがない。それにしても・・。「あのソナタは実に恐ろしい曲です。殊に初めの部分が・・・」「この恐ろしい武器が、誰彼の差別なく手に入れられるのです!たとえば、このクロイツェル・ソナタ、殊に最初のプレストですね、一体あれをデコルテを着た婦人たちの間で、普通の客間の中で弾いてもいいものでしょうか?あのプレストを弾いて、後でお客の相手をし、それからアイスクリームを食べたり、新しい市井の風評を語り合ったりしていいものでしょうか?」「このプレストの後で、二人は見事ではあるが、極めて平凡な新味のないアンダンテに、俗悪なヴァリエーションをつけて弾き進みました。そしてフィナーレに至ると、もはや全く力抜けがしていました。」以上が、ポズドヌイシェフ氏が語った、妻と若きヴァイオリニストの合奏の感想である。ここから察するに、あの美しいベートーヴェンの「クロイツェル・ソナタ」を、いったいこのふたりはどのように演奏したのだろう・・。特に、弾き手のセンスと技量が問われる第二楽章の4つのヴァリエーションを。願わくば、私も文中の客間に立ち混じって、そっと聴いてみたい気持ちに駆られる。
February 2, 2009
悪いことといいことが同時に起こった一日。今朝の新聞で、女子高時代の同級生が昨日亡くなったことを知った。いつも明るく前向きで、あっけらかーんとしていて、独特のほんわかした雰囲気が魅力だった彼女。ああ、それなのに、何故か彼女は波瀾万丈の人生を選んだ。10代で最初の結婚、その後苦労して離婚、再婚を経て、計4人の子供を授かる。が、30歳の時に病魔に冒され、大きな手術を受けた。その病気のハイリスクのファクターは、「未婚」「晩婚」「出産歴無し」「40代以上」というから、わからないものだ。彼女はその対象からことごとく外れていたのだから。その後、ずっと元気で幸せに暮らしていると思っていたのに・・。いったい彼女の身に何があったのだろう。午前中、幾人もの友人と連絡を取り、彼女をめぐる思い出話や「もっと早く会いたかったよね」と異口同音に語り合いながら、散々な思いで過ごしたが、午後はどうしても避けられない約束があり、気持ちが切り替えられないまま車で出かけた。その時。車中でつけたFMから流れてきたのが、このアンスネスの弾くヤナーチェクだった。家でも何度となく聴いているこのCDだが、アンスネスの紡ぐ透きとおった音の糸と、目の前に広がる、雪を抱いた山々と、肌を切るような鋭利な空気が、この時初めてひとつとなって私の心に錦を結んだ。しっかりしなくちゃ。結果、出向いた先で、無事役割を果たし、互いに有意義でよい時を過ごし、私にもこの上ない益をもたらしてくれた。長い一日を終え、思ったこと。彼女の訃報、さまざまに乱れる自らの思い、そしてアンスネスのヤナーチェク。そのすべてが、今日一日のうちに結集したことは、決して単なる偶然ではないという確信を得るに至ったのだ。目には見えない何かが、確かに私を後押ししてくれている。生きてゆくことの意味を、またひとつ、投げかけてもらった厳寒の一日だった。
January 13, 2009
今夜は ここにお泊まりです。静かな 静かな 夜が来ます。一期一会の夜です。冬夜 敏巣に示す爐火銷えんと欲し 燈盡きんと欲す夜長くして 相對して百憂生ず他時 諸處に重ねて相見んも忘るる莫れ 今宵燈下の情炉の火も消えようとし、灯火も尽きようとしている。こうして夜更けまで君と相対して語り会っていると、無限の憂愁が湧いてくる。いつか君とどこかで再び会うこともあろうが、灯下に語り合った今夜のしんみりした心情を忘れないでくれ。白氏文集第十三巻(岡村繁訳)より
January 8, 2009
ここしばらく、時間だけはたっぷりあったので、本をたくさん読みました。その中から、今日は4冊をご紹介いたします。 「パリママの24時間」中島さおり著パリ在住の著者が、さまざまな境遇にありながら、仕事と家事・育児を両立している女性達を、同じ女性の視点から活き活きと綴った最新レポート。パリの子育て世代の女性達の、肩肘張らない営み、活気に満ちた息吹きが感じられ、また、フランスという国の、働く女性への羨ましいほどの手厚い支援制度が垣間見えて興味深い。人選にやや難あり(キャリア族が多いのだっ。)ですが、確実に元気をもらえる本です。 「ドイツの街 道具と心」佐貫亦男著航空工学が専門の、元東京大学教授によるドイツシリーズの中の1冊。