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2004年08月27日
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テーマ: 法律(509)
カテゴリ: 刑法


とりあえず条文を見てみましょう。

(正当防衛)
第三十六条  
1  急迫不正の侵害 に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。
2  防衛の程度を超えた行為は、情状により、
  その刑を減軽し、又は免除することができる。

第一項でよくわからないのは 「急迫不正の侵害」 でしょう。
「急迫」とは生命・身体・財産が侵害される恐れが目前に迫っていることを言います。
つまり、殺されかけている、殴られそうになっている、物を盗まれそうになっている、
このような場合、「急迫」と言えます。
正当防衛ならば、これで十分ではないかと思うかもしれません。
なぜ、「不正」も要件になっているのでしょう。
「不正」とは違法であることを言います。
例えば、殺されそうになっているといっても、それが死刑執行直前であれば死刑は合法ですから死刑執行官を殴っていいわけではありません。
こういう風に正当防衛を成立させるわけには行かない場合を
除外するために「不正」の要件が必要なのです。

また、「他人の権利を防衛するため」というのは案外盲点ではなかったのでしょうか。
他人のための正当防衛も認められるのです。
正当防衛というと、蒲原に殺されそうになった清水君が逆に蒲原を殺してしまったというのが典型例です。
しかし、蒲原に殺されそうになった三島さんを助けるために
清水君が蒲原を殺しても正当防衛が成立します。

「やむを得ずにした行為」というのはちょっと注意が必要です。
行為がやむを得なければ正当防衛は成立します。
行為の結果何かとんでもないことが起きても正当防衛が成立するのです。
例えば、三島さんが痴漢をした蒲原を振り払ったとします。
振り払われた蒲原はバランスを崩し、地面に頭を打ち付けて死んでしまいました。
痴漢された行為に対して人を死亡させるのは「やむを得ず」とはいえないような気がします。
しかし、「やむを得ず」と言えるかどうかは行為を基準にします。
行為は振り払っただけですから、痴漢された行為に対して
やむを得ないといえるでしょう。
従って三島さんには正当防衛が成立し、無罪となります。

これは何故でしょうか。
それは、もし、防衛行為をした結果がやむを得ない場合で無い限り正当防衛にならないとすると
安心して正当防衛ができないからです。
正当防衛はとっさに行うことですから、正当防衛をしようとする者は結果にまで気を配っていられません。
それなのに結果がやむを得ない場合で無い限り正当防衛が成立しないとすると、安心して防衛行為できないのです。安心して防衛行為できないとなると犯罪者のされるがままになってしまい、社会が不安定になってしまいます。
そこで社会の安定のため、防衛行為さえやむを得なければ、その結果がとんでもないものでも正当防衛が成立します。
(ただし、これはあくまで理論上の話です。
 日本では理論上は正当防衛成立しそうな場合でも
 現実には、成立しない場合も多いですのでご注意ください)


では、2項の
「2 防衛の程度を超えた行為は、情状により、
  その刑を減軽し、又は免除することができる。」
とは
何でしょうか。
これは結果が程度を超えている場合を過剰防衛としてるのではなく、行為自体が程度を超えている場合をいうのです。
例えば、痴漢された三島さんが蒲原をナイフで刺し殺してしまった場合はどうでしょう。
この場合、痴漢に対してナイフで刺す行為はやむを得ないとは言えません。
程度を超えています。これを過剰防衛と言います。
繰り返しますが、この場合はナイフで刺すと言う行為が過剰だから
過剰防衛なのです。死んだから過剰防衛ではありません。

正当防衛はここまでにしましょう。
明日は緊急避難についてお話します。





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最終更新日  2004年08月27日 00時06分06秒
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