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剣竜さん
主尋問とは、自分がお願いした証人に質問をすることです。
ですから、弁護人のする主尋問とは、被告人に有利な証言をしてくれる人に対する質問か、被告人本人に対する質問をいいます(厳密には、被告人は「証人」になれませんし、被告人に対する質問は「主質問」ですが、混乱を防ぐため、敢えて区別はしません。)
当然ですが、自分のお願いした証人の話を、裁判官や裁判員が信用してくれなければなりません。
そこで、主尋問の目的は、証人自身にストーリーを語ってもらうということです。
弁護人が語らせたように思わせてはいけないということです。
弁護人が語らせたように思わせたら、証人を呼んだ意味が無くなってしまいます。
ベストな主尋問は、あたかも証人自身が語ったかのように裁判官・裁判員に思わせる主尋問ということでした。
つまり、裁判員が聞きたいと思うことを、スムースに、出しゃばらずに聞かなければなりません。
ですから、質問者である弁護人は、黒子に徹しなければなりません。
つまり、立ち位置としては、裁判員から目立たない位置に立つことが必要です。万一、裁判員から見えない場所があれば、そこに立つのがベストです。
(講師の先生いわく、「書記官席で尋問したいくらい」ということです。)
声も、証人の声より目立つことは避けなければなりません。(ただし、質問者の声が聞こえないと、証人が何を言いたいのか分からなくなるので、最低限、裁判員・裁判官に聞こえる声を出す必要はあります。)
また、感想・合いの手・相槌は不要です。
たとえば、
弁護人「そのとき、あなたは何を見ましたか?」
証人「被害者の死体です」
という問答の後、
弁護人「それは、大変でしたね」→×
弁護人「はい」→×
弁護人「なるほど」→×
ということです。いずれも、弁護人が出しゃばった印象になり、証人に語らせたことになりません。
同じ理由で、ループクエスチョンも避けた方が良いということです。
ループクエスチョンとは、直前の回答を、直後の質問に入れて聞くことを言います。
たとえば、先ほどの問答の後に、
弁護人「死体を見たあなたは、何をしましたか。」→△
証人「救急車を呼びました」
弁護人「救急車を呼んだあなたは、次に何をしましたか」→△
証人「被害者に人工呼吸をしました」
弁護人「人工呼吸をした結果、被害者はどうなりましたか」→△
証人「息を吹き返しました」
という具合です。ただ、「△」なのは、特に印象づけたい場合には、少しだけ使うのはアリということだからです。
上の例の場合、証人が被害者を助けようとしていたことを印象づけたい場合には、「○」ということになります。
それ以外であれば、「×」となるでしょう。
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