趣味のドイツカメラのくだりでは、「手がかかるけれど可愛いヤツ」である往年のカメラへの情熱と愛情が伝わってきます。建築物への独自の見解も面白い。文章全体に、大学の教授らしい表現、明治生まれの方らしい、いかめしさも感じられて、ご存命のうちに講演会などに行きたかったなあ・・と思いました。美しいドイツの街の写真(モノクロだけど)も豊富。 「バルトの辺の小さな学校」進藤美智子著定年を数年後に控えた高校の女性教師が、一念発起、バルト三国のひとつ、ラトビアへ夫婦で移り住み、現地の日本語学校で日本語を教える日々を綴った奮闘記。手元に届いた、たった一通の手紙を頼りに、安定した生活を棒に振って言葉の通じない国へ旅立つ潔さに脱帽!子どもの頃、こんな先生に出会いたかった!と思わせる魅力に溢れ、また、大国ソヴィエトに支配され、翻弄され続けたラトビアの苦悩もつぶさに伝えています。 「せせらぎのむこうに」シーリア・ウィルキンズ著 土屋京子訳表紙の、ヴァイオリンを弾く男の子に惹かれて借りてきた本ですが、あの「大草原の小さな家」のキャロライン母さんを主人公にしたシリーズものなのだと、前書きを読んで知りました。この最新作がもう5冊目。少女キャロラインと、少年チャールズが初めて出会う物語です。そう、このヴァイオリンを弾く少年は、のちのチャールズ父さんなのです!アメリカ開拓時代の、つつましやかな暮らしぶり、美味しそうな描写の手作りのお菓子、人々の間の強い絆、素直で思いやりのある子ども達、厳しくも美しい自然、どこを読んでも、今の時代にもっとも必要で大切なものを、そっと差し出しているような教訓に満ちています。身辺いろいろありまして、まだ落ち着きませんが、ようやく戻ってまいりました。コメントへのお返事、皆さまへのご訪問、記事の更新等、遅れることもあるかと思いますが、どうぞ変わらぬお付き合いを、よろしくお願い申し上げます。
December 22, 2008
夕刻、1麻呂を迎えに行くために外に出てみると、南中に浮かぶ上弦の月から、西に向かって、斜め一直線上に木星と金星が等間隔で並んでいるのが目に飛び込んできて、しばし見とれてしまいました。それぞれの軌道を律儀に運行していながらも、時々こういう光景を私たちに見せてくれることが天の粋な計らいのようで、うれしい宵でした。私たちが見ているのは、いずれも太陽に照らされている姿。惑星、衛星は自分では光を出しませんから。月と木星と金星。「ん?何かに似ている・・」と思いました。そして、思い当たったのがこれ。ベートーヴェンのトリプル・コンチェルト!ピアノとヴァイオリンとチェロ。それぞれが、太陽であるベートーヴェンから光を得て、コンチェルトというひとつの楽曲の中で、同じ距離を保ちながら、存分に光を放つ瞬間です。いつだったか、FMで初めて聴いて、パールマンの滴るようなヴァイオリンの音色に魅了され、ずっとこの録音を探していました。やっと出会えたのは、今年、グリモーの演奏会の折に訪れた東京の中古レコード店。そこは、以前にアンスネスの弾くブラームスのコンチェルトなどにもめぐり合えた験のいいお店です。バレンボイム氏の巧みな指揮とがっちりと基礎を築くピアノ。ソロになると、スッと前に出てきて朗々と歌ってくれるマ氏のチェロ。ベル・フィルは、世紀の職人である3人と息を合わせながら盛り立てます。三者三様、世界最高峰のオケの魅力が結集したライヴ盤。ベートーヴェンの歌心が感じとれる隠れた名曲です。
November 6, 2008
すこし前 富士の頂は雪を被つた朝 パンを買ひに出た庭露にぬれて 真つ白になつた下草あと幾日かで この露が 凍つて霜になる 私の前にある 時の階段見へなひ 時の階段のぼるだけの 時の階段左は過去へ 右はこの先へとつながる 手の内にあるもの既に 手を離れたもの決して 手には入らぬもの それでも 時は過ぎ空手のまま また階段をのぼるそれでも 楽(がく)の音(ね)はともにゐてくれる麗しきは去り 侘しさが残つても かの地を想ふいのちあるうちに 訪れることが叶ふだらふか階段の あの曲がり角に置きわすれた 詫ぶ思ひその 帙をひもときしろがねの双翼に乗せて 届けることは 嗚呼 このやうなことを思ふのもあの空が高ひから空が 高ひから
October 20, 2008
我が家に花輪クンがやってきました!いいでしょ?花輪クンは、おしゃれで優しくてレディー・ファーストの男の子。おまけに博学でヴァイオリンも上手!こんな男の子、子どもの頃、周りにいました?なかなかいないですよね~。彼は、私にとっていちばんの「ゆるキャラ」です♪このフィギュア、どうしたか?って?ふふ、それは恥ずかしくてちょっと・・・。車に貼るシールも付いていますよ♪
October 10, 2008
麻呂父の母が、竹ざるいっぱいのゆで栗を持ってきてくれました。大粒でつやつやしていて美味しそうです♪そうだ!昨日の新聞に「栗おこわ」の記事が載っていたのをちらっと見たのだわ!作ってみようかしら。これこれ♪ 新譜のフランクのヴァイオリン・ソナタを聴きながら、この大量の栗の皮をせっせと剥きました。ヴァイオリンの透きとおった音色と、第1楽章の憂いあるピアノ・ソロが今の季節にとても相応しく、音楽と、栗を剥く手の動きとが融合したように、ゆっくりと時が流れてゆきます。フランクの叙情あふれる音楽の輪郭を、立体的で色彩豊かに浮かび上がらせた名演。楽曲の印象は、奏者によってこうまで変わるものなのか・・と、この曲の良さをあらためて知った次第です。磐石の演奏、うれしい出会いでした。さて、栗。剥けました♪ 栗おこわに使った残りは、「栗の渋皮煮」にしてみようかしら♪確か、少し前の「クロワッサン」に載っていたような・・。昨晩は、麻呂父が、会社の裏の林で採ってきた、ジコボウ、カワムキ(という名前)などのきのこを使って、きのこ汁を作っていただきました。毎年この時期は、お昼休みに会社の皆さんで競うように、きのこ採りに興じるのだそうです。旬の食材を豊富に楽しめる秋。次は何が味わえるでしょう。クラシック音楽界も、これから本格的なシーズンを迎えます。あなたは「食欲の秋」?「芸術の秋」?食べものも音楽も、ワクワクする季節の到来ですね~。
October 5, 2008
先週末、実家で、自分が使っていた部屋の洋服ダンスに、実家にはないはずのものを見つけました。レコードプレーヤーです。観音開きの扉を開けると、そこにひっそりとあったのです。昔のステレオデッキのものは、父が既に処分してしまって、このプレーヤーは、まったく見覚えがありません。父に聞くと「知らないゾ」との返事。外出している弟に電話をすると「オークションで安く手に入れて、自分のレコードを全部、MDに入れたあと、当分使わないからそこに置いたんだ。よかったら無期限で貸してやるよ」と。うれしいーーーっ!!!!実家にある自分のレコードと、昔よく聴いていた、父の数枚のレコードも、プレーヤーと一緒に家に持って帰りました。帰宅後、1麻呂に頼んでアンプに繋いでもらい、手始めに、20年以上聴いていないショパンの作品集をターンテーブルに載せました。(ショパンは当時、私のアイドルでした・・。)ああ、懐かしい音です!アルゲリッチの卓越した技巧が際立つ、スケルツォ第2番!B面は、一度も聴かなかった、同じくアルゲリッチの弾くソナタ第2番。わあ、これも気迫のこもった凄い演奏!メカオタクの1麻呂は、興味津々!!小学校の放送室で、針のないプレーヤーを目にしたことはあったそうですが、実際の音を聴くのは生まれて初めてで、私と一緒に、しばしの鑑賞タイム。「プチプチいってるね」「これはレコードの傷の音。あと、盤の歪みがそのまま音に表れるから、よく聞くと、音が伸びたり縮んだりしているでしょ」「うん、面白い」そう言いながら、レコードの中心部のラベルの上に、小さなおもちゃを置いて、それがぐるぐる回るのを見て楽しんでいます。私の宝もののレコードだけど、まあ、いいか。彼にとっては、新鮮な出来事だったのですし・・。デジタルの音源にすっかり慣れてしまった昨今ですが、久しぶりに、こうしてアナログの音に接してみると、忘れてしまっていた、あの、針を下ろす瞬間のときめきが甦ってきました。黒いレコードが回転する様子も、そこだけ時の流れがゆったりとしたようで、なんだか、贅沢な気分に浸れました。レコードの音を聞くと、脳のα波がたくさん出る・・という話を思い出しました。忙しい日常に、ほんの少しのゆとりを持てる気がするレコード鑑賞。ちょっとクセになりそうな予感です。
September 20, 2008
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